【ラグビー】全国大学ラグビー選手権大会3回戦 対京産大 根塚洸ハットトリックもセットプレーで圧倒され逆転負け…「東川組」の戦いに幕
第54回全国大学ラグビー選手権大会
2017年12月16日(土)
キンチョウスタジアム
大阪の地で迎えた全国大学ラグビー選手権大会3回戦。前半14分でWTB根塚洸がハットトリックを決め、誰もが勝利を確信したが後半、京産大のNo.8が一発退場をくらい14人で戦い続けたにも関わらず法大はセットプレーで圧倒され続け、自分たちのペースへ最後まで持ち込むことができずに逆転負け。東川主将率いるチームの今季の戦いが終わった。
試合結果
トータル試合結果
31 |
24 |
前半 | 22 | 55 京産大 |
---|---|---|---|---|
07 | 後半 |
33 |
ポイント詳細
3/1 | T | 3/5 |
---|---|---|
3/1 | G | 2/4 |
1/0 | PG | 1/0 |
0/0 | DG | 0/0 |
T:根塚洸(3)/中井 G:萩原(4) PG:萩原 |
※前半/後半
法政大学メンバー
No. | ポジション | 選手氏名 | 学部/学年 | 出身校 |
---|---|---|---|---|
1 | PR | 李承記 | 経3 | 大阪朝鮮 |
2 | HO | 川越藏 | 現3 | 高鍋 |
3 | PR | 金子崇 | 社4 | 東福岡 |
4 | LO | 山根陵 | 現3 | 大津緑洋 |
5 | LO | 増田和征 | 経4 | 京都成章 |
6 | FL | 吉永純也 | 経1 | 東福岡 |
7 | FL | 山下憲太 | 社1 | 長崎海星 |
8 | NO.8 | 斉田倫輝 | 経4 | 仙台工業 |
9 | SH | 中村翔 | 経2 | 東福岡 |
10 | SO | 金井大雪 | 経3 | 深谷 |
11 | WTB | 根塚洸雅 | 経1 | 東海大仰星 |
12 | CTB | 長利完太 | 経3 | 桐蔭学園 |
13 | CTB | 東川寛史 | 経4 | 東福岡 |
14 | WTB | 中井健人 | スポ3 | 筑紫 |
15 | FB | 萩原蓮 | 経3 | 東福岡 |
16 | Re | 大澤翔舞 | 営4 | 長崎北 |
17 | Re | 黒田圭汰 | 社4 | 報徳学園 |
18 | Re | 菊田圭佑 | 経1 | 仙台育英 |
19 | Re | ウォーカーアレックス拓也 | 社2 | 東福岡 |
20 | Re | 竹内仁之輔 | 経2 | 法政 |
21 | Re | 根塚聖冴 | 経3 | 京都成章 |
22 | Re | 奈良望 | 社3 | 秋田工業 |
23 | Re | 杉本悠太郎 | 経4 | 國學院久我山 |
交代選手
時間(分) | 退 | 入 |
後半09 | 山根 | ウォーカー |
後半20 | 中村 | 根塚聖 |
後半25 | 東川 | 杉本 |
戦評
2年ぶりにやって来た選手権の舞台。初戦となる3回戦の相手は今季関西2位の京産大となった。法大は立ち上がりからペースをつかむも、相手にセットプレーで対抗できずに敗れた。
法大キックオフで始まった試合。相手がキャッチしたところを吉永純也(経1)と斉田倫輝(経4)の二人で止めに行き取り返すなど、序盤は法大ペースに。金井大雪(経3)の緩急のあるパスが効果的に決まり、ゲインを続けると、4分に東川寛史(経4)のパスを受けた根塚洸雅(経1)が左サイドからトライし先制する。FWのプレーに定評のある京産大に、ラインアウトモールでオブストラクションを取らせるなど法大優位になる。すると9分に根塚洸が山下憲太(社1)を挟みもう一度ボールを持ったところで一気に右サイドを切り裂き2トライ目。14分にも再度根塚洸が決める。萩原蓮(経3)はここまで3本のゴールを全て成功すると、21分の正面からのPGもしっかり決め24-0となった。
WTB根塚洸は開始14分でハットトリック
開始20分で24点のリードを奪うが、関西の猛者は黙ってはいなかった。早めの選手交替で現状打破を図ると、自然とFW陣が安定し始め、法大は相手の攻撃に耐えきれなくなる。すると24分にラインアウトモールから押しきられトライを許す。30分にも同様の形からトライされ一気に12点差に。ここから法大はノックオンやオフサイドなど簡単なミスから相手にチャンスを与えていく。すると33分には相手BKの素早いサイド展開に付いていくことができず、トライを許す。法大のお株とも呼べるBKの展開ラグビーで失点した。その後の36分に相手のフェインガ・ファカイにレッドカードが出され法大は数的有利となるもピンチを作る。終了間際にPGを決められ、24-22の2点差で折り返した。
後半も勢いを止めきれずに京産大ペース。勢いで勝る相手からボールを奪い返せない。7分と17分には前半にもあった自陣ラインアウトモールからの形でトライされ逆転。瞬く間に京産大のリードが12点となった。法大が数的有利でありながら、相手の低いタックルに攻撃の芽は摘まれ、キック・アタック両面で上を行く相手の攻撃は食い止められない。川越蔵(現3)、金子崇(社4)を始めとしてタックルを低く集めるが、なす術なく、23分にまたもトライを許す。停滞ムードの漂う中、根塚聖冴(経3)が投入されると攻撃にリズムができ始める。そして29分に相手の厳しいマークに遭い精彩の欠いていた中井健人(スポ3)が右端に飛び込みトライ。前半の根塚洸3本目のトライから56分振りとなるトライで12点差。残り10分で2トライ1ゴール差。勝利への希望が蘇った。直後にまたも自陣でのラインアウトモールとなるも、ここは斉田がボールを取り出し、事なきを得る。
WTB中井が法大の沈黙を破った
そして相手ペナルティにより敵陣22㍍ライン付近で得たタッチキック。逆転勝利へ、勝負を仕掛けるしかなかった。金井がインゴールギリギリを狙い蹴り出すが、普段なら味方する追い風がこのときだけは法大を見放した。風に乗ったボールはぐんぐんと伸びていき無情にもインゴールの奥へ。相手ボールスクラムになると細かくパスをつながれ相手キープの時間が続き、サイド展開で36分にトライされた。残り4分、19点差。ここで勝負が決した。終了間際にもトライを許し31-55でノーサイド。
涙を流しながら観客席へ挨拶する東川主将
2年ぶりの選手権は3回戦敗退で幕を閉じた。 東川主将が「今季の課題が全て出た」と振り返るように序盤優位に進めながら、後半は連続してトライを許し苦しむ。今季何度も見てきた形で勝利を手放した。また想像以上の相手のFWの強さとBKの素早さに対応できなかった。全国の舞台で戦っていくためにはリーグ戦勢だけではなく、普段対戦しない対抗戦勢、関西勢のチームへの分析や対策をより一層深めていかなければならない。
これで今季の戦いは終わった。目標としていた「リーグ戦2位以内」を達成できず、3勝4敗と負け越した中で転がり込んできたもう一つの目標である「選手権ベスト4」へのチャンス。初戦敗退という結果に終わり、選手たちの目からは涙がこぼれた。1年前の今ごろはリーグ戦で7位となり、入れ替え戦へ回っていた。そのときから比べると十分、古豪復活への一歩を踏み出せた1年だったと言える。今年1年を無にしない。春に東川の語った「この代があったから強くなれた」となるための本当の戦いはここから始まる。(飯田翼)
インタビュー
島津久志監督
ー残念ながら初戦敗退となりました
これが実力なんでしょうね。でも前半20分程はいい展開ができていたので、それを続けられれば勝てたのでしょうから。なのでどれだけいい展開を続けられるのかという、来年への課題が見つかりましたね。
ー京産大の事前のイメージと実際に戦ってみたギャップは
FWは強いというのは分かっていましたが、1人欠いたのにあれだけ強いのですから。予想以上に強かったですね。
ー後半は14人で戦い抜いた京産大でしたが圧倒されてしまいました
ペナルティでゴール前までいかれて、モールでトライを取られて。というのは4本あったので、ああなってしまうとどうしてもFWの強いチームにやられてしまいますね。
ー敗因は自分たちの弱さだったのでしょうか、相手の強さだったのでしょうか
自分たちの流れに持っていけなかったというのが1番ですね。どこかで流れを変えるようなことができていればまた変わってくるんでしょうけど。後半、最初にハンドリングエラーが2本ありましたがボールを繋げられていれば流れも変わったのでしょうけど、ミスをしてそのままズルズルいってしまいましたからね。
ー東川主将率いる今年のチームはどういったチームでしたか
次に繋がる、いい4年生でしたよ。なのでそれを1年から3年生がきちんと引き継いでどこまでできるかということですよね。
ー最後には涙を流していた東川主将でしたがどんな主将でしたか
リーダーシップがありました。シーズンの1番最初で「3リーダー制にしよう」と首脳陣とも話していたりしましたが、4年生が自ら東川を主将にしたいということだったので。チームを引っ張る力というのも元々あって。僕らもしっかりした主将だったので、助かりましたね。
ーコーチから転身して”監督”としての1年間でした
コーチとしてずっとやってきていて、僕自身はそこまで変わりませんでしたが、選手も”マインドチェンジ”といって、意識を変えていこうぜというのをシーズン通してやっていたので、それなりに彼らも意識して色々やろうとしてくれていましたね。それでもやはり出来なかった部分もあったので、それを来年以降、さらに成長できればいいのではないのかなと思いますね。
ー特に選手に継続して伝えてきたことは
ひとつひとつ成長していこうよということですね。ひとつひとつの成長が社会に出て成長するのであろうから。技術的にも人間的にもひとつずつ成長できるようになればいいなと思っていました。1年間でそれなりに成長してくれたと思うので、それはそれでよかったかなという感じですね。
ー4年生へメッセージを送るとしたら
本当にお疲れ様。という一言に尽きますね。4年間の経験を生かして社会に出て頑張って欲しいですね。
ー最後にこの1年間応援してくださったファンの方へ一言お願いします
また来年も頑張ります!引き続き応援をよろしくお願いします!
東川寛史主将(経4,WTB)
―今の率直な気持ちを
悔しいというのが今は一番ですね。
―試合を振り返って
1年間の自分たちの課題が全て出た形になりました。序盤の20分は自分たちのやろうと思ってた形でオフェンスもディフェンスもできてました。ただ前半20分以降のセットプレーで圧力の掛かったところやディフェンスのスペーシングにミスが出たところから崩れてしまいましたね。そういったこれまで課題としてきたことが、敗因になったと思ってます。
―試合後には涙を流されてましたが
4年間やってきて、この仲間とできるのは最後でしたし、後輩たちには課題を修正したことを伝えたかったという思いもありますね。
―京産大の強さは
やはりセットプレーです。そこで圧力が掛かって、ペナルティを多く出してしまいました。
―途中交代という形になりましたがそのときの心境は
自分が選手交代するなら、杉本になると思っていたので、杉本とは「俺も100%でやるから、お前も100%の準備をしてほしい」という話を昨日からしてました。交代するときは任せたぞという感じで声を掛けました。
―4年間を振り返って
怪我が多い中で仲間や保護者やOBの方々に温かく声を掛けて頂いて、周りに支えられながらラグビーをしていることを実感した4年間になりました。コーチの方たちとも密接に関わることができたと思っています。自分の力不足を痛感しました。これからもこの4年間を糧に頑張っていこうと思います。
―「リーグ戦2位以内」と「選手権ベスト4」の2つの目標を掲げた中での1年でしたが
やはり目標を達成することができなかったは心残りです。ただ目標を決める上でみんなと話はできましたし、みんなが納得して設定した目標でした。来年もこの形を続けてもらって自分たちのすることを明確にした上で頑張ってほしいです。
―後輩に期待することは
今、試合に出ているメンバーも4年生より下級生が主体になっています。島津さんや苑田さんや遠藤さんや作田さんに来てもらってからいい意味でチームが変わってると思うので目標を明確に持って、監督たちの指導を受けながら目標のために何をしなければいけないかというのを考えてやってほしいですね。
―応援してくださった方へのメッセージを
1年間、応援ありがとうございました。チームが沈んでいるときも温かい言葉を掛けて下さりありがとうございました。スタンドからの声援はものすごく自分たちの励みになりました。皆さんへの恩返しと思い大学選手権に臨んだのですが、恩返しできなかったのは申し訳ないです。法大ラグビーはこれからも続いていくので応援宜しくお願いします。
金子崇(社4,PR)
―今日のコンディションはいかがでしたか
京都産業大学さんが、スクラムとラインアウト、モールが強いということが分かっていたので、3週間そこに特化した練習をしてきたんですけど、実際対戦してみると圧倒されてしまって、もっと練習が必要だったなというように感じました。
―試合前のチームの雰囲気や意気込みはどのようなものでしたか
雰囲気的にはかなり良くて、負けたら本当に終わりという試合だったので、みんな一丸となって絶対勝つという気持ちで臨みました。
―今日の試合、ご自身のプレーとチームプレーを振り返っていかがですか
自分自身の課題としてタックルというのがあったんですけど、今日の試合でも何本かタックルミスをしてしまって、チームに迷惑をかけてしまったかなと思います。チームは前半20分までは本当に法大のラグビーというものがちゃんとできたかなと思って、そこからの残り20分に京産大さんのペースに持っていかれてしまって、そこからズルズルと得点を許してしまったという感じです。
―京産大の強さはどこにありましたか
FWのスクラムとセットプレー全般が非常に強かったです。
―リーグ戦での戦いと比較して京産大の攻撃などのレベルはいかがでしたか
セットプレーに関してはほとんど全国で見てもトップレベルのチームだと思います。
―今季の話になりますが、監督が変わり新体制のチームになりましたが、シーズンを通じてどんなチームになっていったと思いますか
最初はみんな多分戸惑いがあって、どんな感じかなという手探りの感じだったと思うんですけど、日が経つにつれて監督やコーチの人柄がどんどんわかってきて、後ろについていこうという感じになりました。ディフェンスも強いチーム、前に出て前で止めてBKの広くて速いアタックでという、そういう風に試合を組み立てていこうという感じでできました。
―来年度に改善していってほしいポイントはどこにありますか
自分自身で試合をやってみて、相手のスクラムやセットプレーが強い時に、押されてしまった時に対応力というか試合の中で修正する力をもっと付けていったら良いのではないかと思っています。
―東川選手が1年間主将を全うされて今日まで来ましたが、主将にかけたい言葉はありますか
あいつとはもう高校時代からずっと一緒で、7年間一緒にやって来たので、本当に「ありがとう」という感じです。
―金子選手にとって法大の4年間はどのようなものでしたか
高校の時に言われなかった事とかをコーチや監督が言ってくださって、自分も選手としても人間的にも成長できたと思います。
―後輩に今後に向けてのメッセージはありますか
コーチや監督を信じて、ついて行けということですかね。
―最後に応援してくださってファンの皆さんにメッセージをお願いします
結果は最後、良いものではなかったのですが、自分たちのラグビーができたのかなと思っています。これまで応援ありがとうございました。
根塚洸雅(経1,WTB)
ー今日の試合を振り返って
後半、自分達のラグビーが出来なかったので、前半の後半から自分達の前半やってた事をやり切れれば、もっと楽な試合になってたかなというのがあったので、そこの反省点をあと1年、来年に向けて直して、来年もう一度この場所に来れるようにもう一回頑張りたいと思います。
ーどのような事を意識して試合に挑みましたか
自分達はアウェーで敵のところに乗り込んで絶対空気で飲まれるというのは結構意識していたので、自分達の雰囲気、自分達のプレーに集中するということと、自分はWTBだったので、外からのコーチング、全員にもっといろんな状況を伝えられる様にというのを心掛けて外からやってました。
ー前半は3トライの大活躍でしたが
1番良い形でボールが回ってきたのと、自分が1番やりたいプレーいうのがいい感じにマッチして、前半いい動きできたので、それを後半の流れが悪い時とかに持って行けたらもっと自分的にはレベルアップ出来るのかなと思っています。
ーイメージしていた京産大と、実際の京産大どんな違いが
セットプレーという部分は元々分かっていたのですが、後半からの外展開に僕たちバックスのディフェンスは相手のアタックをもうちょっと分析して、そこをもっと阻止できれば後半あんな結果にはなっていなかったので、そこの分析と言うのと修正というのは、まだまだ甘いところがあったのかなと思います。
ーこの試合で四年生は引退されますが
自分達がしんどい時や辛い時に引っ張ってくれたのは、やっぱり4年生の力が大きくて、特に東川さんとかにプレー面でも寮の中でも結構引っ張って貰ったので、そこを自分が4年間かけて、次僕が4年生になった時に、全く同じ事をして1年生を引っ張って行ける様に、あと3年間頑張りたいと思います。
ー今年一年間レギュラーとして定着していましたが
とても良い経験だったというのが一つで、やっぱり選手権に出れたというのは、自分達の励みになるのかなというのはあるので、ここで来年もう一歩ステップアップ出来れば、自分達の4年後というのを見据えて頑張れると思うので、来年に向けてもう一度この場所に戻ってきてもう一歩ステップアップできる様に1年頑張りたいと思います。
ーこの1年はどのような事を意識されましたか
1年生という事もあって、チームにフレッシュさや、元気さを与えられる様な選手になりたいなというのはずっと思っていたので、チームがしんどい時とか落ちてる時に、声張って、体張って、チームの為に体を張れる選手というのをずっと自分の中でも心掛けてきました。
ー東川主将率いるこのチームの印象は
良い時と悪い時の波が結構激しいチームだなというのがあって、やはり波に乗れてる時に自分達のプレーが出来て、自分達の良いラグビーが出来て相手の流れを断ち切ったり、自分達の良い流れに持ってっいって勝ったりというのがあったのですが、やはり悪い流れの時に、自分達がそのままずるずる行ってしまう部分があったので、来年はその流れを変えられる様なプレーをもっとできる様に変えていきたいなと思います。
ー最後にひと言お願いします
頑張ります!
フォトギャラリー
- WTB根塚洸のトライに駆け寄って歓喜する選手たち
- トライのアシストをしたFL山下憲
- 全てのゴールを決めたFB萩原
- 来年もさらに期待のかかるFL吉永
- 副将としてプレーでもチームを引っ張り続けたLO増田
- 巧みなパス回しを披露したSO金井
- ゲインをきるCTB長利
- ラインアウトで相手と競り合う