【空手】第61回全日本大学空手道選手権大会 関東王者の前になすすべなく、ベスト16と悔しい結果に
第61回全日本大学空手道選手権大会
2016年11月19日(日)
日本武道館
試合結果
回戦 | 対戦校 | 結果 | 成績 |
---|---|---|---|
1回戦 | 新潟大学 | ○5-0 |
先鋒 宇野 ○6-0 |
2回戦 | 防衛大 | ○2-0 |
先鋒 宇野 ○5-1 |
3回戦 | 日本大学 | ●0-3 |
先鋒 伊藤 ●2-3
次鋒 遠藤 ●1-4
中堅 宇野 ●1-2
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戦評
ベスト4敗退と悔しさを味わった関東選手権から早1ヶ月。その雪辱を 果たす絶好の機会がこの全日本だ。また、4年生にとっては法大として戦う最後の大会となる。笑顔で引退できるか。注目の大会となった。
1回戦の相手は新潟大。先鋒の宇野勇気(理工2)が上段蹴りを決めるなど6-0と幸先よくスタートを切ると次鋒の遠藤功大(文4)も続いて勝利。中堅戦は接戦であったが、1年生の青山広樹(文1)がしっかりとものにすると、その後も圧倒的な強さを見せて順調に初戦を突破した。
2回戦は防衛大との対戦。着実に点を奪い、先鋒戦を勝ち取ったが、続く次鋒戦では両者譲らぬまま0-0で引き分けとした。中堅の伊藤政哉(国4)は突きで点を積み重ねて勝利。副将戦でも引き分けたが、一戦も落とすことなく3回戦へと駒を進めた。
迎えた3回戦。相手は先月の関東大会で優勝を果たした日大。流れをつかみたい先鋒戦であったが、遠藤が終盤に逆転を喫し、2-3で落としてしまう。続く次鋒の遠藤も終始相手に主導権を握られて敗れると、中堅の宇野もこれまでの戦いとは裏腹に苦戦を強いられる。終盤に蹴りなどで積極的な攻撃を見せたものの及ばず、勝利には届かなかった。「練習したことが実際に試合では出せなかった」と遠藤が試合後に語ったように、悔しさの残る敗戦となった。
昨年を下回るベスト16という不本意な結果に終わった法大。今大会で引退となった4年生の思いを胸に、下級生がさらに奮起できるか。来季以降の戦いに期待したい。(渡辺詩織)
監督・選手コメント
手嶋重忠監督
ー今大会を振り返って
残念の一言です。日大戦が勝負だと思っていたので、合宿からビデオを何回も見て作戦を立てて練習をしていました。また今日の対戦でも相手のメンバーをほぼ当てていたのにも関わらず、選手が舞い上がっていたのか指示していたことをできていなかったです。特に先鋒は勝っていたのに残り10秒程度で自分から攻めていってしまったのが敗因かなと思います。
ー日大戦の対策は
手足の長さが法政より短いので、向こうから攻めて来るときは無理して入ってこないといけないのですよ。だからほんの少し遠い間合いから”ワンツー”ではなく”イチ”で攻撃しなさいと。そうすれば負けることはないと言っていました。それがワンツーでやってしまって、向こうの攻撃の方が早くなってしまいました。合宿でやったことを実践できなかったので、そこが反省点ですね。
ー関東から取り組んできたことは
速い中段突きです。あとは先ほど言った微妙な間合いです。遠くから行くとやられるので、少し遠くから攻めることを徹底してやらせていました。また、日大戦は5人対5人で勝負すれば負けないから、先鋒、次鋒、中堅は引き分けでいいよ、その後で勝てるから、と言ったのですが、真逆の結果になってしまいましたね。
ー関東の時に敗因は気持ちと仰っていましたが、今回はどうでしたか
今回も気持ちですね。気持ちが弱いから最後大事なところで舞い上がってしまって負けたのです。普通にやっていれば勝てたので。先ほどOBと話したのですが、今年と来年は普段の練習態度をしっかりとさせないといけない、そういうところをもっと注意していかないとね、と。少しだらしない人がいるので。明るくていい面もあるのですが、集中してないと駄目なので、それが反省点であり、課題ですね。そういう人たちが何人かいて、悪い意味でムードメーカーみたいになってしまっていましたね。
ー今大会の目標は
日大戦に勝つことだけです。そこに焦点を絞ってやっていました。悔しいです。
ー4年生は引退となりますが
終わってみればよく頑張ったなと。今の4年生でメンバー入りしている人は、大学に入って1、2年の時にもう少し真面目に大学の空手に馴染んで、取り組めば良かったのかなと。高校の時のように気楽にやっていましたね。反対に主将の岡本はその辺の気持ちの切り替えがうまくいっていたので、1年生の頃から試合に出られていましたね。遠藤、伊藤は実力があったのにも関わらず、下級生の頃は出場できていなかったですね。伊藤はあの中では1番実績あったのですが、4年生になってからですからね、出場したのは。下級生にはそういうところを厳しくしていかないと、というのは監督としての反省点ですね。でも2人とも上級生になって試合に出られるようになったので、よく頑張ったと思います。
ー3年生があまり出場していませんが
大きな課題ですね。やはりレギュラーに入れるように育てていかなければな、と。そんな中で最後までやる気を出して空手に励むことができるかがポイントでしょうね。
ー来年はどんなチームにしていきたいですか
来年はもっと強くなります。下級生が良いのと来年入ってくる選手を育てるとだいぶ強くなりますね。楽しみにしていてほしいですね。だからこそ4年生が出られなくなってしまうので、彼らのモチベーションがどうなるかですね。新入生はもう練習に呼んでいて、すぐ試合に出られる様に指導しているので、期待していてください。
岡本洸 主将
日大戦は勝てる相手だったので、そこを落としたのがすごい悔しいです。日大と当たるっていうのがわかってから、ずっと対策をして、どうやったら勝てるかっていうのをやってきたので、それを試合で出せなかったのが、今の自分たちの実力だな、と思います。
日大はどんどん前に詰めてきて、近い距離での戦いをするので、うちは日大よりもリーチがある分、遠い間合いで飛び込むっていうことと、日大は返しを狙ってることが多いので、自分たちはそれに対してワンツーで攻めるっていうことですね。近いところでの技にどのように対応していくかっていう感じです。
一番大きいのは、「指導者が付きっきりでいるか、いないか」だと思います。逆に言うと、自分たちは学生だけで練習しているのに、決勝などの上位進出を果たせているので、そこは良かったなと思うんですけど、今年は勝ち切れなかったっていうのがあって。主将である自分がしっかり引っ張ってまとめていかなければいけなかったところを、甘くしてしまった部分があって、そこは自分の責任だなと思います。
とくに花車先輩(=勇武、平28卒)は自分が先頭に立って、チームを引っ張っていくような主将だったんですけど、どちらかというと自分はあまり人の前に出たり、上に立ったりするようなタイプではないので、「縁の下の力持ち」的な覚悟を持ってやってたんですけど。試合でもそういう役割だったので、得点源というよりは、安定して勝てるところには勝って、という戦い方を徹底していました。自分は自分の勝ち方をして、やってきたのだと思います。
実は高校時代も主将をやっていたんですけど、自分とは別にチームを引っ張ってくれる人がいたので、その人に引っ張ってもらって、自分はまとめるだけ、みたいな。大学では、そういうタイプはいなかったんですね。自分で思う理想はあったんですけど、それがチームとして理想の形に持っていけたわけではなかったかな、と思います。
気持ちの弱さであるとか、いつもの練習であるとか、その辺の結果が出たのだと思うので、来年以降後輩たちの代は、ベスト8、もしくはベスト4を目指していけるようなチームを作っていってほしいなと思います。
特に特別なことを話したわけではなく、自分の気持ちの持っていき方的に、最後だからっていうのではなくて、いつも通りっていうのを考えていて。「最後」っていうのは特別意識せずに戦いました。
試合の分析と、細かいところを言われたので、それを受けて、次の代が頑張ってくれれば、と思います。
にぎやかですけど(笑)、空手に対する気持ちとかは強いものがあるので。それを表に出すか出さないかっていう違いで、表に出している人がわりと少ない代だと。でも、同期だけで喋っていると、みんなで「こういうチームにしていこう」っていう話もしたりして。空手のことが好きなんだな、というのは感じます。
最初は大学ではやる気はなかったんです。でも流れで続けることになり、やり始めたらすごい楽しくて。練習に没頭するうちに、試合に出させてもらえるようになって、3年になったら副主将としてチームをまとめる役にもなって、4年では主将になって、自分が成長したなっていうのはすごいあります。練習量とかはあるんですけど、最後に気持ちの面で自分を追い込めなかったのが、反省点ではあります。振り返ると、途中、やめたいと思ったときもありましたが、4年間やってきて良かったな、と思います。
現役で自分が試合に出るのは最後です。教員を目指しているので、あわよくば指導者としてやっていきたいな、と。空手には携わっていくつもりですが、選手としては今大会が最後です。
今のチームは3年生が試合に出ていなくて、主に2年生と4年生で試合をやっているので、来年は3年生がどれだけメンバーとして試合に出るのかっていうのと、試合に出られないとしても、どれだけチームを引っ張っていけるかとか、まとめていけるかっていうのに懸かってると思います。1年生も入ってくるので、しっかりいいチームにしていってほしいと思います。
伊藤政哉
ーベスト16という結果について
敗因は自分なので。それだけです。来年はやりきって欲しいです。
ーベスト8をかけた日大戦では先鋒での出場でしたが、どのような思いで試合に臨みましたか
絶対勝ってやろうっていう気で挑んだ感じですね。前回の大会でも10秒前でやられていて、それが今回もやられてしまいました。実業団でもやるのでそこが課題ですかね。
ーどちらの実業団で続けられる予定ですか
リバイブルという会社で。前回の主将だった花車先輩の会社で一緒に続けていきます。
ー今回で大学での空手部は引退となりますが、今の心境はいかがですか
あっけないです。マンガの『黒子のバスケ』で言うところの‟ゾーン”に入れなかったです。
ー4年間を振り返って
1年から3年まではすごくつまらなくて、4年になった時に楽しくなってきて、ちゃんと空手をやったのは4年になってからの一年間です。
ーその一年間で取り組んだことなどは
‟ゾーン”に入ることを意識してやっていました。
ー同期の4年生の代はどのような存在ですか
遠藤っていう人がいるんですけどずっと自分のお尻ばかりを触ってきました。市ヶ谷キャンパスってこともあってずっと一緒に練習していたんですけど、ただひたすらお尻を触ってきました(笑)
ー最後に後輩の選手たちにメッセージをお願いします
自分が3年生の時そうだったんですけど、4年になってメンバーに入れなくても、とりあえず強くなって、部内で一番強くなれるように。やりきれば悔いは無くなるからっていうのを今の3年生に伝えたいです。
遠藤巧大
ー今日の試合を振り返って
練習したことが出なかったのでちょっと悔いが残りました。
ー3回戦で対戦した日大の印象は
対策してきた通りの組手を相手がしてきたんですけど、それに対して練習の中ではどうやってやっていこうというイメージがあったんですけど、それが実際に試合になると出せなかったので、そこを出せるか出せないかという部分であっち(日大)の方が一枚上手だったなと思いました。
ーベスト16という結果に関しては
残念です。
ー試合後に監督からはどんなお話がありましたか
練習でやっていることが試合で出せてないぞ、と言われました。
ー今日で引退となりますが4年間振り返っていかがでしたか
特に2年くらいのうちの1年間をおふざけで終わっちゃったので、そこの1年で変われていたらまた違ったかなって思います。
ー特に辛かったことはありますか
肩をけがして、1年間手術してリハビリでできなかったのでその時が一番辛かったです。
ー4年間での一番の思い出は
初めて試合に出られたのが4年の東日本の大会で。やっと出られたなという思いの中で試合に出ることができたのでそれが思い出の大会です。
ー後輩たちに向けて一言
頑張れ!来年、再来年で東日本と関東で優勝を目指してほしいです。全日本でもベスト8くらいに進出できるチームだと思うので入ってほしいなと思います!
青山広樹
ー今日の試合を振り返って
全然ダメでしたね。緊張してしまって、自分の思うようにできなかったです。でもこれから出る試合は勝ちたいです。
ー4年生はどんな先輩ですか
関わりやすく、親しみやすいですね。試合では、緊張してるように全く見えなくて、気持ちの面で、自分にはないところがあると思います。経験の差を感じますね。
ー岡本主将について
優しくて親しみやすくて、チームを引っ張ってくれる存在です。
フォトギャラリー
- リーチを生かし、遠い間合いから相手を追い詰める岡本
- 1回戦、大将として6-0で相手を下した杉本
- 至近距離での攻防を繰り広げる遠藤
- 日大に敗れ、肩を落とす選手たち
- 手嶋監督からの信頼も厚い宇野
- 倒れた相手の隙を狙い、突きを試みる青山
- 中段回し蹴りで果敢に攻める伊藤