【アイスホッケー】8年ぶりの頂点へ! 関東大学選手権直前特集 佐々木主将インタビュー
2014年3月17日(月)
法政大学府中学生寮
GWSへ突入する激闘の末、惜しくも敗れたインカレから3か月。実力者ぞろいの昨年度の4年生が抜け、いよいよ新チームの戦いが始まる。まずは大学アイスホッケー界3大タイトルの一つで、今月7日に始まる関東大学アイスホッケー選手権大会での優勝が目標だ。佐々木祐希主将(営4)に今年へ懸ける思いをうかがった。
一人ひとりが自覚を持ったチーム
―新チームの雰囲気はいかがですか
今日(3月17日)から氷上練習が始まりましたが、みんな一つの目標に向かってイメージを共有できていて、良い雰囲気でできていると思います。
―共有しているイメージというのは
優勝です。優勝のためにやっていくというのは最初に話し合って決めたことなので、それをみんなちゃんと共有できて、練習から一人ひとりがちゃんとできているなと感じています。
―普段の練習はどのようにされていますか
監督のメニューや、僕が考えたメニューなどをやっています。練習のための練習にならないように、試合と同じ気持ちでできているなというのはありますね。
―今年のチームは昨年と違うところはありますか
やっている以上「優勝」と言うと思うんですけど、その中でも昨年までは(それが)あやふやになっていたんですよね。「優勝」と言っているけど、本当に優勝するために一人一人ができていなかった、と。でも今年は本当に優勝に向けて一人ひとりが責任感を持っているというか、練習一つ一つに対しても自覚を持ってやっていると感じます。例えばダッシュ1本するにしても最後まで走るか途中で流すかというところに表れています。
―チームが変わった要因というのはあるのでしょうか
(練習を)「やらせている」ようではだめだと思います。僕はリーダーシップを発揮しなければいけない立場ですけど、リーダーシップというのは1年生であっても、2年生であっても、誰でも発揮できると思うんですよ。そう考えたときに、チームに対して献身する姿であったり、「チームのために」という姿が周りの人たちに伝わって初めて、そこで自分もチームのために協力したいとかチームのためにやりたいと思うんですよね。そしてそこにリーダーシップが生まれると僕は思っています。僕でなくて、みんな結構リーダーシップは発揮してやれていると感じています。1年生、2年生とか学年関係なしに。
―1月のインカレを改めて振り返っていかがですか
ペナルティーショットは運かもしれないですが、その運もこっちにつけられなかったということはやっぱり、今までやっていたことが少し足らなかったのかなと感じます。昨年はやっていても、「他の大学というより練習しているな」というのがなかったんですよね。だから試合前に「勝てるかな、どうかな」という気持ちがありました。最後だから「今までこれだけ練習をやってきたし、絶対に負けるはずない」という強い気持ちが持てませんでした。昨年はやることを全然やっていなかったですね。口では「優勝」と言っているけども本当に(それにむかって)やれていたか、厳しくやれていたかと考えたときに、全然やっていなかったと思いました。
―今年はその点を踏まえてチームを変えていこうとされているのでしょうか
練習は昨年の倍以上やっています。氷上は(1回につき)1時間半と限られているのでその質を上げていくことと、陸上トレーニングがメインですが、昨年はやったとしても(1日)1回で、楽なメニューが結構多かったんですよね。でも今は1日2回やって、昨年だったら階段(のトレーニング)を10本しかやらないところを昨日は30本しましたし、昨日は10人くらい途中で足をつって倒れるくらいまで追い込んでやれました。弱いし結果を出せていないので、練習はとりあえずやらないといけないと思っているので、そこはやっています。
―それは佐々木選手のご提案ですか
そうです。本当にこのチームは僕たちがやらないといけないんですよね。昨年までは監督のせいにしてたところがあったので、そこで終わっちゃったのかなと。やるのは僕らなので、僕たち自身がやれば変わると思いますし、僕たち次第かなと思います。
―自主性が芽生えたということでしょうか
自主性というよりは、自覚ですかね。一人ひとりがリーダーシップを持ってやっています。昨年までは4年生の上手い人が決めてきてくれるんじゃないかとか、やってくれるのではないか、というのも雰囲気的にありました。でもそうではなくて、自分がやらないといけないという強い自覚を持ってやれば、みんな他人に任せるようなプレーではなく、良いプレーができると思っています。
「自分が変わる以外ないと思った」
―主将に就任されて心境はいかがですか
(チームは)僕次第だと思っているので、責任感はやっぱり増しました。後輩は僕の姿を見ていますし、僕が誰よりも練習をして僕が誰よりも自分に厳しくやっている姿を後輩に見せなくてはいけない。そうでないと、自分についてきてくれないなと思いますね。
―主将の就任は想定内でしたか
そこは全然考えていなかったですね。結構僕もはちゃめちゃなので、もしかしたら僕ではないとは思っていました。でも他にもやれる人はいるので、多分ホッケーの面を評価されて、(監督は)頼んだという感じだと思います。やりたいという気持ちはありました。
―ご自身が変化された点などはありますか
みんな見ているから変なことはできないですし、寮の決まりとかも、今までは全然気にせず僕が「関係ないでしょ」という感じで破っていたくらいですが、今はしっかり守ってみんなにもやらせるようにしています。
―目指している主将像というのは
あまりキャプテンということを意識しないでやっています。例えばダッシュを1本も抜かないでやるとか、そういう姿を後輩に見せられるキャプテンがいいと思います。中にはモチベーションの低い人や高い人がいるんですよね。試合出れていない人と出れている人でモチベーションが違うので、そういう人は練習でもだらだらやったりするときがあるんです。そいつを「変えたいな」と思ったとき、人を変えるという本質の部分で考えたときに、自分が変わる以外ないなと思いました。相手を変えるとかではなくて、だったらまず自分が変わらないといけないと。後輩たちがその姿を見てどう思うかではないかと。
―今年目指すのはどのようなチームですか
一人ひとりがチームに徹することができる、チームのためにやれる集団になれればいいと思います。
―今年度のアシスタントキャプテン(小原日向、石橋智輝)については
アシスタントキャプテンは僕よりしっかりしているところもあるので、すごく信頼しています。僕たちの学年は結構仲が良いですが、今までホッケーをやってきた経験の中で、ホッケーに限らないと思うんですけど、最高学年が仲悪い代って、試合に絶対勝てないんですよね。接戦に勝てないんです。仲が悪いと最後の部分でばらけてしまいますし、本当に一つになれない、最後のところで一つになれないというのはあると思いますね。
―新チームのセットについて
まだセットが決まってないんですよ。氷上練習は今日から始まりましたが、他の大学は5日前くらいからやっているので、だいだい12時間くらいはリンクに乗っている時間の差が出ています。初戦まで練習があと15回しかないですし、1回1回の練習を質の高い良い練習をしていかないと、また昨年と同じようになって「悔しいな」で終わるんじゃないかなという気がしています。
―リーグ戦とインカレは少しセットが違いましたが、そのときのセットが今年のセットになりそうですか
大体はそうだと思います。でも昨年の4年生が抜けて、新しい1年生も入ってきましたし、今まで出ていなかったやつとかも結構出たりすると思うので、その点では昨年と全く違うチームになると思います。
―出場経験のあまりない選手をどのようにカバーしていきたいと考えておられますか
やっぱり自信がつくまで練習するしかないと思うんですよね。最後に、その試合前に「これだけやったから大丈夫だ」と思えるくらいに練習しないと、そこはやっぱり厳しいのかなと。カバーもしますけど結局は一人ひとり自分のやるべきことをしっかりやってチームに徹せられないと、どこかで穴ができたらそこからやられちゃいますし、練習するしかないですかね。
―4年生が抜けた攻撃面や、昨年不安が見られた守備面に関して、今年はいかがですか
僕は昨年より今年の方が絶対強いと思っています。他から見たら、山田淳哉(東北フリーブレイズ)とか、4年生はほとんど代表に入っていましたし、昨年は上手い人が大勢いましたが、本当にまとまりがなかったという感じがしました。でもホッケーって、やっぱり上手い人間がそろっていても勝てるわけではないですしチームでやるスポーツなので、上手い人が少ないからというのはあまり気にしないですね。
―今年の新入生については
みんな実力のある子が入ってきたと思います。まだ入ったばかり(合流は取材の2日前)でちょっと遠慮していますけど、そこはもっとがつがつしてほしいですね。
―注目の選手は
川上朝日(駒大苫小牧)と西口開羅(苫小牧工業)です。高校の試合とかを観たときに上手いなと思いました。西口は綺麗なプレーをするんですよね。そしてその綺麗なプレーの中にもしつこさというか粘りがあって、気が強いプレーをします。川上はとりあえずミスが少ないです。ディフェンスはミスをしてはいけないポジションですが、ホッケーはミスをするスポーツなので、ミスをしないって難しいんですよ。でもミスが少ないですし、ゲームの流れを読めたりして堅実な選手ですね。
―川上選手は同じ高校の出身ですが、面識などはありますか
母校に挨拶しに行ったときにちょっと会って、喋る程度ですね。
優勝しか見えていない
―今年も関東大学選手権では、勝ち上がれば準決勝で中大と当たります
僕が2年のときは結構勝っていたりしましたが、昨年は一度も勝てていません。でも同じ大学生、同じ人間ですし、カナダと試合をすると言っているわけではないので、僕たちがやることをやっていたら勝てると思います。僕は(中大を)そんなに強いと思ったことがないので。勝てていないですけど、「無理だな」とか「これは強いな」とかは全然思わないですね。中央もスーパースターはいませんよね。一人で持って行って一人で決められる選手はいません。でも中央のすごいところは、すごくチームに徹しているんですよね。守りの意識がとてもあって、良い守りがあるから良い攻めがでてきています。中央は良い1年生も入ってくるのでやってみないと分からないですけど、今年は僕たちがやることをやっていれば勝てない相手ではないと思います。
―「やること」とはやはり、先程から強調されている「チームに徹する」ということでしょうか
自分が何をしないといけないのかとか、反則が多かったですし反則を減らすとか、そういうところですね。一つ一つ細かいところをチームのためにやれれば、いけると思います。
―チームで定めている具体的な目標はありますか
優勝です。今年のタイトルは全部取りに行こうという話はしていますし、やっている以上そこを目指しています。言っているからにはそれなりの練習もしています。目標は全タイトル制覇です。
―ここまでの個人としての3年間を振り返ってはいかがですか
最悪ですね。中学、高校と日本一になって高校では負けたことがなかったので、ホッケー人生の中で、一番試合に負けています。今までは強いところにいて負けることも本当になかったので、「勝てない」という部分で、今は本当にホッケーって難しいなと思いますね。
―大学生活はあと1年ですが、卒業後のことにも関連して、どのような1年にしていきたいですか
高校の時には実業団から声もかかりましたが、大学進学を選びました。僕自身、チームが弱かったこともあって、だらけていたんですよね。「ホッケーはいいや」ではないですけど、そんなに死にもの狂いでやっていなかったというか、ちょっとどこかでなめていたというか。そういうのがありました。(今は)就職活動とかも一応しているんですけど、今年はキャプテンになったということもあってもう一回きちんと考えた時に、僕はホッケーしかしてこなかったですし、幼稚園の時から全部ホッケーで受験もなしに高校も大学もきていますし、ホッケーから学んだこともほとんどですし、ホッケーしかないなというのがあります。実業団に行って、ナショナルチームで日の丸を背負えるような選手になりたいと思います。
―プレー面ではディフェンスとして、どのようなプレーをされていきたいですか
僕が守れば負けることはないと思っています。僕が守って、僕が点を取ってくるくらい「俺に任せろ」的に、オラオラしようと思います。
―今年の意気込みをお願いします
チームの目標は全タイトル制覇ですけど、全タイトル制覇しかないんですよね。そこしか僕は見えていません。常日頃から「今年は優勝するぞ」と言っていますし、食事の時でもしつこく言っています。個人の目標としても優勝です。本当にそれしか考えられないですし、そのためにやっています。
―優勝への意識はチーム全体に浸透している印象はありますか
そうですね、しつこく言っているので。浸透していなかったらもっと言いますし、浸透するまで言おうかなと思っています。逆に今度、後輩たちから「優勝」の声が聞こえてくるくらいまで、言い続けようかと思います。
プロフィール
佐々木祐希(ささき ゆうき)
経営学部4年。北海道・駒大苫小牧高校出身。
1年時から主力として活躍。強烈なミドルシュートが魅力の大型DF。
DFの要でもある佐々木
取材:熊谷優・荒木翔太
秩父宮杯第62回関東大学アイスホッケー選手権大会日程
4月12日(土) 14:30~ 2回戦 対東海大
19日(土) 14:30~ 3回戦
26日(土) 17:00~ 準決勝
29日(火) 18:30~ 決勝
※会場は全てダイドードリンコアイスアリーナ。順位決定戦あり