【陸上競技】第94回東京箱根間往復大学駅伝競走直前特集 インタビュー 第4回 鈴木、東福、土井、坂東
箱根直前インタビュー
2017年12月17日(日)
法大多摩キャンパス
東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)まで残すところあと3日。箱根を2週間後に控える17日に、箱根への意気込みや想いを伺った。今回は鈴木選手、東福選手、土井選手、坂東選手の4選手のインタビューをお届けする。
インタビュー
鈴木亮平
―箱根まで残り2週間あまりとなりましたが、今の状態は
11月下旬くらいからあまり調子が良くなかったんですけど、富津合宿などを通して調子はだいぶ上がっては来ました。
―合宿ではどのような練習を
合宿ではロードに走りを馴らすような練習が多くて、ある程度叩きの練習はあったんですけど、思いっきり叩くっていう感じではなかったです。
―全日本で学生三大駅伝デビューとなりましたが、全日本を振り返って
全日本では前も見えなくて最初から最後までずっと単独走になって、その中で自分で決めたペースをしっかり守って走れたっていうのは大きかったんですけど、ラストの上り坂のところで自分が思っていたよりも勾配がきつくて、そこでだいぶペースを落としてしまったっていうのは反省でした。
―高校で同期の齋藤諒(大東大)選手も全日本で学生三大駅伝デビューでしたが
走り終わった後、顔を合わせる程度でしか会ってなかったんですけど、彼もあんまり結果が良くなかったみたいで、「お互い次箱根で頑張ろう」っていうことを話しました。
―箱根の話に移りますが、走りたい区間は
9区か10区を走ってみたいなと思います。どっちも距離が23キロくらいあって長いんですけど、僕の持ち味が発揮される区間ではないかなと思っていて、10区に関していえば前回東福がああいう形でゴールを切ったっていうのは印象にあって、僕もああいう形でチーム目標を達成してゴールテープを切りたいなって気持ちはあります。
―東福選手の話が出ましたが、3年生の代が多くエントリーに入り、出場する上でライバルも多いと思いますが
確かに3年生はすごい力があって、全日本走ったりとかで油断していると他の人たちに箱根のメンバーっていうのも持っていかれる緊張感みたいなのは練習をやっている中で常にありますし、逆にみんなで競い合っているからこそ、練習の時もそうなんですけど、それ以外ではみんな仲良くて、いい雰囲気で競技に取り組めているのではないかなと思います。
―法大はあまり記録会に出場せず、持ちタイムでは劣ってしまいがちですが、1万メートルでどれくらいのタイムを出せそうという感覚は
1万メートルは10月に行われた法大記録会で結構調子が良かったんですけど、やっぱり夏の距離踏みができていなくて、それで後半走れなかったっていうのがあって、そのイメージがついてしまってあんまり1万メートルで自分が快走しているイメージを持てていないっていうのもあるので。あんまり1万メートル、今だったらこのくらいで走れるなって感じはないです。
―鈴木選手はロードを得意としていますが、ハーフではどうでしょうか
全日本のアンカーで20キロ換算したら61分半くらいで。単独で後半上りながらそのタイムだったので、しっかり上尾とかに合わせて出ていたら63分台は堅いのではないかなと思っていて、流れに乗れればもっと出せるのではないかなと思います。
―箱根での個人の目標は
全日本のアンカーがあまり自分の中では納得のいっていない結果だったので、あと昨年度の箱根駅伝では僕は走っていないという悔しい結果だったので、この2つの借りを返せるような走りがしたいです。
―最後に、改めて意気込みを
箱根駅伝に向けては鹿嶋さんを中心にチーム目標である7位に向けて全員でやってきたので、このチームでの集大成となる箱根駅伝では7位という結果にこだわって、それ以上の結果を残せたらいいなと思っています。
鈴木亮平(すずき・りょうへい)
経済学部3年。
1997年1月22日生まれ。179センチ・63.5キロ。
出身校:山形県・酒田南
1万メートル自己記録:29分48秒84
17年度:全日本8区15位
東福龍太郎
―今の心境は
箱根駅伝まであと2週間ということなのですが、今年は去年よりチームの総合力も上がっているので、自信を持ってスタートラインに立てるかなと思います。
―今季の東福選手は非常に苦しんでいた印象でした
足を痛める時期も多くて、3月に行われた青梅マラソンも良くなかったんですけど、それをトラックシーズンにまで引きずってしまいました。関東インカレでもハーフマラソンに出させていただいたのですが、今までで一番調子が悪いのではないかと思うようなレースでした。最悪でした。
―夏合宿での練習は
夏合宿からはけがも治り、夏は本当に充実していたと思います。距離もすごく踏めていたので自信はつきました。
―その良い状態で迎えた駅伝シーズンでしたが、出雲、全日本ともに不出場でした
夏明けの出雲ということで、出雲はメンバーには入っていたのですが直前でけがをしてしまって。夏の良い流れを駅伝シーズンに上手く活かせなかった感じです。 全日本の時もけがをしていて、テレビで見ていたんですけど、皆が頑張っているなかで自分はテレビということで悔しいというか情けないという気持ちが強かったです。
―今季意識していたことは
意識というほどでもないのですが、けがなどが多かったので自分の走りと向きあう時間が多かったかなと思います。
―秋以降大きな大会への出場がなかった中でのメンバー入り。直前合宿での状態が評価されたということでしょうか
11月半ばくらいから本格的な練習を再開して、直前合宿では自分の思っていた以上に走れていたと思います。調子は良かったです。今もその良い流れを汲めています。
―レースに出ていないことによる試合勘の鈍りなどは
若干はあるのですが、そういうのは気にしても仕方がないかなと。自分は大丈夫という気持ちを持って臨むだけです。
―東福選手から見た今のチーム状況は
やはり坂東、青木、佐藤といったところが目立った成績を残してくれているおかげで、チームの雰囲気というのも良好かなとは思います。
―東福選手の代には強い選手が多いように思えますが、ご自身から見た同学年の印象は
プライベートでも仲が良いですし練習する中でも良い雰囲気をもたらしてくれます。また同学年というのは一番のライバルでもあるので、そういったところでの刺激という意味でも良い関係だと思います。ただみんな強くていつも勝てないので、そろそろ勝たなければなとも思います。
―チーム目標である総合7位については
去年のように自分の走りができれば7位はいけるなという手応えは感じています。
―自身の強みについて
自分が走るとしたらおそらく去年と同じ10区になると思うのですが、1度経験しているのはやはり強みになるかなとは思います。
―最後に意気込みを
2年連続でのシードというのはだいぶ久しいと思うので、今回取って、来年も取ってとシード常連校にしていきたいなという気持ちが強いです。そのためにも自分がチームの軸を担っていければと思います。
東福龍太郎(とうふく・りょうたろう)
経済学部3年。
1996年6月19日生まれ。165センチ・60キロ。
出身校:鹿児島県・鹿児島城西
1万メートル自己記録:29分31秒59
16年度:箱根10区5位
土井大輔
―3年連続でエントリーメンバーに選ばれました
3度目の箱根駅伝ということで16人に入ることは当然なことではないんですけど、これからは10人に入って箱根を走り勝負するということが大切なことなので、ここからだと思います。
―3回目の箱根になりますが今の心境は
1年生の時は慌ただしく迎え、去年も少し緊張はしていました。しかし今年は自分のやるべきことをやれればいいかなと思っているので、あまり緊張はしていないです。
―今季を振り返っていきますが、腸閉塞になってしまったタイミングはいつ頃でしょうか
全日本予選会のちょうど1週間前です。
―どのような症状でしたか
まず朝起きたらお腹痛いと感じました。朝練をした後に朝ごはんを食べていたら信じられないくらいお腹痛くなり授業があったので学校に行きましたが、耐えられず学校にある診療所に行ったら腸閉塞かもしれないということで緊急搬送となりました。戻してしまったり、10日間は何も食べられませんでした。
―入院中、お見舞いなどは
全日本駅伝予選会直前にも関わらず坂東などの同級生、また後輩や坪田監督が来てくれました。チームに迷惑かけてしまって落ち込んでいましたが、「お前がいなくても全然通過できる」と安心させてくれたので感謝しています。
―全日本予選会を通過したと聞いた時の気持ち
結果は病院で知りました。嬉しかった反面、自分が試合会場に行けなかった悔しさがあって駅伝シーズンしっかりしていかなきゃいけないなという気持ちで結果を聞きました。
―練習再開までは
退院してからは歩くのも大変でした。7月の間は軽い練習をし、夏合宿から練習量を増やしていきました。夏合宿は全体の与えられているメニューの最低ラインはこなせましたが昨年のような質の高い練習はできず、完全には仕上がらなかったなと感じてました。
―完全復活はいつでしたか
10月に行われた法大記録会で1万メートルを走った時です。ベストは出ませんでしたが走れるようになったなという実感はありました。
―東海大記録会の5000メートルで14分22秒47のセカンドベストでした
全日本のレースが終わってスピード練習の不足と実戦感覚がないということが課題に上がったので坪田監督の方に自分から志願して出場しました。練習の一環ということで特別な調整はしていませんでしたが、セカンドベストで走れたので感覚としては悪くなかったと思います。
―全日本では悔しさを表していましたが、そこからの気持ちの切り替えは
走り終わった直後は悔しかったのですが、監督やチームメイトから「箱根でしっかり走ってくれれば良いから」と声をかけてもらい、またあまり落ち込み過ぎていてもしょうがないと思ったので箱根に向けてしっかり準備していこうと思いました。なのですぐ気持ちを切り替えることができました。
―「主力」と言われていることに対するプレッシャーはありますか
正直自分自身、力があるとは思っていないので、それでも監督などが信頼して下さって大事なところで使って下さっているのでしっかり応えていかなければいけないなという気持ちはあります。
―私生活の話に移りますが、好きな食べ物がラーメンということでおススメのお店は
相模原にある「KAZE」というお店です。週1回のオフに行くことが多いです。オススメのメニューは「鶏郎」です。
―はまっていることなどは
「明日への約束」や「陸王」といった連ドラをみたり、唐揚げを自分で作っていることにはまっています。
―改めて箱根について、希望する区間は
前回大会走った4区を走りたいという気持ちがありますが、全日本の時に1区は走りたくないなと思っている時に1区を任せられて完全に気持ちの部分で負けたところがあったので、あまりどこを走りたいとかではなく任されたところでしっかり仕事をしたいなと思っています。
―土井選手にとって箱根とは
陸上を始めた時からの目標です。また長距離をやっている上で一番大きな舞台だなと考えています。自分が出る立場になるとは思ってはいなかったのですが、大学に入って長距離をやっている上で目標となっている舞台なので、1年間で一番大切にしたいです。
―3年生が多くエントリーされていることについて
1年生の時から切磋琢磨してきました。駅伝となると頼もしい存在で、練習ではライバルとして刺激しあえる存在です。
―自分の走りで注目してほしいところ
スピードや爆発力というものはないのですが、淡々と走って粘り切れるのが自分の持ち味だと思っているので、きつくなってくる後半の走りには注目してほしいです。
―応援して下さっているファンの方々に一言
今シーズンは苦しい1年間になりましたが皆様の応援のお陰で箱根に向かうことができています。なので結果という形でお返しができるように頑張りたいです。
土井大輔(どい・だいすけ)
経済学部3年。
1996年11月6日生まれ。172センチ・55キロ。
出身校:福岡県・九国大付
1万メートル自己記録:29分6秒65
15年度:箱根8区18位
16年度:箱根4区9位
17年度:全日本1区16位
坂東悠汰
―今の心境は
11月末くらいから調子も良くなくて、ここ何週間かでようやく練習が積めるようになってきたという感じなので、若干の不安は残りますが、今は順調に来ているので自信をもって臨めるかなと思います。
―前回箱根1区9位でしたが、その後の練習というのは
チーム全体としてはハーフマラソンに向けた距離を踏む練習を主としていた中で、自分はトラックシーズンに向けたスピード練習を主としてやっていました。
―シーズン初戦の東京六大学陸上ではいきなりの優勝を飾りました
あまり調整はしていなかったのですが、練習の流れでも優勝できるくらいの力がついていると実感できた試合でもあったので良かったのかなと思います。
―その良い流れでの関東インカレでしたが
去年に比べてみても2種目入賞ということで、他大の主力と呼ばれる選手たちとも肩を並べて戦えるところまできたなと実感できました。満足はしていませんが得るものはありました。
―夏場の練習について
今年は実業団の合宿も含めて5つの合宿を消化しました。8月の月間走行距離は1170キロを越え、けがなく充実した練習を積めたと思います。自分のなかで課題視していたスタミナという面でも少しは自信がついたかなと思います。
―その実業団の合宿ではどのような練習を
強度を高めるというよりは長くじっくり距離を積むというのをメインにしていました。実業団の強い選手からは走りに対しての意識や姿勢など、学ぶことが多かったですね。
―日本インカレでも5000メートル4位入賞。しかしその表情には悔しさが滲み出ているように見受けられました
全日本インカレも合宿と合宿の合間だったのであまり調整はしていなかったのですが、5月の関東インカレでは日本人トップをとれなかったので今度こそという気持ちで臨んでいました。なのであまり喜べなかったというか、悔しかったです。
―今季通してタイムという面で振り返ると
コンスタントに5000メートルでは13分台、1万メートルでは28分台と高いレベルで安定していたので、そこは成長なのかなと。しかし自分は法政のエースとして他大のエースと戦っていくということを考えると、やはりタイムだけ良くてもどうしようもないところはあります。
―出雲では1区9位という結果に終わりました
1区を任せていただいたのですが、8キロという自分の得意な短い距離だったので区間賞を狙っていました。その中での9位だったので非常に悔しい思いはありましたし、チームも4区途中棄権。自分がもう少し流れを作れていればという思いが強かったです。
―その悔しさの中での全日本でした
自分の中では出雲の借りを返すつもりで臨みました。区間5位以内を目標にしていたのであと少し届きませんでしたが、1区の遅れを取り戻し、順位もオープンを含めて7つあげることができました。それに流れを変える走りができたというのは自分の中で1つ自信になりました。
―今季はエースとしての期待もされてきましたが、気負いなどは
自分はプレッシャーを感じるタイプではなくて、むしろエースと呼んでくれている周りの期待に応えるということで、上手く力に変えていけているのかなと思います。
―坂東選手から見た今のチーム状況は
昨年よりも更に層が厚くなり、メンバー争いもし烈でした。良い雰囲気で箱根に向けて練習をできているのかなと思います。
―希望する区間は
1区か2区ですね。特に自分の中では2区を希望していて、やはり花の2区ということで強い選手もたくさん出場してきますし、自分が法政のエースとして走らなければならないなという思いがあります。
―最後に意気込みを
三大駅伝の最後なので、4年生に良い形で終わってもらうためにも自分がエースとしての走りをしてチームに好循環をもたらせればと思います。
坂東悠汰(ばんどう・ゆうた)
スポーツ健康学部3年。
1996年11月21日生まれ。190センチ・66キロ。
出身校:兵庫県・津名
1万メートル自己記録:28分44秒87
15年度:箱根4区15位
16年度:箱根1区9位
17年度:出雲1区9位、全日本2区6位