【フェンシング】学生王座決定戦(男子) 日大との勝負に明暗。リーグ王者・サーブル堂々の春2冠!エペは悔しい準優勝
学生王座決定戦
2014年6月15日(日)
中央大学第一体育館
関東と関西のリーグ戦で上位に進出した大学が、日本一をかけた戦いを繰り広げる学生王座決定戦。直前に行われた女子フルーレの部で法大が見事に初優勝を飾り、男子もこの勢いに続きたいところだ。リーグ戦では圧倒的強さで3連覇を達成したサーブルと、2位に食い込んだエペの王座での戦いぶりに期待が集まった。
種目 | 出場選手 | 試合詳細 | 順位 |
---|---|---|---|
男子サーブル | 吉田健人(法4)安藤光平(法3)大崎葵一(営2) | 準決勝○45-13中京大 決勝○45-29日大 | 優勝 |
男子エペ | 吉沢有紀(文4)藤倉陸(社3)村越優希(文3)中村豪(人1) | 準決勝○45-35朝日大 決勝●36-45日大 | 準優勝 |
男子サーブル
全勝優勝でリーグを制した男子サーブルは、この王座でも狙うは頂点のみだ。
初戦の中京大との対戦は、関東王者として圧巻の展開を見せる。吉田健人(法4)安藤光平(法3)大崎葵一(営2)の3人は各セットで相手に3点以上与えることなく、簡単に得点を奪っていく。8セットを終え45-13とすると、最後にピストに上がった吉田が5連続ポイントで試合を締め、危なげなく決勝に駒を進めた。
決勝の相手は、昨年の王座で敗れた日大。「絶対にリベンジしたい」という吉田を筆頭に、選手の思いはひとつだ。王座の借りは王座で返すー。
一番手として登場した安藤は先制点を決めると、5-1と流れを作り吉田にバトンを渡す。「相手は(法大を)研究してきて入りは苦戦した」と話した吉田だが、着実に点を重ねる。続く大崎もきっちりと役割を果たし、15-9で試合は中盤へと突入。
このまま勢いを加速させたい法大だが、日大も黙ってはいない。第4セットの安藤の場面で、日大選手の積極果敢な攻めを受け4連続得点を許すと、点差は一時3点に縮まった。日大の流れになりかけたが、安藤は冷静さを保つ。無理に有効面を突こうとする相手の攻撃に対し「賭けみたいな攻撃は長くは続かない」と自分のペースを忘れなかった。3連続で得点を奪い返し、相手にいきかけた流れを引き戻した。その後はリードを広げ、理想の試合運びを見せる。アタックが冴えわたる法大は波に乗り、最終スコア45-29と大差で勝利を収めた。この結果、昨年の雪辱を果たす王座での優勝に輝き、さらにはリーグ戦に続き今季2冠を達成。
大学界で敵なしへと進化を遂げる男子サーブル。黄金時代到来へ、つかんだ自信を胸に秋もさらなる力を発揮してもらいたい。彼らにはまだ、関東インカレ・全日本インカレ・社会人チームを含めた全日本選手権と合わせ5冠という大きな目標が待っている。(宮城風子)
男子エペ
女子フルーレ、男子サーブルが王座を制し、その勢いに乗りたい男子エペ。春季リーグで敗れた日大との再戦が注目された。
初戦の相手は朝日大。村越が一番手として登場したが、3-5と先手を取られる立ち上がりとなる。しかし続く吉沢、藤倉が離されることなく付いていくと、4セット目で再び回ってきた村越が20-18と逆転に成功。ここからチームは落ち着きを取り戻した。第6セットの吉沢、第7セットの藤倉の活躍で35-25とリードを広げ、勝利を引き寄せる。最終セットを法大は45-35で逃げ切り、優勝決定戦に駒を進めた。
リーグ戦で敗れた雪辱を果たすべく挑んだ日大との優勝決定戦。日大の一番手であるエース山田と相対するのは吉沢だ。その第1セットはお互いに意地を見せあう激しい攻防が続き、4-4のイーブンで終える。続く第2セットに登場したルーキーの中村も、一時はリードを奪うなど臆することなくプレーし、日大に流れを渡さない。第3セットの藤倉も粘り14-15と序盤は一進一退の展開となる。だが第4セットの中村、第5セットの吉沢が連続失点を許し、徐々に試合は日大ペースに。その後の藤倉、村越も積極的な攻めに苦しみ、流れを止めることができず第8セットを終わり32-40の劣勢。逆転の望みをかけて第9セットを任せれた吉沢は粘りを見せたが36-45で終戦。春季リーグ戦後に「日大に王座でリベンジする」と口にした選手たちだったが、その目標を果たすことはできなかった。
「もっと全体的に対策をしていければ良かった」と吉沢は試合後悔しそうに語った。だが次の大会までには多くの時間が残されている。その秋には強い男子エペの戦いを見れることを期待したい。(高津勇佑)
選手のコメント
吉田健人
ー優勝した今のお気持ちは
優勝するつもりでいましたが本当に嬉しいです。
ー決勝の相手は昨年の王座で敗れた日大でしたが
昨年は自分が出場して接戦で負けていたので、絶対にリベンジしたいと思っていました。実力では負けていないと思っているので、勝てて良かったです。
ーリーグでも対戦しましたが相手の変わった点はありましたか
相手が研究してきて、試合の入りは苦戦したんですけど、そこは自分たちが対応できました。
ー王座に向けて取り組んできたこと
リーグと同じようにチームワークを大事にしていこうと思ってやってきました。
ー春全体を振り返ってチームの雰囲気などは
サーブルは良い雰囲気で試合ができて、そのおかげで2冠を達成できたと思います。(男子)フルーレは王座に出られなくて、エペは良かったと思うんですけど、日大に負けてまだ地力の差があります。これからさらに練習してその差を縮めてもらいたいです。
ーリーグ戦はプレッシャーがあったとおっしゃっていましたが、王座の前はどうでしたか
リーグ戦のときは総合優勝など、多少(プレッシャーが)あったんですけど、王座はそこまでプレッシャーを感じないでプレーすることができました。
ー今後さらに他大は「打倒・法大」で向かってくると思われますが
はい。打倒法大で来るとは思うんですけど、それに負けないように練習を重ねて5冠に向けて頑張りたいです。
ー秋に向けて
フィジカル面と技術面をさらに向上させて、関カレ、インカレ、全日本優勝します。
安藤光平
ー優勝した今のお気持ちは
ほっとしています。勝てなかったらどうしようというのがあったので。
ー決勝の日大との試合を振り返って
向こうの賭けみたいなプレーに全員乱されて、若干相手の流れにいきかけたりしてしまったので、そこは直さなければいけないところです。それでも、そういうプレーで流れを持っていかれてもすぐに立ち直れたのでそこは良かったです。
ー立ち直ったきっかけというのは
地力で上にいっているという自信があるのと、賭けみたいなプレーは長くは続かないと思ったので運が悪い程度にとらえていました。
ー賭けみたいな攻撃というのは
いちかばちかで剣を思いっきり向けてくる感じでした。
ーリーグ戦同様に大差での勝利となりました
大差は大差ですけど、リーグより若干点を取られてしまったので少し悔しいです。
ーこれで2冠となりました
このまま全部取ります。
ー王座までに取り組んできたこと
特別に取り組んできたことはないですけど、「脚を使っていこう」「前に攻めていこう」ということは確認しながらやってきました。
ー秋に向けて
秋も全部圧勝していきます。
大崎葵一
ー日大戦を振り返って
リーグでも勝っていて、一回勝った相手には負けたくはないと思っていたので、最後は取られてしまったんですけど、何とか勝てて良かったです。
ーリーグで勝った相手でしたが警戒した点などは
前回取られた永田さんに関してはビデオとかを研究したんですけど、前回勝った相手に関しては研究不足で取られてしまったので、そこはもったいなかったです。
ーご自身の今日の調子は
あまり良くなかったと思います。
ー今日の王座にはどのような気持ちで臨まれましたか
王座は自分は初めてだったんですけど、先輩たちは頼もしいので一生懸命やるだけだと思ってやりました。
ー秋に向けて
リーグ、王座と優勝したので残りも全部優勝できたらいいなと思います。
吉沢有紀
ー日大戦を振り返って
今日の試合はどちらかというと、リーグ戦よりも悪くなっていると思いました。もっと全体的に対策をしていければ良かったと思います。
ー敗因は
リードされている時に、その場面で追いつこうとするのではなくて、プラス1点を目指したりして他のメンバーもそれを積み重ねて、団体で勝てるようにすれば良かったかなと思います。
ーどのような気持ちで王座に臨みましたか
絶対日大には優勝させない、という気持ちで臨みました。
ー日大の山田選手との試合を振り返って
そこは5本勝負なので集中してやろうと思いました。良くてプラス1ぐらいかなと思っていたんですけど同点だったので、あそこでプラス1取れてたらら3人回った時点でプラスで回せていたかなと思います。
ー中村選手の試合はいかがでしたか
1年生らしく伸び伸びとした良い試合をしていたと思います。でもこっちがプレッシャーをかけている部分もあったかなと思うので、そこは自由にやらせたいなとは思いました。
ー秋に向けて
リーグに続いてずっと2位なので秋は全部優勝して勝ちたいと思います。
フォトギャラリー
- 冷静に試合を展開した安藤
- 初の王座出場を果たした大崎
- 秋こそはエースとして優勝に導きたい吉沢
- エペチームの顔となる藤倉
- 準決勝で一番手を担った村越
- 1年生ながら果敢に日大へ挑む中村