【硬式野球】東京六大学野球春季リーグ戦 対慶大展望
東京六大学野球春季リーグ戦対慶大
2016年4月9日(土) ~
神宮球場
ついに六大学野球が開幕する。法大が相対するのは昨春と同じく慶大。絶対的エース加藤、そして強力な主軸が打線に座る。なんとしても勝ち点を奪い、優勝に向けスタートダッシュを決めたい。
展望
投手陣の踏ん張りが勝ち点奪取の鍵を握る。昨秋の対戦では3試合で18失点と打ち込まれた。スタメンに名を連ねる顔ぶれは大きく変わったが、慶大の誇る大砲、岩見雅紀をはじめ、通算13打点でチームトップの沓掛祥和、昨年頭角を現し打線の中核を担った山口翔大らが形成するクリーンアップは強力。抑えることはもちろん、彼らの前に走者を溜めないよう細心の注意を払いたい。法大の開幕戦の先発マウンドが予想されるのは熊谷拓也(キャ3)。「どれだけ勝ち星を挙げてくれるか」と青木久典監督がキーマンとして期待を寄せる右腕の投球が、今季法大の浮沈を左右する。一方、最後までその座が争われていたのが第2戦。オープン戦で台頭した宮本幸治(営3)、長谷川裕也(経3)らが候補だ。リリーフに控えるのは、玉熊将一(法4)、谷川宗(文4)。手薄な投手陣が懸念材料だが、ラストイヤーに懸ける4年生の活躍でその不安を払拭してみせる。
六大学屈指の豪腕が立ちはだかる。慶大の絶対的エース加藤拓也は、最速153km/hを誇る本格派右腕。昨秋の法大戦では2試合で8回 2/3を投げ自責点0と好投した。力のある直球を投げる一方、四死球も数多く出していたが、今オフに取り組んだ練習が実を結び制球力が飛躍的に向上。唯一の弱点だった制球難が改善され、まさに難攻不落のエースとなった。
好調の打線で打ち崩す。慶大同様、顔ぶれは大きく変わったが、オープン戦では20得点を記録するなど破壊力は抜群だ。俊足巧打のリードオフマン、大西千洋(営2)を皮切りにつなぐ打線で得点を重ねる。打撃陣の中心は4番に座る柴田圭輝(文4)。勝負強さが光る頼れる主砲の、得点圏での打撃に期待したい。
「個々の力はなくても、まとまりがいいのでチーム力がある」。青木監督は現在のチームをこう評価した。今年の法大にスーパースターはいない。だからこそ、チーム一丸となったときの爆発力は他校を凌駕する。全員野球で勝ち点を奪い、7季ぶりの優勝へ―。最高のスタートを切ってみせる。 (井手一樹)
慶大寮取材
最終週まで優勝の可能性を残しながら勝ち切れず、悔しさを残した慶大は雪辱に燃える。今回は大久保秀監督、重田清一主将、沓掛祥和副将、加藤拓也投手、須藤隆成捕手、岩見雅紀外野手にお話を伺った
大久保秀明 監督
(取材:井手一樹)
重田清一
ー昨年を振り返って
優勝できなかったので悔しいです。
—春秋ともに3位という結果でした
ここ一番で結果が出せなかったというか、優勝がかかったところで勝ちきれなかったという点で甘さが出てしまったのかなと思います。
ー主力の選手が多く抜けてしまった印象です
そこまで去年のような派手な野球はできないと思います。しっかり投手陣が粘って最小失点で抑えて、打者は少ないチャンスをものにするというチームでやっていきたいです。
ーこの冬取り組んだことこと
打者はしっかりスイングをする、投手はしっかり投げ込むというのをやってきました。
ーオープン戦の調子は
チームとしては徐々に上がってきているかなと思うんですけど、まだまだ悪いところあります。リーグ戦までにしっかり詰めていきたいと思います。
ーリーグ戦でキーマンになるであろう選手
加藤は当たり前にやってくれると思うので、小原とかそういう次のピッチャーに頑張ってほしいですね。
ー主将としてどのようにチームを引っ張っていこうとお考えですか
常に戦う姿勢を見せて、みんなについてきてほしいなと思います。
ー今年の開幕戦の相手である法大の印象は
法政は能力の高い選手がたくさんいると思うので、そこに負けないようにやっていきたいです。
ー法大で警戒する選手は
森川ですね。
ーどのような部分ですか
勝負強いというか、チャンスでしっかりやってくれるというイメージがあります。あとやはり主将としていいチームをつくってくると思うので、そこはしっかり警戒していきたいと思います。
ー今季の目標は
何がなんでも優勝です。
ーリーグ戦への意気込み
一戦一戦どういう形でもいいので勝っていきたいです。
(取材:鈴木理子)
沓掛祥和 副将
ー昨年を振り返って
春も秋も優勝できなくて、勝ち切れない試合が多かったのが反省です。
ー個人的に見つかった課題や収穫
守備ですね。秋はスタメンで出ても途中から守備要員が自分の代わりに出されたりしていたので、信用されてないなと感じていました。この冬は、フルで出られるように守備練習をやってきて、最近のオープン戦はフルで出させてもらってるので守備はいい感じになってきました。
ーアメリカ遠征について
アメリカ遠征は初めてで打ち込みをしたりできないかなと思ってたんですけど、数やるよりは質を大事にして少ない数でどうやって打っていくかをより考えるようになりました。マイナーの選手と対戦したりして、アメリカの経験があるからこっちのバッターがあまり怖くないというか、そういう感覚になれました。
ー副将となって意識の変化は
3年生の時は自分勝手にやらせてもらってたんですけど、4年生になって自覚が出て客観的にチームのことを見られるようになりました。自分だけじゃなくて後輩や同期にも声をかけるようになりました。チームとして優勝に向かっていくという役割と重田を支えていくという感じです。
ーどのようにしてチームを引っ張っていきたいか
3番を任されているのでプレーで引っ張っていきたいです。
ーリーグ戦開幕戦は法大との試合ですが今年の法大の印象は
社会人対抗戦を見て強いなと思いました。金子(凌也)や柴田(圭輝)を警戒してます。
ー今季の目標は
優勝することと個人的にはタイトルを獲りたいです。
ー最後にラストイヤーに懸ける思いを教えてください
優勝します!
(取材:川畑あかり)
加藤拓也 投手
—最優秀防御率を獲得した昨年を振り返って
春秋ともに早慶戦まで優勝がかかった状態で試合があったんですけど、最後そこで勝ち切れませんでした。最優秀防御率を獲ったところでチームが優勝しなかったらなんの意味もないので、sそれに関しては何も思ってないです。
—勝ち切るために行ってきたことはありますか
僕自身、試合の時はいつも変わらないんですけど、抑えることに全力を傾けて投げることを意識しています。いつも勝ち切ろうと思ってるので、そこはあまり変わらないです。
—この冬からアメリカでのキャンプにかけて取り組んできたことは
一番大事にしてたのはフォームの安定させることです。コントロールも少し改善されるかなと。無駄な四球が多いと失点につながってしまうので、減らすためにフォームを安定させました。
—フォームを安定させるためにやってきたこと
マウンドで投げることが一番フォームの安定につながると思うので、毎日少なくてもブルペンに入るようにしました。トレーニングもやりたい動き、自分がしたいフォームは、体が硬かったり筋力がないとできない。なので体を柔らかくしたり、筋力をアップさせることは継続してやってます。一番フォームを安定させるためにはピッチングやキャッチボールなどの、ボールを投げるところから意識を持ってやっていました。
—大学生を対象にした特別トレーニングでは、水野雄仁氏からコーチングを受けていました
投球練習で思いっきり投げるのも大事だけど、自分のフォームを遅くしてゆるい球を投げることで、自分の投球フォームなどどう動いているのかがわかるので、そういう投球を大事にしろと教わりました。
ー代名詞の直球を磨くことはありましたか
フォームを安定させる時も一番いい直球を投げれるフォームを基準に考えていました。常に直球の質だったり、そういうのは求めてるのかなと思います。
—開幕戦では法大と対戦します
4年生が抜けましたよね。でも、すごいまとまったチームだなと思います。個々の力はそれぞれあると思うので、そういう印象ですね。
—自身でもバットやグローブを使うと思いますが、道具のこだわりはありますか
一応今ゼットを使ってるんですけど、あまり色とかはこだわってないですね。ジンクス的なものをしてしまうとダメだった時難しいじゃないですか。なのであまりこだわってないです。
—自身の進路としてプロは意識はありますか
もちろん野球をやってるのでプロは目指してやってますけど、1番はチームが優勝するために自分が抑えることがそれに対する一番の近道かなと思います。プロのスカウトが見てる見てない関係なく、マウンドにあがったら相手を抑えたいと思います。抑えたいというのは3年でも4年でも変わらないし、変えないようにしています。
—今季にかける意気込みを
僕が投げる試合を勝つことができれば優勝に近くなるので、投げた試合は全部勝てるようにというのが一番の目標です。
(取材:井手一樹)
須藤隆成
ー昨年を振り返って
最初少しだけ出てそこから試合に出られなかったので悔しい思いをしました。今年はレギュラーを勝ち取ることができて、今はチームを優勝させたいという気持ちが強いです。自分の個人の成績ももちろんですけどチームを勝たせたい、結果的にチームが優勝してればいいかなという感じですね。
ーアメリカ遠征について
今までできなかった経験ができて自分の中の引き出しが増えてやるべきことも見えてきました。野球以外の面でも視野が広がったので楽しかったです。
ーマイナーのチームとの対戦については
パワーは違うなと思ったんですけど、きちんとやるところは意外にマイナーリーグでも繊細だしキャッチャーの捕球もちゃんとやってて、全然雑じゃないなと感じました。
ー捕手としてチームを引っ張る上で意識すること
練習からスローイングにしてもストッピングにしても完璧にするというのが心がけていることです。自分が隙を見せるとみんなもついてこないと思うので、まずは練習から引っ張っていってます。
ー投手とのコミュニケーションについて
とにかくピッチングを受けてなんぼだと思うので、そこで自分が気づいたことを思い切りぶつければコミュニケーションになるかなと思っています。
ー先日の社会人対抗戦では本塁打を放ちましたが、打撃は好調ですか
いい感じです。いい感じにはずっときていたんですけど何か一つ足りないなと思っていたところに監督からのアドバイスがあって、それがはまったという感じです。
ーリーグ開幕戦は法大との試合ですが今年の法大の印象は
この前の社会人対抗戦でも1年生とかも出ていてピッチャーも良いですし、簡単に勝てる相手ではないと思います。ロースコアになると思うし、ミスをしたら負けだと思うのでミスをせずにワンチャンスをものにして勝ち切りたいなと思います。
ー法大で警戒する選手は
1番バッティングがいいと思うのは柴田(圭輝)だと思います。あと大西(千洋)は足が速いので出さないようにしたいですね。
ー今季の目標は
優勝です。優勝させればベストナインもいけるかなと思うのでベストナインで(笑)。
ー最後にラストイヤーに懸ける思いを教えてください
去年も(試合に)出たかったですけど出られなくて、今度は自分が出て優勝させたいです。2年生の時に1回優勝してるんですけどその時は何もわからないまま優勝したので、今年は自分たちが優勝がどんなものなのかというのを体現したいと思います。
(取材:川畑あかり)
岩見雅紀
ー昨年を振り返って
いい数字が残ってよかったです。
ー開幕間近の今の心境は
普通です。何も考えてないです。そろそろ始まるなといういい意味での緊張感はありますけど、今まで通りですね。
ーこの冬重点的に取り組んだこと
守備とスピードアップです。
ーアメリカ遠征はいかがでしたか
すごくいい経験ができてよかったです。
ー今年の慶大はどのようなチームですか
みんなでやろうという感じで、いい雰囲気だと思います。
ー岩見選手といえばやはりパワーというイメージがあります
実戦で使える筋肉をつけるように意識して練習しています。
ーバッティングで心がけていることは
無心です。基本的に何も考えていなくて、打ち終わったあとは何も覚えていないぐらいです。カウントや球とか、ランナーの数とかは打席に入っているときはわかっているんですけど、打った後は「どうだったっけな」という感じで思い出せないです。
ー今年の開幕戦は法大ですが
あまり他チームのことを知らなくて、去年も青木さんと畔上さんぐらいしか知りませんでした。今年は掛川西から齋藤健くんという僕のはとこが法政に入っているので、そのぐらいですかね。
ー今季の目標
優勝です。優勝できればなんでもいいです。
ーファンの方々に向けて
頑張ります。応援よろしくお願いします。
(取材:鈴木理子)
慶大予想オーダー
打順 | 位置 | 選手 (学年=出身校) | 率 | 本 | 点 |
1 | (4) | 倉田 (3年=浜松西) | .333 | 0 | 1 |
2 | (6) | 照屋 (3年=沖縄尚学) | – | – | – |
3 | (3) | 山口 (4年=桐光学園) | .267 | 2 | 3 |
4 | (7) | 岩見 (3年=比叡山) | .500 | 2 | 4 |
5 | (5) | 沓掛 (4年=慶應) | .278 | 1 | 5 |
6 | (9) | 斎藤 (4年=慶應) | – | – | – |
7 | (8) | 重田 (4年=佐賀西) | .000 | 0 | 0 |
8 | (2) | 須藤 (4年=創志学園) | – | 0 | 0 |
9 | (1) | 加藤拓 (4年=慶應) | .000 | 0 | 0 |
慶大 主な投手陣
選手 (学年=出身校) | 試 | 勝 | 負 | 回 | 振 | 防 |
加藤拓 (4年=慶應) | 11 | 4 | 1 | 30 1/3 | 25 | 1.19 |
小原大 (4年=花巻東) | 3 | 0 | 0 | 6 2/3 | 2 | 4.05 |
亀井 (3年=慶應) | 4 | 0 | 0 | 5 1/3 | 0 | 8.44 |
清水洋 (3年=函館ラ・サール) | 2 | 0 | 0 | 4 | 2 | 0/00 |
原田匠 (2年=慶應) | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | – |
フォトギャラリー
- “優勝”重田清一
- “首位打者”沓掛祥和
- 今季は主軸としてチームを引っ張る
- 慶大投手陣の柱・加藤拓也
- “絶対優勝!!”須藤隆成
- 扇の要を担う
- “場外ホームラン”岩見雅紀
- 当たれば打球ははるか彼方だ