【フェンシング】第68回全日本フェンシング選手権大会(団体戦)~男子フルーレ&女子エペ~ 女子エペ、決勝で早大に屈するも準優勝! 男子フルーレは太田雄貴率いる森永製菓に健闘も、準々決勝敗退
第68回全日本フェンシング選手権大会
2015年12月15日(水)
一関市総合体育館
二日目は男子フルーレと女子エペが行われた。女子エペは富永と村上の二人の1年が大いに活躍。決勝で今季4冠の早大に惜敗したものの準優勝の成績を残した。男子フルーレは太田雄貴の所属する森永製菓に中盤まで互角の戦いを披露。最後は力尽きたが健闘を見せた。
試合結果
種目 | 出場選手 | 試合詳細 | 成績 |
---|---|---|---|
男子フルーレ | 長島徳幸(文4)、大石利樹(法3)、野口凌平(営1)、東哲平(営4) |
○45-12山形大 ○45-18別府翔青高 ●36-45森永製菓 |
ベスト8 |
女子エペ | 小林未来(文4)、池田五月(文3)、富永恵美(法1)、村上久美(国1) |
○45-26神戸クラブ ○45-20関西学院大 ○45-30岐阜クラブ ●40-43早大 |
2位 |
男子フルーレ 戦評
インカレでは連覇を達成し、良い雰囲気で全日本を迎えた男子フルーレ団体。勢いそのままに1回戦の山形大、2回戦の別府翔青高をともに10点台に抑え、圧倒的な力を示した。
準々決勝で相まみえたのは、今年の世界選手権で日本人として初めて金メダルを手にした太田雄貴率いる森永製菓。その上、この森永製菓は太田が全日本選手権、ひいては日本のフェンシングのレベルアップのためチームに招へいしたという、アメリカのマイルス・チャムリーワトソンも参加したワールドクラスの強さを誇るチームだ。テレビカメラや観客の注目がこのピスト一点に集まる中、準々決勝の火蓋が切って落とされた。
見せ場を作った野口
藤野(森永製菓)との4回り目、点差を詰めた長島
最後周りの大石、太田(森永製菓)に対し粘りを見せた
1番手で登場したキャプテンの長島徳幸(文4)は、いきなり太田との対戦となる。このプレッシャーの掛かる状況下でも、焦らず一本を取りに行くことで、1点ビハインドと上々の滑り出しを果たした。しかし、続く2セット目には、こちらもナショナルチームに属している藤野大樹に5点を連取されてしまう。4セット目で長島がその藤野を相手に追い上げ、点差を縮めると、次の場面で見せ場をつくったのは、ルーキーの野口凌平(営1)だった。2点差で回ってきた第5セット、太田からすぐに2点を取り返し、そのまま逆転に成功。相手の動きを冷静に読みながら次々とポイントを取り、最大で4点のリードを生み出す。だが、これで明らかにギアが上がった世界王者が野口を襲う。6連続得点で主導権を取り返すと、流れをも奪い去っていった。その後は世界レベルの本気を見せつけられ、じわじわと引き離されてしまう。最後回りを担った大石利樹(法3)が最後まで粘りを見せるも相手に食らいついていくことはできず、36-45で悔しい敗戦となった。(向井知優)
森永製菓に36-45のスコア
女子エペ 戦評
初戦は神戸クラブと対戦。トップバッターの富永恵美(法1)が5-0と最高の立ち上がりを見せる。池田五月(文3)、村上久美(国1)とつないで、5回り目の小林未来(文4)もリードを保持。中盤以降はシングルでの失点をほぼ許さずの快勝で、準々決勝進出を決める。
2回戦に出場した主将の小林
準々決勝の相手はインカレで、43-45の接戦で敗れた関西学院大。しかし全日本の舞台では法大が圧倒する結果となった。4回り目を終えて18-8のスコアから、村上と富永のセットで30-12と大きく引き離す。8回り目の池田も失点を許さず、45-20の完勝でベスト4へ進む。
岐阜クラブとの準決勝は、2回り目を終えて9-8と競り合いに。これまでのように大きく引き離す展開とはならない。しかし6回り目で富永が3得点のプラスで回すと、7回り目の村上も足元を狙い加点。35-25で勝利に大きく近づく。最後は富永が締め、45-30で勝利。ついに決勝まで駒を進めた。
決勝の相手は、学生タイトルを総なめにしている今季4冠の早大。2回り目を終えて7-9と接戦となる中、最初に流れを引き寄せたのは法大だった。3回り目の村上が5連取、12-9と捲る。すると、続く富永も大きくプラスで回し20-13と優位に立つ。しかし早大は甘くなかった。5回り目では村上がキャプテンの山根(早大)に苦戦、23-25と詰められる。その後は法大が離すも、早大に追いすがられる展開。8回り目でついに同点に追いつかれ、37-37となる。その勝負のピストに立ったのは3年の池田だ。先制を許し、残り56秒で38-39と追う形勢に。シングルを狙いにいくが、3連続でポイントを奪われ大きく勝機を逸した。試合終了まで粘るも及ばず、40-43で敗れた。
村上、準優勝に大きく貢献
決勝後は悔しい表情だった富永
来季の優勝を誓った池田
このチームの最後の戦いを終えた
「自分の役目を果たせなかった」と悔しさを滲ませた池田。勢いよく勝ち進んだものの、優勝には届かなかった。それでも今季2部からスタートした女子エペチームが全日本準優勝までたどり着いた。その飛躍の原動力は富永と村上の二人の1年生だ。互いにライバル意識を持つ二人。その切磋琢磨がチームのレベルアップという形となって表れた。この大会で引退となる小林は「最後の最後にいい思いをさせてもらえた」とこのチームを誇らしく語るように、準優勝を振り返った。池田は来季について「技術をつけて、もっと精神的にも強くなる」と向上を誓った。まだまだ伸びしろのある3人が来季も戦う。悲願のタイトルを次は必ず。(高津勇佑)
選手のコメント
長島徳幸 男子フルーレ主将
―法大としての団体戦は最後でしたが、どのような思いで臨まれましたか
そんなに意識はしてなかったですけど、このチームでやれる最後の団体戦なのでみんなで頑張ろうと思ってました。
―森永製菓との対戦をどのように考えていましたか
すごい強い相手なので、勝ち負けよりも楽しんでやろうというのは胸にありましたね。
―太田選手の印象は
剣のスピードとかアタックスピードが桁違いに速いので、それを止めるのが大変だと思いました。あとは最初は4-2でリードしてたんですけど、最後のところで取らせてくれないというところがやっぱり強いなと思いましたね。
―試合後太田選手に声を掛けられていましたが、どんなことを話しましたか
それは「4年間おつかれ」っていう感じのことですね。
―1年生の野口選手も活躍されていましたが
今は年と強さとかあまり関係なくて、年下でも強いんですよね。まあ、良い仕事してたなと思いました。
―男子フルーレ団体はどんなチームでしたか
個性派が揃ってて、まとまりは無かったですね(笑)。でも雰囲気は良くて、逆にいい感じでやってこれたんじゃないかと思います。今年の男子フルーレのスローガンが『ラブ&ピース』だったのでその通りかなと(笑)。
(来年の男子フルーレのスローガンもラブ&ピースで頑張ります!(笑)〈大石選手談〉)
―個人戦に向けて
法大として臨む最後なので、やれることをしっかりやって、締められるように頑張りたいと思います。
小林未来 女子エペ主将
―最後の大会を終えて
正直優勝したかったですけど、皆頑張ってくれて、最後の最後でいい思いをさせてもらえたと思っています。
―インカレで敗れた関西学院大を下しました
インカレでは本当に全員悔しい思いをしたので、それをぶつけられたなと思います。チームも最後の最後でまとまって、一番いいチームだったと思っています。
―今季4冠の早大が決勝の相手でしたが、試合前の気持ちは
絶対に阻止しようと思っていました。絶対優勝したいという気持ちと、5冠を阻止するという気持ちと。本当に悔しいですけど、来年メンバーは変わらないので、優勝を獲ってもらいたいです。あの3人はもっと強くなると思うので、後輩に託したいと思います。
―今日で引退となりますが、今季のチームはいかがでしたか
リーグは2部だったんですけど、入替戦で勝って、関カレ、インカレと試合が進むごとにどんどんと、まとまっていったと思います。
練習でも富永と村上が互いにすごくライバル意識を持っているのが、すごくチームでレベルアップにつながったと思います。池田とは一番長く団体を組んできたので、寂しい気持ちと、もっとやりたかったなという気持ちがあります。
―今年は1年生が入って小林選手個人の出場機会は減っていたと思いますが、どのように感じていましたか
チームとして勝つことが本当に嬉しかったですね。出るところはしっかり頑張れたと思うし、しっかりとサポートにも回れたのではないかと思います。しっかり後輩たちを支えようという気持ちで、今日も一日やってきました。
―来年、後輩の皆さんに期待することは
もっと一人一人メンタル面も技術的にも向上できると思うので、この結果に満足しないで、上を目指して頑張って欲しいです。来年こそは優勝して欲しいですね。
池田五月
―決勝を振り返って
自分の役目を果たせず、悔しい気持ちでいっぱいです。(小林)未来先輩が最後だったので、優勝したかったですね。
―同点の最終セット、どのような気持ちで臨みましたか
絶対に勝つという気持ち、それだけでした。
―準々決勝でインカレ時に敗れた関西学院大に勝った試合を振り返って
インカレでは最後回りの渡辺さんに自分がやられてしまったので富永に託したら、それが上手くハマりましたね。
―今季はどのようなチームでしたか
1年生が二人いる若いチームだったんですけど、思ったより今年の成績は良かったと思うので、来年は1部から始まるので優勝したいですね。
―来年はどのようなチームにしていきたいですか
今、皆で盛り上がっていて、チーム一丸で戦っている女子エペだと思うので、それを崩さないようにしたいです。あとは個人個人が技術をつけて、精神的にも強くなっていきたいと思っています。
―個人戦に向けて
ベスト8、ベスト4を目指して頑張っていきたいです。
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