【硬式野球】東京六大学野球秋季新人戦 準決勝 対早大 緊迫の投手戦 延長タイブレークの末決勝進出ならず
東京六大学野球秋季新人戦 準決勝 対早大
2014年11月6日(木)
神宮球場
悔しい結果に終わったリーグ戦を終え、来季につながる戦いを見せたい法大。2人の1年生投手が早大打線を封じ込めるものの、打線はその力投に応えられずに両チーム無得点のまま9回が終了。新人戦特別ルールにより、タイブレーク制による延長戦が始まるも・・・
試合結果
トータル試合結果
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
早 大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 3 | 0 |
法 大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 6 | 3 |
(法大)藤森、●熊谷 ‐ 森川
(早大)黄本、○田中、柳澤 ‐ 吉見
打撃成績
打順 | 位置 | 選手 | 打 | 安 | 点 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (8) | 清水優 | 4 | 0 | 0 | 捕ゴロ | 空三振 | 三ゴロ | 空三振 | ||||||
H9 | 水海 | 0 | 0 | 0 | 四球 | ||||||||||
2 | (4) | 金藤大 | 4 | 1 | 0 | 左邪飛 | ニゴロ | 右前安 | ニゴロ | 投犠打 | |||||
3 | (5) | 金子 | 4 | 3 | 0 | 中前安 | ニゴロ | 右前安 | 右前安 | 四球 | |||||
4 | (3) | 石神 | 3 | 0 | 0 | ニゴロ | 二飛 | 空三振 | |||||||
H3 | 木村 | 2 | 0 | 0 | ニゴロ | 見三振 | |||||||||
5 | (9) | 菊池 | 3 | 0 | 0 | 三ゴロ | 空三振 | 空三振 | |||||||
H98 | 清水雄 | 1 | 0 | 0 | 死球 | 空三振 | |||||||||
6 | (7) | 米田 | 3 | 1 | 0 | 空三振 | 四球 | 左前安 | 遊ゴロ | ||||||
7 | (6) | 水谷 | 2 | 0 | 0 | 中飛 | 四球 | 空三振 | 四球 | ||||||
R6 | 俵積田 | 0 | 0 | 0 | |||||||||||
8 | (2) | 森川 | 4 | 0 | 0 | 右飛 | 遊飛 | 遊ゴロ | 三併 | ||||||
9 | (1) | 藤森 | 2 | 0 | 0 | 遊飛 | 中飛 | ||||||||
H | 柴田 | 0 | 0 | 0 | 四球 | ||||||||||
1 | 熊谷 | 1 | 1 | 0 | 左前安 | ||||||||||
R | 町田 | 0 | 0 | 0 | |||||||||||
計 | 33 | 6 | 0 |
投手成績
回 | 球数 | 打者 | 安 | 振 | 球 | 責 | |
藤森 | 7 | 88 | 25 | 1 | 4 | 1 | 0 |
熊谷 | 3 | 37 | 11 | 2 | 3 | 0 | 0 |
計 | 10 | 125 | 36 | 3 | 7 | 1 | 0 |
ベンチ入りメンバー
11 | 初瀬(営2=鳥栖) | 3 | 金子(キャ2=日大三) | 1 | 菊池(人2=桐蔭学園) |
14 | 谷川(文2=高松商) | 4 | 金藤大(キャ2=西武台千葉) | 7 | 水海(文1=桐光学園) |
15 | 熊谷(キャ1=平塚学園) | 5 | 木村(キャ2=如水館) | 9 | 手崎(人2=至学館) |
16 | 山﨑(経1=八幡) | 6 | 嶌(法2=智辯和歌山) | 24 | 米田(営2=智辯学園) |
17 | 藤森(法1=西武台千葉) | 8 | 俵積田(人1=阪南大) | 29 | 相馬(人2=高鍋) |
19 | 新井(人1=宇都宮商) | 25 | 大川(営2=杉並) | 32 | 清水優(文1=聖望学園) |
2 | 柴田(文2=東邦) | 26 | 町田(社1=桐蔭学園) | 33 | 清水雄(法1=中京大中京) |
22 | 駒場(文1=鹿沼) | 31 | 石神(スポ1=明桜) | ||
27 | 森川(営2=桐蔭学園) | 35 | 水谷(営1=大阪桐蔭) |
戦評
新人戦での優勝でリーグ戦の借りを返したい法大は、リーグ戦経験のある藤森祐太朗(法1)に先発のマウンドを託す。対する早大は2年生右腕黄本創星をマウンドに送った。藤森は初回、落ち着いたピッチングで三者凡退に打ち取る。しかし二回は前日の1回戦で慶大戦で適時二塁打を打った先頭の4番・石井一成への四球でリズムを崩す。続く打者の犠打が藤森の前に転がるも、自身の悪送球から無死1、2塁のピンチを招いてしまう。だが、後続は危なげない投球でこのピンチをしのいだ。
粘りの投球を続ける藤森を援護したい法大だったが打線が奮わず、初回の金子凌也(キャ2)のヒットのみで、その後四回まで三者凡退が続く。五回は6番・米田伸太郎(営2)、7番・水谷友生也(営1)が連続四球を選び出塁するも後続が倒れ、先制とはならなかった。スコアボードに0が並び、緊迫した投手戦が続く六回、法大は1アウトから2番・金藤大喜(キャ2)、3番・金子の連続ヒットでチャンスを迎える。絶好の好機でクリーンナップに打順が回るも、連続三振に終わりここでも残塁の山を築いてしまう。
藤森に代わり八回からマウンドに上がった熊谷拓也(キャ1)はを3者連続三振に抑える圧巻のピッチングを見せる。両チーム無得点のまま試合は延長戦へ。新人戦の延長戦は無死1、2塁から始まるタイブレーク制が採用される。延長十回、均衡を破ったのは早大だった。先頭打者の犠打を処理した森川大樹(営2)が悪送球、その間に2塁ランナーが生還し1失点。その後2アウトまでこぎ着けるも、8番・吉見健太郎の適時打で2失点目を許した。
何とか追い付きたい法大はその裏、先頭の2番・金藤が犠打を決め、続く3番・金子は四球と1死満塁のチャンスをつくる。しかし早大1年生右腕柳澤一輝の前に、2者連続三振に仕留められゲームセット。1年生投手2人の力投に打線が援護できなかった。チャンスをものにできず、残塁は12を記録した。守備の乱れからの失点にも課題が残る。
2011年の春季新人戦以来、6季ぶりに決勝進出を逃す結果となった。明日の3位決定戦の相手は昨季決勝で顔を合わせた明大。”血の法明戦”を制し、法大の意地を見せたい。(川畑あかり)
クローズアップ
藤森祐太朗(ようやく発揮した自らの持ち味。来季へ向け飛躍の糧に)
新人戦6季ぶりの優勝へ。決勝進出を賭けたこの試合、春季・秋季リーグ戦で登板し徐々に存在感を増す一年生左腕藤森が先発のマウンドを任された。
130キロ代中盤のストレートを軸に、キレのあるスライダー、90キロ代のカーブなど緩急自在のピッチングで早大打線を翻弄。打者を圧倒するような球威こそ無いが「自分の持ち味である緩急を使ったピッチングができた」と凡打の山を築き上げ、7回を投げ許した安打はわずかに1本というほぼ完璧な投球を披露した。
秋季リーグ戦では2試合に登板するも、自身の持ち味と話す制球力は鳴りを潜めた。しかし、今日の登板では四死球も1とその持ち味を発揮した内容に、指揮を執った青木助監督も「来季につながる」と高評価を下した。
多彩なタイプが混在する1年生投手陣の中において、来季に向けても「ベンチ入り」を賭けた激しい競争は避けられない。それに向けて「コントロールや、変化球の精度を磨いていきたい」と藤森。今日の投球を更なる飛躍の糧とし、神宮で躍動する姿を期待したい。(井手一樹)
試合後の監督・選手のコメント
青木久典 助監督
―試合のご感想をお願いします
負けたことは非常に悔しいですね。
―守備の乱れが決勝点に直結する形になりました
その前にもチャンスはあったので、そこで1本が出ていたり、(走者を)送ることであったりができていればもっと違った展開になっていたとは思います。
―打線はなかなかつながりませんでした
打線は水物だと思っているのでなかなかいつも打てるものではないと思いますけど、その中で送るところは送る。(点を)取るところは取る。アウトにするところはアウトにする。そういった部分をしっかりやらなければ勝てないなと思います。
―新人戦を迎えるに当たって神長監督と話したことなどは
リーグ戦では勝てなかったので、是非新人戦は優勝をということは話しました。
―6回には打席前に声を掛けた金藤大、金子両選手がヒットを放つ場面がありましたが、どのような指示を
狙い球の徹底ですね。あとはコースなどを再認識させるために一言掛けました。
―先発の藤森投手は安定した投球でした
非常に良かったと思います。ああいうピッチングができれば彼も自信になったと思いますし、来年につながるんじゃないかなと思います。
―2番手の熊谷投手について
良かったですね。状態も良くなってきていますし、最後苦しい場面で点を取られはしましたけれど、今回は上出来だと思います。
―石神選手を4番に抜てきされましたが
右の長距離砲ですし、彼は新人戦までの紅白戦でも結果を残していましたので、思い切って起用しました。
―金子選手をサードで起用したのは戦術によるものなのか、それとも来季を見据えてのものなのでしょうか
もちろん戦術のこともありますし、彼の今後の野球人生にとっても非常に大きいものだと思いますので、両方ですね。
―今日の結果を受けて明日のベンチ入りメンバーを入れ替えるといった考えは
やっぱりいろんな意味でたくさん選手はいますのでチャンスを与えたいですし、神宮、ベンチの雰囲気も味あわせたいので、考えていきたいと思います。
―明日の意気込みをお願いします
今日はちょっとミスが多かったので、明日はそういったことが無いように、しっかり負けない野球をやりたいと思います。
金子凌也 内野手(格の違いを見せつける猛打賞)
―今日の試合を振り返って
大事なところで打てなかったです。あと一本が出なかったのが敗因ですね。
―リーグ戦を終えてからの約1週間はどのような練習をされましたか
この1週間は主にバッティングの見直しに使いました。
―4打数3安打1四球という結果について
良かったと思います。でも、自分だけ調子が良くてもチームが勝てないと意味がないので悔しいです。打つべきところで打てなかったです。
―早いカウントから打っていた印象でした
そうですね。積極的に振っていこうと思っていたので。
―早大先発の黄本投手の印象は
キレのある球を投げる、良いピッチャーだと思います。
―延長10回表、フライの落球(結果的にファール)がありましたが原因は
声掛けができていなかったことです。
―慣れないタイブレークの影響は何か感じましたか
普段(タイブレークの)練習はしないですけど、特別感じることはなかったです。
―チームの雰囲気はいかがでしたか
ベンチとかでも声を掛け合ったりしていて、良かったと思います。
―明日の3位決定戦に向けて一言
今日の反省を生かして、やるべきことをしっかりやりたいです。
米田伸太郎 外野手(ベンチ入りメンバーに定着。来季はレギュラー獲りへ)
―今日の試合を振り返って
今季のリーグ戦と一緒で、チャンスで一本が出てないということと、送球ミスとかフライの捕球とかいつも練習していることがしっかりできていなかったので、そこが駄目だったと思います。
―新人戦にむけ調整してきたことは
自分はリーグ戦に出してもらっていたので、集中を切らさずそのままやりました。
―チーム全体では早大よりも多い6安打を放ちましたが、勝利に結びつけることができなかった要因は何だと思いますか
チャンスでの一本が出なかったことです。
―7回には先頭打者として安打を放ちましたが打席を振り返って
あの打席で先頭で出たことは良かったんですけど、次の打席の2死1、2塁の場面で打てなかったので、打てなかったことと一緒です。
―早大先発の黄本投手と対戦してみて
しっかりコースに決められる、コントロールが良いピッチャーだなと思いました。
―10回にはタイブレーク制となり普段とは違った展開からのスタートでしたが
緊張しました。
―明日の試合に向けて修正したいことは
チームの全員で一つになって勝つという感じができていなくて、チームがまとまっていないので、しっかり今日集まってミーティングなどをして意識を変えていきたいと思います。
―明日への意気込み
決勝には行けなかったんですけど、3位にはなれるように頑張りたいと思います。
森川大樹 捕手(大きな声でチームを引っ張る)
―今日の試合を振り返って
自分のせいで負けてしまったので、申し訳ないです。
―キャプテンとして試合前にどのような話をされましたか
ずっと明治に負けていたので、リベンジするためにまず今日勝とうという話をしました。
―チームを声で鼓舞する姿が印象的でしたが
それが僕の特徴なので。
―1年生ピッチャー2人の投球は
2人とも頑張っていましたし、ストライク先行で攻めて相手を圧倒していたんですけど、打者陣がチャンスで一本が打てなかったので、ピッチャーに申し訳ないです。
―タイブレーク制となってチームに焦りはあったのでしょうか
一回やっているので特には無かったんですけど、僕自身が勝手に焦ってしまいました。
―明日ももしタイブレークに持ち込む展開となったらどのように改善すればよいでしょうか
当たり前のことを当たり前にやることです。
―明日への意気込み
勝つしかないので、絶対勝ちます。
熊谷拓也 投手(来季の先発枠確保を狙う)
―今日の投球を振り返って
最初は良かったんですけど、タイブレークのここぞという場面で1本打たれたのでそこは反省点です。ツーナッシングで追い込んでいたので、遊び球でストライクゾーン以外で勝負できていればと。そこは後悔というか課題です。
―今日はどのような投球を意識しましたかストライクをどんどん入れることです。
―試合前にチームで話し合ったことは
しっかりやることをやって、ここで1勝をするということだったんですけど、打てるところで打てなくて、最終的にミスでも点が入ったので、そこは詰めの甘さかなと思います。
―8回は3者連続三振でした
ストライク先行で投げられたので、ほぼ勢いで投げることができました。その後の回はランナーが出ても落ち着いて投げられたので、そこは良かったかなと思います。
―10回はタイブレークに突入しましたが
気持ちで投げるという感じで、1点もやらないようにと思って投げていました。
―リーグ戦と新人戦では雰囲気は違いましたか
(リーグ戦と違い)周りの応援とかも無いので、雰囲気は違いました。
―ご自身の持ち球は
今投げているのは、ストレートとカーブ、カットボールとフォークとシンカーです。
―来季はどのような投球をしたいですか
先発ローテーションに入りたいです。チームは3季連続5位なので、そこを奪回できるように勝利に結びつけられるような投球を1試合1試合、春から投げていきたいと思います。
藤森祐太朗 投手(7回を投げ1安打に抑える好投)
―ミーティングではどのようなことを話し合いましたか
早大打線は積極的に振ってくるという情報は持っていたので、初球の入りを注意しようと話しました。
―今日の登板の感想は
今日は自分の持ち味である緩急を使ったピッチングができたと思います。
―先発を告げられたのはいつですか
昨日です。(青木)助監督から「明日先発だから頼むぞ」と言われました。
―その時の心境は
「自分なんだ」と思って気合いを入れていきました。
―どのような準備をしてきましたか
何か特別なことをやるとどうしても緊張してしまうので、普段通りの準備をしました。
―今日の試合での収穫は
今までと違って、変化球でカウントが取れたのは自分のアピールにもなりますし、相手のバッターも嫌だと思うので、そこが自分の中では収穫です。
―課題はありますか
変化球でストライクが取れたといってもまだまだなので、精度を上げていきたいです。
―ご自身の持ち球は
ストレート、カーブ、スライダー、カットボール、あとツーシームです。
―早大打線から空振りを奪っていたボールは
スライダーですね。まだまだ(制球が)甘いですけど‥‥
―秋季リーグ終了から今日までで、成長できた点は
シーズンの時は中継ぎでの登板だったんですけど今回は先発ということもあって、先発の体の作り方などを学ぶことができました。
―先発と中継ぎであれば、どちらで投げたいですか
それはやっぱり、投手なので先発です。
―1年生の多彩な投手陣の中で、どのように勝負していきたいですか
球のスピードでは勝てないと思っているので、持ち味であるコントロールや、まだ課題なんですけど変化球の精度、そこを磨いていけば大丈夫だと思っています。
―変化球の精度は、どのように上げていきたいですか
ブルペンからでも、ストライクを取る変化球、三振を取りにいく変化球という感じで、使い分けができるようにしていきたいです。
―来シーズンへの意気込みを
エースの玉熊さんがいるんですけど、追い越す精神で自分も食らいついていきたいと思っています。
フォトギャラリー
- 先発として見事な投球を見せた藤森
- 金子は3安打とひとり気を吐く猛打
- 石神は4番抜てきも結果は出ず
- 7回、先頭打者として安打を放つ米田
- 森川はキャプテンとして存在感を見せる
- 1安打&犠打とつなぎ役として貢献した金藤大
- 熊谷は8回に3者連続三振を奪う
- 新人戦のチームを率いる青木助監督