決勝に登場したのは準々決勝、準決勝とストレートで快勝し、勢いに乗っている大田・加藤木。対する相手は石垣秀悟・手嶋海陽ペア(日大)。学生タイトルがかかった試合がついに幕を開けた。
落ち着いた面持ちで始まったファーストセット。序盤から持ち味であるサーブとボレーが光り、順調にポイントを奪っていく。相手ペアの強固な返球をものともせず、巧みなネットプレーで相手を翻弄(ほんろう)。第3ゲームでブレイクすると、流れを完全につかむ。試合後「キープさえできていればチャンスはつかめる」と述べたように、落ち着いたプレーでキープを重ねていく。最後は大田の鋭いボレーでこのセットを奪った。
勝負のセカンドセット。両者ともに相手の強烈なサーブに対応しきれず、リターンに苦しむ。しかしファーストセット同様に加藤木のサービスゲームで勢いに乗り、そのまま第3ゲームをブレイク。その後も相手の隙をうまく突き、再度ブレイクを重ねる。最後は大田のサービスエースで圧倒し試合は幕を閉じた。
6-4、6-2と見事ストレート勝利を果たし、法大として38年ぶりの優勝を決めた大田・加藤木。次なる目標は2人揃って「王座優勝」。2人の今後の活躍から目が離せない。
大田:1個1個やっていっただけなので、あまり実感がないですが、うれしいです。
ー昨晩の気持ちはいかがでしたか
大田:僕はもう決勝と思わないようにしてました。今までやってきた試合の中の1個だけと考えていました。もう普通にいつも通りやろうと決めてましたね。
加藤木:緊張はしてなかったです。あまり考えないようにしていました。リラックスする時はリラックスしてという感じでしたね。
ーどのような戦略で臨みましたか
加藤木:相手はストロークが強いペアでした。なので、自分たちは前で勝負して、できるだけ短いラリーで終わらせようと頑張っていました。
大田:本戦に上がってからの対戦相手は後ろでしっかりやるタイプが多くいました。なので、「プレッシャーをかけていこう」と話していましたね。ですが、決勝まで行くとお互いが話すことよりも、自分で考えて組み立てられていました。
ー大田選手は昨年のインドア試合後に中川舜祐選手(令3年度卒=現四国銀行)に「来年は優勝する」と誓っていました。その約束が果たせました
大田:強いて言うならば、(中川)舜さんとも優勝したかったですね。ですが今回、塁と優勝できて本当に良かったです!
ー予選から勝ち上がり連戦ですが、体の調子は
大田:きついです(笑)。「すごいきつい」とトレーナーさんに毎晩言って、毎晩怒られてましたね。精神的には楽しくやれたので大丈夫でした。
加藤木:それほど疲れはなく、頑張れましたね。
ーファーストセットを振り返って
加藤木:最初は相手にあまり合わせることができませんでした。ですが、徐々にリターンが上手くできるようになったんですよ。最初は少し焦りもありましたが、試合が進むにつれて、気持ちもプレーも落ち着いてきたので良かったです。
ーセカンドセットを振り返って
大田:ファーストを取って余裕があったので、「ブレイクされなければいい」と思いながら、ワンチャンス狙っていました。それが結構早い段階、相手サーブのに2回目で取れたので楽でしたね。ブレイクできてなくとも、キープさえしていればどこかでチャンスがあると思っていました。
ーずばり勝因は
大田:調子が良かったですね。予選決勝や1回戦でファーストセットを落としたものの、苦しい展開を勝ち切ったことで流れに乗れたと思います。大会通してコンディションが上がっていったので、そこだと思います。今日どうこうではなくて、これまでの試合を勝ち切ったことで、良くなったと思います。
佐藤太耀(現3):応援に来てくれた佐藤くんと森田(凌矢、社3)くんのおかげです(笑)
加藤木:それもありますね(笑)。あとは今まで通りのプレーを心がけたことですね。特に変なことはしないで、自分たちのプレーができたのが勝因だと思います。
ー今大会の総括をお願いします
加藤木:1日、1日、練習や試合で自分が成長できた大会だったと思います。
大田:あっという間だったと思います。試合が毎日あって充実していたのももちろんですが、1個1個の試合に集中してできたことが良かったですね。
ー大会を通して見えてきた課題や成長した点は
大田:まず課題ですが、リターンが良くなかったので、リターンをもっと強化したいと思いました。次に成長した点ですが、サービスゲームの組み立てが良かったと思います。サーブのポイントとボレーと連携して取るポイントが色々絡められたので、相手に的を絞らせないようできたのではないかと思います。
加藤木:課題はバックボレーなど、細かいところです。自分もまだ成長できると思うので、 頑張っていきたいと思います。そして成長した点は、試合でうまくいかなくなった時、どうやって自分を立て直せるプレーができるかを考えられたところですね。サービスキープ力が上がったので、その点も成長を感じました。
ー読者に向けて一言お願いします
大田:今後は春関、インカレとあり、最後はリーグがあります。この優勝に満足することなく、王座へ行けるよう頑張るので、これからも応援よろしくお願いいたします。
加藤木:この優勝をはじめとして、団体戦でも必ず王座に行くので、その時は王座の記事をご覧ください。
ー今後の目標は
加藤木:王座優勝で!
大田:王座優勝でお願いします!
ー佐藤主将は同期2人が優勝をした姿を見て、いかがですか
佐藤:頼もしい2人が優勝してくれたので、今年こそは王座優勝できるように頑張っていきたいです。これからも応援よろしくお願いいたします。
植村直己監督
ー38年ぶりの優勝となりました。率直な感想をお願いします
決勝にはシングルも含めて何度か出場したことがありましたが、優勝したという報告を大学にすることができるのが非常にうれしいです。みなさんも応援していただきありがとうございます。
ー今日の試合を振り返って
選手が昨日終わった後、慶大ペアよりは日大ペアのほうがやりやすいと言っていたので、勝機はあるのかなと思っていました。相手の強いところや弱いところをよく知っていましたし、しっかり相手の弱いところを突いてくれて、そういった面ではうまくいったかなと思います。相手も、1人後ろで1人前という標準的なダブルスのペアとの対戦は何度もあったと思いますが、うちみたいに2人とも前にいるというペアはこの大会を通じてもいなかったので、やりにくさはあったと思います。そこが有利に働いて結果につながってくれて本当に良かったと思います。
ー試合前に選手たちにどのような言葉をかけましたか
試合前はちゃんとアップをして、ストレッチをして、しっかり準備をして臨めという言葉はかけました。この1年間は、そういった部分が少しできていなかったので、ウォーミングアップとか練習の重要性などを重点的に選手たちには話しました。
ー監督から見て大田・加藤木ペアはどんなペアか
当たったら強いが、外れたら弱いという(笑)。大田も加藤木もそれぞれ強さを持っているので、そこがハマったら良いのかなと。他の技術も試合を通じてだんだんと良くなってきましたし、基本的なことをしっかりやれば、タイトルを取るのは夢ではないということを教えてくれました。彼らは試合を通じてどんどん調子を上げていってくれたので、その時点から優勝のチャンスはあると思っていました。
ー法大全体を振り返ってインドアはどのような大会でしたか
シングルスでもう少しペアが出てこないといけないと思います。ただ、ダブルスで優勝したことは確実にチームに良い影響をもたらすので、シングルスも来年の課題として、ベスト32の中にもう4人くらい入ってきてほしいですね。この大会に7、8人くらいの選手が来れるようにチームの底上げは必要かなと思います。
ー来年の目標をお願いします
もっとインカレに出られる選手を増やして、1.2年生を鍛えていきたいです。この大会はインカレの上位者しか出られないので、インカレや関東学生大会でしっかり結果を残して、もっと多くの人数を送り込みたいです。そうなると必然的にチームとしての練習のレベルも上がるので、こういう場所をいろんな選手が経験してほしいですし、シングルスでも優勝できるように頑張ってほしいと思います。
(記事・撮影:溝口真央・東夏紀)
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