【ハンド】2018年度関東学生ハンドボール連盟秋季リーグ 入れ替え戦 対順天大 運命を分ける入れ替え戦は延長戦へ突入!大激闘の末につかみ取った1部残留はインカレへの弾みとなるか
2018年10月14日(日)
国士舘大学多摩キャンパス
先週閉幕した秋季リーグ戦。2勝7敗で終え最下位となった法大は、1部・2部入れ替え戦へ回ることとなった。「負けたら2部」。文字通り絶対に負けられない今試合の対戦相手は、2部で優勝を果たした順天大。昨季の1部リーグで対戦した際には敗戦を喫した相手であり、決して油断はできない戦いとなった。立ち上がりは良好だったものの、ミスから流れをつかめず、前半は12-13と互角の戦いに。後半には一時は5点差にまで離されてしまったが、落ち着いたプレーを取り戻すとリードを奪い返す。しかし後半終了間際にPTを献上。再び同点に追いつかれると勝負は延長戦へ。だが、ここで慌てる法大ではなかった。すぐさま2点リードを奪い、最後まで守り切ると最終スコアは30-27。激闘の末に、見事1部残留を決めて見せた。
試合結果
トータル試合結果
30 法政大学 |
12 | 前半 | 13 | 27 順天堂大学 |
---|---|---|---|---|
13 | 後半 | 12 | ||
3 | 延長前半 | 1 | ||
2 | 延長後半 | 1 |
スターティングメンバー
背番号 | ポジション | 選手名 | 学部・出身校 | 今節得点 |
21 | GK | 仲村充 | 社会4・藤代紫水 | 0 |
3 | CB | 山本祐輝 | 社会3・浦和学院 | 2 |
8 | RB | 福本直也 | 経済4・法政二 | 3 |
26 | RW | 本田悠也 | 社会2・大分 | 4 |
5 | LB | 松岡寛尚 | 経済3・藤代紫水 | 10 |
7 | LW | 田島走 | 社会4・藤代紫水 | 4 |
33 | PP | 橋口博隆 | 社会1・雄城台 | 2 |
交代選手
背番号 | ポジション | 選手名 | 学部・出身校 | 今節得点 |
16 | GK | 深井亮太 | 理工4・浦和学院 | 0 |
2 | CB | 山本晃大 | スポ健3・雄城台 | 5 |
4 | RB | 沖山葉太 | スポ健4・法政二 | 0 |
戦評
秋季リーグ戦では7敗を喫し、1部リーグ最下位となった法大。それから1週間が経ち、迎えた入れ替え戦の対戦校は2部リーグを1位で勝ち進み、春季リーグ戦では敗戦を経験した順天大だ。13季ぶりの2部降格を何としてでも回避するために、絶対に負けられない緊張感あふれる一戦となった。
試合開始後、先制点を決めたのは法大。橋口博隆(社1)が開始46秒でゴールネットを揺らすと、主将の福本直也(経4)や松岡寛尚(経3)も続いて得点を重ね、幸先の良いスタートを切った。順天大も負けじと攻撃を仕掛けてくるが、今試合絶好調の守護神・仲村充(社4)の好セーブも光り、14分には8-5とリードを広げる。しかし、10分から本田悠也(社2)の連続得点と、松岡のゴール左隅を突くシュートを最後に勢いを落としてしまう。順天大の高い位置でのディフェンスに苦戦し、無得点の時間が約7分間続いた。その間にも順天大に2得点を許し、23分時点では9-9と同点に追いつかれる。さらに24分から橋口、田島走(社4)が連続して2分退場となり圧倒的な数的不利な状況に追い込まれる。そのまま逆転を許し、12-13で前半を折り返した。
すぐさまリードを奪い返したい後半戦。しかし、立ち上がりに苦戦し4連続得点を許すと、点差は一気に5点差となり、いきなり窮地に立たされてしまう。態勢を立て直すためにタイムアウトをとった法大。「まだ時間はあるから慌てないでいこうと話をしていました」(佐藤監督)。そしてタイムアウト明けには、山本晃大(スポ3)の得点から10分間で6得点を挙げ、巻き返しに成功した。47分で同点まで追いつくと、後半キレのあるプレーを披露した山本晃のターンフェイントからのシュートで逆転。その後は一進一退の攻防が続き、58分時点のスコアは24-24。未だ勝負が分からない状況だったが、ラスト15秒で田島の速攻が決まった。これが決定弾になるかと思われが、順天大の決死のラストプレーを抑えれず、ノータイムペナルティースローを与えてしまう。これを冷静に決められるとスコアは同点となり、勝負は延長戦へ突入する。
延長戦開始1分で法大エースの松岡が速攻で得点すると、流れは完全に法大に。一時追い込まれるが仲村の好セーブで逃げ切り30-27で見事1部リーグ残留を果たした。
苦戦を強いられた秋季リーグ戦。なんとか2部降格を免れることができた。接戦を勝ち切ることができたのは今後の法大にとって大きな自信になったに違いない。4年生の集大成であるインカレまで残り1ヶ月を切っている。今季課題として挙げられたことに今一度向き合い、最後は笑顔で締めくくってほしい。(桑原美穂)
監督・選手インタビュー
佐藤浩 監督
ー1部残留となりました
負けたら終わりの試合でしたので、兎にも角にも勝てて良かったの一言に尽きます。
ー試合を振り返って
春リーグで負けている相手で、嫌なイメージはみんな持っていたんじゃないかと思います。その中で相手のペースを作らせないために、エースにマンツーマンでつきました。それで試合を通して自分たちのペースに持ち込めたと思います。ただ入れ替え戦という重たい空気の中で、なかなか点差を開けないという状況がずっと続いていました。前半までは踏ん張っていたんですけど、後半の出だしが悪かったです。5点差にまで開いて、あそこはかなりまずい状況でした。でも後半5分時点でタイムアウトを取り、まだ時間はあるから慌てないでいこうという話をしていました。焦らないで平常心で、ということで、全員の認識を合わせました。それで最後にしっかりと追いつけたので良かったです。
ー延長戦となりました
最後逆転したところから、守らなきゃいけないところでノータイムペナルティとなってしまいました。でもこればっかりは仕方がありません。でもリードして追いつかれた形だったので、行けるぞという気持ちは全員が持っていました。延長戦の前半でどれだけ点差をつけられるかが勝負だったんですけど、しっかり2点差つけることができました。シーソーゲームになることは分かっていた上で、焦ることなく勝ち切れたことは、インカレにつながる戦いができたと感じています。
ー今試合もキーパーに助けられる場面が多く見られました
4年生キーパーの2人のうち、調子のいい方が先発で出るようにしています。その後は試合の流れの中で、連続して入れられてしまったら代えています。あと、キーパーはペナルティを入れられてしまってから調子が狂うということが結構あります。なので普段は(仲村)充が出ていたとしたら、ペナルティだけ深井に代わるようにしています。今日みたいに調子が良くて、本人が出ると言えばそのままにします。監督がこうしろと言うよりは、キーパーの2人がやりやすいように使い分けてもらっています。
―この1週間のチームの取り組みは
負けたら終わりなので、とにかく死ぬ気で必死でやるということが1つのキーワードになっていたと聞いています。また4年生だけではなく、チーム一丸となってやることが重要なので、練習から全員が盛り上げて、いいムードで入れ替え戦に臨めるようにと気を使ってやっていたと思います。
―インカレへ向けての課題と調整は
リーグ戦とトーナメントのインカレは全然違ったもので、負けたら終わりです。今回の入れ替え戦のように、負けたら終わりという状況でしっかり勝ち切れたというのは自信につながったと思います。秋リーグは良くない成績でしたがそれは一旦リセットして、インカレで勝つことで、今年の4年生はいい代だったと言われるように、残りの期間練習を頑張ってもらいたいです。秋リーグでは大量失点が多かったので、ディフェンスの立て直しをして、ロースコアで勝つ形にしたいと思っています。そこを強化して、勝つチームというよりは負けないチームを目指していきたいなと。そういった方針でインカレに臨みたいと思います。
福本直也 主将
―1部残留が決定しました
この試合に関しては本当にうれしいです。でもリーグを通しての入れ替え戦なので悔しい思いはすごくあるんですけど、勝ててホッとしています。
―試合を振り返って
相手が予想していないであろうマンツーを試合開始からやって、相手のエースの動きも最初は鈍くなったので、試合の入りとしてはすごく良かったです。
―この1週間はどのような対策を行ってきましたか
相手のキャプテンのエース(古谷悠生選手)がキーマンになるのは分かっていたので、そこを厚く守って仕事をさせないようにというのは練習でずっと言っていました。あとは3-3に対する攻撃を練習しました。上に右利き3人が並んで攻めた方が攻めやすいんじゃないかということで、自分が右に入りました。結果、上の動き出しで相手の上3枚も上2枚になるので、そこで(山本)晃大に思いっきり1対1で行ってもらったりしました。上の間が広くなったところを思いっきり攻めていって、そこで崩せたのは良かったと思います。
―ご自身のプレーを振り返って
キャプテンとしてここまできてしまった責任はすごく感じています。今日は絶対に負けられない試合で出るということだったので、本当に気持ちは入りました。
―インカレまでのチームの課題は
やっぱり高いディフェンスへの苦手意識はまだあるので、そこはもっと練習して改善していきたいです。際の当たられながらのシュートの決定率とか、あとはミスの多さとかです。ディフェンスだったら笛が鳴るまでしっかり守るというのを徹底しないと、今日みたいに笛が鳴る前にボールだけ離されて、次の選手が打ちに来てそれに当たれないというのがありました。細かいところですけど、そういったところを練習していきたいです。
―高いディフェンスへの対策の成果は
点は入ってはいたんですけど、やっぱり個人技に頼っている感がすごくあって、綺麗に崩せている場面も少なかったように感じました。やっぱりもう少しアイデアが欲しいです。サイドが切ったあととか、切るだけになってパス出すところがなくなって、パスミスで終わったりとかもあったので、切った後の展開とかも全員ができるようにしていかないといけないと思います。
―インカレへ向けて
もう一番下を経験したので、後は上がっていくだけです。1回戦から法政のカラーを出して、勢いをつけて頂点まで持っていけたらと思います。
仲村充
―今日の試合を振り返って
もう後が無かったので全力を出し切ろうと全力で臨んだ試合でした。
―前半から好調でしたが相手の印象は
両サイドが上手いのと割って入ってくるのでそれに合わせたディフェンスと、上(バックプレーヤー)の3人がボールが速いのでしっかりボールを見て止めることができるように意識していました。
―ノータイムスローの時の心境は
自分は本当は7メートルのキーパーではなく、深井の方が得意なので、自分は取れる気はしなかったです。
―緊張感のあった試合後半の心持ちは
自分がやってやるぞというと気持ちしか無かったです。
―リーグ戦を通しての感想は
下の代に良い選手が揃っているのに秋リーグ最下位で入れ替え戦まで来てしまったのはやはり4年生のせいなので、そこは申し訳ないと思いますが、切り替えて、インカレで全力を出し切ろうと思います。
―大学生活最後のインカレへの意気込みを
頑張ります!
松岡寛尚
―1部残留となりました
自分は今日は負ける気はしなかったです。でも相手も勢いのあるチームで、とりあえず新チームが2部スタートになるのだけは本当に避けたかったので良かったです。来年にいいスタートが切れそうだなと思いました。
―順天大への印象は
順天は試合に出ていないメンバーもすごい盛り上げて、チーム一丸で戦うという印象がすごいありました。でも悪い流れを持っていったらチーム全体が盛り下がるという傾向もあります。なのでそこを利用して、結構フリースローから決められると「ああ」ってなるじゃないですか。だから今日はそれを狙って、雰囲気が悪くなることを狙っていました。
―試合の流れとしては
出だしは良かったんですけど、3点差が1点差になったところがすごいもったいなかったです。ゲームの持っていき方も、もっとゆっくり時間を使えば最後余裕を持って勝てたのかなという印象があります。
―今後の個人の課題は
ずっとシュート確率にこだわっているので、8割は決められるようになりたいです。
―チームとしての課題は
分析を取ったら1試合で20回ミスをしているらしいです。そのミスを10回に減らすだけで点数は全然変わってくると思うので、そこが課題だと思います。
―インカレへ向けて
2回戦目でいきなり中央か福岡大に当たります。強いチームなんですけど、そこを勝てれば波に乗れるので、しっかり1戦1戦大切に戦って、優勝までいければと思います。
本田悠也
—今日の試合を振り返って
内容はどうであれ、勝てたことが嬉しかったです。
—勝てた要因は
勝負どころで法政らしく、みんなで盛り上がれた時間帯が多かったところです。そこからキーパーが頑張ってくれたこともあっていい波に乗れました。
—延長戦に突入しました
試合のプランとしては悪くなかったので、そこを突き詰めて勝つことを意識しました。
—1部残留を決めました
2部リーグに落ちるのは本当に嫌だったので。とにかく先輩たちが頑張ってくれて残留を決めれたので良かったです。
—順天大への対策は
相手のエースの古屋さんに僕がマンツーマンでついて、それでもやられてたらみんなで守ろうということでした。
今日はみんながディフェンスでも足がしっかり動いていて、キーパーの仲村さんもボールをいっぱい止めてくれたことが勝ちにつながりました。
—リーグ戦と入れ替え戦、心理面での変化は
初めて経験する入れ替え戦で、負けたら即2部降格だったので変な緊張がすごかったです。
—秋リーグを振り返って
結果的に10位で終わってしまって春は6位だったので、秋までに課題点を修正できなかったです。
春から秋にかけて力をつけてきたチームにやられてしまいました。
1ヶ月後にインカレもあるので修正しなければいけないところを見直して勝てるチームにしていきたいです。
—インカレへ向けた課題は
ディフェンスの連携とボールのつないでいくこと、ディフェンスからの速攻を強化していきたいです。
フォトギャラリー
- 得点を決めた松岡(右)と盛り上がるベンチ
- 最後にチーム30得点目を決めた山本祐
- 後半になるにつれて調子を上げていった山本晃
- 試合開始時から好セーブを連発しチームの勝利に大きく貢献した仲村
- 勝負所でのシュートを確実に決めた田島
- 順天大も松岡の勢いは止められず
- 1年生で唯一のスタメン出場となった橋口
- 苦しい時間帯もディフェンスで粘りを見せた