【硬式野球】「秋季リーグ開幕直前特集~凌駕」第7回 伊藤士、宇草、相馬優
2016年9月1日(木)
法政大学野球部寮
「優勝を知らない世代」が必ず有終の美を飾る。最後に法大がリーグ戦を制したのは12年の秋。現在のチームにその歓喜を知る選手はいない。3位に終わった春の悔しさを胸に過ごした3か月。「優勝したい」と選手たちは口をそろえる。その努力の成果を発揮し戦い抜いた先にリーグ制覇、そして天皇杯が見えてくる。
伊藤寛士
―オープン戦でのご自身の状態について
北海道キャンプ後のオープン戦から少しずつスタメンで使ってもらえるようになりました。打撃面では、自分の描いたイメージと打球の方向や打ち方が一致してきたなと感じます。自分の狙い通りの打撃が段々多くなってきました。
―オープン戦でも長打を放ちましたが、長打力は自分の持ち味ですか
長打はまだ少ないですが、段々木製バットで逆方向に飛距離ある打球が打てるようになってます。高校の時も逆方向の長打が持ち味だったのですが、それが木製バットでも打てるようになってきたかなと思います。
―金属バットで打つのと、木製バットで打つのは違いますか
最初は全然違うものだと思ってました。しかし、今は木製でも金属と同じ感覚で打てるようになってきました。
―北海道キャンプでは1年生捕手唯一の選出となりました
秋のリーグでメンバーに入るために、個人的に北海道キャンプメンバーに選ばれることが目標だったので選ばれたことは良かったと思います。
―北海道キャンプではどのようなことを意識的に練習しましたか
「バッテリー強化」のキャンプと言われてたので、自分一人が上手くなることも大事だったんですが、投手と多く話して、バッテリーとして成長できるように意識しました。
―春季リーグを振り返って
打撃陣は六大学トップですが、点数をそれなりに取られている印象があったので、バッテリーが強くなれば確実に優勝に近づくと思います。
―そうなると、捕手の役目も重要になると思いますが
そうですね。失点が減れば勝つ確率も上がると思うので、バッテリーがいかに相手を最少失点に抑えるかが重要だと思います。キャンプからもずっとそれを目標にしてて、ようやく形になりつつありますね。
―オープン戦ではスタメンで出場する機会も増えてきましたが、ご自身ではどのように考えてますか
一人一人捕手も特徴があると思ってます。僕なら守備だけでなく打てないとダメだと思うので、その点では段々打撃も良くなってきています。打撃をアピールすればなんとかメンバーに食い込めると思ってます。
―先輩たちを超えるためには打撃
そうですね。守備はワンバウンドのストップや送球は良くなってきているので、打撃をなんとかしないといけないなと思ってます。
―投手をリードしているときに一番意識することは
相手を見ることと、状況を見て投手中心の配球をするのか、打者のタイミングをずらすのか、打者と投手を見ながら考えています。
―ご自身が理想とする捕手は誰ですか
中日の谷繁元信前監督です。
―その理由は
配球や守備力に関して僕は日本一だと思ってるからです。僕が中日ファンであるからということもあるんですが、相手が嫌がる、的を絞らせないリードをしているように感じます。嫌がられる捕手になりたいです。
―一年生で主に一緒に過ごす選手は
毛利と髙坂ですね。同じ愛知県出身なので。
―昨日(8月31日)の駒大とのオープン戦で高校時代同期だった上野投手が登板しましたが話はされましたか
色々話しました。
―秋季リーグの自身とチームの目標をお願いします
まず試合に出て結果を残すことです。チームとしては何としても優勝です。
(取材:藤原陸人)
”フルスイング”伊藤寛士
宇草孔基
―1年生ながら春季リーグ戦の東大戦に出場し、初安打も放ちました
春はあまりベンチに入れなくて、悔しい気持ちがありました。虎視眈々と準備はしてきたつもりだったんですけど、いざ神宮のグラウンドに立つと本当に緊張しました。プレッシャーにしっかり応えられるぐらいの練習をしなければいけないと春は学びました。
―高校時代に甲子園を経験していますが、甲子園と比べても神宮球場の雰囲気は違った
甲子園に行ったときは自分が中心選手としてチームを引っ張っていく自信があったんですけど、大学に入ったときは手探りの状態でした。大学に入ってピッチャーの球も違いますし、先輩方のスイングとかを見ても違いを感じていました。まだまだやってかなきゃいけないなという気持ちですね。
―オープン戦での台頭が目立ちますが、試合を経験して手応えや収穫は
北海道キャンプ前までケガをしていて、キャンプに連れてっていただけるかどうかもわかりませんでした。けど連れて行ってもらえることになって、それなら1年生らしく思い切りよくらろうと思った結果、北海道キャンプから状態が良くなりました。オープン戦もいい結果が残せています。主に外野をやるようになったんですけど、外野の守備もだんだん反応よくできるようなっていいプレーもできているので自信がついてきました。
―これまでに外野経験は
常総学院でも主にセカンドをやってたんですけど、たまに外野もやってました。でもこんなに長く外野を続けるのはなかったです。自分としても外野の方があってるのかなと思います。 (外野手をはじめたのは)中学校の時にかじる程度でした。高校に行ったら全ポジションやるから、守っとけみたいな感じでやってました。
―北海道キャンプで取り組んだことは
エンドランとかバントを多く練習しました。1年生なので自分がそういう場面で回ってきたら、ちゃんと送って上級生につなげるのが自分の役目だと思っています。細かいところで先輩に迷惑かけないようにというのは意識しています。
―秋の開幕が迫ってきましたが、自分の中で変わったことは
北海道キャンプからそうなんですけど、いい意味で開幕スタメンにこだわっていく気持ちでずっとやっています。先輩もいますし、開幕スタメンがダメだったとしても、こだわることに意味があるしいい経験になると思います。オープン戦でも結果が出ているので、自信を持って思い切りよくできる準備を毎日積み重ねていきたいです。
―自主練習など、自分だけで行っていることは
川口さんも一緒にやってもらうこともあるんですけど、夜は毎日素振りをしています。技術を鍛えるのもあるんですけど、夜1人で真剣に振ることによって心を整えています。その日が良くても次の日はダメかもしれないので、その日のいいイメージだったり感触を振り返ったりします。試合でダメだったらへこんだりしますけど、素振りによって明日も頑張ろうと思えます。安定して結果を出せるように毎日しています。
―素振りをやろうと思ったきっかけは
大学に入って投手の球も良いし、野手のレベルも本当に高いので「なにか自分で変えなきゃ」とか、「何か自分で自信を持って打席に立つ要素がないと打てない」と思いました。簡単なことなんですけど、毎日自分と向き合える時間を作らないといけないと思ってやっています。
―常総学院の甲子園の活躍ぶりはいかがでしたか
本当に刺激になっています。後輩ともよく連絡を取るんですけど、自分は夏甲子園に行けなかったので。うらやましいじゃないですけど、燃えてくるものはありますね。
―春は今年1年間で体を大きくしたいと話していましたが、将来像よりも多少前倒しになっています
体づくりの部分はまだまだうまく行ってないんですけど、大学野球に慣れてきて順応してきていると思います。自分のイメージよりも、夏のキャンプにかけて一気にぐっときました。
―体づくりは具体的に
プロテインと、食事と、筋力トレーニングを。今はリーグ戦前なのでコンディションを整えるのはもちろんなんですけど、ストレッチも体づくりだと思って、1日を大切に臨もうと意識しています。
―秋季リーグ戦への意気込みを
4年生が最後のリーグなので、4年生の気持ちや勢いに乗り遅れないで、自分も力になれるようにしたいです。しっかり準備して、どんな状態でも自信を持って試合に臨めないと、これだけ多く部員がいるなかで試合に出る時に恥ずかしいので、強い気持ちを持って臨めるように過ごしていきたいです。
(取材:井手一樹)
”思い切りよく!”宇草孔基
相馬優人
―春季リーグでは、東大2回戦で二塁手として初出場しました
出ると言われてからは物凄い緊張したんですけど、グラウンドに立つと周りの先輩方が声を掛けてくれました。「リーグ戦に出る」という目標も達成できたので良かったと思います。
―ここまで出場機会が多いオープン戦を振り返って
個人の結果はまだ満足できてません。でも、ヒットを打てなくても得点に絡んだりできたことは良いと思います。裏からチームに貢献するプレーはできてるかなと思います。
―4安打を放った試合もありましたが満足できていない
(好不調の)波が激しいんですよ。良い成績を常に残せれば良いですが、結果が出るようになったのがここ何試合かだけなので。今は良い状態の波が来ているだけなので、常にこれを続けたいのでまだ満足してないです。
―大学と高校の夏の練習を比べてみて
高校の時はこの時期試合だったのでキツイということは感じなくて、去年は最後の夏で楽しくできました。今年はキャンプもあったりで色々しんどかったですね。
―北海道キャンプで意識して取り組んだことは
自分は守備でメンバーに選ばれたと思ってるので、守備でミスしてはいけないと思ってます。メンバーは下級生が内野手では多かったですが、(メンバーに)入れなかった上級生もいてより責任も重いので、変なプレーをしないように毎日練習してます。
―オープン戦は二塁手と遊撃手を守りましたが意識していることは
二塁手は(一塁との距離が)近いので、待って捕ってもアウトになるので余裕を持ってできます。遊撃手は投げる距離も遠くなります。肩が強い方ではないので、その分前に出て足動かしたり、上手く体を使って送球するようにしてます。
―走塁に関しての自己評価は
高校の時とチーム方針が違うので、そういう意味ではまだ納得できてないですね。
―「機動力野球」で話題となった健大高崎高出身ですが、走塁は納得できていない
そうですね。ミスも多いですし、まだ走塁とかチームに貢献出来てないなと思います。
―現在二塁手は小林選手、川口選手、遊撃手は大崎選手など素晴らしい先輩がいらっしゃいますが
正直レギュラーになりたいという思いはあります。しかしライバルとして意識してなくて、常に尊敬してます。最終的には(レギュラーを)取れるようにしたいですね。
―参考にされる選手は
巨人のクルーズ選手です。今もユーチューブで見てました。クルーズ選手みたいになりたいですね。(笑)
―今年の目標はレギュラーよりも土台作りと書かれてました
まずは基礎作りですね。打撃フォームの固定や下半身の強化のようにまずは基礎を1年生のうちに作らなきゃと思います。ケガが多くて、身体を強くしなければ四年間やっていけないので。
―寮生活は初めてですか
いや、高校もそうだったのですんなりと入れました。
―オフの日の過ごし方は
半日寝て午後から映画鑑賞行ったりします。
―最近見た映画は
「君の名は。」です。ついこないだ見ました。(笑)
―「いずれは宇草選手と相馬選手の1、2番コンビを見てみたい」という声もありますが
宇草とよくそのことは話します。オープン戦でも組んだことがあったので、これを自分たちの代でやっていきたいなと思います。
―秋季リーグのご自身の目標について
秋は出る機会が増えると思うので、結果を出せるようにしたいです。
―具体的には
守備なら無失策です。打撃なら長打よりも必ず塁に出ることを目標にしたいです。
― チームの目標は
優勝しかないです。森川さんを中心とした4年生に、1年生が馴染める雰囲気を作ってもらって感謝してるので、下級生が頑張って優勝させてあげたいなと思ってます。
―これからどのような選手になりたいですか
表に立って活躍するタイプではないので、試合全て終わったときに「やっぱりあいつはチームに必要だった」みたいなチームに欠かせない存在になりたいです。
(取材:藤原陸人)
”機動戦士”相馬優人
プロフィール
伊藤寛士 (いとう・かんじ)
文学部1年
1997年6月2日生まれ
愛知県出身・中京大中京
173cm95kg 右投右打
宇草孔基 (うぐさ・こうき)
経営学部1年
1997年4月17日生まれ
東京都出身・常総学院
183cm72kg 右投左打
相馬優人 (そうま・ゆうと)
経営学部1年
1997年10月21日生まれ
千葉県出身・健大高崎
172cm68kg 右投左打