【硬式野球】特集④ 応援で野球部の後押しを‼② 応援団三部合同練習にお邪魔しました
2018年3月18日(日)
55・58年館835教室
毎試合、熱のある応援を神宮で見せてくれる応援団。彼らの応援は時に逆境に立たされたチームを支え、選手の力となる。そして、選手の後押しをするだけでなく、野球を見に来るファンをも魅了し、次第に巻き込んで大きな応援の輪を作る。そのような応援はどのように生まれているのか。今回、私たちは神宮応援を想定した三部合同練習にお邪魔した。
取材レポート
合同練習の音は練習を行っている58年館から少し離れた外濠校舎にまで聞こえていた。教室の前まで来ると中に入らなくても迫力が伝わってくる。
「『チャンス法政』だけで30分以上練習を行っています」。
そのように大野繫寛副団長に案内され入った835教室。練習は朝の9時から行われており、私たちがお邪魔したのは3時間ほど経過したころだったのだが、教室の中は汗ばむほどの熱気に包まれていた。
入ってまず印象的だったのは、球場で踊っているのと変わらない笑顔で練習を行っているチアリーディング部。30分以上同じ曲を繰り返し踊り続ける中で笑顔を保つのは大変なはず。しかし、練習から笑顔を意識することで神宮でもときに3時間を超える応援の間に終始笑顔でいられるのだろう。
練習は実際の神宮球場の応援席を意識しており、リーダー部は教室の階段を使い各々の配置につく。まるでお客さんがいるかのように、応援を盛り上げるべく練習から本番さながらに机の間を縫って歩き呼びかける。球場で最上段を任されるリーダー生には手の伸ばし方など細かい部分を確認する人が側に付き、「腕を伸ばす!曲がっている!」といった指摘が教室内を飛び交う。
圧倒されながらシャッターを切るうちに、『チャンス法政』から投手応援や野手応援へと内容が移る。―菅野、向山、中山、小林、相馬、中村…。リーグ戦出場が予想される選手の名前の書かれたプラカードを実際に掲げ、お客さんにどのように見せるかの確認も怠らない。教室には選手一人一人への応援が響く。
「かっせ!かっせ!向山!」
これも選手一人につき10回以上繰り返す。そして、選手応援とともに行われるのが「チェンジ!」をはじめとした掛け声。
「三部全員で声を出さないと前に進めない」。
傍から見ていると十分すぎるくらい声が出ているように思えても、全員が本気で声を出せたと納得できるまで練習は次へと移らない。完璧になるまでひたすら繰り返す。
実際の試合を想定し流れるように進んでいく練習は『学生注目』などを挟み、いよいよ『若き日の誇り』に。それまでずっと前に立ちメモを取っていた2,3人のチアリーディング部の上級生が、ポンポンの振り方や腕の角度などを直接指導していく。ほんの少しのアドバイスで明らかに腕の振りが変わり、応援に花を添える踊りにまとまりが出ていく。吹奏楽部の演奏も3時間以上吹き続けているとは思えないほど力強くテンポもずれない。
ここまで何度も繰り返し練習を行う理由を大野はこう述べる。
「練習をしなくてはいい応援は作れない。より声を届けるには練習を積まなくてはいけない」
主役になることはなくてもここまで全力を尽くす。このようにしてあの神宮での応援が作られていくのだと思うと、感動すらも覚えた。
実はこの後も練習は続くのだが、残念ながら私たちがお伝えできるのはここまで。応援団が神宮で行う応援は、応援する対象の選手たちに負けないといっても過言ではないほどの努力と熱い練習によって成り立っていることが、少しでもお伝えできていればと思う。そして、普段は内野席で野球部の応援をしている方も、まだ神宮に来たことのない方も、ぜひ応援団席で応援団とともに応援をしてみてはいかがだろうか。
(文・撮影:中西陽香、撮影:梅原早紀)
フォトギャラリー
- 腕の伸ばし方などを指導するリーダー部
- 今年団長を務める古川
- 応援席を想定した形で行われた
- 副団長兼リーダー長の大野
- 手の振り方についてもアドバイスを行った
- 本番と変わらぬ全力応援のリーダー部
- 選手応援は実際にプラカードを掲げ練習を行う
- 全体の様子を確認しメモをとる上級生