【バスケ】第65回関東大学バスケットボール選手権 対早大 入れ替え戦のリベンジならずも確かに見えた成長
第65回関東大学バスケットボール選手権大会 対早稲田大学
2016年5月3日(火)
立教大学新座キャンパス
初戦は苦戦したが辛くも勝利を収めた法大。ベスト8をかけて戦う相手は早大だ。昨年の入れ替え戦で敗れ2部降格を喫した因縁の相手でもあるが、ここで勝利して嫌なイメージを払拭したいところ。
1Q序盤こそリードを奪ったものの、巻き返されると一進一退の攻防となる。後半は相手の勢いに圧され、反撃のチャンスでミスを連発。僅差まで詰め寄る場面もあったが、最後は相手のペースに巻き込まれ敗北。ベスト8進出は叶わなかった。
試合結果
トータル試合結果
73 法政大学 |
15 | 1Q | 18 | 86 早稲田大学 |
---|---|---|---|---|
16 | 2Q | 12 | ||
24 | 3Q | 30 | ||
18 | 4Q | 26 |
法政大学スターティングメンバー
選手名 | 学年 | 学部 | 身長 | ポジション | 出身校 |
---|---|---|---|---|---|
#6 中村太地 | 1 | 法 | 190 | PG | 福岡大附属大濠 |
#57 玉城啓太 | 2 | 法 | 175 | SG | 京北 |
#14 植村哲也 | 3 | 文 | 175 | G | 明成 |
#11 中野広大 | 4 | 法 | 182 | F | 土浦日大 |
#12 柳川知之 | 3 | 法 | 192 | PF | 明成 |
法政大学交代選手
選手名 |
学年 |
学部 | 身長 | ポジション | 出身校 |
---|---|---|---|---|---|
CAP#7 藤井裕太 | 4 | 社 | 175 | G | 厚木東 |
#23 戸堀勇吾 | 3 | 文 | 190 | PF | 國學院久我山 |
#29 堀川裕作 | 1 | 文 | 192 | C | 福岡大附属大濠 |
#8 新沢 亮太 | 4 | 経済 | 182 | GF | 新潟商 |
#24 鈴木悠介 | 1 | 法 | 197 | C | 洛南 |
#33 茨城博晃 | 1 | 法 | 195 | C | 京北 |
戦評
ゲームは法大ボールからスタート。玉城がジャンプシュートを沈め先制すると、それに続くように中村、植村が得点を重ね、開始4分で9-0のランを見せる。しかしこのまま簡単にいく相手ではない。早大も#7石原の3Pを皮切りに反撃を開始。強いディフェンスから流れを作り、あっという間に逆転、引き離される。残り1分を切り、藤井のフリースローで繋ぐと、最後は植村がブザービートで3Pを沈め、15-18。3点ビハインドで食らい付く。
第2Q。開始早々早大ガード陣の華麗な個人技が炸裂。センターへの絶妙なアシストから、得点を増やしていく。玉城のバスケットカウントや柳川のインサイドで対抗し、繋いでいこうとするも、早大の強いディフェンスに苦しめられ勢いを止められない。7点差と離された残り4分、藤井の3Pで落ち着きを取り戻すと、スーパールーキー中村のバスケットカウントで1点差とする。そして残り1分を切り藤井の技ありジャンプシュートで逆転。31-30で後半へ。
第3Qはどちらも小さいチームらしく3Pの応酬、点の取り合いへ。すぐにフリースローで同点とされると、早大の3Pが2本沈み、またも離される。当たりの強いディフェンスにターンオーバーを連発し、流れが早大へと傾く。しかしそれに対抗したのは玉城だった。打つシュートが全てリングに吸い込まれる様子はまさに圧巻。このピリオドだけで3P4本を含む14得点。玉城の活躍でどうにか繋ぎ、55-60で最終Qへ。
勝負の第4Q。中村の3Pで先制、2点差とする。一気に逆転したいところだったが、ここで相手にオフェンスリバウンドを何本も許し、またも3Pを決められてしまう。インサイドでは柳川が孤軍奮闘しチームを沸かせるが、点差を詰めることができない。残り4分6点差、時間と点差が重くのしかかり始める時間。その大事なオフェンスで、植村から藤井へのパスでターンオーバー、8点差。集中の糸が切れた瞬間だった。そこからは早大に順調に得点され、点差が開いていく。最後に中村がドライブインを狙うも、それもカットされターンオーバー。73-86で試合を終えた。
またも勝つことはできなかった。入れ替え戦からの因縁の対決に、多くの人が注目した。新たな力とともに一丸となって戦った法大だったが、結果は13点差。終盤、勝負どころでのターンオーバーが目立った。しかし勢いのある早大に、耐えながら粘れたのは昨年からチームが変わってきている証拠だ。この試合で得た多くのものを活かすことができるか。前向きに次の試合へ臨みたい。(阿部暁野)
コーチ・選手コメント
塚本清彦 ヘッドコーチ
―今日の試合を振り返って
まあ、頑張ったんじゃないかな。早大のタフなディフェンスに対してやろうとしていることが分かったし。
―こういった競る展開になることは予想していましたか
いや、正直きのうの試合とか見てたら点差開けられて終わりかなって思ってましたよ。ただ、どうやって心を奮い立たせるかが問題だったから。それは外山と考えて。まあ、一歩一歩ですよ。どう表現するのか、相手と対峙した時にどう闘志を出すのかということが法政大学を変えるなかで一番大事なこと。それで柳川はちょっと変わったでしょ。これが私たちにとってはすごくうれしいことなんです。だから我々が彼らから何か報酬がもらえるとするならそういうことだよね。パフォーマンスをこっちに返してくれるということが一番大切。だから弱気になって引くなんて絶対だめだし、今日は新沢に怒ったけど…新沢は4年で就活もある中でやってるから大変だとは思うし怒っちゃいけないのかもしれないけど、やっぱりそこは許されない。コーチのフィロソフィーだから。逆に言うと、今日のゲームには得るものがあった。昨日のゲームには無かった。それは早稲田さんどうこうじゃなくて、我々は今、自分たちのチームと戦っているんですよ。まだ相手チームにどういうことをしようとかは全然考えてないです。今いる素材というものをどのように組み立てていくか、という段階なんです。そこには情熱が大事。終わったあと彼らに言ったのは、これがリーグ戦なら今日負けても明日の大東大戦は絶対に勝たないといけないということ。そういう気持ちの中でメンテナンスに入れるというのが重要だと思いますよ。やることに対しては意識とか目的とかそういうのが大事だから。
―この試合で得たものとは
バスケットボールはチームスポーツだから戦って何かを感じたのであればそれが得たものじゃないかな。今日で言うと、カバーディフェンスでしっかりやろうとしていたし、前半終わってみたら31-30。30点抑えたというのはみんなで動いてやった結果なんですよ。ターンオーバーも8-12で向こうの方が多かったし、それに対するローテーションとか言ったことを我慢してやろうとしていた。それが今日の試合の中で出たことが収穫だよね。
―明学大戦に引き続き、苦しい時間帯にはチームディフェンスと併せて玉城選手のオフェンスがチームを支えていました
玉城は一皮むけたかなと思いますよ。こっちが言ってることをどう理解しているかは別としても、自分で攻めていこうというのは1年の玉城には無かった。「1年生が攻めていいのかな」って自分に自信もなかった。今大会で見たときにあれだけ攻めていけて、いつもこっちが言っていることはこのチームのスピードが欲しいということだから、そこら辺に関しては玉城はすごく良かったですね。
―今大会は4ガードの場面も多いですが、キャラクターの違うガード陣に対してそれぞれにどのような役割を期待していますか
藤井はプルアップシューターというのがあるので、今日もあったけどランニングステップからシュート打ったりとかやっぱり「シュート」に期待してます。玉城にはこのチームの原動力になる「スピード」。あとは「一対一」。(中村)太地には「オールマイティー」。ポストアップから全部。それで哲(植村)には「秩序」。セットプレーとかそういうのに関するこのチームの安定とかもそうだし、彼には全部説明してるので。全部考えたなかで4ガードをやる。春先ではすごく多くなってるけど、リーグ戦でどう使うかはまだ分からないです。ディフェンスではいいけど、将来性を考えて大切になってくるのは最後の45秒だから。次につながる大きなプレーをつかむようにしないと。
―PGにこだわりを持つ中村選手などもいますが、やはりコートの中の頭脳となるのは植村選手ということですか
うん、哲といっぱい話しているし、第二のヘッドコーチは哲だね。ただ、まだ彼はブレイクする前。あと残り1年半くらいで最終的にブレイクしてくれたらうれしいね。彼は高校でウインターカップ優勝とかして成功者にはなってるんですよ。ただ、そこで得たものっていうのは自分を押し殺すところから始まっているから。今日も弱気になってパスして結果的にミスになったところがあったけど、その弱さが変わって、そこでナンバーコールだとか、俺が攻めてドリブル、ドライブモーションだ、とかそういうことを考えるようにしたら彼を変えたことになる。ドリブルは練習では上手いんです。でもゲームドリブルとは違うから。相手に合わせて変えていかないといけないし。哲の場合は中学、高校と一定のドリブルしかついちゃいけなくて、今それを変えようとしているからそれは時間をかけていくしかないですよね。彼はチームの中でも運動能力が高い訳じゃないから、逆にそこでできることはセットプレーに対する考え方をしっかりして、シュートにつなげていくことだけ。ただ、運動能力と言われるものなんてまやかしなんですよ。スピードとかジャンプ力とか結局はそれをどう使うか。頭脳を使って結びつけてこその運動能力ですからね。哲は情熱があるし、今少しずつ自分が変わっていることを感じてると思いますよ。
―大東大戦に向けて
大東の大きいやつからどういうことをやってくれるかだね。奮い立って何かしてやろうと思うことが大事。でも一人で粘ってもだめ。ベンチのメンバーが出たときにも同じような気持ちで向かっていけるように伝達していかないと。まあ、本当は粘る前に離して勝つのが理想なんだけどね(笑)。今、去年より面白いですよ。去年はよくわからないままするするとベスト4まで行って結果は良かったかも知れないけど、今は入れ替え戦もインカレも振るわなくて一から始めて、少しずつ伸びているところだから。まだコーチの仕事があまりできていないんですよ。タイムアウトの使い方とか、本当はもっと選手たちに考えさせなきゃいけないし。それがリーグの頃には形になるかなと思ってます。
新沢亮太
ー第4Q、塚本HCに相当激を飛ばされていましたが、あの場面について詳しく教えて下さい
まずはプレッシャーかけられたときの俺の動きが悪くて、ビビってるっていうことで怒られました。ビビってたつもりはなかったんですけど、言われても仕方がない動きだったのかなと。
ー得意とするディフェンスについて語気を強めた指摘をされて、思う部分があったのではないでしょうか
最初に交代のときにオフェンスの部分で怒られて、しっかりやれよと言われて、2回目出たときにディフェンスのプレッシャーが悪いって言われて。俺が悪いんですけど。ただ悔しかったんです。
ー「4年生がー」という監督の言葉も多かったと思います
プレーで俺の弱い部分が出たから、そこを直してくれよとキツく言ってくれたんだと思います。4年がもっと引っ張らないとということですね。
ーディフェンスの要として、現在のチームのディフェンスの改善点を挙げるとしたらどこですか
今日は本当に入り良かったし、かなり意識してやったんで良かったと思うんですけど、挙げるとしたらフォワード、センターの部分ですかね。ディフェンスが機能するので、4ガードでやってるんですけど、ガードのプレイタイムが増えて、玉城にも負担がかかって。そういったところも含めて、フォワード、センターがディフェンスの部分で成長しなきゃなと思います。
ースクリーンへの対応がかなり良くなった印象があります
昨日の試合後の練習で対策としてやって、柳川なんかは特にがんばってやってたと思います。足りない部分はあるけど、やろうというのは見えたと思います。良いところも悪いところも含めて、成長できる内容だったと思います。
ーディフェンス練習を重点的にやっているにも関わらず、アウトサイドでのシュート力がかなり向上していますが、その要因は
何ですかね…何ですかね(笑)。(中村)太地なんかが縦に切ってくれるから、パスアウトとかでいいかたちで打ててるというのもあるし、4ガードでやってるというのもあるし、シュートセレクションの部分ですかね。
ー確かにドリブルでリングに向かうシーンが増えましたね
その辺に関しては太地がけっこうやってるので、他のみんなも自分含めてもっとやってかなきゃなと思います。
ー明日の試合に向けて
俺は本当にキツく言われたし、俺が悪いのは分かってるんで、そこを絶対引きずらないで。あんな態度
とっちゃった訳だからやんなきゃいけないなと。最初からガツガツやりたいです。
柳川知之
ー試合を終えて
途中途中で体力なくなったりして集中力が切れてて、スクリーンの決め事を守れなかったりとかゴールで外してしまったりとかがあったので、そういうところがまだ甘いところだなと思いました。
ー昨日の試合を踏まえ今日の試合で改善したことは
昨日はファールが多かったのでしないようにしてたんですけど、結局4個ぐらいやっちゃったんで…(笑)。まだ足りないなと思います。
ー全体としてリバウンドで競り負ける部分があったが
周り4人がガードで自分だけセンターっていう時があったりするので、そういう時はガードにリバウンドはやっぱりちょっと厳しい部分があると思います。(センターは)自分だけになってしまうので、監督には周り9人全員敵だと思って跳べって言われてるので、そういうところをもっと意識してやっていきたいと思います。
ーブロックなどゴール下での活躍が光りました
やっぱり周りがガードが多いので、そういう意味ではそういう仕事をやらなきゃいけないのは自分だけっていうところが大きいです。やらなきゃいけないことなので、やっただけです。
ー次の相手、大東文化大学の印象は
中がめちゃめちゃ強いイメージがあって、2メートルぐらいの選手が2人とかいるので、そこで体張ることをしていきたいと思います。
ー次の試合に向けて
体張ってリバウンドで負けていくとどんどんキツくなっていくので、2メートル相手にも飛び込んで行きたいと思います。
玉城啓太
ー試合を終えて
1ピリから早稲田の強い当たりで結構体力を消耗して、4ピリまでもたなかったのは自分の体力不足です。栄養とかちゃんと摂れてなかったのかなとも思いましたし、塚さん(塚本HC)からもそういうことを言われまして。
ー4ピリでベンチに戻りましたが
両足がつりました。
ー昨日に続き好調でしたね
軽く力を抜いて打っていたら、やっぱり調子が良かったので。1本入ったら調子乗って打っちゃうので(笑)、それがたまたま入ったので良かったです。
ー敗因を挙げるとしたら
当たり負けして、横、横になってターンオーバーが出て、差がついちゃったかなと思うんですよね。そこを改善してリングに向かって行ければ、粘れたんじゃないかなと思います。
ー大事なところでのターンオーバーが目立ちました
ターンオーバーが出てもそのあとのディフェンスで粘って頑張ればいいんですけど。でも極力ターンオーバーが出ないように努力したいですね。
ー早大には高校の先輩も多いですが
負けたくないなとは思いますね。高校の時はずっと下っ端だったので。
ー法大と早大のガードの差や違いは
身体の当たりは早稲田のほうが強いと思います。キープ力とか。判断能力とかも早稲田のガードは凄いと思うし。
ー得点を取ることにこだわりはありますか
少し、あります。点数取れないときに自分が取ってやろうみたいなのはあります。
ー次の大東大の印象は
大東はみんなデカいのでスモール(ラインナップ)やフォーアウトで出ることはあまり無いと思うんですけど、センターとかが身体張って頑張ってくれればまあいけるかなと。
ー次に向けて
いつも通り積極的に攻めてターンオーバーとかも減らしていきたいです。
中村太地
ー今日の試合を振り返っていかがでしたか
入りはみんなエンジン全開で最初の5分くらいはとてもいい感じだったと思います。昨日悪かったのでみんなで今日の朝はシンキングやったことで入りは良かったんですけど、だんだん相手のリズムにやられちゃったので、そこら辺をいかに自分たちで40分間できるのかというのは大事だなと思いました。
ー今大会で大学の公式戦デビューとなりましたが、緊張はありましたか
はい、代々木はバスケの聖地だから特別な思いはありました。でも怪我しちゃったから一生記憶に残るデビューになっちゃいました。
ー怪我の具合は問題ないですか
全然大丈夫です。
ー早大は昨年の入れ替え戦以来因縁の相手と言われてますが、1年生ながら早稲田に対して意識してたことなどありましたか
負けちゃいけない試合ってのはわかってたので勝ちたかったんですけど、最後エネルギー切れしちゃったので練習するしかないです。
ー第1Qから積極的にシュート打ってた姿が見られましたが何か指示はあったのですか
自分とこが攻めのポイントだったから、今日は昨日に比べてシュート数も少ないしもっと自分の中でやらなきゃいけなかったなというのは思います。
ー今日はほぼフル出場でしたが何か収穫はありましたか
大学のフィジカルだったりスピードだったり慣れてないところもあるし、1年生のうちからもっと積極的にできるようになればまたこの先変わってくると思うので、1年生だからという言い訳はせずにどんどんやっていきたいと思います。
ー同期の選手もたくさん出場されていますが、一緒に出ることについてはいかがですか
先輩とのほうが心強いです(笑)。
ー明日の試合に向けて
今日は自分のところのディフェンスがキツくなっていてあまりシュートが打てなかったので、そこをどうやってできるかというのをもっと色んな人に聞いたり先輩に助けてもらったり、スタッフに助けてもらったりしてやっていこうかなと思います。
鈴木悠介
ー今日の試合を振り返って
大学生になって今大会が初めてで、復帰したてっていうのは言い訳になってしまうんですけれど、まだ試合にぜんぜんなれてないんで、自分をだしてくれる分どんどん慣れてチームの勝ちにつながるように頑張りたいです。
ー昨日はデビュー戦ということでしたが
まだ、全然体が慣れていないです。
ーご自身の武器としているものは
大きいけど走る。あとは、ぶつかり合いとかですね。
ー今日見つかった良い点・悪い点は
ディフェンスが悪くて、良かった点は少しずつ試合になれていっているところです。
ー監督に求められていることは
ディフェンスです。ディフェンスをしっかりやることです。
ー次の試合に向けて
大東大には黒人のでかい選手がいて自分も出ると思うので、しっかりもっとチームに貢献できるように頑張ります。
フォトギャラリー
- 積極的な姿勢でチームを引っ張った玉城
- ウィザーズの頭脳となる植村
- 多彩なプレーを見せるようになった柳川
- チームのピンチは藤井のシュートが救う
- 強気のプレーで今日も得点に貢献した中村
- 中野の3Pでチームが活気づく
- 最上級生の意地を見せることができるか(新沢)
- 初戦から連続出場の鈴木悠