【サッカー】城山練習レポート~4月号~

2021年4月8日、15日
法政大学城山サッカー場

天皇杯東京都予選では、東京武蔵野ユナイテッドFCへのリベンジを果たし決勝へ進出。また、リーグ戦も開幕から4勝1分と無敗を継続し、5節終了時点で首位に立つ法大サッカー部。好調を維持するチームの秘密を探るべく、選手が日々練習を重ねる城山サッカー場でお話を伺いました。今回は4月に実施したインタビューをお届けします。

選手に指示を与える長山一也監督

選手コメント

まずは、それぞれJ内定が決まっている法大不動のボランチコンビ。チームの状況、4年生として大学ラストイヤーに懸ける思い。そして、プロ内定の経緯などを聞きました。

MF 田部井涼 

―横浜FC内定にあたって率直な感想は
まずは自分の1人の力ではプロの舞台に立つことはできなかったと思います。家族をはじめ、指導者、スタッフの方のおかげで自分が上のステージに行くことができたと感じています。そういった方に恩返しをするのは、自分がピッチの上で結果を残すしかありません。現状、横浜FCは調子が悪いとかいろいろありますけど、僕自身は5年後に日本代表になるという夢があって、そこから逆算して試合に出て活躍するという明確な目標があるので、今の苦しい状況を自分が行って変えることができるくらいの実力を、この法政でつければいいと思っています。率直に決まってうれしいという気持ちもありますし、一方では(松井)蓮之のフロンターレみたいに、大卒でビッククラブへ行きたかったという気持ちもあるので、満足することなくトップレベルのプレーをしなければいけないという危機感もあります。

―加入が決まった経緯は
去年、高木友也くんが横浜FCに内定していて、その時くらいからスカウトの方が僕のことも気にしてくれていて、去年の秋とか試合に出始めたくらいの時か、本格的にキャンプに呼んでいただいたのは #atarimaeni CUP くらいの時ですかね。オファーというのは2月の初め、キャンプが終わったくらいにいただきました。その中でも自分が試合に出て活躍するとう目標があったり、J1の中でももっと上のチームでやりたい気持ちがあったりした中で、他のチームの練習に行くかどうかっていう話もありましたけど、横浜FCに今自分がプレーヤーとして変わろうとしている部分を評価してもらえたのがうれしくて。これまでもゲームメイクという部分は評価されていて、もちろん自信はありますけど、それ以外にも前にボールを入れたり、自分が前に入っていくプレーにも力を入れていて。デンソーとか#atarimaeni CUP でもそういった部分を見てくれて評価してくれていたというのは、決め手の1つです。

―日本代表という点で言えば三浦知良選手などスター選手が在籍しています
カズさん(三浦知良)はアップも一番に来てやっていますし、ダウンも率先して先頭でやっていて、年齢関係なくそういった意識を持ちながらやっていることが、長くプレーできている秘訣なのかなと。自分もこれまで頑張ってはきましたけど、その量がまだまだ足りないなというのは、カズさんを見ていると感じましたし、負けてられないなと思います。あとは中村俊輔選手とは一度話す機会をいただいて、すごく鋭い視点でボランチの話をしていただけて、そういった学びの部分も横浜FCの良さなのかなと思います。

―1年生とのコミュニケーションはいかがですか
来週あたりにグループディスカッションをしようかなと考えています。揖斐なんかは自分から僕の部屋に話したいということで来たりとか、すごく向上心がある子が多いなと。昨日は1年生に混ざって練習をしたんですけど、レベルの高い選手が多くて、もう少ししたらAチームに入って活躍できるんじゃないかなという選手もいましたね。今年はコロナの影響で合流が遅れてしまったので、コミュニケーションという部分では、グループディスカッションなどを通じながら、徐々にやっていけたらなと思います。


キャプテンとしてチームをけん引する田部井。

MF 松井蓮之

―今シーズンここまでを振り返って
今シーズン公式戦は5試合あって、まだ負けてないので、結果だけ見たらいいほうだと思います。チームとしてもいい雰囲気づくりをしながら日々練習に取り組んでいて、一人一人の熱量であったり、練習に対する態度とか取り組む姿勢だとか去年に比べたら今年はとてもいいなと感じています。そこの良さを出しつつ試合でもみんなの個性を活かしながら試合を進められていると思うので、シーズン始まって間もないですが、いい感じでシーズンに臨めていると思っています。

―攻撃面に関する意識の変化は
学年が上がったということで、より一層攻撃の部分を追求していかないといけないと感じています。今はラストパスの質であったり、試合ではまだ出せていないんですけどゴールやアシストであったり数字を残すというものを意識して練習に取り組んでます。

―同じボランチの田部井選手との役割分担は
去年までは自分が守備で(田部井)涼が攻撃という形で、お互いの良さを出しつつプレーしていたんですけど、今年は役割と言うのは特に決めてないです。(卒業後は)涼は横浜FCでプレイすることが決まっていて別々の道に行くので、涼に頼っているところは今もたくさんありますけど、頼ってばかりはいられないなと。そこは涼自身もわかっていて、守備の面でも去年よりも一層責任を持ってプレイしているのが隣にいる自分が一番わかっていますし、自分も攻撃の面で意識してはいるので、今年は役割分担というのはなくて、お互いの良さを出しつつ、チームを支えていければなというのはあります。

―最上級生となったことで意識に変化は
自分自身川崎フロンターレに内定したということもあり、いろんな人から期待されていたり見られる立場にあるので、プレイでもそうですけどサッカー以外の寮生活などの面でもチームを引っ張って行けるような行動を心掛けています。特にプレッシャーとかを感じているわけではなくて、今やるべきことをやろうと思っています。

―流経大戦では川崎内定の佐々木旭選手とのマッチアップも見られましたが
彼が内定してから戦うのは初めてで、もちろん彼の持ち味は試合でも出されましたし、改めて対戦して本当に技術も高いですし、サイドバックとは思えない攻撃参加もしてきますし、来年から味方になるのは心強いです。でも今年は対戦相手なので、そこを一番警戒しつつ次の流経戦は勝てたらいいなと思っています。

―フロンターレ内定の経緯は
フロンターレのスカウトの方が去年桐蔭横浜の橘田健人くんを視察していた時にたまたま対戦相手に僕がいて、そこからスカウトの方が僕を気にかけてくれていたみたいです。それが僕の耳に入ることはなくて、去年の10月くらいに監督からフロンターレが興味を示してくれているよと言われて、自分自身とても驚きました。どうせ正式なオファーはいただけないだろうと思っていたんですけど、12月の最後に正式なオファーをいただいて、自分自身も今磨きたい足元の技術などを磨けるのは川崎フロンターレだと思ったので、迷うことなくフロンターレに決めました。

―内定が決まった時の率直な気持ちは
幼いころからプロサッカー選手になることが夢であったので素直にうれしいと思ったんですけど、その反面フロンターレがするサッカーであったり、今日本で一番強いチームで来年からプレーすることを考えたら正直なところ少し不安もありました。

―Jリーグの中で対戦が楽しみな選手は
田部井涼ですかね(笑)。横浜FCもJ1ですし、お互いプロのピッチに立って、今は味方ですけど、ライバルとして対戦するのが楽しみです。

―新入生とはコミュニケーションを取りましたか
今は一緒に練習は出来てないですけど、寮の食堂でちょくちょく話したり、お風呂とかでも話す機会があるので、そういった所で少しずつコミュニケーションを取っていって、1年生の良さであったり、特徴をつかんでいけたらいいかなと思っています。

―新入生の印象は
紅白戦とか見る機会もあるんですけど、一人一人の個人のレベルはとても高いなと率直に思います。今はまだAチームに絡んでいる選手はいないですけど、たくさんいい選手がいるのでこれから時間が経つにつれて(Aチームに)絡んでくるんじゃないかと思っています。

―今シーズンの意気込み
まず「5冠」という目標をチームで掲げているので、5冠を取れるような組織づくりをしていきたいです。個人としては公式戦全試合出場という目標を掲げているので、そういった所を達成できるように、またチームに貢献できるような得点であったりアシストという数字を残して全タイトルを取っていけたらいいかなと思っています。


松井はここまで全試合で出場とチームに欠かせない存在だ。

今季の法大の強さを語る上で欠かせないのが『粘り強い守備』。昨季の主力が卒業し、3年生が中心となり奮闘するディフェンスラインで、鍵をにぎるGk近藤選手、CB高嶋選手にインタビューをしました。両選手ともJチームの下部組織に所属していたこともあり、今後どのようなキャリアを歩むのかについても注目です。

GK 近藤壱成

―今季はスタメンでの出場が続いていますが手応えは
去年も試合に出させていただいていた中で、クリーンシートが1試合しかなくて、今季は4試合出させていただいているうちの3試合がクリーンシートというのは自信になっています。去年はコジくん(中野小次郎=コンサドーレ札幌)がいないときに試合に出させてもらっていましたけど、その時から本気でスタメンを奪うんだという意識で取り組んでいたことは今になっては財産かなと思っています。今年も(中野選手が出ている)Jリーグの試合は見ていますし、コジくんからも連絡をしてくれたりしていてるので、そこは刺激になっています。

―新たなシーズンで気持ちを新たに臨めている
今までは先輩についていく感じであったり、試合中も自分のプレーにフォーカスすることが多かったですけど、上級生になったということで今年は試合の流れであったり、チームの状況というのを考えながらプレーすることで、結果として自分のプレーが良くなるというところに繋がっているのかなと思います。

―開幕戦を振り返って
(田部井)涼くんがけがで途中交代というアクシデントがあった中で、全員が落ち着いていたと思います。センターバックの2人も、相手の良いFWに対して集中してチャレンジ&カバーしながら、流れの中で失点しなかったのは良かったです。ただ、セットプレーなど良くない時間の中で、どうするかという部分はこれからの課題だと思います。

―セットプレーは練習でも多くの時間を割いていましたね
セットプレーのスカウティングは自分がやっていて、ウィークなポイントなどを分析しています。今年はFWもディフェンスラインもサイズがある選手が多く、またいいキッカーがいるので、流れが良くない中でもセットプレーで点を取って流れを変えたりできるので、意識して取り組んでいます。

―自身の今後のキャリアという部分はどう考えていらっしゃいますか
地元が奈良ということで身近なところにJチームが無かった中で、初めて関わったJチームがジュビロ磐田でした。そういう意味で愛はありますし、ジュビロに戻りたい、ジュビロで活躍したいという思いはあります。法政で活躍することでそこに繋がると思いますし、他にも良いキーパーがいるので、まずは試合に出るために毎試合自分の良さをアピールすることを意識して取り組んでいます。


法大の堅守を支える近藤。

DF 高嶋修也

―今シーズンここまでを振り返って
1,2年の時には出場機会がなかったんですけど、3年になってからは試合出場の機会に恵まれて、経験も積んで自信もついてきました。この自信をこれからも天皇杯やリーグ戦などの公式戦に生かして勝利に貢献できればなと思っています。

―ご自身の調子は
いいと思います。練習でも守備陣のリーダー的存在じゃないですけど、そういう気持ちでやれていますし、実際に今シーズンの公式戦では失点数も5試合で1点に抑えられているのでいい感じだと思います。

―前節流経大をクリーンシートに抑えましたが
流経大の攻撃陣のプレースタイル的にもテクニカルな選手が多くて、守備陣でのコミュニケーションを密に取らないと抑えられない相手だったので、そこをクリーンシートで終われたというのは自信になりました。

―怪我で離脱中の蓑田選手からアドバイスなどもらいましたか
たくさん教えてもらっていて、特にクロス対応のところとか、自分は集中力をきらしてしまうところがあるので、そこは常日頃言われています。(蓑田)広大くんは湘南に内定していて、あと一年しかいないので、いろんなところを吸収して自分の成長につなげていけたらいいなと思っています。

―プロ入りは意識しているか
そうですね。プロに入るためにここに来て練習しているので、そのことしか考えてないですね。

―中学時代に鹿島アントラーズノルテに所属していましたが、鹿島に対する思いは
一番入りたいと思っているチームですし、Jリーグの中でも熱く戦うチームで自分もそういうプレーが好きなので、鹿島に戻りたいなという気持ちはあります。

―今シーズンの意気込み
今シーズンは(蓑田広大が)怪我していて守備陣に4年生が少ないので、3年生が中心になることが多いと思うんですけど、その中で自分が引っ張って行くという気持ちを持ち、「俺がいれば守れる」みたいな、絶対的な存在になれるように練習からそういう姿勢を見せて戦えればいいかなと思っています。具体的な目標としては一試合当たりの平均失点を1下回りたいと思っています。


ディフェンスリーダーとして決意を語った。

最後は期待の1年生コンビ。横浜FCユースから加入した中川敦と柏レイソルU18から加入した揖斐は、どちらも世代別の日本代表歴がある逸材です。例年よりも合流が遅れたため、長山監督指導のもとで別メニューでの練習が続いている1年生ですが、中川敦は得意のドリブル、揖斐は高い足元の技術を生かして存在感を発揮していました。

MF 中川敦瑛・MF 揖斐俊斗

―プレーしてみてお互いの印象は
中川:揖斐ちゃんは足元が上手いですね。サイドやっていて前に行きやすいですし、裏に抜け出したらピンポイントで(パスが)来るのでやりやすいです。
揖斐:一人で打開できないような所でも普通にやってしまうので、頼もしい存在です。ノブ(中川敦瑛)がボール持っているときに自分がサポートにいけなかったり遅れてしまっても、自分の遅れをカバーしてくれるというか、一人で全部やってくれるので助かってます。

―高校サッカーと大学サッカーの違い
中川:高校と比べてプレーの強度とか全然違いますし、とにかく走るなと思いました。ただ、フィジカル面では自分も負けてないかなと思うのでそこは心配していないです。
揖斐:高校よりスピード感があって最初は慣れるか不安だったんですけど、二週間くらい練習したらだんだん慣れてきて、自分の持ち味も徐々に出せるようになってきたかなと感じています。

―先輩方とコミュニケーションは
中川:ハギくん(萩野滉大:現3)は特によく話しかけてくれますし、みんな優しいです。いい意味で上下関係がないというか、プレーもやりやすいですし、意見も言い合えるのでいい関係を築けていると思います。
揖斐:その通りです(笑)

―同期の雰囲気は
中川:いいと思います。
揖斐:ピッチ外でも仕事があるので、そういった所でコミュニケーションを取って徐々に仲を深めていきたいなと思っています。

―寮生活はいかがですか
中川・揖斐:大分慣れました。

―寮生活で大変なことは
揖斐:朝が早いので大変です。5時ごろ起きなくてはいけないので。
中川:郵便物の仕分けとか、食当といって皿ふきや米を炊いたりなどを一日通してやらなくてはいけないのでそれは大変ですね。

―法大入学の決め手は
中川:特にすごい理由があったわけではないんですけど、法政のサッカーはつなぐサッカーで面白いなと思っていたのでそこは決め手でした。
揖斐:高校のチームが法政のスタイルに似ていて、自分のストロングポイントを活かすには法政しかないなと思ったので入学を決めました。

―4年間の目標は
中川:4年後プロになりたいというのがあるので、3年生くらいには特別指定選手に選ばれて活躍したいです。
揖斐:まずは1年の時に関東リーグに出場するという目標があります。2年生ではチームの中心選手になれるようにしたいですし、3・4年生ではここだけでなくてプロの舞台でも活躍できるような選手になっていたいなと思ってます。最終的には日本代表という目標があるのでその目標に近づければいいかなと思います。

―プロ入りに向けての現在の課題
中川:決定力であったり、サイドやっているので1対1で負けないというそこの質を高めていかないと上で通用しないと思いますし、運動量であったり技術の面でもレベルを上げていかないといけないなと思っています。
揖斐:守備面の対人で取り切るというところと、自分はボランチなのでチームを動かす存在でなければいけないので、もっと戦術を頭に入れなければいけないなと感じています。

―田部井涼(経4)選手が横浜FCに内定しましたが
中川:すごいなと思いましたし、身近にこういう選手がいるので日ごろからそういう選手のプレイを見本としてやっていきたいです。
揖斐:(田部井選手は)別の次元にいるというか、上手さではかなわないなと感じています。かなわない所にプラスアルファで自分の何か強みを持っていかないとAチームでは試合に出られないと思うので、そこを意識していきたいです。

―大学生活で不安なことは
中川:授業面だとか友達出来るかなとかそのあたりが不安ですね(笑)
揖斐:僕も同じです。

―応援してくださる皆さんにひとこと
中川:まだ一年生ですけど、人を楽しませるプレーと言うのを目指してて、そこをファンの人に見てもらいたいと思っています。コロナが収まったら一緒に勝利を分かち合いたいので応援よろしくお願いします。
揖斐:チームは「5冠」を目標に掲げているので、それをこのチーム全員で達成できるように頑張るので応援よろしくお願いします。


練習から存在感を発揮していた2人。

関連記事一覧