【サッカー】4年生特別インタビュー① 宮本優&森山真伍 編

2021年12月16日(木)
法政大学多摩キャンパス
城山グラウンド

約1カ月前、法政大学体育会サッカー部の2021シーズンが終了しました。夏には総理大臣杯を制覇し、日本一を達成。リーグ戦やインカレなどのタイトルは逃したものの、最後まで懸命に戦い抜きました。そんなチームを支えた15人の4年生に、最後のインタビューを実施。激動のラストシーズンを終え、4年間を振り返り、ピッチ内外での思い出を語っていただきました。
今回はMF宮本優選手、MF森山真伍選手 編です。

宮本優(東京ヴェルディ内定)&森山真伍

―4年間で印象に残っている試合は
森山:1年生の時のIリーグチャンピオンシップの中大戦が印象に残っています。勝てば全国が決まって、負けたら敗退という中で、メンバーに4年生が1人いたんです。その4年生のために頑張るというチーム力の大切さをすごく感じた試合だったので、自分の中では一番印象に残っている試合ですね。

宮本:3年生の時のアミノバイタルカップの東洋戦です。YouTubeでも言ったんですけど、この4年間うまくいかない時期の方が長かったなと感じています。その中でも特にうまくいかなかった試合で、スタメンで出たんですけど、前半で途中交代を経験して、めちゃくちゃ落ち込んだのをすごく覚えています。その悔しさがあったから、今があると思いますし、この試合が一番印象深いです。

―4年間の思い出は
森山:僕たちは日常から横のつながりが濃いメンバーでした。練習が終わっても、すごい仲がいいし、ほとんどが寮生活で今は4年生で一人部屋なんですけど、あえて一人部屋の所に集まったりとか、日常生活での触れ合いが一番の思い出ですね。

宮本:これっていうのは無いんですけど、同期とは1年生の頃から何回も、何百回もミーティングをして、しっかり反省しながら成長してきた学年dした。そういった尊敬できる同期に恵まれたことが思い出ですね。

―同期で意見のぶつかり合いなどもありましたか
宮本:ありました。キャプテンシーが強い人がほとんどなので、1年生の頃は特にありました。

―学年を重ねるにつれてぶつかり合いは減っていったんですか
森山: 1年生のころは仕事でミスすると罰則があって一人のミスでみんなに罰が付くんです。そもそも喧嘩は「なんでこいつのミスで自分に罰がつくんだ」みたいなのが原因で、そこで一回ガツンとぶつかったことで、そこからは前向きな話し合いができたかなと思います。

森山:罰則といったら坊主。自分たちは比較的優秀な代で、罰もあんまりつかなくて、基本的に掃除と坊主ぐらいですかね。

宮本:一カ月掃除とか、実際に坊主にもなりましたね。それが4年間の思い出かな。

森山:1年の頃ね(笑)。

宮本:野球部みたいだったね(笑)。

―同期や先輩、後輩を含め影響を受けた選手はいらっしゃいますか
森山:スケールが違うなと思ったのはやっぱり上田綺世(2019年途中退部・鹿島アントラーズ)ですね。あの人はいるだけで何かやってくれそうな、ゴール決めてくれそうな、そんなオーラがありました。こういう人が将来日本を背負っていくんだろうな、というのは練習から感じていました。

宮本:2学年上の下澤悠太(令2年卒・テゲバジャーロ宮崎)くんです。毎日のように最後までグラウンドに残って自主練をして、夜もトレーニングルームで筋トレしたり。やっぱりこのくらい努力する人がプロになれるんだなと感じていました。今年契約満了(※)にはなりましたけど、這い上がってくるんだろうなって個人的には思っています。悠太くんを見ていると、すごく「あー、自分全然努力できていないな」と痛感させられました。
※シーズン終了後、ブラウブリッツ秋田から契約満了が発表。その後、テゲバジャーロ宮崎への加入が決定。

―4年間で大変だったことは
森山:1年生の時の仕事がやっぱり大変だったかな。拘束時間が長かったですし、それに加えて朝7時からの練習の前、5時半くらいに起きて、そこから寮内の掃除をやったり。すごい大変でしたね。

宮本:法政の1年生伝統の電当という電話当番の仕事があるんです。朝の9時から夜の9時までみんなで変わりながら毎日やるんですけど、それが一番大変だったかなと思います。ソファがあるんですけど固定電話の前でずっと待つという仕事で、(部員の)時間割などを見ながらスケジュールとかも僕が決めて、そこを含め大変だったなと思います。

―入学前と比べ成長した点はどこですか
宮本:素晴らしい選手やスタッフに囲まれてやっているので、もちろん(サッカーの)技術面は伸びたなとは思っています。ただ、個人的にはやっぱり人間力や、這い上がる力は成長したなと感じています。これからプロになってもずっと生きてくると思いますし、引退後も一人の人間の価値として生きてくると思います。そこが個人的には一番伸びたなと思うし、伸ばせてよかったなと、大学に来て本当に良かったなと思います。

森山:サッカーは徐々に上手くなっていったんですけど、その技術をどうチームで生かすか。自分の技術がチームにどうプラスを与えられるのかというサッカーに対する考え方が変わりました。DAZNとかで海外サッカーを見る機会も増えて、法政のサッカーと照らし合わせながら、どう試合を組み立てていくか、自分のストロングポイントをどういったプレーで出せるのかをこの4年間でよく考えるようになりました。

―後輩との交流はありますか
森山:食事に連れて行ったりとか、お風呂に一緒に入ったりするので、湯船に浸かりながら話したりしましたね。

―期待している後輩はいらっしゃいますか
宮本:難しいなあ。全員ですかね(笑)。その中でも個人的には、同じ右サイドの中川敦瑛(経1・横浜FCユース)に期待したいかなと。1年生ながらも一緒にプレーして仲良くしていたので、期待しています。

森山:自分は期待という意味でも、頑張ってほしいという意味でも、今けがしている佐藤将太郎(社3・法政二高)ですね。前十字のけがを2回目やってしまっているんですけど、自分も3年生の夏から4年の5月くらいまで前十字で(プレーが)できないという一緒の境遇だったので、キツイ気持ちもすごく分かります。今リハビリを頑張っていますし、復帰しても一番頑張ってほしいと思っています。

―佐藤将太郎選手に何か声などは掛けましたか
森山:将太郎が1回目の怪我をしたタイミングが、自分が手術した3週間後くらいで、復帰するタイミングも近かったんです。絶対に気持ちは落ちるので、そこでどう自分の夢をぶらさずにやっていくかを話しました。将太郎は自ら進んでジムで筋トレとかをやるようなストイックなタイプだったので、リハビリ内容のアドバイスというより、メンタル面の部分を2人で相談しながら乗り越えていこうという感じでした。

―同期の存在は刺激になりましたか
森山:同期のプロ入り決まると、「自分も頑張らないとな」と自然に思うし、試合中のキツイ時でも、隣で同期が頑張っている姿を見るとやっぱり刺激になりました。横を見るだけで頑張ろうと思えるので、本当に良い同期に恵まれました。

宮本:サッカーの技術に対しても尊敬できる部分がありますし、あとはやっぱり人間性の部分を強く尊敬していました。サッカー面であれば、1年生からAチームに絡んでいる選手もいたし、2年生から活躍している選手もどんどん出てきたので、刺激を受けていました。逆に、うまくいっていない選手でも、自主練をずっとやっていたり、陰でコツコツ練習を続けていた選手も多いので、そういった同期がいたからこそ自分も頑張れましたね。人としても、自分が気づけなかったところに気づいたりだとか、物事の捉え方や価値観は学ぶべきところがたくさんありました。同期が大好きすぎて、少し気持ち悪いんですけど(笑)。そういった関係性が作れて、本当に良かったです。

―寮では誰と同部屋でしたか
宮本:僕は蓑田と陶山です。

森山:僕は大塚紀人と田中和樹と一緒でした。

―同期との寮生活ならではのエピソードなどはありますか
森山:1年から3年までは3人1部屋だったんですけど、とにかく部屋が狭すぎました(笑)。

宮本:間違いない(笑)。

森山:狭い部屋の中に、二段ベットと一段ベットがあって、フリースペースがほとんどない状態だったのでめっちゃ窮屈でしたね。

―長山監督、井上コーチはお二人にとってどんな存在でしたか
森山:(井上)平さんは、現役中に自分と同じ前十字靭帯の怪我をしていて、自分がけがをして手術をして、8カ月のリハビリを強いられた時にすごく励ましてくれたんです。キツいリハビリの中で、声をかけてくれて気持ちの面ですごい助けられました。選手がやりやすいように、練習中の声掛けだとか、積極的に褒めてくれたり、チームの気持ちを上げてくれたコーチだと思います。カズさんは監督として全国制覇もしていますし、サッカー面はもちろんなんですけど、人間力という面でも多くの気づきを与えてくれました。大学を卒業したらプロでなくても、社会人として責任を負う存在になります。そういった一人の人間としてどうあるべきか、どう活躍していくのかを教えてもらいました。

宮本:正直カズさんは、めちゃくちゃサッカーに関しては怖くて、メンタルをやられた時期もありました。ですが、試合の流れや運び方、勝つための知識など、プロで戦っていくために必要なことを学ばせてもらえたと思っています。ピッチ外でもチームの悪い変化にしっかり気づきますし、そういうところにも目を張って生活しているんだと感じる部分もあって、自分もこういうところに気付ける人間になりたいなと思わされましたし、実際に指摘されたからこそ、自分も悪い変化などいろんなところに気づけるようになりました。平さんはこの4年間ずっと関わってきた方です。1、2年生の時はずっとIリーグにいて、平さんの下でしっかり学ばせてもらいました。3年生ではトップチームに上がったのであまり関わることはなかったですけど、4年生でまたAチームで関わらせてもらいました。平さんは、そこまで動いて教えてくれるんだっていうくらい、熱量を持って接してくれるんです。指導する立場にあると思うんですけど、謙虚に自分が学ぶことを忘れない、選手から学ばせてもらっているという言葉も何度も言ったりしていて、こういう人になりたいなと。自分の理想となる方ですし、めちゃくちゃ感謝しています。

―大学サッカーでプレーする価値、意義はどこにあると考えていますか
森山:プロになるとユニフォームなどの道具は、すべてチームが用意してくれると思うんですけど、大学生は洗濯からすべてを自己管理でやらなくてはいけません。自主性は4年間で培われているのかなと思っています。こうした経験は寮生活だったり、親元離れないと出来ないので、そういう面ではプロにでなく一般企業に就職したとしても必要なスキルです。サッカー面はもちろん、サッカー以外の面でも成長できるんじゃないかなと思います。

宮本:一つ目は、自分が本当にプロで戦えるのか判断できること。高卒では今後の伸びしろを含め、クラブはスカウトすると思うんですけど、大卒は即戦力です。そういう意味で、本当にプロで戦っていけるのかを試すことができるのは、大学サッカーの良い部分だと思います。あとは、大学に来たことで、サッカー選手という職業について、いろいろ考えることができました。幼い頃はプロサッカー選手はスーパースター、ヒーローみたいな感じで捉えていた自分がいたんです。僕自身、就活もガチでやって、いろんな仕事について勉強しました。その中で、サッカー選手はやっぱりひとつの職業に過ぎないなと。自分の夢だったので目指したという形にはなるんですけど、プロサッカー選手を一つの職業と認識した時に、本当にサッカーだけをやって応援してくれる人や支えてくれる人たちに価値を届けられるのか。サッカー以外の所でもプロサッカー選手という立場をうまく利用しながら、いろいろなことに取り組むことで、より夢や感動を与えられる選手になれると考えさせられました。

(取材・二瓶堅太)

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