全日本学生アメリカンフットボール選手権 準々決勝 対中京大
2024年11月24日(日)
久留米総合スポーツセンター
いよいよ開幕した全日本大学選手権。初戦となったこの試合は、東海代表の中京大を相手に行われた。1、2Qは得点がFGのみと重苦しい展開が続いたが、相手オフェンス陣の攻撃をしのぎ続けると、試合後半は須加、廣瀬、齊藤空のTDが決まり勝負あり。30-6で勝利し、関学大が待つ準決勝への進出が決定。昨年の甲子園ボウルのリベンジマッチは11月30日にキックオフ。
試合結果
トータル試合結果
法政大学ORANGE |
0 | 1Q | 0 |
中京大学EAGLES |
---|---|---|---|---|
9 | 2Q | 0 | ||
7 | 3Q | 0 | ||
14 | 4Q | 6 | ||
法政大学ORANGE | 30 | Total | 6 | 中京大学EAGLES |
試合得点
Q | ポジション | 選手 | 得点方法 | トライフォーポイント(以降:TFP) |
---|---|---|---|---|
2 | K | 高城颯真(経3=法政二) | フィールドゴール(以降:FG) | – |
2 | K | 高城 | FG | – |
2 | K | 高城 | FG | – |
3 | WR | 須加泰成(営3=足立学園) | タッチダウン(以降:TD) | ○ |
4 | RB | 廣瀬太洋(経4=駒場学園) | TD | ○ |
4 | QB | 齊藤空大(法3=駒場学園) | TD | ○ |
戦評
東海代表の中京大との一戦となったプレーオフ初戦。前半は、両者決め手にかける重たい雰囲気の中で試合は進んでいく。
コイントスに勝利した法大が、レシーブを選択し始まった第1Q。リターナーRB・竹村真柊(法2=箕面自由学園)が法大陣35ヤード地点までリターンするも、最初の攻撃は相手ディフェンスのQB・谷口雄仁(営4=法政二)へのサックなどもあり、ファーストダウンを更新できず攻守交代。続く中京大の攻撃はテンポ良くボールを前に運ばれる。迎えた法大陣29ヤード地点からの4th&5の攻撃。FGを狙ったかにみえたが、ホルダーがそのまま自ら右サイドへとランでファーストダウン更新を試みる。しかしここは、DB・クラッセン・マイケル(法3=足立学園)のタックルにより更新ならず。その後の法大陣35ヤード地点からの法政の攻撃。2ndダウンに、慶大戦で相手オフェンスがみせたような2度のリバースを使った後に、TE・佐藤祥秀(人1=佼成学園)をターゲットにパスプレーを試みるもこれは失敗に。
続く攻撃も不発に終わるが、4thダウンで中村季音が陣地をしっかりと回復するナイスパントを決め中京大へ攻撃権が移る。3rdダウンでファーストダウンを更新され迎えた、法大陣43ヤード地点からの1&10。相手QBがターゲットとした右サイドのレシーバーに対し、背後から一気にパスコースに入ったDB・佐茂竜太朗(法3=箕面自由学園)が見事にインターセプト!このビッグプレーで再び法大に攻撃権が。
法大陣43ヤード地点からの攻撃は、フォルススタートによる罰退を受けるものの、WR・高津佐隼世(キャ3=佼成学園)のセカンドエフォートを活かしたRACもありファーストダウンを更新。その後もじわりじわりとボールを前へ運んでいくと、エンドゾーンまでは残り5ヤードに。中京大陣5ヤード地点からの1st&goal。谷口からRB・廣瀬太洋(営4=駒場学園)へのハンドオフでTDを狙うもここは失敗。続くダウンも続けてランプレーを選択するが、ここは廣瀬が強烈なロスタックルを受けてしまう。さらに、3rdダウンでは、パスインターフェアの反則も取られ大きく罰退に。ただ3rd&goal、残り25ヤードの攻撃では、谷口のロールからのロングパスをWR・藤田豪(社2=法政二)がしっかりとレシーブし、中京大陣10ヤード地点までボールを戻す。ここで第1Q終了。スコアレスのまま、試合は第2Qへ。
迎えた第2Q。法大の4thダウンから再開されると、オフェンス陣はFGを狙う。K・高城颯真(経3=法政二)が27ヤードの距離をしっかりと決めると、開始早々先制点が法大に入りスコアは3-0となる。
キックオフ後の中京大のリターナーが、中京大陣24ヤード地点までボールをリターンし迎えた中京大の攻撃。セカンドダウンでは、QBがロールからフィールド中央のターゲットへパスを通し、およそ35ヤードのゲインを許す。しかし、相手の複数回のフォルススタートや、DL・吉田祥真(人3=法政二)やDB・宮嶋和希(法4足立学園)のナイスタックルもあり、FG圏内への前進は食い止めることに成功。中京大パント後の法大の攻撃は、法大陣7ヤード地点から。しかし得点には至らず、両チームエンドゾーンが遠い展開が続く。試合時間残り5分を切ったところでの法大の攻撃。中京大陣45ヤード地点からの1st&10。ハンドオフフェイクから、左サイドへ展開したWR・宮﨑航也(文4=千葉日大一)をターゲットとしたロングパスが通る。およそ25ヤードのゲインでファーストダウンの更新に成功・中京大陣深くへ攻め込むみTDへと繋げたいところではあったが、その後の攻撃はレシーバーに対する強烈な相手ディフェンスのタックルもあり、4thダウンではFGを狙うことに。34ヤードのロングFGとはなったが、高城がしっかりと決め6-0とリードを広げる。続く中京大の攻撃は、DB・三好陸斗(キャ3=法政二)のパスディフェンスもありしのぎ切る。攻守交代後の法大の攻撃は、谷口への激しいプレッシャーもありなかなかパスが通らない。それでも、高津佐のRACと廣瀬のスクリーンプレーも決まり、中京大陣13ヤード地点まで前進。1st&10の攻撃は、エンドゾーン左サイドへ走り込んだ須加をターゲットにするも、これは惜しくもインコンプリート。2nd&10は、今度はエンドゾーン右サイドへ切り込んだ宮﨑へのパスも、再びインコンプリート。その後4thダウンは、30ヤードのFGを高城が決め前半終了間際に追加点に成功。TDが取れない苦しい展開の中でも、着実にリードを広げていき9-0として試合は後半へ。
後半が開始。高城のキックオフは、中京大陣5ヤード付近までのキックとなる。ここで、相手レシーバーが2度、3度ボールジャックし、レシーブし損ねている所へLB・宇都宮慶(文2=法政二)が猛チャージ。そのまま宇都宮がリカバーに成功すると、攻撃権は法大に。中京大陣12ヤード地点から1st&10。ここでQBに入ったQB・齊藤空大(法3=駒場学園)が自ら運び1ヤードゲイン。2nd&9の攻撃は、中央へ切り込んできたWR・須加泰成(営3=足立学園)へ谷口のパスが通り、そのままラン左サイドへランTD成功!TFPも決まって16-0と後半開始早々、相手からもらったチャンスを得点につなげリードをさらに広げる。
その後は中京大の長い攻撃を法大ディフェンスが守り続ける展開に。相手エースRB・松元奏のランと、相手オフェンス陣の緩急をつけた攻撃に度々苦しめられてゲインを重ねられると、第3Q残りおよそ5分のところで、中京大は法大陣7ヤード地点まで攻め込んでくる。しかし、ここから簡単に得点を許さないのが今年の法大ディフェンス陣。2ndダウンでは、DB・南雲昇太(営4=法政二)、佐茂がパスターゲットに2人がかりでブロックに入ったことでパスはインコンプリートに。続くダウンも凌ぐと、エンドゾーンまで残り5ヤードとなった4thダウンで、中京大はギャンブルプレーに出る。QBからのバックトスを受け取った松元が、左サイドへのランTDを狙うもここは3人がかりでディフェンス陣が潰し切ることに成功。攻守代わって、法大陣9ヤード地点から始まった法大の攻撃。谷口から高津佐のホットライン、廣瀬のハンドオフからのランも決まり、中京大陣45ヤード地点まで前進。そこからさらに15ヤードゲイン。3rd&9としたところで第3Q終了。TD獲得後の相手の攻撃を守り切り、無失点のままゲームは最終第4Qへ。
法大の攻撃で試合再開。またもや谷口から高津佐のホットラインパスでファーストダウンを更新すると、廣瀬のランでも立て続けにファーストダウン更新に成功。中京大陣3ヤード地点まで攻め込み迎えた、1&goal。ショットガンから廣瀬の中央を狙ったランTDを試みるもここはTDまで1ヤード足りず。2ndダウンでもランプレーを試みると、これが決まってTD!廣瀬のこの試合初のTDが決まり、TFPも成功。23-0とし、ゲームクロックは残り10分を切った。高城のキックオフは、タッチバックとなり、中京大陣25ヤード地点からの中京大の攻撃。ここもキャプテン・松元を起点とした、第3Qと同様の中京大の長い攻撃が続く。試合時間残り4分を切ったところで、中京大は法大陣2ヤード地点まで前進。エンドゾーンまで残り2ヤードとして迎えた、2nd&goal。ここも松元がハンドオフで受け取ったボールを、LINE陣がこじ開けたスポットに走り込みTD。中京大はこの試合の初得点獲得。ここでTFPは2ポイントコンバージョンを狙うも、DB・岡村裕(キャ2=佼成学園)がエンドゾーンギリギリでボールキャリアーを潰し切りここは不成功。24-6となり試合は最終盤へ。キックオフはゴロキックで試合再開。レシーブした須加が法大陣32ヤード地点で膝をつき、ここから1stダウンが始まる。2ヤードゲインし迎えた2nd&8。齊藤空がスナップを受け取るとキープにでて、25ヤードのゲインに成功。
これで中京大陣39ヤード地点まで前進に成功すると、ここから攻撃がつながる。RB・宮本樹音(文1=佼成学園)、齊藤空、竹村のランでファーストダウンを更新し、中京大陣24ヤード地点からの1&10。ボールを持った齊藤空がタックルにきた相手ディフェンス2人を交わし切り、そのまま力強くエンドゾーンまで走り抜けTD!TFPも決まって30-6と試合を決めた。最後の相手の攻撃も抑え込み試合終了。前半の重苦しい空気から一転、後半は3つのTDを集め快勝となった。
日本一まであと2勝とし、いよいよ次戦は昨年甲子園の地で大敗を喫した関学大と相見える。試合は今週土曜日の11月30日にキックオフ予定と、間隔は詰まっているがもう関係ない。主将/DL・山田晋義(営4=日大鶴ケ丘)は「99.9%の人は関学大が勝つと思っているだろうが、見てろよって感じです」と意気込む。今季最大の壁の突破に向け、法政ORANGEは一丸となって立ち向かっていく。(記事:野田堅真、写真:木村未緒&白戸大貴)
選手インタビュー
DL/主将・山田晋義(営4=日大鶴ケ丘)
ーー今日の試合振り返って
中京さんホントに強かったです。2番の松元のランもそうでしたけど。我々の準備不足もあったかもしれませんが、とにかく相手が強かったですね。
ーーどこに1番強さを感じたか
個々の能力の高さですね。あとは気持ちの面でも強かったです。
ーー慣れない天然芝での試合。やりにくさはあったか
そんなこと気にしてる暇ありませんでした。(焦りは?)焦りは無かったんですけど、なんで相手の攻撃が止まらないんだろうというところに意識は常にありました。
ーーハドルの中ではどのような話が
前半は接戦でかなり雰囲気も重たかったです。ただ相対的にみたらディフェンスはいいディフェンスしてましたし、オフェンスもタケ(谷口雄仁)中心にまとまっていました。あとできても3試合しかないから思いっきりいこう、という話は常に出ていました。
ーー関学大戦へ向けて
もうやるだけですね。対策もかなりしてますので。あとはホームでの開催になるので、地の利も活かして戦うことができればと思います。99.9%周囲の人は関学大が勝つと思ってるでしょうが、見てろよって感じですね笑。僕たちは全力でやるだけです。
(取材・野田堅真)
OL/副将・牧野海舟(営4=法政二)
ーー今日の試合を振り返って
僕が最初にいろいろミスしちゃって、そこでオフェンスの流れを逃しちゃったので、個人的にあまり良くなかったかなと思います。
ーー全日本大学選手権の初戦ということによる緊張や固さは
いや、そういうのは全く無かったです。一戦必勝を掲げている中で、集中力とかという点で足りてなかったと思います。
ーー次戦関学大戦に向けて
KGは全日本7連覇を目指してて、本当に手強いチームだと思うんですけど、しっかりあと6日間全力で準備して、全力で倒しに行きます。頑張ります。
(取材・白戸大貴)
QB・齊藤空大(法3=駒場学園)
――今日の試合を振り返って
僕は最後の方に少ししか出てないんですけど、自分の強みを活かしてプレー出来たかなと思っていて。それがTDに結びついて良かったなと思っています。
――TDについては
最後まで自分で運ぶプレーで、「しっかりかましたるぞ!」みたいな気持ちで行きました。
――次戦・関学戦に向けての意気込み
僕が入ってから連続で、しかも大差で去年負けていて。去年、僕は2試合前に骨折していて出れていなかったので、大学入って初めての関学戦で。パンターとしてもQBとしても出番があると思うので、そこでしっかり結果を残せるように。1週間僕だけではなくてオフェンス全体で「倒す」というのを意識付けて練習していきたいです。
(取材・木村未緒)