第96回東京箱根間往復大学駅伝競走
2020年1月2日(木)
東京都・大手町 ー 神奈川県・芦ノ湖
チーム目標を総合4位に掲げた法大。しかし駅伝戦国時代、レースの高速化が進み1区から出遅れる展開に。河田・青木が順位を上げるもチームとしては往路16位でフィニッシュした。迎える復路ではキャプテン坪井を筆頭に巻き返しの走りに期待がかかる。
試合結果
往路成績
順位 | 大学名 | 記録 |
---|---|---|
1位 | 青学大 | 5時間21分16秒 |
2位 | 国学院大 | 5時間22分49秒 |
3位 | 東京国際大 | 5時間24分33秒 |
4位 | 東海大 | 5時間24分38秒 |
5位 | 明大 | 5時間27分11秒 |
6位 | 帝京大 | 5時間27分15秒 |
7位 | 創価大 | 5時間27分34秒 |
8位 | 駒大 | 5時間27分41秒 |
9位 | 早大 | 5時間28分48秒 |
10位 | 拓大 | 5時間29分08秒 |
11位 | 東洋大 | 5時間29分15秒 |
12位 | 中央学院大 | 5時間29分17秒 |
13位 | 中大 | 5時間31分40秒 |
14位 | 順大 | 5時間31分52秒 |
15位 | 日大 | 5時間32分53秒 |
16位 | 法大 | 5時間33分00秒 |
※10位までがシード権を獲得
往路個人成績
区間 | 選手名 | 記録 | 区間順位 | 通過順位 |
---|---|---|---|---|
1区(21.3㎞) | 久納碧(経2) | 1時間05分20秒 | 19位 | 19位 |
2区(23.1㎞) | 鎌田航生(社2) | 1時間09分08秒 | 18位 | 20位 |
3区(21.4㎞) | 岡原仁志(経4) | 1時間04分52秒 | 18位 | 20位 |
4区(20.9㎞) | 河田太一平(社1) | 1時間02分34秒 | 8位 | 18位 |
5区(20.8㎞) | 青木涼真(生命4) | 1時間11分06秒 | 4位 | 16位 |
戦評
5区間中3区間に1、2年生が出走する若いチームで挑んだ法大だったが歴史的なハイペースで進んでいくレース展開に1区からついていくことができず、3区終了時点で最下位に沈んでいた法大。しかし4区を走った初出場の河田太一平(社1)が区間8位と大健闘し順位を2つ上げて青木涼真(生命4)に渡す。青木も昨年の自分のタイムを23秒も上回る区間4位の走りをみせたがレース序盤のつまずきが大きく響き16位でゴール。シード権獲得へレース後半で生まれた反撃の勢いを次の復路にぶつけたい。
流れを作る重要な1区を任されたのは久納碧(経2)。レースは序盤から力のある中谷雄飛(早大)、鬼塚翔太(東海大)らが集団を引っ張った。高速な展開にも関わらず、各校のスピード自慢が揃い、集団からこぼれ落ちる選手も少なく大集団でレースが進んだ。そんな中、久納は7㌔付近で集団からずるずると後退。本人も想定していたというハイペースに「心と身体が噛み合っていなかった」と集団から離れた後も追い上げを見せられず、ほろ苦い箱根デビューとなった。絶対的自信のある5区での巻き返しのためにも上位チームとの差を最小限に留めたかったが、先頭から4分7秒差の19位でタスキ渡しとなった。
エースが集う花の2区を走るのは、鎌田航生(社2)。19位でタスキを受け取った鎌田は、5秒後にスタートしたライモンヴィンセント(国士舘大)からの猛追を受け20位に。そこから単独走という厳しい展開を強いられるも、淡々としたリズムを刻み前を追う。11年ぶりに区間新記録が更新されるなどハイレベルな激戦の中で区間18位と満足のいく順位ではなかったものの、目標にしていた前回大会の坂東悠汰(現富士通)の記録に迫る走りを見せ、今季着々と伸ばしてきた実力を発揮した。前をゆく神大と28秒差にまで追い上げ、タスキをつないだ。
スターターを務めた久納
3区。戸塚中継所で鎌田から襷を受けたのは、昨年も3区を走った岡原仁志(経4)。総合4位の目標を達成するために、一つでも順位を上げておきたい粘りの3区。3人が区間新記録、というハイレベルな戦いが繰り出される中、4年生としての経験を生かした力走で健闘を見せる。しかし、思うように順位を上げることができず、総合20位、区間18位で4区の河田にタスキを渡す。この箱根で大学陸上ラストランとなった岡原は、「自分の走りで前を追って少しでも順位を上げたかったが、結果的には差を詰めることができなかった。」と悔しさをにじませながらレースを振り返った。4区以降を走る選手達へ、さらなる期待がかかる。
前半で大きく出遅れた法大。いち早く嫌な流れを断ち切りたい中で、河田が4区に起用された。河田は1年生ながら出雲、全日本に引き続いての出場となり、今シーズン3大駅伝全てを経験したことになった。最下位でタスキを受け取った河田は前を走る神奈川大を抜き、順位を押し上げる見事な走りを披露。良い流れをつくりエース青木涼真(生命4)にタスキを託した。
3年連続五区山登りは青木涼真。4区の河田の区間8位の力走で、青木ヘタスキをつなぐ。18位で受け取ったタスキを着々とシード圏内に向けて運んでいく。小田原中継場で1分以上離れていた国士館大を函嶺洞門通過までに抜き去る。その後関東学生連合や日体大をそれぞれ抜き16位まで順位を上げる。次なる標的日大・順大の背中が見えるも、青木の山登り劇場はここで幕を閉る。全体順位16位、5時間33分とシード権まで3分52秒のところまできた。青木は自身の走りを、「褒められた出来ではない。気持ちの部分が空回りしてしまった」と語ったが区間順位は4位につける走りだった。
多くの人に感動を与える走りをした青木
監督・選手インタビュー
坪田智夫駅伝監督
ー往復を振り返って
厳しいレースでしたね。
ー3区の田辺選手から岡原選手へと区間変更がありましたが、岡原選手を起用した理由は
元々予定していたオーダー変更でした。何かあったら岡原がどこでも走るという準備を本人もしていて、本人たちにも入れ替えはこういう形で行くよっていう話はしていましたので、決してアクシデントとかで変えたわけではないです。
ー1区の久納選手が先頭集団から離される展開となりました。どのような試合運びを想定されていたか
そうですね。もう少し(他校が)スローで行ってくれると思っていたんですけど、ああいう速いレース展開だと対応し切れないのかな、というのがあります。その中でも周りのペースが速ければ、うまく組み立てて走ってくれよって(久納選手に)言ったんですけど、対応力が無かったのかなと思います。また、準備不足だったと思います。
ー活躍した選手は
河田と青木に関しては素晴らしい走りだったと思います。あと、2区の鎌田ですね。区間順位は悪いんですけど、最初から最後まで1人で追っかけてあの記録は悪くないんじゃないかと思います。
ー青木選手は3年連続の5区を走りました。試合前にかけた言葉は
個人としてはしっかり区間賞をとろうと話をしました。去年はチームのことが頭にあって前半突っ込んでしまったのかなというところなんですけど、区間賞とればチームのためになるので、個人のタイトルをとりに行こうよって言って送り出しました。
ー復路のキーマンは
6区の坪井だと思います。本人には去年ほどタイムは望んでいないんですけど、出だしのスターターとして、そして主将として4年生としてしっかり仕事をしてくれと話しています。
ー明日のレース展開はどのようにお考えですか
シード権内というところが現実的というか、それも厳しい戦いになると思います。ただ、1区間1区間積み重ねて何とか大手町まで持っていきたいと思っています。
久納碧(1区)
―レースを終えて
チームに良い流れを作れなかったので、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
―走る前のコンディションは
コンディションとしては調子も悪くなかったので自分自身「いけるかな」とは思っていました。しかし、走り始めてみると集団が思ったよりもハイペースで、そこから自分のペースでいこうかなと思って1人になった時に身体が動かなくなってしまったので、そこが身体と心が噛み合っていなかったのかなと思います。
―全日本駅伝と同じく1区を任されましたが、全日本と箱根の違いは
全日本では10㌔ない位で、箱根と違って短いので少しごまかしが効くのかなとは思います。箱根は20㌔となると、自分自身の力の差が露骨にあらわれてしまうなとは思いました。
―監督からのご指示は
監督からは、集団のペースによって対応していけと言われていて、あまりにも速いペースだったら集団から離れて1人でペース作っていくのもいいぞと言われていました。集団が速かったのでその作戦でいこうかなと思ったんですけど、思ったより身体が動かなかったです。
―1区を走る上で意識したこと
シード権との差というのは一番意識しないといけないところがあったので、そこですね。
―事前取材の際に、役割として「耐える走りが重要」とおっしゃっていました
自分としては全く耐えることができなかったと思います。
―7㌔を過ぎた辺りから遅れが見られたかと思います
集団のペースが速かったので僕自身も7㌔で切って、自分のペースでいこうかなと考えたのがそこでした。
―鎌田選手とタスキリレーをした際に何か声がけなどは
特には無いです。特には無いというか、申し訳ない、ごめんっていう思いで渡しました。
―初めての箱根駅伝を振り返って
全く勝負できなかったのですごい悔しい初めての箱根駅伝になりましたけど、この経験を殺さずに次のステップに進みたいと思います。
―その次のステップに進むにあたって改善したい部分は
まず自分の力が全然足りなかったと思うので、全ての面というか、心の面も身体の面も今以上にレベルアップしないといけないと思います。
―復路の選手へ向けて
復路には4年生とか強い同級生とかが残っているので、シード権へ向けて頑張ってほしいと思います。
鎌田航生(2区)
ー今の率直なお気持ちは
やはり悔しいというのと、厳しいレース展開だったなと思います。
ーレースを振り返って
全体的に単独走できつかったというのが感想ですね。
ーレースプランは
もともとは、もう少し速く入っていくというプランで、単独走は想定していなかったので、少し混乱してしまったというのが今回の反省点です。
ー目標のタイムなどは
去年の坂東(悠汰)さんのタイム(69分1秒)を目標にと坪田さんには言われていました。タイムとしては目標に近づけたのですが、区間順位は全然届いていないので、来年以降リベンジしたいと考えています。
ーエース区間の起用について
今は2年生ですし、来年以降もまだ2区を走ることもあるというところで責任を感じています。
ー今回の経験で得たものは
もう少し速い展開で入っていかないといけないというところが今回の反省点ですし、今後そういった練習をしていかないといけないと思いました。
ー監督とお話されましたか
タイムは後半に関しては悪くはないのですが、前半もう少し速く入ってもよかったと言われました。そこはやはり反省点だと思いますし、変えていかないといけないところだと感じています。
ーこのあと走る選手へ
前半少し出遅れてしまいましたが、後半走る選手も実力が十分あるので、しっかりと落ち着いて走って追い上げてほしいなと思います。
岡原仁志(3区)
ーレースを振り返って
1区2区で出遅れてしまってなんとか流れを変えたかったですけど思うように走れなくて悔しいです。
ー今大会に向けてのコンディション調整は
11月くらいまではあまり上がらなかったですけど12月に入って上がりはじめました。このまま上手くいくと思いましたがそんなに甘くはなかったです。
ー3区の起用について
昨年も3区を走っていて今年も事前に3区を走ることが分かっていたので準備はしていました。
ー今年は20位でタスキを受け取りましたが
昨年は10位前後でもらい、今年は最後でタスキをもらいました。少しでも前との差を縮めようと努力しました。
ーこれから走る選手に向けて一言
4区は1年の河田でとても良い選手ですし5区の青木は区間新記録を出したことがある選手なので期待したいと思います。
ー応援してくれたファンに一言
なかなか思うような走りが出来ず、悔いが残ってしまうような形にはなってしまいましたが変わらずおしてくれて感謝の気持ちでいっぱいです。
河田太一平(4区)
ー今日のレースを振り返って
序盤から厳しい展開で自分が順位を上げることは厳しいかと思っていましたが、思った以上の声援があってきつい部分でも踏ん張ることが出来ました。
ー4区のレースプランは
坪田監督からは前半から攻めて後半は粘るレースでと言われていました。区間順位は10位目標にしていたので切れてよかったです。
ー2人抜かれました
結構遠いかなと思っていましたが、後半近づいてきてもう一人抜きたかったです。しかし最後足がつりそうになってしまって、つってしまっては大きなタイムロスになってしまうので最後は少し抑え目で走りました。
ー20位でのタスキわたしは
すごく不安でした。全日本の時と同じように差が開いている展開で不安でした。走り的には全日本のリベンジはできたかと思います。
ー箱根への意気込みはは
やるしかないと思っていました。どうにか走り切りたいと思っていました。
ー復路のメンバーへ一言
4年生メインで+中園が入っていると思いますが、中園はすごく調子よいので僕以上の走りをしてくれるのかなと思います。出雲駅伝の僕が走った時に中園は「俺のほうが速く走れた」って言われたので僕以上の走りに期待しています。
青木涼真(5区)
ー今日のチーム全体の走りを振り返って
力を出し切れた選手、出し切れなかった選手いると思いますが、駅伝の結果はチームの結果なので、チーム全体として僕らは力が今回の箱根を戦うには足りなかったのかなと思います。
ー自身の走りは
全く褒められるものではなく、最後の箱根駅伝やってやる!という気持ちが逆に空回りしてしまった部分もあると思います。
ー3年連続の5区起用でした、監督からかけられた言葉などはありましたか
監督は特に僕に細かい指示は出してきませんが、5区を任された瞬間に信頼を感じました。
ー青木さんにとって5区山登りとは
箱根がなければ、絶対にやりたくないです。走りたいという気持ちで5区を担当しているというより、チームが勝つために5区を担ってるので、特に思い入れはありません。
ーチームが遅れて行く中、どのような思いで他の区を見てましたか
流れに乗れないのは、チームとしては厳しい部分があります。しかし自分のところで断ち切ろう思っていて、どんな順位でも自分の走りをするだけでした。ただただ自分がやるべきことだけを考えてました。
ー今シーズンは1年間を通して、青木選手がチームを牽引していたと思います。この1年を振り返って、辛かったことやよかったことなどがあったら教えてください
4年生が足並み揃わない中ではありましたが、1、2、3年生と自分が怪我していた時に同期の選手たちが頑張ってくれていたので、今回は僕がその役回りになっただけなので、みなが安心して戻ってこれるチーム、自分はなんとかチームをまとめ続けて、戦えるチームを維持することを考えてました。選手としても人としても成長できた一年かなと思います。
ー大学での陸上生活が終わりました。4年間を振り返って一言お願いします
4年間結局自分の満足いく走りはできずに終わってしまいました。しかしこの4年間は絶対に無駄にしてはいけないと思っています。次のステージで陸上を続けて行く中で、この4年間の経験を大事にしていきたいと思います。