2021年1月22・23・24日
東京辰巳国際水泳場
新年最初の大会となったKOSUKE KITAJIMA CUP 2021。冬場の強化期間の真っ只中ではあるが、現状を確かめたり、日本選手権の参加標準記録を目指したりとそれぞれの選手が課題を持ってレースに臨んだ。その中で、女子800m自由形で中島千咲代が優勝という好成績。田中瑞姫も自己ベストを更新しこれからのレースに弾みを付けた。
試合結果
予選結果(女子)
種目 | 順位 | 選手名 | タイム | 備考 |
---|---|---|---|---|
50m自由形 | 15位 | 松浦麻理亜(経1) | 26秒92 | B決勝進出 |
16位 | 鈴木菜々花(経2) | 26秒96 | B決勝進出 | |
22位 | 森本優香(社3) | 27秒30 | ||
100m自由形 | 13位 | 柴田夏海(スポ3) | 57秒22 | B決勝進出 |
22位 | 松浦麻理亜 | 58秒17 | ||
26位 | 鈴木菜々花 | 58秒49 | ||
30位 | 田中瑞姫(現2) | 58秒81 | ||
33位 | 森本優香 | 59秒01 | ||
39位 | 山川唯巴(法2) | 59秒38 | ||
400m自由形 | 6位 | 中島千咲代(現1) | 4分21秒40 | 決勝進出 |
13位 | 篠田沙彩(経1) | 4分26秒78 | B決勝進出 | |
100m背泳ぎ | 5位 | 関口真穂(スポ2) | 1分03秒79 | 決勝進出 |
8位 | 小川真菜(経3) | 1分04秒61 | 決勝進出 | |
200m背泳ぎ | 5位 | 関口真穂 | 2分17秒52 | 決勝進出 |
6位 | 小川真菜 | 2分18秒79 | ||
100m平泳ぎ | 8位 | 奈須田ゆうか(社3) | 1分10秒57 | 決勝進出 |
12位 | 齊藤涼夏(社2) | 1分12秒29 | B決勝進出 | |
200m平泳ぎ | 8位 | 齊藤涼夏 | 2分31秒03 | 決勝進出 |
11位 | 庄司朋世(スポ1) | 2分34秒46 | B決勝進出 | |
22位 | 奈須田ゆうか | 2分40秒32 | ||
100mバタフライ | 19位 | 船木里菜(経3) | 1分02秒96 | B決勝進出 |
26位 | 山川唯巴 | 1分03秒96 | ||
200m個人メドレー | 11位 | 田中瑞姫 | 2分19秒18 | B決勝進出 |
400m個人メドレー | 6位 | 田中瑞姫 | 4分52秒89 | 決勝進出 |
7位 | 庄司朋世 | 4分54秒73 | 決勝進出 | |
13位 | 船木里菜 | 5分00秒52 | B決勝進出 |
B決勝結果
種目 | 順位 | 選手名 | タイム | 備考 |
---|---|---|---|---|
50m自由形 | 5位 | 松浦麻理亜 | 26秒72 | |
6位 | 鈴木菜々花 | 26秒97 | ||
100m自由形 | 3位 | 柴田夏海 | 56秒81 | |
400m自由形 | 2位 | 篠田沙彩 | 4分24秒92 | |
100m平泳ぎ | 2位 | 齊藤涼夏 | 1分11秒77 | |
200m平泳ぎ | 7位 | 庄司朋世 | 2分37秒53 | |
100mバタフライ | 8位 | 船木里菜 | 1分02秒85 | |
200m個人メドレー | 2位 | 田中瑞姫 | 2分17秒83 | |
400m個人メドレー | 2位 | 船木里菜 | 4分56秒71 |
決勝結果
種目 | 順位 | 選手名 | タイム | 備考 |
---|---|---|---|---|
400m自由形 | 5位 | 中島千咲代 | 4分20秒32 | |
800m自由形 | 1位 | 中島千咲代 | 8分51秒11 | 金メダル獲得 |
6位 | 篠田沙彩 | 9分09秒57 | ||
100m背泳ぎ | 3位 | 関口真穂 | 1分03秒22 | 銅メダル獲得 |
6位 | 小川真菜 | 1分03秒83 | ||
200m背泳ぎ | 4位 | 関口真穂 | 2分15秒07 | |
100m平泳ぎ | 7位 | 奈須田ゆうか | 1分10秒44 | |
200m平泳ぎ | 7位 | 齊藤涼夏 | 2分30秒41 | |
400m個人メドレー | 6位 | 田中瑞姫 | 4分50秒59 | 自己新 |
7位 | 庄司朋世 | 4分51秒98 | 自己新 |
Pick Up
中島千咲代
法大からまた1人の新鋭が現れた。1年生の中島千咲代が800m自由形で他を寄せ付けない素晴らしい泳ぎで金メダルを獲得。長距離種目でチームを支える「大エース」への第一歩を力強く踏み出した。
悔しい優勝
タイムレースで行われた800m自由形決勝。今大会の同種目は日本トップレベルの選手が不在という中で、「この組で勝てば優勝だなというのはレース前から思っていた」と話す。勝つことを意識して序盤から自分でレースを展開。最初の100mのターンで先頭を奪うと、そのままゴールまで1度もトップを譲ることはなかった。”狙って勝ち取った” 優勝は見事なものであったが「自己ベストを出せなかったので悔しい」。また、「他の種目は日本トップ選手が優勝していたのを見ると、この私が優勝?という気持ちがありました」と中島は謙遜する。
飛躍の要因
元々はバタフライを専門をとしていたが、昨年の12月頃から本格的にこの種目に専念。今はまだ泳ぎ方を模索している最中と言える。ただ、良い結果を出す手応えはあった。「年末年始の練習をしっかりとやれた分、自信を持って大会に臨むことができた」。中島の躍進を支えているのは水泳に対する気持ちの変化だった。「高校生の時も練習はしっかりやれていたと自分の中では思っていたのですが、速い選手と一緒に練習するようになって自分の努力はまだまだだったんだなと感じました。練習のタイムであったり、陸上トレーニングであったり、速い選手たちの練習態度を見ると学ぶものが多いと感じます」。実績のある選手たちの取り組みに日々間近に触れることで自分自身の飛躍へと繋げた。
中島が次に挑むのは来月のジャパンオープン。「800m自由形はベストを出して決勝に残り、入賞というのを目標にしています」。大いなる可能性を秘めた大器はそう意気込みを口にした。
(記事:根本 成)
田中瑞姫
悔しい結果となった。200m個人メドレーと400m個人メドレーで日本選手権の参加標準記録を切ることを目標に今大会に臨んだ田中は惜しくもそのタイムには届かなかった。
目標には及ばず
大会2日目にはまず400m個人メドレーと100m自由形に臨んだ。「大会当日のコンディションもよく、感覚的にも良かったです。日本選手権の標準記録を切れるようなコンディションでした」。田中はこの冬場のトレーニングの順調ぶりを口にする。その言葉通り400m個人メドレーの予選では自己ベストに迫る好タイムをマーク。また100m自由形予選は「400m個人メドレーの決勝に繋がるようなレース」を意識し良い感覚を持って目標レースを迎えた。「決勝直前のアップの時にすごく体が軽かったので、絶対にベストタイムを出せると思った」。予選のタイムをさらに縮め4分50秒59の自己ベストを更新。しかし、狙っていた4分49秒21という記録には後一歩及ばなかった。
大会最終日となる3日目は、400mよりも得意意識がある200m個人メドレーに出場した。予選から日本選手権の標準記録を切ることを目指し果敢に泳いだが、決勝にも目標タイムにもあと一歩及ばず悔しい結果となった。
次こそは標準突破を
冬場は、個人メドレーの後半部分に重点を置き追い込んできたという。「それが今回の400m個人メドレーの自己ベストに繋がったと思う」と田中は分析する。来月のジャパンオープンにもエントリーしており「日本選手権の標準記録を切れるように頑張りたい」と語った。次こそは目標達成となるか、田中の活躍に期待したい。
(記事:佐々木 みのり)
選手インタビュー
中島千咲代
ー 今大会の位置付けは
今はジャパンオープンに向けて調整を行っている途中ということで、まだ疲労が残っている状態ではありました。その中で、できるところまでやってみようという感じでレースを泳ぎました。
ー この冬場のトレーニングの手応えは
上京してきて、新しい環境で練習を行っているのですが、一緒に練習している周りの選手のレベルが高くて地元にいた時よりもいい練習が積めているなと実感していますし、ベースが上がっているのを感じています。年末はとても苦しい練習もあったのですが、しっかり追い込んで自信に繋がるような練習ができたと思います。
ー 具体的にどのような課題に取り組んでいますか
去年まではバタフライを専門にしていて800m自由形はたまに泳ぐという形でした。今年に入って800m自由形を本格的に始めて、ベースとなる距離を泳ぐ練習に取り組んでいます。去年の10月のインカレまではバタフライの練習も平行して行っていましたが、12月頃からはもう完全に自由形に絞って練習をしています。年末年始は結構距離を泳いで身体を追い込んでいました。今は調整期間に入っているので、距離は少なくなりましたけど、レースペースに近いタイムで泳ぐ質の高い練習ができています。
ー 初日の800m自由形で優勝を果たしました
今回の800m自由形は日本トップレベルの選手が不在で、私と自己ベストが同じくらいの選手たちが揃っていました。タイムレースで、この組で勝てば優勝だなというのはレース前から思っていて、実際に優勝できたことはうれしいのですが、タイム的には自己ベストを出せなかったので悔しいです。他の種目はとてもレベルが高くなっていて、日本のトップ選手が優勝をしていたのを見ると、この私が優勝?という気持ちもありました。今後は優勝で誇れるようなタイム、恥ずかしくないタイムを出せるようにしていきたいと思いました。
ー今、800mではどのくらいのタイムを目指していますか
今は自己ベストが8分48秒66なのですが、いずれは8分40秒を出してジャパンオープンでも日本選手権でも決勝に残れる選手になりたいです。
ー ジャパンオープンでも800m自由形にエントリーされていますが、修正していく所はどのあたりでしょうか
今はまだ800m自由形の泳ぎ方を確立できていなくて、色々と試しながら泳いでいる感じです。疲労が抜けて身体が軽くなれば、もっと動くと思うので後半をしっかり上げられるようなレースをしたいです。
ー 2日目の400m自由形のレースを振り返って
長水路での400m自由形のレースは久しぶりでした。予選では隣のレーンに優勝した難波実夢(MGニッシン)選手がいて、彼女は流して泳いでいる感じだったので、足元から離されず着いていくことができました。感覚としても予選の泳ぎは良かったと思います。4分19秒14の自己ベストを狙っていた決勝は、4分20秒3というタイムに終わりましたけど、高校3年間で出した1番速いタイムよりは速かったので、ベースは上がっているなと感じたレースでした。
ーベストが出なかった原因は
400mはスピードもテンポも上げて泳ぐ必要があるのですが、800mに向けた練習を行っていたために、どうしても泳ぎのテンポやスピードを上げることが難しかったのかなと思います。
ー大会を通して良かった点
結構大きな大会だなと感じたのですが、年末年始の練習をしっかりとやれた分、トップ選手がいる中でも自信を持って大会に臨み、やってきたことを出せたというのは一つ収穫ですし、この時期に自己ベストに近いタイムで泳ぐことができたのも良かったと思います。
ー 練習環境や生活環境が変わったことについて
元々、一人暮らしをすることは楽しみだったのでその点は大丈夫なのですが、みんながいる練習はやっぱり楽しいなとも思ったりするので本当は一人で寂しいのかなと感じるところはあります。ただ自由にやれるというのはいい環境だと思っています。練習で疲れた時は食事を作るのが大変だなと思うときがありますけど、それをしっかりやることで水泳にも繋がると思っていて、前向きに捉えるようにしています。
ー 競技に集中できる時間というのは増えたりしましたか
大学生になって、特に去年はオンライン授業がメインだったこともあり、高校の時よりも時間に余裕ができて練習に集中できる環境だなと感じています。
ー 高校時代と比べて成長した部分
水泳に対する気持ちが強くなったのかなと思います。高校生の時も練習はしっかりやれていたと自分の中では思っていたのですが、今こうして速い選手たちと一緒に練習するようになって自分の努力はまだまだだったんだなと感じました。練習のタイムであったり、陸上トレーニングであったり、速い選手たちの練習態度を見ると学ぶものが多いと感じます。
ー 今年の競技の目標
バタフライで結果を出したいという気持ちもあるのですが、自分の競技レベル的には800m自由形が一番日本で戦っていける種目だと思っています。今年は自由形に集中して日本選手権やインカレでも結果を残せるようにしたいです。
ー ジャパンオープンの意気込み
800m自由形と200mバタフライと1500m自由形に出場する予定でいます。1500mに出るのは今回が初めてなので最後まで諦めないで泳ぐことが目標です。200mバタフライに関してはバタフライの練習をしていませんが、何を泳いでも速い選手というのが理想なので自己ベスト更新を目指したいです。そして800m自由形はベストを出して決勝に残り入賞というのを目標にしています。これからの1週間は練習量も落ちて身体が軽くなってくると思うので良い感覚を持って試合に臨みたいです。
(取材:根本 成)
田中瑞姫
ー 大会前の目標は
日本選手権の標準がまだ切れていなかったので、その標準をきることを目標に泳ぎました。
―大会の当日のコンディションは
冬場のこの時期はすごく追い込んで練習していたので、感覚的にはすごく良かったです。目標としていた日本選手権の標準記録を切れるようなコンディションでした。しかし、400m個人メドレーでは自己ベストが切れましたが、200m個人メドレーの方では良い結果が出せませんでした。
―冬場は追い込んで練習されていたということでしたが、具体的にはどのような課題を持って練習されていましたか
400m個人メドレーでは、背泳ぎが課題として残っていたので、背泳ぎを中心に練習していました。前回の大会ではその練習の成果が発揮できましたが、逆に後半の平泳ぎと自由形が課題となったので重点的に練習しました。
―大会2日目は400m個人メドレー2本と100m自由形がありましたが、体力・ペース配分はどのように気をつけましたか
400m個人メドレーにかけていたので、100m自由形は決勝の400m個人メドレーに繋がるようなレースをしました。
―決勝の400m個人メドレーでは自己ベストを出しました
予選のレースは、朝が早くて体があまり動かない中でしたが、自己ベストに近いタイムを出すことが出来ました。なので決勝は絶対ベストタイムが出るなと思って泳いでいました。決勝前のアップの時は体がすごく軽かったので、今回のレースはベストを狙えると思いました。しかし、目標にはあとちょっとのところで届きませんでした。
―3日目の200mの個人メドレーでは、あと一歩で決勝に進めませんでしたが
個人メドレーは、400mより200mの方が得意なので、予選から連続で目標である日本選手権の標準記録を切ろうとしていましたが、思うようにいきませんでした。自己ベストと標準記録はそんなに差がないので、切れると思っていました。しかし、背泳ぎの時点で1秒以上遅れていて、その後の平泳ぎ、自由形でも引きずってしまったのが課題だと思いました。
―今回の大会での良かった点と反省点は
良かった点は、冬場で追い込んできたことが後半の部分だったので、それが400m個人メドレーの自己ベストに繋がったところだと思います。しかし、スピードにのれなかったので、そこは課題として残りました。
―ジャパンオープンの目標は
ジャパンオープンでは、今大会で目標にしていた日本選手権の標準記録を切って、2回泳げるように頑張りたいです。
(取材:佐々木 みのり)