東京六大学野球2024秋季リーグ戦 対立大
2024年9月21日(土)、9月22日(日)
神宮球場
9季ぶり47度目の天皇杯へ。入学後1度も優勝経験のない「吉安世代」の「最後の挑戦」が幕を開ける。9月14日より開幕した東京六大学秋季リーグ戦、法大は明日の第2週から開幕を迎え立大と対戦する。
今季リーグ戦日程、順位表(第1週終了時点)
立大戦展望
立大からは3季連続勝ち点を奪っているが、近年は相性が悪い相手であった。昨春以前の勝ち点は、19年秋までさかのぼることになり、昨年の春秋連続での勝ち点は12年以来11年ぶりであった。思い返すと今春も立大戦との開幕戦は相手エース・小畠一心(3年=智辯学園)の前に残塁祭り。結局虎の子の1点を守り切られ、完封負けを喫したのは記憶に新しい。さらに先週の開幕カードで慶大に2勝1敗、16年春以来17季ぶりに勝ち点を獲得し、今六大学で1番勢いに乗っていると言っても過言ではない。
立大エース・小畠一心にリベンジなるか
投手陣の中心は今春開幕戦で9回132球6安打7奪三振の完封劇を許したエース・小畠、第2戦の先発が予想される大越伶(3年=東筑)の両投手。春はこの2人から計15イニングでわずか1得点しか奪えていないだけに、この夏取り組んできた、逆方向への粘り強い打撃で突破口を見出したい。さらに主将の吉安遼哉(法4=大阪桐蔭)が「すごいボールを投げていた」と警戒するリリーフの吉野蓮(3年=仙台育英)には要注意。慶大とのカードでは緊迫した終盤にマウンドに上がり計3回を投げ5奪三振無失点、力強い速球に落ち球も駆使し三振の山を築いた。強力リリーフ陣が出てくる前にリードした状態で優位に試合を運びたい。
対する法大打線も春から大きく変化し得点力不足解消に取り組んできた。特に注目はショートのレギュラーをつかみ取った石黒和弥(法3=高岡商)。OP戦の大半で1番に座り、社会人やプロ相手にもみせつけた持ち味の積極性で安打を量産。春はなかなか1番打者を固定できなかっただけに期待も大きい。石黒の打撃での魅力は「固め打ち」。初回の打席で安打を放てば、高確率で複数安打を記録。1試合4安打も複数回マークし、全く手の付けられない存在となる。さらに今夏重点的に磨いてきた守備では、堅実なプレーは言うまでもなく、三遊間やボテボテの打球も難なく処理するチーム1の内野守備も見逃せない。
また今夏、4番を守ってきた内海壮太(法4=御殿場西)は恵まれた体格から放たれる飛距離はまさに「ロマン」。春は勝負どころでの凡退や三振も目立ったが、この夏を通して逆方向への軽打やチームバッティングを意識し打点へのこだわりもみせている。その他にも中津大和(営4=小松大谷)、松下歩叶(営3=桐蔭学園)など春に打線をけん引した好打者の調整も順調で、調子も右肩上がりと全体の底上げもあり1点に泣いた春からの逆襲に向け戦力も十分。
加えて慶大戦で目立った立大の守備のミスには必ずつけ込みたい。開幕戦では失点に直結するミスも2度あり、貰った好機はしっかりモノにして、主導権を握れるかも重要だ。
鉄壁投手陣で主導権を握れるか
立大打線の印象について「春と比べて粘り強いバッターが増えている。結構迷いなく振ってくる印象があったので、怖さを感じた。」(吉安)と開幕カードでの印象を話した。また気になる打者については「鈴木唯斗は1発がある」と打率.500の3番打者に最大限の警戒を示す。さらに4番・西川侑志(3年=神戸国際大附)や5番・丸山一喜(2年=大阪桐蔭)と鈴木の後にもパワフルな打者がそろい失投は命取りになるだろう。慶大2回戦でリーグ通算4000号を放った”持ってる”1年生・小林隼翔(広陵)も打率.333を残しており春よりも得点力が上がった印象。
対する法大投手陣は、大島公一監督が「うちの看板」と語る4人の4年生投手の出来が勝敗を左右するだろう。開幕投手は篠木健太郎(営4=木更津総合)が務めることが濃厚。春リーグは7試合に先発し、リーグ2位の防御率1.41をマークした絶対的エースだ。春以降は大学日本代表に2年ぶりに選出されると、プラハ(チェコ)、ハーレム(オランダ)ベースボールウィークの2つの大会での優勝に大きく貢献。慣れない中継ぎでの登板でも1点も与えない圧巻の投球をみせた。チーム合流後の夏のOP戦では主にプロアマ交流戦や強豪社会人相手に登板を重ね順調に調整を進めてきた。今夏登板時に必ずバッテリーを組む捕手の中西祐樹(法2=木更津総合)との相性もよく、球速も毎試合のように150キロ超を記録し、変化球の精度も上昇、今夏の防御率は0点台と万全の状態で開幕を迎えることになる。
また篠木と同じく春に先発としてフル回転した吉鶴翔瑛(営4=木更津総合)も直球の力強さ、ベース板での強さを追い求めて調整を進めてきた。今夏は制球面に苦しむ登板も多かった中で、9月6日の東京ガス戦では6回無失点の好投をみせるなど調子は右肩上がりと言っていいだろう。
さらに安達壮汰(営4=桐光学園)は春同様、リリーフエースとして首脳陣からの信頼も厚く、山城航太郎(キャ4=福大大濠)も春は3試合の登板に終わった悔しさをもってこの夏取り組んできた。3年生以下にもアピールを続けている好投手は多数おり、投手のベンチ入り枠6~7の争いは監督、助監督も頭を悩ませるほど熾烈。
2連勝で勝ち点獲得が理想であるが、勢いに乗る相手との開幕カードは苦戦を強いられるだろう。3試合の中でどのように2勝するかを想定した戦い方も重要。開幕カードを落とすといきなり優勝の確率が大きく下がるだけに、なんとしでも勝ち点を積み上げたい。(矢吹 大輔)