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【硬式野球】東京六大学野球2022春季リーグ戦開幕直前特集 首脳陣編 ~加藤重雄監督、大島公一助監督~

2022年3月16日(水)
法政大学野球部合宿所

4月9日に開幕する東京六大学野球春季リーグ戦。昨年は、春季4位、秋季5位と苦しいシーズンに終わった。そのリベンジを期すための戦いがいよいよ始まる。そのような中、法大は開幕日から登場。早大との一戦を迎える。春季リーグ戦開幕直前特集初回となる今回は、加藤重雄監督、大島公一助監督のインタビューをお届けする。(全10回)

2020年春以来の優勝を目指す

首脳陣インタビュー

加藤重雄 監督

ーここまでのオープン戦を振り返っていかがですか
勝ち星としては五分五分くらいですが、昨年と比較して攻撃面で粘り強く次につなげる打線が形作れていると思います。当初は4年生だけと思っていたんですけど、3年生、2年生が十分に働いてくれていますし、期待できるなという感じですね。

―攻撃面で核となるのは
今のところクリーンアップは齊藤(大輝、人4=横浜)、浦(和博、キャ3=鳴門)、今泉(颯太、法3=中京大中京)を想定しています。特に新3年生の二人は昨年より力を付けましたし、大きな期待を寄せています。

―齊藤大選手の主将としての姿をどのように受け止めていますか
あまり口数が多い選手ではないです。ただ、自分が一生懸命練習し、結果を出すことでチームを引っ張っていると思います。私にとっては、信頼のおける主将だと思っています。

―浦選手、今泉選手が成長した要因は
昨季終了直後から年明けにかけて、走り込みや振り込みといった基本的なことを行ってきました。その成果が表れていると思います。

―その他、期待の野手は
宮﨑(秀太、営4=天理)は小柄ですが、パンチ力・ミート力は高いので、齊藤大がいなければ3番も打てる力を持っています。高田(桐利、営4=広陵)は小技もできます。二人とも体格の大きい選手ではないですが、空振りは少ないですし、それが相手にいやらしさを与えられると思います。

ー今年度の主将・副将の組み合わせはどう見ているか
昨年の四年生が決して仲が良くないということではないですが、今年の新四年生は仲が良く、まとまりもいいということを特に感じます。主将の齊藤を始め、一生懸命やってみんなそこについていくというのが、私にとって手ごたえはあります。

ー仲は良いが、決して四人とも仲良しこよしというわけではない
その通りですね。暗黙の了解のように、「自分はこうだから」ということを言わなくても、お互いに次の行動に移れるというような理想のチーム作りができていると監督として思います。そこには近藤(皓介、社4=日大山形)と高野(歩夢、キャ4=法政)、学生コーチのチーフ二人もサポートしているということが成績にもつながってくると思います。

―ここまでの実戦では、打撃が好調ですが要因は
今の所は、調子が良くてつながっています。ただ、本番になるとエース級の投手が相手だったら、どうなるか分かりません。それでも、結果が出ているのは、バットを1日500回から1000回振ることや、ウエイトトレーニングだけでなく、サーキットトレーニングなど、グラウンド上で下半身を強化するための基礎トレーニングを行ってきた成果が出ていると思います。

―選手ではなく、学生コーチがかつてのポジション責任者となったことも成果の一因に
部員全員の面倒を見るのは、監督・助監督や2、3人の学生コーチでは無理がありました。しかし、本人の納得の上で学生コーチに移行してくれた学生が役割意識を持って、指導してくれたことが効果を発揮していると思います。

―今年の投手陣は
昨年までは、三浦(銀二、令3年度卒=現横浜DeNAベイスターズ)、山下(輝、令3年度卒=現東京ヤクルトスワローズ)、古屋敷(匠眞、令3年度卒)とコマがそろっていて、出番のない選手も多かったです。ただ、その中にも潜在能力の高い選手はそろっています。そういった選手が「出番が来るぞ」というように、モチベーションも上がって本番に向けて仕上がってきています。

―率直に、今年のエースは
今年は、扇谷(莉、営4=東邦)、篠木(健太郎、営2=木更津総合)が柱になってくれないと投手陣は苦労すると思います。

―今季は従来の2戦先勝の勝ち点制に戻りますが、どのような投手編成を
もう少しオープン戦を見て、誰をどこに使うかという所を見ていきたいです。いずれにしても、扇谷、篠木は主戦としていく気持ちはあります。また、リーグ戦といえども、1敗でもしてたら後々、同じ勝ち点でも響いてきますからとにかく勝ちに行くということは絶対忘れてはなりません。そのためにも、調子のよい選手から投げていくということにもなると思います。

―従来のリーグ戦の戦い方を知っている選手は新4年生のみになります
1戦1戦、勝負にこだわることに変わりはありません。結果として、3試合になるかということだと思います。また、今それを想定して3連戦、4連戦とオープン戦を行っています。1つ負けてスタートしたら、明日は勝つぞ、3戦目では今日で勝ち点とるぞ、という意識を心がけて行っています。

―ファンの方々に向けてメッセージをお願いします
いつも応援ありがとうございます。昨年も、優勝を目指してやってきましたが、春秋ともに逃してしまいました。今年はより一生懸命取り組んでいます。今もなお頑張っています。必ず、優勝をつかみたいと思います。引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。

(取材・大井涼平)


加藤 重雄(かとう・しげお)
1956年4月20日生まれ
鳥取県出身・鳥取西高→法政大学→日本生命
『昨年から法大監督に就任。昨年は、春季5位、秋季4位と悔しい結果に終わった。しかし、今季も大島助監督とタッグを組み、東京六大学野球最多タイの46度の優勝を誇る名門として、復活優勝を目指す』

大島公一 助監督

―助監督に就任されて1年が経ちました
色々な状況の中でしたが、自分の思った通りにできなかったなと。自分の能力の不甲斐なさを感じる1年でした。

―以前、「助監督としての役割は模索中」と仰っていましたが、1年経ちいかがですか
監督と選手との橋渡しもありますし、色々な面で複雑だなと感じることはいまだにあります。主に野手を見ていますが、何が適切なのか、毎日自問しながらやっているのが現状です。

―昨季を振り返って
なかなか得点力は満足のいくものではなかったですが、その分、守りを固められるチームにはなったかなと。成績的には良くなかったですが、大きく何かが足りていなかったということはないと感じました。

―成長を感じられたと
成長という面でいうと、学生をずっと見ているとやはり成長速度が本当に速いなと感じます。それが毎日の楽しみにもなっています。また、成長が結果に直結しないというところも私にとって非常に勉強になります。卒業後にも社会人等で野球が続けられる人にとって、大学でやったことが生きればいいなと思いながら指導しています。

―助監督から見て成長を感じた選手は
昨年試合に出ていた選手はみな順調に成長していると思います。特に、主将の齊藤を含め、4番を打っていた浦、今泉や西村(友哉、法2=中京大中京)など昨年を通して試合に出ていた選手は成長を感じます。

―現在のチームの状態は
昨年の11月から新チームになり、圧倒的な体力を付けようということでやってきました。技術的な部分よりも、フィジカル面で強化すること、そして意志の統一、『一心』というスローガンを掲げ日本一になるために頑張ろうとやってきました。日本一の意識は徐々に浸透してきていると思いますし、動いている姿の端々にもその意識が見えてきています。

―冬季はトレーニングを中心に
昨年の試合を見ていると、体力的にもう少し強化したほうが、パフォーマンスが上がるのではないかと感じていました。そのため、ランニングとサーキットトレーニングを取り入れました。『豊かな動きがとれるように』というのをテーマにして秋冬を過ごしました。その成果がより大きく出ればいいなと思っていますし、リーグ戦に向けてゆとりのある動きができればと思っています。

―課題となっていた打撃の現状は
攻撃に関しては水物ですし、良いピッチャーからは点が取れないのが通例であります。試合をやってみないと攻撃力がどうなっているかわからないところではありますが、フィジカルトレーニングを含め、スイングの量をかなり多く取り入れたてやってきました。この成果が4月に出てくれればと思います。

―以前おっしゃっていたチームバッティングは
昨年は助監督1年目ということもあり、選手の力量などをなかなか把握できないところがありました。今年は、1年間見てきた選手が多いので、適材適所に起用してあげたいと思っています。そのあたりうまく出ているからか、得点は取れている状況です。打線もつながっている試合も多いです。また、進塁ができる良いアウトが増えているところはチームバッティングの意識が出ていると思います。

―期待の選手は
もうみんな期待しています(笑)。特に秋は得点をできず野手全体が寂しかったので、皆得点をしてチームに貢献したいと思っているはずです。なので、全員に期待しています。

―レギュラーは決まっていますか
この選手に頑張ってほしいな、またレギュラーだろうなと思っている選手がけがをしているケースもありますし、まだオープン戦も14試合くらいあります(3月16日時点)。その中で最善を尽くすことがベストだと思うので、まだメンバーは変わる可能性はあります。

―新入生の印象は
3月5日に入寮してきたのですが、話を聞いてみるとコロナの影響もあり、高校での練習ができない選手が多かったようです。そのため、練習量が少ない状態で来ているなと感じています。環境も含め、慣れるまでに時間が必要だと感じています。

―練習は上級生と一緒にやっていますか
メニューに関してはトレーニングばかりなどではないです。キャッチボール、ランニング、バッティング、そして練習は強度を問わず入れています。今は場所やコロナの影響もあり、Aチーム、Bチーム、Cチーム、そして1年生と4つのグループに分けて練習時間をずらしているため十分な時間は取れませんが、環境になれるような状況を作りたいと考えています。

―助監督から見たチームの雰囲気は
4年生のまとまりが非常によく、『一心』というスローガンの通り全体としてもまとまりがあります。まだまださらに進化しそうな、高いポテンシャルを持っていると感じます。

―チームの強みは
新チームが始まってまだ7,8試合しか行っていないので、何が強みで何が弱みかは正直まだまだ見えないところではあります。ただ、劣勢になっても意外と動じない、逆風のときに揺さぶられずプレーができる選手が多いと感じますし、頼もしい限りです。

―3年ぶりに春季リーグ戦が勝ち点制となります
私自身、昨年から助監督になったため、2連戦しか経験していません。そのため、3連戦になった時にどのような野球になるか、どのような試合状況になるか未知です。また、昨年は試合前の神宮バッティングがなかったので、神宮練習をしてから試合に臨むのも初めてです。経験していない事ばかりですので、不安でしかありません。3連戦になると特にピッチャー起用は複雑になると思いますし、体力勝負の面も出てきます。そういう面では冬場に取り組んだフィジカルトレーニングが生きてくれればなと期待はしています。

―開幕までにやるべきことは
出た課題を素直に受け止めて、反省して柔軟に対応し続けることが大事です。また、もともと『全力でやる』や『あきらめない』、『言い訳をしない』といった行動方針は選手と共有していますが、このような決め事を強化していくことも大切だと感じます。そして、生活リズムをしっかりと整えるなどといった基本的なことも大切になっていくと思います。

―チームの目標をお願いします
日本一です。新チームになる時に、日本一に向けて『一心』というスローガンを決めました。日本一になれるように毎日最善を尽くしているのが現状です。そのためには、リーグ戦1試合1試合をしっかりと戦っていく必要があります。一瞬一瞬で完全燃焼することが大切だと感じます。

―法大野球部のファンのみなさんへ一言お願いします
昨年は期待に応えられず申し訳ないシーズンでした。今季はみなさんの期待に応えられるよう、上回れるよう、全力でやっていきたいと思っています。コロナ禍で煩わしい日が続きますが、ぜひ球場に足を運んでいただき、学生の生き生きとした、はつらつな姿を見てくれたらと思います。

(取材・東夏紀)


大島公一(おおしま・こういち)
1967年6月17日生まれ
東京都出身・法政二高→法政大学→日本生命→近鉄→オリックス→東北楽天
『昨年、法大野球部の助監督に就任。主に野手の指導を行う。昨年は野手の得点力不足が顕著に表れ悔しい結果となる。冬期には技術面だけでなく体力面の強化を図り、巻き返しを狙う。』

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