【硬式野球】特集② 道具特集 法大戦士のプレーを支える『相棒』たち ~石川達也編~
2018年8月22日(水)
法政大学野球部合宿所
道具企画第四弾。最後となる今回は昨季、リリーフとしてチームを支えた石川達也(キャ2)のグローブに注目し、取材を行った。石川といえば象徴的なのが黄色のグローブ。今回取り上げた4人の選手の中では唯一の投手ということもり、投手ならではの視点も踏まえつつ、お話をうかがった。そのこだわり、そして、刺しゅうに込められている意味とはいったいどのようなものであるのだろうか。
道具特集第四弾:石川達也
昨季の試合をご覧になった法大ファンのみなさんは、マウンド上で目立っていた黄色のグラブに見覚えはないだろうか。中継ぎとして目覚ましい活躍を見せた石川達也(キャ2)のグローブだ。
このグローブを使い始めたのは大学入学直後で、主にリーグ戦などで使用している。黄色は自身が一番好きな色だという。特に強いこだわりを持っているのが硬さだ。「自分はふにゃふにゃだったり、ぺったんこになるグラブが大嫌いなので」と話すように、革自体は普通だが、あえて柔らかくせずになるべく硬い状態を保てるようにしている。モデルは岸孝之(=現東北楽天)だが、グラブを作る上で他人のものを参考にすることはない。「自分の型というのは自分でわかっている」との理由からだ。
そんな石川のグラブでさらに注目したいのはウェブ(網)の部分。投手用のグラブは球種が読み取られないよう完全に覆われているが、そこには投球をしているシルエットがかたどられている。これは自身のシルエットだ。
「実家で両親と新しいグラブについて相談していたら、母が『投げているときのポーズを入れたら良いんじゃない?』と提案してきました」
高校3年時に出場した夏の甲子園で登板した際の写真をくり抜き、ミズノ社に特注で作ってもらった。「これは多分自分しか使っていない」とオリジナリティあふれるデザインだ。その横には名前のイニシャル『T』が刺しゅうされている。
その他の刺しゅうは『Tatsuya』と法政の『H』。また、手が入る平裏の部分には『感謝を力に』という言葉が。リーグ戦開幕インタビューで色紙に書いたものと同じであり、石川が大切にしている言葉だ。
「高校2年の夏あたりに兄がLINEで送ってくれました。大事な言葉だなと思って」
接戦の場面での登板が多かった石川にとってこの言葉はピンチを乗り越える大きな原動力となっただろう。
青木久典監督が先発候補として名前を挙げたように、昨季以上に投手陣の軸として期待が寄せられる石川。周囲への『感謝』の気持ちを力にしてさらなる成長を遂げ、12季ぶりの優勝を目指すチームに貢献していく。
(取材・文:渡辺詩織)
フォトギャラリー
- 石川といえばこの黄色のグローブが印象的だ
- 『Tatsuya』と法政の『H』が刺しゅうされている
- 甲子園で登板した際の写真をくり抜いたシルエットと、名前のイニシャル『T』