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【アメフト】第87回関東大学リーグ戦直前特集 『不屈の主将山岸、新たな歴史を刻まん』

第87回関東大学リーグ戦
2020年10月10日(日)―

『学生日本一』への挑戦が始まる――ついにあす初戦を迎える法大ORANGE。8年ぶりの関東制覇へ、ORANGEを率いる山岸達矢主将(社4)のストーリーです。

山岸主将の開幕直前取材はこちら

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『覚悟』の1年。集大成へ

橙将山岸達矢

「勝ちたい気持ちに学年は関係ない」

主将・山岸達矢が昨年の春に言っていたことだ。3年生ながらに副将を任された山岸は、当時から『勝利』そして『日本一』への思いが人一倍強かった印象がある。加えて、当時語っていたのは『真剣さ』の重要性だ。
人間、誰もが簡単に生きられるならばそちらの道を選ぶものである。しかし、法政ORANGEが掲げる『日本一』という目標を達成するには、そんな甘えた考えはいらない。いかに自身の甘えを殺し、ただ先を見つめて自己の心身を陶冶していくかによって個々の能力差が生まれてくる。そして個が集合になり、総合値が勝った方が勝つ。
もちろんスーパープレーが起きれば観客は沸くが、広いフィールドの中で我慢強く堅実にプレーをすれば確実に勝利が近付くのがアメリカンフットボールというものだろう。そしてそこで重要になるのが山岸の語るような、フィールドで戦う11人それぞれがその試合までの日々で真剣に勝利を目指してきたか、そして試合の中でどれだけ自身の心を燃やし続けるかといったものなのだろう。

学生で日本一を取れるチャンスは4回

大学において『日本一』になるチャンスは誰でも例外なく4回しかない。時間ほど平等なものはないだろう。たった4年という、あまねく人々が平等に有している時間の中で自身を研鑚する必要があり、研鑚したとしても『日本一』という称号を手にするチームは1年に1チームのみ。同じだけの時間を消費しているのに、『日本一』は不平等だ。頑張ればみんなが貰えるものじゃない。
昨年の法大はリーグ2位。甲子園ボウルには届かなかった。それは山岸が3回目のチャンスを逃したと同義であり、泣いても笑っても残されたチャンスはあと1回。このことについて山岸が「悔しい」と語るのを何度か聞いている。何度も口にしてしまう程にこの4回というチャンスは稀有なもので、そのチャンスの一つを失った昨年の早大戦は特に悔しいものだった。
前半終了時点では28―14と倍のリードを保っていたにもかかわらず、後半で早大の猛攻に押され、最終的に善戦空しく28―35で敗北。一昨年と同様、目の前で早大の優勝が決まった。秋風に吹かれながら優勝チームの熱気に置いて行かれるあの感覚はもう味わいたくないものだ。今年こそは喜悦に心臓を震わせ、歓喜の涙を流したい。そのためにも、『覚悟』を持って臨む必要がある。

 「全てを『日本一』にかけるということが僕の中での『覚悟』を持って取り組むということ」

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ORANGEは今年のチームテーマを『覚悟~ONE~』と設定した。山岸が言うに、「『覚悟』というのは、学年によってとか立場によって役割によって全然違う」ものだ。そして、主将という立場の山岸が持つ『覚悟』とは、「全てを『日本一』にかける」こと。3年生の春に副将に任命されてからずっと、誰よりも『日本一』への強い思いを募らせてきた山岸は、既にそれだけの『覚悟』を携えている。
こうして自身の覚悟を示してくれたのは今年の2月の頭だった。その後、コロナウイルスという誰も予想できなかったどうしようもない障害が立ちはだかる。社会全体が得も言われぬ不安で覆われていたあの期間はきっと、全てを懸けたくともできなかったのではないだろうか。その歯がゆさというのはきっと語り尽くせないものだったのだろうと推察できるが、それを乗り越え、10月10日より関東学生1部リーグTOP8が開催される。つまり、山岸にとって最後の『日本一』獲得のチャンスがやってくる。

法政ORANGEに新たな歴史を

先日我々スポーツ法政新聞会が独自に行った取材や、リーグ戦開幕前の会見で山岸が度々口にしたのが「歴史を新しく作りたい」という言葉だ。法大がORANGEの体勢に移行して今年で4年目となる。この4年間に甲子園ボウル出場の記録はないが、そろそろORANGEの歴史に日本一獲得という大きな山が欲しい。また、ORANGEに移行して初めての新入生だった選手たちがラストイヤーに日本一という歴史を生み出すというのは、なんともドラマチックで趣があるものだ。ここは現実だから、そんな物語のような展開になりようがないとも思う。一方、ここが現実だからこそ、人の力によっていかようにも結果は変えられる。きっと歴史だって作れるはずだ。山岸を先頭に据えたORANGEが新たな歴史を刻む瞬間に立ち会う日が待ち遠しい。

(記事:小倉明莉)

日大戦展望

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