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【硬式野球】2022春季リーグ戦を振り返って ~加藤重雄監督、大島公一助監督~

2022年6月9日(木)

加藤重雄監督の下、王座奪還を目指したが、4位に終わった春季リーグ戦。弊会は最終戦から約2週間が経った6月9日にインタビューを敢行。監督、助監督を含め数名の選手に春季リーグ戦の振り返り、そして今後の展望についてのお話を伺った。今回は加藤重雄監督、大島公一助監督のインタビューをお届けする。

加藤監督(左)と大島助監督(右)

監督、助監督インタビュー

加藤重雄 監督

ー今季を振り返って
死闘を繰り返し、周りの方から「頑張った」と声をかけていただきましたが、2位以下は同じですが、一つでも上の順位を目指して優勝を逃して残念に思っています。

ー優勝した明大との差は
粘り強さです。うちも粘り強く戦えたとは思いますが、勝ち切れなかったです。(明大には)2戦目に引き分けたのが非常に痛かったです。あの試合を勝っていれば、同率首位か優勝できた一戦だったので、悔いの残る試合になってしまいました。その試合に限らず、明治さんは粘り強く同点にし、勝ち切るという精神力だけではない技術力が劣ってしまったと思うので、秋に修正していきたいと思います。

ー法大も慶大戦では粘り強さを見せました
昨年から練習中から、後ろにつなげる攻撃を意識していました。簡単にフライを打ち上げるのではなく、反対方向にゴロを転がしたりなどを心がけて、攻撃に幅を持たせることを意識した結果、完璧ではないですが、慶大戦なり早大戦につながったと思います。ただ2カード目の立大戦で連敗してしまったことが波に乗り切れず、反省点だと思います。

ー特に攻撃陣でつなげる役割をしたのは
シーズンを通じて、宮﨑(秀太、営4=天理)は役割を果たしてくれました。また、急成長の今泉(颯太、法3=中京大中京)も頑張ってくれました。後は、最終盤から状態は上がってきましたが、残念ながら3.4番があまり機能しませんでした。特に、齊藤は私が監督に就任してからは、ここ一番で必ず打ってくれる選手だと期待していましたが、今季は力を発揮できなっかた分、宮﨑と今泉の活躍は、来季につながると思います。

ー上位打線は固定していました
調子によって、変えたい部分はありますが、チームの主力というのはあまり変えたくなかったです。

ーその中でも齊藤大選手を2番に置くなど、東大戦では打順の組み換えが見られました
犠打というのは貴重な戦術ではありますが、一つアウトを取ってというより打つことで、より強力な攻撃ができればと思い齊藤を2番に置きました。

ー四球を選ぶことが多かったように見えました
四球をもらえれば、自動的にチャンスも増えると思うので低めのボールに手を出さないということは、春先のオープン戦から徹底していました。そしてゾーンの中で、勝負してきたところを狙い打つするというのは取り組んできました。

ー守備面での意識は
投手を含めた守りは計算できますが、打線はエース級の投手を連打連打で打つのは難しいです。ただ、守備は失策も少なく連携も確実にやっていけば、失点をより少なくするというポイントは勝利を目指す上で重要な点ですので、守りを固めた練習をしてきました。

ー打線全体の課題は
本塁打は出てはいますが、走者を置いたときの、本塁打が出ず大量得点に結びつかなかったです。また、左右関係なく逆方向へ低い打球を打つということを秋には徹底していきたいです。特に明治の打者にはそういうライナー性の当たりを心がけてスイングする打者が多かったような印象があります。

ー投手陣全体を振り返って
よく頑張ってくれたと思います。ただ、まだまだ力不足です。一番の反省点は攻撃でも守備でもなく、投手力だと思います。早速、アナライザーに他チームとの投手陣との比較資料を作るように指示を出しています。素材はすごく良いものを持っていますので、もっと先発陣が安定した投球ができるよう、自分の殻を破って自分自身が大きくなれるためにはどうしたらいいかということを考えながら投球術を学ぶことを指示しています。

ー篠木選手はエースとして6試合に先発しました
早大戦は頑張ってくれたと思います。ただあとは彼の持っている力を十分に発揮できたとはいえず、課題を残したシーズンだったと思います。土曜日に投げる投手が2勝ではチームとして苦しくなりますので、もっともっと彼の力が十分発揮できるためには、どうしたら良いのかということを大きなテーマとして、秋までに指導していきたいと思います。

ー今季、武冨(陸、営3=日大藤沢)選手が9回を主に努めました
打たれて同点にされた明大戦もありましたが、中盤から後半にかけて武冨は頑張ってくれたと思います。ただ勝ち切るためには石田旭昇(文4=東筑)も含めて、レベルアップしてくれることが重要だと思います。

ー尾﨑選手は防御率1点台の活躍でした
昨年の冬までけがをしていまして、思うような練習ができずようやくリーグ戦に間に合った形でした。それで前半はもう一つでしたが、徐々に練習量も増えてきて後半に力を発揮できたと思っています。授業があっても朝、全体練習が始まる前に自ら投球をし、それから1時限目に行くという姿を見ていますし、今も授業に帰ってからグラウンドに出てキャッチボールをしたり自覚が出てきていると思います。塙(雄裕、法3=常総学院)も良いですし、フレッシュリーグで活躍した山城(航太郎、キャ2=福岡大大濠)や吉鶴(翔瑛、営2=木更津総合)も力を付けていますし、来季は誰が先発に回るか分かりませんが、その中でも尾﨑が十分力を発揮してくれれば中心になれることは事実だと思います。

ー扇谷選手は
立大戦で第2戦を任せましたが、1イニング抑えられず降板という形になりました。ですが彼本来の力を出せるようになれば、最上級生ですし、このまま終わるような素材ではありませんので、本当に頑張ってもらいたいと思います。

ーけがではない
けがではないです。ですがリーグ戦のマウンドで、コントロールができなかったら四球一つでピンチを招くことは往々にしてありますし、神宮のマウンドはそういうものなので、球威だけでなくコントロールを磨くということが扇谷だけではありませんがどの投手も重要なポイントになると思います。

ーそこは夏に詰めていく
1試合を任せられる投手が出てくる投手が出てくるべきだと思いますし、4回、5回、6回で試合が作れないというのはそこの弱さがやはり優勝が遠い原因だと思っていますので、秋までには1試合を任せられる主力投手が誰が出てきてくれるのかチーム内で競い合ってくれることが、チームの強化につながると思い、そういう練習を積んでいこうと考えています。

ー監督自身、フレッシュトーナメントを振り返って
優勝してくれたので、皆頑張ってくれたと思います。そのメンバーの中から、リーグ戦で活躍する選手が出てきてほしいですし、そういうチームでなければならないと思っています。山城や吉鶴、野手では遊撃手の松下(歩叶、営1=桐蔭学園)も良いですし、本塁打を放った中津(大和、営2=小松大谷)は足も速く、本来リーグ戦で活躍してくれるメンバーだと思っていますので、大きな期待を寄せているところです。

ー夏にはどのような練習を
相手にとにかく点をやらない、投手力の強化に力点を置いていきます。野手は、春より悪くなることはないと思っています。フレッシュトーナメントで活躍した選手も、上にあげるつもりです。そうなると、今いる上級生に加え、あのメンバーが加わればより攻撃力は厚みを増しますので、守備力を充実させれば、皆さんのご期待に添えるような優勝という結果が付いてくるという手応えは持っています。

ーファンの方へメッセージを
先ほども申し上げた通り、春のリーグ戦が始まる前は同じような手応えを持っていました。けれどこういう結果に終わりましたので、もう同じ失敗を繰り返さないように十分夏に練習を積んで、秋に良いご報告ができるように、優勝目指して頑張っていきたいと思います。応援よろしくお願いいたします。

(取材・大井涼平)


加藤 重雄(かとう・しげお)
1956年4月20日生まれ
鳥取県出身・鳥取西高→法政大学→日本生命

大島公一 助監督

―今季を振り返って
最終的には優勝できなかったので、残念なシーズンではあったと思います。

―勝ち点制に戻り、助監督として迎えた初のシーズンでした
やはり難しさを感じましたね。1勝しても2試合目の心理が変わったり、1敗しても次勝てば勢いに乗って3戦目に行けたりと。今回はサヨナラのゲームも多く、4試合というカードもありました。そのような意味では様々な経験ができたかなと思います。

―勝率、勝ち数ともに昨年よりも上がりました
色々な要因があると思いますが、大きな課題にしていた体力を付けることと、チームワークを大事にしていたシーズンでした。そのあたりが少しずつ実を結んできたといいますか、体力的には勝負できてチームワークもよかったと思いました。

―助監督から見たチームの雰囲気は
やはり色々な意味で良い経験をしているなと感じました。すごく一生懸命にやっていましたし、必死にプレーをしていたと思いました。当然、いいプレーができたとき、できなかったとき、良い成績が残せたとき、残せなかったときがあったと思いますが、選手は精一杯やってくれたなと思います。

―得点力を課題をしていましたが、昨年と比べ改善が見られました
一人一人が役割を理解して、その役割を全うしようという打席が多かったのかなと思います。昨秋があまりにも悪すぎたので、比べるところではないかなと(笑)。それなりに得点できたとは言え、やはり慶應さんや優勝した明治さんの得点力にはまだまだ及んでないので課題があるかなと思います。

―他大学と比べ失策数が大きく減りました
競った試合が多くなることを踏まえて、「守りを固める」ということを合言葉としてやってきました。難しい打球や、超ファインプレーといったシーンも数多くあったので、本当に良く守ってくれたなと思います。

―チームの雰囲気は
劣勢の試合もありましたし、逆転されて気持ちが折れそうな試合もありましたが、最後まで諦めずにやってくれていたなと感じますし、そこが非常に良かった点だと感じています。

―印象に残っている試合は
キャプテンの齊藤が、なかなか成績が出なくて本人も苦しんでいたのですが、初安打が出て、そのあとにサヨナラ安打が出た、あのシーンはインパクトがあるシーンでした。

―リーグ戦の中で活躍した投手、野手を一人ずつ挙げるとしたら
投手だと、篠木や尾﨑がしっかり投げてくれたのはもちろんですが、塙が安定した投球をしてくれたのが大きかったと思います。野手だと、宮﨑は1番打者として安定した出塁率・打率を残してくれました。又、なかなか成績は出なかったですが、齊藤は要所でキャプテンらしい活躍をしてくれたと思います。

―今季を通して見えた課題は
やはり、得点力というか勝負強さですね。絶好機で積極的に、超積極的にバットを振っていけるかというところがまだまだ課題です。みんな振る勇気は持っているのですが、大事なところだとどうしても気後れしてしまうというか、安全に行ってしまうのでそこが大きな課題ですね。

―フレッシュトーナメントでは春連覇となりました
私自身スタンドから試合を見ていました。当然ミスも多かったですが、リーグ戦同様最後まで諦めずに試合に臨んでくれたのと、しっかりバットを振れている選手が多かったなと感じています。

―その中で秋季に活躍しそうな選手を挙げるとしたら
フレッシュのメンバーの中にも、すでにリーグ戦を経験した選手もいます。そういった意味では中津はしっかりと能力を発揮してくれていますし、順調に成長してくれたらいいなと思っている選手の一人です。昨年のフレッシュで活躍したメンバーがリーグ戦の中心メンバーになっているので、他にも数多くの選手が出てくるのではないかと思っています。

―中津選手は外野の守備機会が多くなっていますが理由は
彼は能力があるので、いろいろなポジションをうまくこなしてくれています。彼にとってショートが一番適性のあるポジションだと思いますし、これが正しいのかはわかりませんが、チーム事情もあり彼の能力を生かすためにレフトや、フレッシュではライトをやってもらっていたという状況です。

―フレッシュトーナメントでは1年生も多く出場していました。1年生の様子は
最初は環境に慣れるのに大変だったと思いますが、徐々に自分の力を発揮しつつある状況です。やはり最初よりは慣れてきた様子ですし、自分の練習がしやすい状況になってきたと思います。

―3月時点では練習を分けているとおっしゃっていましたが現在は
今は全部一緒にやっています。選手が約110人いて、また授業の予定もあるので全員での練習はできませんが、来たメンバーは一緒に練習をしています。

―夏期に力を入れたいことは
打撃、守備ともに共通していますが、もう一度基礎に帰ることです。わずかな差が大事なので、単純にできることを丁寧にやることがこの時期は大切だと思っています。

―夏期にはサマーリーグへの参加や遠征を行うと伺いました
8月1日から9日くらいに関西の遠征、8月5日から8日で1,2年生中心に新潟のサマーリーグに参加する予定です。サマーリーグは4日で5試合とタイトなスケジュールではありますが、毎年行っているような大会だと聞いていました。また、キャンプに行けていないので、このような遠征を大事にしていきたいと思いました。

―最後に法大ファンの皆さんへ一言お願いします
皆さんの期待に応えられなくて申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、数多くの方が神宮に来ていただきました。法政の応援が多いなという声もたくさんいただきました。そういった意味では本当にありがとうございました。応援団も最後の東大戦では2年ぶりくらいに通常の応援をしていただきました。私にとって助監督になってから初めての経験でした。臨場感のある応援をしていただきありがとうございました。秋に向け、皆さんの期待に応えられるよう、選手と一緒に頑張っていきます。また応援よろしくお願いします。

(取材・東夏紀)


大島 公一(おおしま・こういち)
1967年6月17日生まれ
東京都出身・法政二高→法政大学→日本生命→近鉄→オリックス→東北楽天

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