初戦から守屋達貴・加藤木塁ペアと佐野有佑・矢島淳揮ペアの同校対決が行われた。試合は佐野・矢島ペアのブレイクから幕を開けた。しかし守屋・加藤木ペアも負けじとブレイクブレイクバックをすると、一進一退の膠着状態へ。試合が動いたのは第9ゲーム。佐野・矢島ペアが巧みな連携プレーで再びブレイクを果たすと、6-4でこのセットをものにした。続くセカンドセットは打って変わり、主導権を握った守屋・加藤木ペアが4ゲームを連取。佐野・矢島も力強いストロークを武器に食らいついていくが、相手の勢いは止められず。このセットは守屋・加藤木に軍配が上がった。勝負のファイナルセット。互いにネットプレーで相手を翻弄し、序盤から両者一歩も譲らぬ展開を見せる。しかし最後は守屋・加藤木が勝負強さを発揮し、準々決勝に駒を進めた。
コメント
守屋達貴・加藤木塁ペア
ー試合を振り返って
守屋:今日の試合はいきなり追う立場から始まったことと、同士討ちということで2人とも焦っていましたね。大事な所でミスが出てしまったり、僕自身もボレーとサーブが入りませんでした。ファーストは打開しようとはしましたが、取りきることができませんでした。セカンドも僕のサーブをいきなりブレイクされ、とても動揺しました。ですが加藤木くんが声を出して、ボレーとサーブを入れてくれたので、セカンドからは助けられました。
加藤木:最初はサーブが入らなくて、自分たちの形でポイントがあまり取れませんでした。
守屋:4年生の佐野くんが本当に固くて最強でした。
加藤木:ファーストは本当に何もできませんでした。セカンドからは自分から前に前に詰めて攻めることをやっていったら、ハマったんですよ。なのでそのままファイナルも声と自分たちの持ち味を出してやったら勝っちゃいました。
ー全国大会初勝利のお気持ちは
守屋:インカレでも同士討ちで、今回そうだったので勝ててほっとしています。
加藤木:勝ちました!うん、勝ちました!本当に嬉しいです!
ー勝因は
守屋: 2人で速い球が来ても、ガツガツ前に前に行くことを最後は徹底してできたところです。最後は加藤木が俺を見習ったボレーを披露してくれたのでよかったです。
ー対戦相手はどうでしたか
守屋:佐野さんが前にきて、矢島が作る感じでした。佐野さんが強かったのでなるべく打たせないように、触らないように意識して、矢島に逃げました。
ー具体的にどのように佐野さんに打たせないようにしましたか
守屋:相手が雁行陣だとストロークを多用すると慣れられてしまうので、一回前衛に触らせて打たせるようにするという鉄則があるんです。ですが、それを佐野さんにしてしまうと質の良い球で返されてしまい、押すはずのボレーで押し返されてしまうので、低く低く打つことを意識しました。
ー屋内と屋外で変化はありますか
守屋: 僕のプレースタイルには変わりはありません。インドアは音が鳴って好きですが、僕はサーブが遅いので風が利用できないと言いうのは難点です。
加藤木:元々インドアのクラブで育ったので、僕はインドアが得意なんです。自分も打っていると気持ちがいいし、自分が強くなった感じがして結構ガツガツプレーができます。インドアは良いなと思います。
ー次の試合への意気込み
守屋:チャレンジャーであり、同士討ちではないので、ガツガツ向かっていくだけです。自分たちの持てる力を出して戦いたいと思います。
加藤木:個人個人が強いので臆せず、今日みたいな強気なプレーをしたいです。そうすれば絶対にチャンスはあると思うので、あまり相手の事は意識せずに自分たちのプレーをしたいです。
佐野有佑・矢島淳揮ペア
ー今日の試合を振り返って
佐野:出だしは良かったと思います。守屋・加藤木ペアはずっと組んできているということもあり、勝負強かったです。敗因としてはファーストで勢いに乗れたにもかかわらず、セカンドでそのまま行けなかったところです。セカンドの序盤に僕がキープできなかったことがセカンドを取れなかった原因だと思います。ファイナルは相手の良いようにされてしまいました。踏ん張ろうとはしましたが、厳しかったですね。あとは僕のサーブの時はいつも取れていますが、ペアのサーブになると僕の前衛が機能しきれなくて、落としてしまうことが結構あるんです。今回もそうだったので、もったいなかったです。
矢島:率直に悔しいです。結果もそうですし、プレーの内容自体も悔しいです。ファーストは競りながらも取れて、セカンド序盤は勢いに乗っていました。佐野さんは自分が戦犯をかましたみたいな言い方をしてましたが、そんな事はないです。僕のボレーが入らなくて結局取られてしまったと思います。ファーストを取れた要因も僕が調子が良かったというよりは、佐野さんが良かったんですよ。今日は佐野さんが相手にプレッシャーを与えて、僕を引っ張ってくれたので、その点でも悔しさが残っています。
ー佐野選手は前衛を得意としていないようにみえました
佐野:苦手ですね。自信もあまりないですが、受け身にならないように、いかに自分からボールを触りに行くかということを意識しています。あとは相手との駆け引きを見ながら、どちらに動くかと言うのは常に考えています。
ーどのような戦略を考えていましたか
矢島:平行陣をどのように崩すかという話をしていました。守屋の方がボレーの技術に長けているので、加藤木にボールを集めて球を甘くさせて、攻めようと話していました。
佐野:あとは早めにブレイクしたいという気持ちがあり、ブレイクするなら(加藤木)塁ではなくて、(守屋)達貴のサーブの時がチャンスだと考えていました。
ー今回ペアを組んでみていかがでしたか
佐野:頼もしかったですね。プレーの面でもそうですし、特に気持ちの面で引っ張ってくれました。僕がナーバスになりがちなタイプなので、淳揮のおかげで終始気持ちが下がらずに済んだと思います。
矢島:すごい組みやすかったです。プレーの面ですごい引っ張ってくれるんですよ。サーブのコースも佐野さんに任せたり、ラリー戦でも佐野さんが攻撃してくれました。本当におんぶに抱っこだったと思います。
ーインカレインドを振り返って
矢島:2試合しましたが、勝つことができずに終わってしまいました。大学に入ってからインカレインドアで勝ったことがないので本当に悔しいです。それと同時に得た課題もあるので、それを持ち帰って練習し、次の大会に備えたいと思います。このままではいけないという気持ちが強くなりました。
ー課題とは具体的に
矢島:これはシングルスとダブルスどちらにも共通している話で、女子と比べて男子のテニスはサービスゲームとリターンゲームだとサービスゲームの方が圧倒的に取得率が高いです。つまりサーブが大事なので、相手にプレッシャーをかけられるようにサーブの威力と精度を上げていかないといけません。あとはボレーです。ボレーも入れられるようにはなりましたが、やはり威力がないので相手にプレッシャーがかかりません。サーブとボレーの威力と精度の向上が不可欠だと思いました。
ー最後の公式戦を終えて
佐野:学生大会で同士討ちはやりたくないと思っていましたが、結局対戦することになってしまい、なおかつ負けてしまったので少し心残りなところはあります。ですがこの前のリーグ戦で引退のところをダブルスで頼られて、夏関もインドアも出させてくれたのはありがたかったですね。最後は後輩を引っ張りきれなかったので、少しだめなところもありました。ですが僕なりにプレーで後輩たちに何か伝えることはできたと思うので、あとは後輩たちに託してこれからも頑張ってもらいたいです。
男子ダブルス2回戦
中川舜祐 ・大田空ペア
2人で臨む最後の学生大会。2回戦の相手はインカレダブルス王者・藤原智也を含む藤原・下村亮太朗ペア。優勝を目指す中川・大田にとって山場となったが、強敵を前にあと一歩及ばなかった。接戦となったファーストセット。第7ゲームをブレイクされるも、その後すかさずブレイクバック。5-6で迎えた第12ゲーム。サービスエースを含む、相手の強烈な攻撃に、5-7でこのセットを落とす。「じっくり行こう」と話したというセカンドセットでは、打ち合いの末、ボレーが決まるなど粘り強さが光る。戦術を変え、優位に試合を運びファイナルセットへ持ち込む。迎えたファイナルセット。ここでもシーソーゲームとなるも、相手のサーブでポイントを取ることができず7-9。追い込まれたが、粘り強さを見せ9-9に。しかし、最後は藤原にサービスエースを決められ9-11で敗戦となった。試合後、中川に感謝を述べ、来年の優勝を誓った大田。チームの中心として戦う姿に期待がかかる。
守屋達貴・加藤木塁ペア
同校対決を制し、2回戦に駒を進めた守屋達貴・加藤木塁ペア。ファーストセット序盤は、試合後に「縮こまっていた」と語ったように、第4シード相手に自分たちのプレーを披露できない。第6ゲームからは前に出て積極的に攻撃を仕掛けるも、このセットは3-6で落としてしまう。続くセカンドセット。先程とは打って変わり互いにキープを続け、試合はこう着状態に。第8ゲームに守屋・加藤木がブレイクを果たすもすぐにブレイクバック。第13ゲームまでもつれ込んだ。並行陣を武器に相手を翻弄するも、個々の技術力で対応され、6-7で試合は敗戦を喫した。試合後「課題も見つかったので結果的には良かった」と語る守屋と「もっと上で戦える自信がついたと」前向きな姿勢を見せた加藤木。2人のインカレインドアはベスト8で幕を閉じた。
コメント
中川舜祐 ・大田空ペア
ー今日の試合を振り返って
中川:今までで一番悔しいかもしれないです。ここ2年間ずっと(大田)空と組んでいて、去年のインカレでは準決勝で岡垣さん、柚木さんと戦ってマッチポイントまでいって負けて。そのまま岡垣・柚木ペアが優勝して、「次はお前らの番だな」と言われたので優勝を目標にずっとやってました。今年のインカレは優勝できなくて、でもリーグ戦でインカレ王者に勝ったこともあって、今回の大会に向けて力を入れていました。空とのダブルスもこれで終わりかと思うとすごく悔しいし寂しいです。
大田:自分たちが今までやってきたことが全て出たと思います。舜さんもシングルスで体が疲れていたし、お互い絶好調ではなかったです。その中でファーストセットを落として、セカンドセットでは反省を生かして取れて。去年の同じ時期に試合をしていたらおそらくストレートで負けていたと思います。簡単にストレートで負けるのではなく、惜しいところまで行くのに負けてしまうというのは悪い意味で僕たちらしくなっちゃったと思います。今後、舜さんと組むことは学生大会では出来ないし、舜さんよりダブルスが上手な人やボレーができる人はいると思いますが、フォアがここまで良くて、前向きで楽しくダブルスができる人はいないと思います。これから組む中ででここまで信頼できる人に当たるかも分からないし、これ以上の人はいないと思うので感謝の気持ちでいっぱいなのと、申し訳ないなと思います。
ーファーストセットは厳しい展開でしたが、セカンドセットで勢いを取り戻しました
中川:ファーストセットでブレイクされたのが空のサーブで、その時は攻め急いでいる感じがあったので、じっくり行こうという話をしました。
ーセカンドセットが取れた要因は
中川:ファーストセットでは僕のリターンが通らなくて乗り切れてなかったし、空のサーブも乗り切れていなかったのですが、リターンが通りだしたという所が大きかったと思います。
大田:ファーストセットでは、ブレイクはできていたのですが、僕のサーブで2回ブレイクされて取られました。だから、僕の中ではどこかでブレイク1つはできるだろうと思っていたので、あとは得意のサーブを絶対に落とさないようにしていけばセカンドセットの流れはこっちに来るのかなと考えていました。
ー相手選手の印象は
中川:藤原くんは何回も対戦していましたが、下村くんは初めてでした。リターンが良い印象ですが、リーグ戦で勝った時にはしっかりとそこを封じていました。今日もそこまで抜かれることはあまりなく、封じることができたと思います。下村くんのサーブが良いのでブレイクするのが難しいから藤原くんのサーブでブレイクする、基本はキープという話をしました。
大田:藤原の方はシングルスが高校の頃は特に強くて、ダブルスはそんなに上にはいなかったのですが、リターンとストロークがとにかく固くて欠点もなくて。去年のこの大会で初めて対戦したのですが、僕のサーブで半分くらいリターンエースを取られていて、その印象が強かったです。あと、僕らのことを考えて作戦を立ててきたのが伝わりました。藤原くんが得意なリターンを僕らが止めるのを分かっていたのでそれを打たず安全な方を選んだり、サーブも僕が苦手なコースを打ったりしてきたのかなと思います。
ー勝ちきれなかった原因は
中川:欲を言えばファーストセットを取りたかったですが、ファイナルまでいって紙一重でした。最後はサービスエースを取られ藤原の強さを見せつけられました。最後7-9から9-9まで戻したのは良かったです。でもそこで僕のファーストサーブが1回で入らなくて落として、藤原はしっかりサービスエースを決めてきて。ものすごく悔しいです。
大田:舜さんも言っていたのですが、ファーストセットを取れなかった。これは大前提として、ファイナルに入ったら実力差関係なくどっちが勝つか分からないというのは分かっていました。その中で、ファイナルセットは自分らしいプレーが出来なかったなと。守りに回ったつもりはなかったですが、後から思い返したら逃げ腰なプレーが多く、それがいい方に働くわけもなく後手後手に回っていたと思います。
ーお互いに一言
中川:2年間ありがとうございました。最初は賀川さん(昨年度卒)と空が組んでいて、僕と田中が組んでいたんですけど、賀川・大田が上手くいかなくて賀川・田中で組むことになったので余り物で組みました。それが意外と上手いこといって勝てて嬉しかったです。空と組むまでは自分もダブルスの成績が良くなくて、リーグ戦も4年生になってもダブルス出られないかなと思っていましたが空がいてくれて出ることができてすごく嬉しいです。最終的には優勝できなかったけど、経験を生かして優勝してほしいですね。
大田:まずは申し訳ないなという思いが大きいです。僕が1年生の時のインカレで、実際に優勝があと一歩に見えていたので、自分の中でもこの人と組んでいたらいつか優勝できるんだろうなと思っていたからこそ、それに甘えてしまっていたのかなと。今回のインカレインドアは他校はあまり4年生が出ていなかったのでチャンスだったのですが、勝ちきれなかったのは申し訳ないなと思います。あとは感謝の気持ちでいっぱいです。1年生の時はダブルスで勝てていたのですが、ほとんど中川さんにやってもらっていたので。本当に僕がボール触るのは2割とか3割とかだったので。点を取るのは僕が多かったですけど、美味しいところだけ僕がもらって、あとは基本中川さんがやってくれて。今年のインカレくらいからそれが徐々に僕もダブルスができるようになって、リーグ戦も全部勝って恩返しできているかなと思っています。最後恩返ししきれなかったなと思います。中川さんと優勝したかったですが、今までたくさんのことをしてもらっているので、その経験を生かしてあと2年といわず、来年優勝しようと思います。
ー(大田さんへ)今後の目標は
次の大会が新進で、ダブルスはおそらく出られないのですが、シングルスはぎりぎり出れるので、まずはそこに向けてシングルスを調整していきたいです。また、来年は自分たちが主力となって戦っていく必要があるのは理解しているので、それに向けてしっかりと練習していきたいです。
ー(中川さんへ)明日のシングルスに向けて
ダブルスで負けると思っていなかったから、絶対に勝つという気持ちが強くなってます。相手は去年のインカレでベスト8のところで負けているのですが、そんなの関係ないし、最後だから思いきってやって、マジで勝ちますよ。本当に勝ちますよ。
守屋達貴・加藤木塁ペア
ー1セット目は押されていました
守屋:出だしの調子は本当に悪かったですね。ファーストセットは僕のボレーが入らなかったです。あとは相手に強いというイメージを持ちすぎて縮こまってしまいましたが、セカンドからは立て直せたので良かったです。
加藤木:最初は1回戦のようにガツガツしたテニスができず、自分たちの流れを作れませんでした。あとは守屋さんの言うように小さくなってたと思います。
ーセカンドセットの9ゲーム目が肝だと感じました
守屋:間違いないです。10-40まで行ってから作り直そうとしたことが良くなかったですね。相手に流れを持っていかせないような短いプレーでポイントを取れれば良かったと思いますが、そこで僕のボレーが入らなかったのも痛かったです。
加藤木:僕のサービスゲームで大チャンスだったので、もっと攻撃的にいけば良かったと思います。
ー調子はいかがでしたか
守屋:今日は調子が悪かったです。バックボレーのアングルが得意でしたが、最近少し迷ってしまい入らないことが続いています。打ってもミスしてしまうと思ってしまい、中途半端にボレーが浮いてしました。
加藤木:今大会、僕は調子が良かったです。自分でもポイントを取っていくことができたので良かったと思います。
ー今大会で見えてきた課題は
守屋:気持ちですね。加藤木とかは高校で全国の上位で戦って、日本一も取ったような選手なんですよ。僕は上位に来たことがなかったので「俺こんな強い人に囲まれてプレーしてるの恥ずかしい」という気持ちがありましたね。なので技術よりは気持ちですね。
加藤木:全部のショットがひと回り上手くなればいいと思います。あと僕の突き球がもう少し相手を追い込めるようになれば、前の守屋さんが楽になるので、それをやれるようになりたいです。
ー監督さんからはどういう言葉をかけていただきましたか
守屋:サーブが振りきれていなかったことと浮いた球を迷って迷ってミスしていると言われました。技術というよりかはもっと思い切ってやって良かったんじゃないかと言われました。
加藤木:もっとボレーを練習するように言われましたね。ボレーがダブルスの基本なのでもっと堅くなれば上にいけるんじゃないかということと、あとは浮いた球にについて細かいアドバイスをもらいました。
ーインカレインドアを振り返って
守屋:初めて関東以外のペアと当たったので、自分たちが全国でどのくらい通用するかということわかりました。結果は悔しいことは悔しいですが、まず一勝できたことは嬉しいです。あとは課題も見つかったので、良かったのかなと思いました。
加藤木:良い経験になりました。もっと上で戦えるのかなという自信がついたので、もっと練習して、足腰鍛えて、一からやり直そうという気持ちになりました。
(取材・溝口真央/東夏紀)