監督、選手インタビュー
溝口智成 監督
―昨年を振り返って
春は本当にイレギュラーな開催だったので、大学野球のリーグの中で唯一開催できたこと自体が良かったなという印象です。あのシーズンはそれ以上の印象はないです。秋に関して言うと、4連敗から始まって、開幕2週で実質うちの優勝がほぼなくなるというようなスタートをしてしまいました。非常に残念な始まり方だったなという印象があります。後半は盛り返して何とか勝ち点3までいきましたけど、優勝に向かっていくという点ではなかなか厳しいスタートでした。そのスタートが悪かっただけに、結果として4位に甘んじてしまったと思っています。
―立大は六大学の中でも解散が早かった方だと思いますが、苦労した点は
時期的にうちが早かっただけだと思います。5、6月に関してはどの大学も似たようなものだったので、うちだけが、という思いはなく、粛々と世の中に対応していくしかないと思っていました。大学として厳しいという思いは持たないようにしていましたし、持っていても前向きなことではないので、与えられているものの中でベストを尽くすしかないなと思っていました。そしてそれは今も思っていることです。
―合流後選手にお話しされたことは
活動を再開した時には「こんな世の中なので、今野球ができること自体に感謝しよう。それからもう一回中止や休止にならないようにみんなで気を付けよう」ということをメッセージとして伝えました。
―立教大学の野球とは
どこの野球部もそうだとは思いますが、うちは特にいろいろなところから選手が集まってくる野球部だと思いますね。多様性というか、一般入試でも入ってきますし、浪人していても入ってきます。内部生もいます。指定校推薦を各学校で頑張って取って入ってくる子もいます。スポーツ推薦ではないですけど、アスリート入試で高校時代から有名な子も入ってくる。なので、ある意味、勉強も野球も切磋琢磨しながら一つになっていこうとしている野球部だと思います。そういう中でも、全員が寮に入ってやっているので、いろいろな経歴の者が一つになって六大学の一員として優勝を目指すという野球部になってほしいと思ってやっています。
―投手陣の軸は
軸がいないんですよね。去年の中川(颯、現オリックス)とか、その前の田中誠也(現大阪ガス)などの間違いなくチームの軸と呼べる選手が(去年までは)いたんですよね。でも今年に限っては軸と呼べる選手がまだいないですね。なので、それを作りながら戦っていったり、それが1人に集中しないでも戦っていけるような投手陣作りをしながらやっていこうとしているというのが現状ですね。
―中川選手はどのような存在でしたか
1年の時にあれだけ活躍をして、悪い時期もいっぱいありましたし、なかなか期待通りの働きが出来なかったというのは本人もよく話していますが、そういう部分もある中で、うちの中では3年、4年の時に大黒柱として存在していたことは確かですよね。今思うとね、頼もしいというと言い過ぎだと思うし、言葉が違うかなとは思うけど、軸になる投手として絶対的に立教の中にいたというのは思いますね。
―野手陣の今期の軸は
野手は経験を積んでいる選手が多いので、名前を挙げるとピッチャーよりは出てきますね。キャプテンの太田(英毅)、ファーストの東(怜央)。ちょっとけがで出遅れているんですけど柴田(颯)、宮﨑(仁斗)、あと山田(健太)ですね。この辺は経験もあるので中心選手としてやってもらいたいなとは思いますね。
―山田選手、宮﨑選手の2選手は1年春から重要な打順を任されています。かかる期待も大きいでしょうか
2人とも1年の時から試合に出てはいるけど、もっともっと実績を出さないといけないと思っています。宮﨑に関しては、去年1年は出たり出なかったりというのが現状でしたので、上級生になる3年生からどういう活躍をしてくれるのか、ということは思ってます。山田に関してはうちの打の軸であることは去年から間違いないと思います。ただ、六大学の4番として見れば、他校の4番と比べてみればまだまだだと思いますので、成長を楽しみにしながら、チームのために(活躍してくれる選手に)なってくれればなと思います。
―主将の太田選手への期待は
ここ最近キャプテンになるとその年の成績がしぼむ選手が多くて。去年なら宮(慎太朗、現日立製作所)、その前は藤野(隼大、現Honda)。2人とも3年次の方が(成績が)良くて。キャプテンの重圧なのかどうか知りませんけど、太田は自分からキャプテンをやりますといって(主将に)なっていますから。自分に課した責任と周りからの期待も大きいので、それに応えられるようなプレーを期待しています。
―法大の印象は
毎年そうですけど、豊富なタレント、特に高校時代から実績を持った選手が多いと思いますね。野球の技術、レベルが高くて、その部分ではガチンコで勝負したらなかなかうちはかなわないなと思っています。
―昨年は法大に3試合負けなしです
法政大学さんだから、という対策はしなかったですけど、ピッチャー陣が去年良かったじゃないですか。高田(孝一、令2年度卒=現東北楽天)君、鈴木(昭汰、令2年度卒=現千葉ロッテ)君がドラフト上位でプロに行くようなチームなので、どうやってその全国レベルの大学のエースを攻略していくかという意識はだいぶ高かったんじゃないかと思います。
―法大で警戒する投手は
ピッチャーはいっぱいいますよね。その中でも最終学年でキャプテンとなった経験豊富な三浦(銀二、キャ4=福岡大大濠)君をどう気持ちよく活躍させないかというところがポイントになると思いますね。バッターは割と新しい力で(打線を)作っていくのかなとこっちの目からは映っていますね。岡田(悠希、人4=龍谷大平安)君とかキャッチャーの大柿(廉太郎、法3=健大高崎)君とかの去年から出ている選手をケアしながら、新しくレギュラー格として出てくる選手を警戒する。それが誰になるか分かりませんけど、野手に関しては誰を注意するかというよりはオーダー、技量を見て注意していかなくては、と思います。
―今季の意気込みをお願いします
去年の卒業生までは優勝を経験しているのですけど、丸3年間優勝から離れてしまったので、今年の選手は誰も優勝を知らないことになります。ここで優勝から遠ざかると、「優勝から遠い立教」というふうに自分たちも思いますし、他校からも思われてしまうので、何とかこの春に優勝したいとは思っています。ただ、それだけではなく、このコロナ禍でリーグ戦が通常開催ではないですけども、いろいろな方の協力があって開催されますよね。うちもその一員として元気にリーグ戦に突入して、突入した後もはつらつと世の中を元気づける、といったら大袈裟ですけど、元気に六校と共に東京六大学野球を行っているというのを示せたら、というのも意気込みではあります。
(取材:五嶋健)
溝口 智成(みぞぐち・ともなり)
1967年11月23日生まれ
神奈川県出身・湘南高→立大→リクルート
『立大では、一塁を守り2度のベストナイン、主将も経験。卒業後はリクルートに入社し、社会人野球の舞台で6年間プレーし1997年に引退。2014年に立大野球部の監督に就任し、4年目の17年はチームを日本一に導いた。』
太田英毅 主将
―昨年を振り返って
持ち味であるバッティングをリーグ戦の舞台であまり発揮できなかったというのが、悔しいシーズンとなりました。
―チームとしては
チームとしては優勝を目指してやっていった中で優勝できなかったというのがやっぱり一番悔しいですし、昨シーズンだけでなく入学してからまだ優勝を経験できていないというのが現状なので、そこに対しての悔しさというのは一番あります。
―オフの調整で課題にしていたことは
優勝に対して強く意識するというのはこのオフの期間に取り組んできました。リーグ戦を経験していないメンバーが今のメンバーでは多くいるので、その中でもしっかりリーグ戦で勝ち抜けるように常にリーグ戦を想定した練習というのをずっとやってきました。
―自身の課題に対する調整は
バッティングで自分のパフォーマンスをしっかり出すために、練習では取り組んできました。
―主将になり大変なことは
人数が多いので優勝するために、結局試合に出られる選手はその中で限られています。それでも全員が同じように優勝をするための貢献策というのは人それぞれ違うので、個人個人が優勝に対してどういう貢献をするのかというのをメンバー全員に行き渡らせるのが難しいというか、結構苦労はしています。
―これまでにチームをまとめる立場の経験は
高校野球とかでも一応副キャプテン、そしてチームをまとめる立場ではありました。
―その経験が今のチーム作りに生かされている
そうですね。でもやっぱり高校野球だと佐賀県で(部員が)50人もいなかったのですが、今は4学年で、1年生も最近入ってきて100人は軽く超えるような大所帯なので、そこに対しての難しさというのを感じます。
―主将から見てチームの状態は
オープン戦とかを通して思ったよりも順調にきているなというのは(感じます)。いい感じにはきています。
―オープン戦からリーグ戦の期間に入る上で意識することは
常に自分たちの野球をするというのが今のチームではずっと言ってきていることなので、あえて直すのではなくて、自分たちがこの冬やってきたことを神宮の舞台で出せるようにアプローチはしていきたいです。
―法大の印象は
メンバーの厚さというのは法政大学には本当に感じています。そこに対しての力の差というのは正直あるとは思うんですけれど、自分たちの野球をすることで勝負になると思いますし、そこはもう油断せずにやっていきたいです。
―法大で意識している、警戒している選手は
投手陣に関してはキャプテンの三浦銀二とか山下(輝、営4=木更津総合)だったりというのは去年から経験豊富ですし、そういう投手陣をしっかり打っていかないといけないと思うのでチームとして意識しています。個人的には副キャプテンの後藤(克基、法4=滋賀学園)が中学校で同じチーム、同級生でやっていてプライベートでも仲がいいんですけれど、やっぱり野球になるとライバルとして負けたくないという気持ちが強いです。
―主将から見て期待したい選手は
今まで(リーグ戦を)経験している山田、宮﨑、東辺りはもちろん頑張ってほしいんですけれど、今冬大きく成長した道原(慧)という選手がいます。足が使えますし守備も良くて、バッティングもいいので道原本人が持っているものをリーグ戦で思う存分発揮してもらいたいです。
―大学に入ってからこれまで自身の成長した点は
1つ言えるのはやっぱり体はもちろん大きくなりました。あとはバッティングです。最近本当に状態が上がってきたんですけれど、ミートする確率というのが今まであまり高くなかったのでそこをしっかりこの冬はテーマとして取り組んできて、やっと成果が出てきたかなという印象ではあります。
―リーグ戦が始まりますが、チームメイトにかけた言葉は
ちょうど今、オープン戦がレベルの高いチームとやらせていただいて、こういうチームに勝たないとリーグ戦では絶対に勝てないというのは常日頃から言っています。オープン戦1試合1試合に対して常にリーグ戦を想定してやらせるようにはチーム全体として意識しています。
―ラストイヤーの意気込みを一言
今の立教大学野球部の部員は入学してから優勝を経験できていないというのが現状です。そこを何とか打破していかないと優勝ができないので、優勝に対してどこの大学よりも強い執念を持って1年間、まずはこの春を戦い抜きます。
(取材:山中麻祐子)
太田 英毅(おおた・ひでたけ)
コミュニティ福祉学部4年 1999年8月21日生まれ
兵庫県出身・智辯学園
177cm84kg・右投右打
『主将として立大の精神的支柱となり、4年ぶりの優勝を狙う。今年は1年次からリーグ戦に出場している経験を生かし、打線の中軸を担うなどプレーでもチームの大黒柱として活躍が期待される。』