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【硬式野球】東京六大学野球秋季リーグ戦 第7週 対明大3回戦 延長13回の死闘! 最終戦を劇的勝利で飾る

硬式野球

【硬式野球】東京六大学野球秋季リーグ戦 第7週 対明大3回戦 延長13回の死闘! 最終戦を劇的勝利で飾る

東京六大学野球秋季リーグ戦 対明大3回戦
2015年10月26日(月)
神宮球場

今季最終戦はまさに劇的な幕切れを迎えた。両チーム譲らぬ投手戦が展開され、決着は延長戦へ。1-1のまま迎えた延長13回に挙げた1点を守り抜き、笑顔で今季の戦いを終えた。

決勝のホームを踏んだ畔上

試合結果

トータル試合結果

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 H E
法 大 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 2 12 0
明 大 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 1 8 0

(法大)玉熊、菅野、○熊谷(2勝4敗)―森川
(明大)齊藤、●柳―坂本

 

打撃成績

打順 位置 選手 打率 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
1 (8) 大西千 5 0 0 .298 二ゴロ 空三振 中飛 投犠打 空三振 投ゴロ
2 (5) 川口 4 2 1 .333 右前安 四球① 遊ゴロ 四球 右前安 空三振
3 (4) 若林 6 1 00 .279 見三振 遊ゴロ  一ゴロ 空三振 投ゴロ 二内安
4 (9) 畔上 6 4 0 .404 左前安 中前安 左中間二 見三振 左飛 右前安
5 (3) 柴田 5 0 0 .224 遊ゴロ 遊ゴロ 二ゴロ 投ゴロ 二ゴロ
H3 田中 1 1 0  .083 右前安
6 (7) 蔵桝 4 1 0 .280 遊内安 二飛 空三振 空三振
7 清水二 1 0 1  .429 空三振 捕犠打① 
7 (2) 森川 6 2 0 .306 中前安 空三振 三ゴロ 空三振 中前安 遊ゴロ
8 (6) 水谷 4 0 0 .154 四球 中飛 空三振 空三振 空三振
9 (1) 玉熊 2 0 0 .250 空三振 空三振
1 菅野 0 0 0  .231
H 金子凌 1 1 0  .286 右前安 
R 大崎 0 0 0  —
1 熊谷 2 0 0  .077 空三振 投ゴロ
47 12 2 .270

 

投手成績

球数 打者 防御率
 玉熊  4  66  16  3  2  1  0 5.06
菅野 2 36 8 2 1 1 1  3.89
熊谷 7 79 24 3 2 1 0  3.63
13 181  48  8  5  3  1 4.14

 

ベンチ入りメンバー

10 畔上(キャ4=日大三) 27 森川(営3=桐蔭学園) 35 川口(人1=横浜)
 11 青木勇(法4=智辯和歌山)  32 中村(営1=多良木)  36 大崎(法2=智辯学園)
 12 谷川(文3=高松商)  1 若林(営4=桐蔭学園)  38 小林(法1=中京大中京)
 13 菅野(キャ1=小高工)  2 皆川(キャ4=西武台千葉)  6 蔵桝(営4=広陵)
 14 宮本幸(営2=富山一)  3 金藤大(キャ3=西武台千葉)  7 田中(法4=愛工大名電)
 16 玉熊(法3=北海)  4 柴田(文3=東邦)  29 清水二(法2=中京大中京)
 17 熊谷(キャ2=平塚学園)  8 佐藤竜(法4=作新学院)  39 大西千(営1=阪南大)
 18 浅野(法4=中京大中京)  9 金子凌(キャ3=日大三)
 20 駒場(文2=鹿沼)  26 水谷(営2=大阪桐蔭)

 

リーグ戦結果(10/26現在)

明大 早大 慶大 立大 法大 東大 試合 勝点 勝率
――  ○○  ●○○  ●○○  ○●●  ○○ 13 9 4 0 4 .692
 ●● ――  ○○  ○○  ○○ 8 6 2 0 3 .750
 ○●● ――  ○●○  ○●○  ○○ 11 7 4 0 3 .636
 ○●●  ●●  ●○● ――  ●○○  ○○ 13 6 7 0 2 .462
 ●○○  ●●  ●○●  ○●● ――  ●○○ 14 6 8 0 2 .429
 ●●  ●●  ●●  ●●  ○●● ―― 11 1 10 0 0 .091

戦評

前日の勝利で1勝1敗のタイに持ち込み、これが今季最終戦となる運命の第3戦。法大はなんと前日に129球を投げぬいた玉熊将一(法3)を、2日連続の先発に起用する。対する明大も大方の予想に反し、左腕の齊藤大将を今季初の先発に抜てき。両投手の投げ合いで試合のゴングが鳴る。

玉熊は前日の疲れもあったか、直球は130キロ台中盤が大半。それでも臆せず内角をえぐる強気な投球で、明大に得点を許さない。そして試合は2回に動く。ボールが先行する齊藤を攻め立て、無死満塁の大チャンスを迎える。しかし玉熊と1番大西千洋(営1)は連続三振。万事休すかと思われたが2番川口凌(人1)は冷静にボールを見極める。フルカウントで迎えた7球目、スライダーが外れ押し出し四球。喉から手が出るほど欲しかった先制点をもぎ取った。

5回から継投策に入った法大は、菅野秀哉(キャ1)を起用。しかし代打の宮崎新に犠飛を打たれ、試合は同点に。打線も1回戦で9回途中までを1失点と抑え込まれた柳裕也が4回から登板すると、リーグ奪三振王を独走する右腕の前に三振の山を築かれてしまう。7回には代打金子凌也(キャ3)の安打から1死一、三塁のチャンスをつくるも、3番若林晃弘(営4)、ここまですでに3安打を放っている4番畔上翔(キャ4)が連続三振。その裏からマウンドに上がった熊谷拓也(キャ2)も柳に負けじと力のこもった力投を続け、試合は完全にこう着状態に。

9回を終えても両者はまったく譲らず。試合は延長戦へ。走者こそ出すものの決定機を迎えさせない一進一退の攻防が続き、試合はついに延長13回へ突入した。

今季一のドラマが待っていたのは、その延長13回だった。先頭の畔上がこの試合4本目となる安打で出塁すると、続く場面で代打に起用されたのは田中彪(法4)。春は不動のトップバッターを務めた男も今季は開幕から無安打が続き、リーグ途中からはレギュラーを外れた。ラストシーズンに苦しみを味わった田中だったが、振りぬいた打球は右前へ。待望の今季初安打で畔上を三塁まで送り、打席に入ったのは清水雄二(法2)。蔵桝孝宏(営4)に代わり途中出場した伏兵に出されたサインはスクイズ。これを確実に決めきると、畔上は本塁に滑り込み歓喜のガッツポーズを見せた。

遠かったホームベースをこじ開けつかんだ待望の勝ち越し点。虎の子の1点を最後は熊谷が守りぬき、延長13回、3時間30分の死闘に終止符を打った。法大は今季最終戦を劇的な勝利で飾り、引退する4年生をこれ以上ない笑顔で送り出した。

6勝8敗の勝ち点2。5位という結果で今季は幕を閉じた。創部100周年、優勝を誓ったシーズンとしては決して満足のいく数字ではないだろう。最後に優勝を成し遂げたのは12年秋。来季、その歓喜を知るメンバーは誰もいなくなる。「4年生が築き上げてきたものを継承し、法政の黄金時代をつくりたい」(金子凌)。東京六大学リーグ最多タイの優勝回数を積み上げてきた大学野球界の雄は、その輝かしい伝統を超える未来を迎えたとき、この激闘がそのプロローグだったといえるだろう。(遠藤礼也)

 

クローズアップ

畔上翔(何よりも勝利を― 背負い続けた背番号10)

学生最後の神宮。いつものように一礼してグラウンドを去る男の目からは、大粒の涙があふれていた。

この1年、主将の証である「背番号10」を背負い続けてきた畔上。試合がどんなに劣勢になろうとも、ただ一途に勝利だけを渇望してきた日々だった。そして迎えたラストゲーム。そのキャプテンシーで、そしてそのバットでチームを勝利へ導いた。決勝のホームへ滑り込むと、雄たけびとともに大きくガッツポーズ。自らのプレーでは決して見せることのないその喜びようは「勝利」の二文字を追い続けてきた男の生きざまを体現していた。

後輩たちに伝えたいことは、との問いに出した答えは「練習の大切さです」。誰よりも真摯に野球に向き合ってきた男だからこそ、何よりも重く響く言葉だ。100代チームの先頭に立ち続けた最高の主将が残した魂は、いつまでも語り継がれていくことだろう。(遠藤礼也)

 

 

監督コメント

青木久典 監督

―今季最終戦は見事な勝利で飾りました
ありがとうございます。最後に延長になりながらもああいう粘りの野球で勝つことができ、来季にもつながるものになったんじゃないかなと思います。

―先発はきのうに続き玉熊投手を起用されました
僕は地方大学で監督をさせてもらっていた経験があるんですけれど、そこでは「負けられない試合では連投も当たり前」という環境といいますか、自分の中ではそう解釈しています。玉熊もきのう良い投球をしてくれて、逆にきょうは力が抜けてそれなりに試合をつくってくれるんじゃないかなと。試合の後半にいくよりは頭でいけるところまでいってもらって、あとはつないでいったほうが精神的にも肉体的にも楽なんじゃないかなと思いまして、思い切って起用しました。きのうの試合後には決めていました。

―玉熊投手にはどのようなお言葉で伝えましたか
(決断した時点では)本人には伝えていません。伝えたのは試合前ですね。前日から言ってしまうと本人も意識してしまうかなと。

―玉熊投手の後を受けた菅野投手、熊谷投手と素晴らしい投手リレーでした
こういう投球ができるということの証明だと思うので、これを忘れてもらいたくないなと思いますね。フォームや球のスピードがたとえなくとも打者は打ち取れるものですから、そういったことをマウンドで感じ取ってくれていればと思います。良い投球をしてくれました。

―畔上選手が4安打の活躍で決勝のホームを踏まれました
最後は彼の努力が実を結んだということじゃないですか。

―畔上選手とは昨年の助監督時代から深い関わりだったと思いますが、どのような存在だったでしょうか
本当に素晴らしい人間ですよ。人として、男として。また野球人、法政の主将としても本当にナイスガイで、野球をこよなく愛している子だなと思います。

―畔上選手について印象に残っていることは
やっぱりオフの日でも電話がかかってきて「練習しましょう。バッピ(打撃投手)いいですか?」と聞かれたことですかね。今思えば笑えるエピソードですよね。「俺にも家族孝行させてくれよ」とか言いながら、しこたま投げていた思い出があります。

―きょうで引退される4年生はどのような選手たちだったでしょうか
本当に大変な4年間だったと思うんですよ。監督が3人も代わったり、創部100周年という節目の年でもありましたし。いろんな意味でつらいことが多かったと思います。

―改めて今季を振り返られて
秋に関しては、やはりバッテリーという部分が課題だったんだなと思いますね。

―ポイントとなった試合は
やっぱり開幕の東大戦かなと思います。あそこで歯車が狂ってしまったような気がしますね。

―課題は数多くあるかと思いますが、来季に向けてはバッテリーの改善が急務になります
そこしかないですね。打撃のほうは率もそこそこ出ていると思いますし、本塁打も増えていますし。打撃面は良くなってきていると思います。反面防御率に関してはリーグで一番下だと思うので(※きょうの試合を受け、防御率はリーグ5位となった)、そこをしっかりさせないといけないということと、あとはやはり「エース」と「4番」が確立しなかったところが弱かったですね。4番は金子凌でスタートしましたが、うまく機能せずに畔上に頼らざるを得ませんでした。エースはだれか、といえばいませんでした。やることはたくさんあります。

―創部100周年という特別な年ならではのプレッシャーもあったと思われます
どんな形であれ優勝しなければ、という思いはすごくあったんですけどそうさせることができず、学生たちにも優勝を味わわせてあげられなかったことに関して、監督として申し訳なく思います。

―来年は優勝経験者が不在のチームとなります
そうですね。ただ、勝っていくことは一つ一つの積み重ねだと思います。きょうは明大は優勝が懸かっている。うちは勝ち点を取りたい、目の前で優勝させたくないという緊迫した試合で、決して捨て試合ではありませんでした。そういう中でこういう試合ができるんですから、いろんな部分で次につながってくれると思います。

―復活を期待するファンの方々も数多くいらっしゃいます
きょうの試合を観ていただき、少しでも復活の兆しを感じていただければありがたいですね。この秋冬はかなりの練習をして、質量ともに高めていきたいと思います。

―今季もスタンドから声援を送ってくださったファンの方々へメッセージをお願いします
この秋、またこの1年間球場に足を運んでいただき、声援・支援をいただき本当にありがとうございました。優勝することができず、監督として申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、この悔しい思いはこの秋冬の練習にしっかりぶつけて晴らしたいと思っていますので、今後とも応援・ご声援をよろしくお願いしたいと思っています。


※選手のコメントは順次公開していく予定です。

 

フォトギャラリー

  • 決勝のホームを踏んだ畔上
  • 打っては4安打と大爆発
  • 玉熊は2日連続の先発ながら4回を無失点と好投
  • 2回に先制の押し出し四球を選んだ川口
  • 2回を最少失点でつないだ菅野
  • 金子凌はきのうに続き代打で魅せた
  • 田中の今季初安打が決勝点につながった
  • 最後を締めた熊谷はこん身のガッツポーズ

 

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