東京六大学野球2023春季リーグ戦 明大1回戦
2023年4月29日(土)
神宮球場
大型連休の始まりのこの日、神宮球場上空は雲一つない晴天に恵まれた。ここまで勝ち点2で並んだ法大と明大の『血の法明戦』が幕を開けた。先発の尾﨑完太(キャ4=滋賀学園)は初回に1点こそ失うも、その後はなんとかしのいで反撃を待つ。すると打線は4回に内海貴斗(人4=横浜)の適時打で同点に追いつくと、5回には浦和博(キャ4=鳴門)の適時二塁打で勝ち越す。しかし、直後に明大に追いつかれると、8回に高原侑希(法4=福井工大福井)の適時三塁打で勝ち越しに成功するも、その後逆転を許す。両校合わせて38人が出場した『死闘』を落とした。
試合結果
トータル試合結果
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
法 大 | 0 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 4 | 11 | 1 |
明 大 | 1 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | × | 5 | 9 | 0 |
(法大)尾﨑、武冨、塙、●吉鶴—𠮷安
(明大)蒔田、高須、毛利、○浅利、石原ー小島河、菅原
[本塁打]
法:
明:木本(8回2ラン、吉鶴)
打撃成績
打順 | 位置 | 選手 | 打 | 安 | 点 | 打率 | 出塁率 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (5) | 武川 | 5 | 3 | 0 | .407 | .529 | 三ゴ | 右安 | 左安 | 投ゴ | 中安 | ||||
2 | (9) | 鈴木照 | 3 | 0 | 0 | .172 | .172 | 中飛 | 捕ゴ | 三振 | ||||||
H | 山根 | 1 | 0 | 0 | .000 | .000 | 三振 | |||||||||
1 | 吉鶴 | 0 | 0 | 0 | – | 1.00 | ||||||||||
H | 松下 | 1 | 0 | 0 | .000 | .000 | 三振 | |||||||||
3 | (6) | 今泉 | 4 | 1 | 0 | .296 | .387 | 三振 | 中飛 | 三振 | 右2 | |||||
4 | (3) | 内海貴 | 4 | 1 | 1 | .333 | .419 | 投ゴ | 中安① | 三振 | 二飛 | |||||
5 | (4) | 高原 | 4 | 2 | 1 | .269 | .321 | 遊ゴ | 三振 | 左2 | 右2① | |||||
6 | (8) | 中津 | 3 | 1 | 0 | .217 | .333 | 三飛 | 右2 | 四球 | 捕飛 | |||||
7 | (7) | 内海壮 | 4 | 1 | 0 | .286 | .286 | 一ゴ | 右2 | 中飛 | 二飛 | |||||
7 | 伊藤勝 | 0 | 0 | 0 | .000 | .000 | ||||||||||
8 | (2) | 𠮷安 | 4 | 1 | 0 | .174 | .269 | 二ゴ | 一ゴ | 中安 | 三振 | |||||
9 | (1) | 尾﨑 | 1 | 0 | 0 | .600 | .667 | 三振 | ||||||||
H | 浦 | 1 | 1 | 2 | .214 | .267 | 右2② | |||||||||
R | 石黒 | 0 | 0 | 0 | – | – | ||||||||||
1 | 武冨 | 0 | 0 | 0 | .000 | .000 | ||||||||||
1 | 塙 | 0 | 0 | 0 | .000 | .000 | ||||||||||
H | 真鍋 | 0 | 0 | 0 | .000 | .000 | 投ギ | |||||||||
7 | 西村 | 1 | 0 | 0 | .000 | .000 | 右飛 | |||||||||
計 | 36 | 11 | 4 | .251 | .327 |
投手成績
回 | 球数 | 打者 | 安 | 振 | 球 | 責 | 防御率 | |
尾﨑 | 4 | 71 | 17 | 3 | 2 | 3 | 1 | 1.48 |
武冨 | 1 | 23 | 6 | 2 | 0 | 1 | 2 | 4.50 |
塙 | 1 | 20 | 5 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0.96 |
吉鶴 | 2 | 35 | 10 | 4 | 2 | 0 | 2 | 8.44 |
計 | 8 | 149 | 38 | 9 | 5 | 5 | 5 | 1.80 |
ベンチ入りメンバー
10 | 今泉颯太(法4=中京大中京) | 27 | 吉安遼哉(法3=大阪桐蔭) | 28 | 石黒和弥(法2=高岡商) |
1 | 尾﨑完太(キャ4=滋賀学園) | 2 | 鈴木大照(文3=明徳義塾) | 29 | 松下歩叶(営2=桐蔭学園) |
13 | 塙雄裕(法4=常総学院) | 3 | 内海貴斗(人4=横浜) | 37 | 内海壮太(法3=御殿場西) |
17 | 武冨陸(営4=日大藤沢) | 5 | 真鍋駿(文4=広島商) | 7 | 伊藤勝仁(文4=常葉大菊川) |
18 | 篠木健太郎(営3=木更津総合) | 6 | 高原侑希(法4=福井工大福井) | 8 | 福岡大真(法4=筑陽学園) |
19 | 一柳大地(人4=星槎国際湘南) | 9 | 浦和博(キャ4=鳴門) | 33 | 西村友哉(法3=中京大中京) |
21 | 吉鶴翔瑛(営3=木更津総合) | 23 | 品川侑生(文2=三重) | 36 | 中津大和(営3=小松大谷) |
12 | 久保田碧月(営4=高川学園) | 24 | 武川廉(人3=滋賀学園) | ||
22 | 田所宗大(キャ3=いなべ総合) | 25 | 山根滉太(文4=小松大谷) |
戦評
第1週、第2週で勝ち点を獲得し、開幕ダッシュに成功した法大。ともに勝ち点2で並ぶ明大との『血の法明戦』の火ぶたが切って落とされた。
試合はいきなり初回から動いた。この日の先発・尾﨑完太(キャ4=滋賀学園)はエンジンがかからなかった。先頭に安打を許すと、犠打を決められ1死二塁。さらに四球2つで満塁とすると、5番・加藤巧也には粘られて最後は犠飛を決められる。いきなりスコアボードに1が記された。その後の尾﨑は制球に苦しみながらも、つぎの1点を与えずに打線の反撃を待つ。
すると4回、ここまで完璧に抑えられていた明大先発の蒔田稔から武川廉(人3=滋賀学園)が初安打を放つと、続く鈴木大照(文3=明徳義塾)が試みた犠打は小飛球になり、捕手の前へ。スタートを躊躇した武川は二塁封殺となるも、鈴木照は懸命に走って一塁に生き残る。すると、法大が誇るスピードスター・鈴木照がスタートを切った。二塁へと頭から滑り込み、盗塁を成功させると、4番・内海貴斗(人4=横浜)が蒔田の勝負球・カーブを捉えて二遊間を破る。鈴木照は二塁から一気に生還。同点に追いつくと、法大の勢いは止まらない。続く5回にも無死二、三塁の好機を作ると、1人倒れて迎えた尾﨑の打順。ここで加藤重雄監督が動いた。ここまで粘りの投球を続けてきた尾﨑に代えて浦和博(キャ4=鳴門)を代打で起用。その浦は右翼手の頭を越える適時二塁打を放ち、起用に応えてみせた。
代打起用に応えた浦。
2点を勝ち越した直後、この回から登板した武冨陸(営4=日大藤沢)が捕まった。併殺崩れの走者を犠打で送られると、3番・宗山塁の三塁打、4番・上田希由翔の適時打でたちまち同点に追いつかれる。
その後はどちらも得点圏に走者を進めるも決定打を欠き、試合は8回まで同点で進んだ。9回で引き分けも見え始めてきたこの頃、ついに試合が動いた。
今泉颯太(法4=中京大中京)の二塁打で二塁へと走者を進めると、「チャンスだったのでこっちから攻めていこうと思っていました」と高原侑希(法4=福井工大福井)が初球から振りぬき右中間を真っ二つ。高原の三塁打でついに均衡を破った。
ここまで苦しんでいた高原もこの日は2安打。復調のきっかけに。
しかし、その直後、前の回から登板していた吉鶴翔瑛(営3=木更津総合)が代打・木本圭一に痛恨の被弾。試合は一気にひっくり返される。
なんとしても再び試合をひっくり返したい法大だったが、9回の攻撃も2死まで追い込まれる。打順は先頭に返り武川。逆転を信じて振りぬいた打球が二遊間を破る。まずは同点の走者を出すも、続く代打の松下歩叶(営2=桐蔭学園)は見逃し三振に倒れて試合終了。初戦を落とす結果となった。
松下の今季初打席は悔しい結果に
しかし、今年の法大はここで終わるようなチームではない。この日も先制されてからもしぶとく食らいつき、一時は試合をひっくり返したように、ここから『粘りの野球』で優勝戦線に生き残る。
(記事:皆川真輝、写真:高橋芽唯、岩崎亜耶)