【硬式野球】東京六大学野球2023春季リーグ戦 東大2回戦 尾﨑の完封勝利で最高の締めくくり！

東京六大学野球2023春季リーグ戦 東大2回戦
2023年5月21日（日）
神宮球場

法大の大勝となった1回戦から打って変わって、投手戦となった2回戦。法大先発の尾﨑完太(キャ4＝滋賀学園)は初回から飛ばしていき、淡々と0点で抑えていく。すると5回、この日がリーグ戦初出場の姫木陸斗(人3＝日大藤沢)の本塁打で先制すると、その後も打線がつながりさらに1点を追加。この2点を尾﨑が9回を1人で投げぬいて守り切った。4つ目の勝ち点を獲得した法大はこの春を2位で終えることとなった。

完封勝利を挙げた尾﨑

戦評

東大2回戦、勝てば今季最後の試合となる。

先発は尾﨑完太(キャ4=滋賀学園)。初回は三振1つを含む3者凡退で切って取り、好調な滑り出しを見せる。
その裏の攻撃、昨日は途中からベンチに下がる場面もあったが、無事にスタメンに復帰した武川廉(人3=滋賀学園)が四球で出ると、2番・藤森康淳(営1=天理)が見事送ると、内野ゴロの間に武川が三進。2死ながらも4番・内海貴斗(人4=横浜)に打順が回る。しかし、ここは右方向への打球を警戒して深く守っていた二塁手の好プレーに阻まれ得点とはならない。

その後は両校ともに走者を出すも法大・尾﨑、東大・松岡由機の両先発が力投し、得点を許さない。
試合が動いたのは5回裏、1死からこの日初めて先発出場を果たした姫木陸斗(人3=日大藤沢)が初球の低めのカーブを見事右翼スタンドに運んだ。「最高に気持ちよかったです」と自身もチームも嬉しい本塁打で鮮やかに先制に成功する。

初本塁打を放った姫木を迎え入れるベンチ

すると火が付いた法大打線。続く8番・𠮷安遼哉(法3=大阪桐蔭)が「姫木が緩いボールをホームラン打ったのでストレートに狙いを絞って入りました」と一二塁間を破る安打を放つと、尾﨑が犠打、武川も際どい球をしっかりと見送って2死一、二塁。続く藤森康がフルカウントから高めの変化球を中前へはじき返して2点目を奪った。

藤森康のバットから貴重な追加点が生まれた

援護を受けた尾﨑は、強肩・𠮷安の盗塁刺殺などバックにも盛り立てられながら東大打線を封じ込む。7回には3者連続奪三振を見せるなど後半にかけてさらにギアを上げていた。
2－0のまま、試合は9回へ。この回もマウンドに上がったのは尾﨑。8回まで114球を投げていたが、気合の入った投球で2死。しかし、ここから矢追駿介に安打を浴びるも、最後は代打・西前颯真を3球三振で抑え、見事完投勝利を果たした。

尾﨑の完封勝利で勝ち点を獲得した！

今季惜しくも優勝とはならなかったものの、実りのあるシーズンでもあった。主将の今泉颯太(法4=中京大中京)は「秋は必ず優勝します」力強く語り、この悔しい思いを秋で果たすと既に気持ちを切り替えていた。スローガン『克』を掲げ始まった新チーム。彼らの下克上は止まることなく『優勝』の2文字に向かって走り続ける。

（記事：高橋芽唯、写真：野田堅真）

クローズアップ：尾﨑完太『圧巻のシャットアウト！進化の春の集大成！』

1人でスコアボードに9つ「0」を並べてみせた。調子は良いと言える状態ではなかったと語る尾﨑。それでも2回まで1人の走者を出さずに東大に主導権を与えない。

打線が尾﨑の好投に応えて2点を入れた直後の6回も0点で抑えると、7回、「完投、完封に向けてギアを上げました」と上位打線相手に3者連続三振に切って取る圧巻の投球を見せた。

しかし8回、先頭に四球を与えると内野ゴロの間に走者は二塁へ。この試合初めて背負ったピンチ。「チームが2点取ってくれてたんで、1点もやらないと言う気持ちで行きました」。東大ベンチが送り込んだ代打陣に強気で立ち向かった。1人目の代打・内田開智を二ゴロに打ち取って2死。三塁に走者を背負うも、2人目の代打・中山太陽は自慢の直球を外角低めいっぱいに投げ込んで三振を奪った。

そして9回、2死からこの日2本目となる安打を矢追駿介に浴びるも、最後は西前颯真から12個目の三振を奪ってシャットアウト。勝ち点をもたらす圧巻の完封劇だった。

防御率リーグワーストに沈んだ昨秋。「自分の中で精神的に不安定なところがあった」と振り返り、オフにはこの1年を悔いの残らない年にすべく、心身ともに強化を図った。自信をもって迎えた今季、四球から崩れる場面は目に見えて減った。「エースとしてチームを勝たせられるようなピッチングをする」。開幕前に宣言したとおり、防御率は1.28でハーラートップの4勝。チームの2位に貢献した。

秋こそ悲願の優勝へ。背番号『1』を背負う左腕の活躍は欠かせない。秋には夏を超えてさらに大きくなった姿を見せる。

（皆川真輝）