• HOME
  • 記事
  • 陸上
  • 【陸上競技】第35回出雲全日本大学選抜駅伝 監督、選手インタビュー・後編

【陸上競技】第35回出雲全日本大学選抜駅伝 監督、選手インタビュー・後編

第35回出雲全日本大学選抜駅伝
2023年10月9日(月)
島根県出雲市

昨年チーム最高タイの7位でフィニッシュした法大は、今年も5位を目標に挑んだ。1区からアイビーリーグの先行により優勝候補と言われた大学が振り落とされるなど波乱の展開となったが、法大は全員が区間一桁の走りを見せ、9位でフィニッシュ。出雲駅伝を終えた選手たちは、振り返りつつも箱根に向けて意気込んだ。

本記事では後編として、オンラインにて取材を行った坪田智夫駅伝監督、2区大島史也(社2)、6区稲毛崇斗(社4)のインタビューをお届けする。

出雲駅伝の記事はこちらからご覧ください。
【陸上競技】第35回出雲全日本大学選抜駅伝 駅伝シーズン開幕!目標達成とはならなかったが、粘りの全員駅伝で総合9位!
【陸上競技】第35回出雲全日本大学選抜駅伝 選手インタビュー・前編

試合結果

総合成績

順位 大学名 記録
1位 駒大 2時間07分51秒
2位 創価大 2時間09分34秒
3位 城西大 2時間10分35秒
4位 國學院大 2時間11分07秒
5位 青学大 2時間11分28秒
6位 早大 2時間11分36秒
7位 中大 2時間12分17秒
8位 東洋大 2時間12分35秒
9位 法大 2時間13分44秒
10位 順大 2時間14分27秒

法大成績

区間 選手名 個人記録(区間記録) 総合順位
1区(8.0㎞) 松永伶(4) 23分38秒(9位) 9位
2区(5.8㎞) 大島史也(2) 16分55秒(9位) 9位
3区(8.5㎞) 武田和馬(3) 25分36秒(9位) 9位
4区(6.2㎞) 安澤駿空(3) 18分02秒(8位) 9位
5区(6.4㎞) 永島悠平(3) 18分50秒(9位) 10位
6区(10.2㎞) 稲毛崇斗(4) 30分43秒(9位) 9位

坪田智夫 駅伝監督

ー総合9位という結果でした 振り返って
選手たちは5位というのを目標に掲げてくれていたのですが、最低限でも入賞というところまで行きたかったですね。そういった意味では、5位争いもできていないので、大きく目標から逸れてしまったかなという印象ですね。

ー今日の区間配置はどのような狙いでしたか
まず前半の松永、大島、武田で流れを作って、特に1区の松永ですね、エースですので、そこでなんとかいい位置につけることができれば、昨年のように6区までは上位で争うことができるのではないかなと思っていました。4区5区に関しては、学生駅伝が初めてという2人でしたが、負担がないところ、かつ箱根に向けてテストという意味合いもあって配置しました。2人に関しても、前で行ければしっかりつなぐことはできたと思いますが、少し後ろ後ろになってしまったので、盛り返すまでの力はなかったのかなという感じですね。

ー1区は箱根駅伝でも1区出走の松永選手でした
本人にも伝えたんですけど、「1区の出来が全てだったね」という話をしていて。区間賞を取るというイメージはありませんでしたが、前の集団から離されて、2区以降に非常に大きく響いたのかなというところで、本人には割と厳しいことを伝えました。やはりエースですし、1区の流れというのは最重要なので、レース内容であったりとか、ラストの絞りだったりとかは、しっかりやって欲しかったなというところですね。
状態に関しては、箱根を100とするならば、まだ7割くらいなのかなという印象でスタートラインに立ってもらいました。それでも多少次の大島にしっかりつなげて欲しかったという印象ですね。

ー2区は本人も希望していた大島選手の起用でした
松永の位置がなかなか厳しい状況で、目の前に青学さんがいたんですけど、力の差が出て置いて行かれてしまったというところで、力を出しきれなかったのかなと。彼は非常にスピードのある選手で、ポテンシャルも高いので、今後法政のエースとして私も活躍を期待しています。そういった意味でも、しっかり結果を出して欲しかったなと思います。それでも二桁順位というわけではないので、最低限の走りだったのかなと思いますし、状況を考えると難しいレースだったと思います。

ーエース区間の3区は本人も予想していたと語る武田選手が任されました 武田選手の起用はいつ頃から
夏にしっかり練習できていましたし、9月の絆記録会での走りを見た時に、調整をやっていない状況で良い走りをしていたので、試してみようかなと思っていました。松永も今一歩状態が上がりきっていなかったので、私の中では絆記録会が終わった段階で「出雲3区は武田にしよう」と考えていました。歴代のエース級の選手たち、まだ実績のなかった選手たちが法政の過去の歴史の中で出雲でしっかり結果を出して学生のエース級に育ったということもあったので、発破をかける意味でも本人にもそれは伝えていました。
私のコンディション調整が良くなかった部分もあるんですけど、大島と武田に関しては状態が上がりきっていなかったなと。絆記録会や調整練習など、出雲前が良すぎたので、若干状態が落ち気味だった印象はありました。3区に関しても、前が等間隔で空いてしまって単独走になるなど、難しい位置でした。本人も「向かい風が」という話をしていましたが、そういったところをはね返すだけの状態ではなかったのかなと思います。彼もコンディションを考えると決して非常に悪い結果ではないと思いますし、このあとしっかり調整すれば、下りになるか平地になるかは分かりませんが、区間上位の走りはできるのではないかと思います。

ー4区はこれまでにもエントリーされたものの、惜しくも出走のなかった安澤選手でした エントリーの決め手は
5区の永島もそうですが、この夏3回の合宿はパーフェクトで全ての練習をこなしました。9月の最後の合宿では非常に質の高い練習をするのですが、そこでもしっかり走っていて、絆記録会やロードの練習でも走れていてまとめてくれました。他の選手という選択肢もありましたが、箱根に重点を置いた時に、テストという意味合いの強い出雲で、チームの層を厚くしたいということで安澤を起用しました。

ー安澤選手の走りをご覧になって
非常に難しいレースだったと思います。競ることができるような展開だったらもう少し区間順位も上だったと思います。初駅伝にもかかわらず単独走という非常に難しい場面になったのですが、その中で力は出し切れたのではないかと思います。欲を言えばあと10秒、15秒タイムを稼げたら100点でしたが、その中でも区間一桁で行っていることを考えると、出し切れたのではないかと私は見ています。

ー5区はハーフマラソン未経験の永島選手でした
永島は1年目で5000㍍の記録を14分1桁まで引き上げた選手です。5000㍍でコンスタントにスタートラインに立てば、力を出していました。彼も安澤と同様に、夏の入りから秋までの流れで非常に良い練習ができていました。あとはプレッシャーがどうかというところでした。大学駅伝初出走ということで、当然緊張感はあると思いますが、それを跳ね除けて走れるかということを見たかったです。彼も非常に難しいポジションで走ることになってしまって、大きく崩れる可能性もありました。その中で100点とは言えないですが、最低限の走りはできたのではないかなと。安澤や永島に関しては、11月のハーフマラソンなどで結果を出せたら、私も自信を持って箱根で区間配置できるのかなと思うような走りでした。

ーレース前に永島選手に何か声かけはされましたか
区間配置を選手たちに話して以降、永島にも声かけはしました。「どうだ」と言ったところ、「あまり緊張はしていませんと」(笑)。本人はあまり緊張しないタイプですというようなことを言っていました。本心なのかは分かりませんが、普段通りのことができたのではないかと見ています。

ー6区は昨年同様稲毛選手でした 起用の意図は
今回の10名を見たときに、厳しい区間だと思うんですよね、稲毛も去年アンカーを任せて崩れてしまいました。ただ、箱根を見据えたときにそれを跳ね除けてもらいたいと思っていました。また、チームのバランスを考えたときに、このメンバーの中でしっかりつないでくれるのは稲毛かなと。そういった信用の高い選手です。昨年は崩れてしまいましたが、しっかり走ってくれるのではないかなという中での稲毛の起用でした。

ー稲毛選手の走りをご覧になって
力は出し切れたかなと。ただそうは言っても、まだ20秒、30秒引き上げられたかなと思います。順天堂大学さんをひっくり返して一つ順位を上げられたというのは、本人も去年の嫌なイメージを払拭して、箱根のスタートラインに立てるのではないかなと思います。

ー宮岡幸大選手は最終メンバー入りとはなりませんでしたが、出雲での記録会で自己ベストを更新する走りを見せました
あれは本当に、気持ちのこもった素晴らしい走りだったと思います。力を表明してくれたというか、オーダーミスとは言いませんが、「使っておけば良かったな」というか。そういう選手が出ると大きいんですよね。練習の流れを考えたときに、例えば安澤や永島というところとチェンジすることも可能性としてはありました。ただ、練習ができているのが出走した2人でした。直前の練習や夏以降の流れを見たときに、宮岡はもう一つでした。経験を考えたときに、安定感は去年の箱根を経験している以上、宮岡の方が上だと思いますが、直前の流れを見たときに外さざるを得なかったです。(区間配置で)未経験、未経験はあまり使いたくないんですけど(笑)、そういったところを加味しても宮岡を使い切れなかったです。悔しい思いもあったと思うので、その中であれだけの走りができたというのは、状態の確認レースの位置付けになると思いますが、本人のアピールも大きくあります。また、他大に対して「法政の補欠がこれだけ走るんだ」というアピールにもなったと思います。層の厚さという意味でも、箱根に向けて個人、チームにつながる結果だったかなと思います。

ー今回補員漏れのあった小泉樹選手は故障でしょうか
9月の終わりに故障してしまって。今は復帰していますが、無理はさせられないというところでの回避となりました。

ー夏合宿を経て成長したと感じる選手は
結構今年は新しい力が出てきていますが、安澤、永島の3年生ですかね。4年生の稲毛や松永、細迫は経験もあり、大きい舞台も踏んでいますが、大島も含め2年生や3年生で新しい力が育ったというのは非常に大きいかなと思っています。名前を挙げたのは安澤と永島でしたけど、例えば2年生の行天は1年生にくすぶっていましたが、今年の夏もパーフェクトで。また、矢原も絆記録会でメンバー以上の走りをしてくれました。試合で結果を出せるかが非常に大事ですが、夏の2か月の流れを見ていても、今年は去年以上にできているという練習実績があります。名前を挙げた選手以外にも、夏にしっかりできたということで、個人の結果を出す上での土壌は出来上がっていると思います。新しい力が育ったことは楽しみですね。

ー今後箱根に向けてキーマンは
いっぱいいるんですけど…大島ですかね。彼のスピードは魅力がある選手ですし、期待をしています。流れを変えたりとか、今のスピード駅伝に対応しうる選手だと思うので、まだまだ成長しないと戦えないとは思います。ただ、潜在能力が非常に高い選手なので、彼が爆発力のある選手にこの秋変われば、チームとしても上で勝負できるのかなと思います。

ーチームで今後強化したい点は
あとはコンディショニングだけなんですよね。強化というのはなかなか難しいので、今やってきたことをいかに研ぎ澄ませるかということが大事です。本当に細かいことで、日頃から選手たちにも言っていますが、体調管理やけがを防ぐなど、そういったことを徹底することが大事かなと思っています。超エース級が出てきてくれれば良いんですけど(笑)、そういうことに期待してもしょうがないので、夏の流れは十分できていますし、あとはそれらを出し切れるかというのが箱根で結果を出すために重要だと思います。凡事徹底ですかね、基本的なことをしっかりやっていくことが、箱根の結果につながる近道ではないかなと思います。

ー最後にファンの方へ
100回大会、記念大会に出場できるのも、本当に多くの皆さまに支持されて、応援されて我々がスタートラインに立てていると思います。陸上競技部駅伝ブロックというだけではなくて、法政のOBだったりファンの方々を含めてのチーム法政だと思っています。そのためにも、我々は皆様の思いを汲んで走るという思いで頑張りますし、皆様も2日間応援していただければ、選手たちの力に必ずなります。選手たちも総合5位と高い目標を言ってくれていますので、全員で、チーム法政で勝ち取りたいと思います。

(インタビュー・芦川有)

2区 大島史也

ー今回が初の三大駅伝の出場となりました。レースを振り返っていかがでしたか
三大駅伝ということで、会場の雰囲気、他大さんの雰囲気、もちろんチーム内の雰囲気も他の大会や高校時代とは全然違って、とても緊張感のある空間でプレッシャーもすごく感じた大会だったなと思います。

ー今回は、ご自身が走りたいと仰っていた2区でのエントリーでした
夏終わってから出雲駅伝まで、かなり自分的にも良かったので出走は前提として出雲駅伝二区で走ってどれくらい走れるかなというふうに考えていたので、実際二区走らせてもらって思い通りにレースを進めることができなかったなと終わってから感じてます。

ーレースプランは
例年だと二区は追い風で区間も短いので、自分の力を出し切ろうというふうに考えていました。

ーチームの中では最年少でした。それに関して、何か普段と違うことはありましたか
出走したのは最年少でしたけど、先輩方は三大駅伝を経験されて慣れてる方もいたので、緊張しないで楽しめよ、というふうにはおっしゃってくれていたので結構和ませてくれていたのかなというふうには感じます。

ー松永選手から9位でのたすきリレーとなりました。たすきを受け取った時の心境は
9番ということで、かなり後ろからのスタートだったんですけど、二区だったので前も結構見えていたから追いかける展開だな、とスタートから感じていたので、やりやすいなとは思っていました。

ー同じ区には、ご自身が意識していると仰っていた早稲田大学の山口智規選手や佐藤圭汰選手がいらっしゃいました。2人の記録や走りから何か感じたことはありましたか
自分は自分の力を最大限発揮できなかったっていうところで、やっぱり同じ年代の選手たちがプレッシャーがある中でしっかり結果を出せるというところが自分とは違う強さなのかなと感じました。

ー直前の取材で全日本駅伝の予選会の悔しさを晴らしたいと仰っていました。それに関してはいかがですか
そうですね。全日本の予選、記録会を見ても評判は決して良くはなかったんですけど、その分関東勢には勝ちたいなとは思っていたんですけど、結果として関東勢の中だと下から2番目で、悔しさはまた残ってしまいました。

ー最後に箱根駅伝に向けてのご自身の目標や意気込みをお願いします
この1年間箱根駅伝のためだけに練習頑張ってこれたしやってきたので、プレッシャーにも負けず自分の力を最大限出し切って終わりたいなと強く感じます。

(インタビュー・艶島彩)

6区 稲毛崇斗

ー総合9位という結果を受けて
総合5番を目指していたので、その目標に届かなかったことに対しては悔しいなという気持ちがあります。正直僕たち本来の力を出せたら、もう少し上に行けたのではないかなという思いはあります。

ー2年連続の6区でした レースを振り返っていかがですか
割と今回に関しては冷静にレースを進められたのではないかなと思っていて。区間順位としては9番だったのですが、それ以上の成果があったというか、勝負に徹して走れていたなというふうに思いました。

ーたすきを受け取った時の心境は
想定していたよりも悪い順位でたすきをもらってしまったので、正直周りの6区の選手たちはハーフで結果を出していたり、エース級の選手がたくさんいる中で、そこで人を抜かせるかというのは不安がありました。それでも実際1人抜くことができたのですが、やはりスタート時に不安がありました。

ー最後には順天堂を抜く展開でした
最初たすきをもらった時は少し差が開いてしまったいたのですが、抜きたいなというふうに思っていました。順天堂大学さんが中盤少し下がってきたので、そこは捉えられるかなと思っていました。逆に近くに中央大学さんもいたのですが、そこは追いきれなかったっていう感じでしたね。

ーレース前に監督から指示はありましたか
とりあえず順位を上げるように指示はいただきました。

ーレース前の緊張感は昨年と比べていかがでしたか
中継所の時にも感じたんですけど、去年と比べて観客が多いなというふうに思っていました。なので、やはり雰囲気的には緊張するようなシーンだったかなと思っています。

ー観客の声援の有無が走りやすさに影響することは
今回に関しては、声援にかなり後押しされた点が大きかったかなと思っています。声援があることによって、きつい中でも応援してくれているんだと知り、1人で走っているわけではないように感じます。

ー1区と6区の4年生コンビのみが昨年の経験者でした 役割はどのようなところでしたか
4年生の役割としては、ゲームの雰囲気を変えるきっかけを作ることかなと思うので、ここから先の駅伝でもそういったことをしていきたいです。

ーその役割を踏まえて、同じ4年生である松永選手の走りはどのようにご覧になりましたか
松永はすごく力のある選手なので、正直もうちょっと行って欲しかったなという気持ちは少しあります。ただ、本人としては頑張った方なのではないかなと思いますね。

ー1区から5区までの走りを見て
正直今回に関してはヒヤヒヤする場面が多くて(笑)。駅伝初出走が3人もいる中で、攻めの走りというよりは耐えのレースだったかなというふうに見ていました。

ーチームメイトへの声かけなどされたことは
僕自身が去年経験しているので、細かいことの注意点だったり、雰囲気などを丁寧に伝えるようにしていました。

ー天気や気温が不安定な予想の中でした
気温が下がっていたこともあったので、いつもよりアップのところで量を増やすなど、アップに関して対策をしていました。

ー具体的に対策とは
上着を着てアップをしたり、体をあまり冷やさないようにして、なるべく体温を上げるようにしました。

ー6区の特徴として「走っても走っても出雲ドームが近づかない」と口にする選手が多いそうです 2年間経験していかがでしたか
8㌔過ぎくらいでドームが見えてくるんですけど、ドーム自体がすごく大きいのでなかなか近づかない感覚はありました。また、6区のコース的にドームまで遠回りをしていくので、「早く着きたいな」っていう気持ちでしたね、本当に(笑)。

ー箱根に向けて
このチームの選手自体、非常に力はあると思っています。ただ実際のレースでそれが出せるかというのは別の話で、それをするためにも他の力が必要になると思います。なのでそういったところを今後のレースやハーフで詰めて、箱根でしっかり結果を出せるように、僕自身としても促しながら頑張っていきたいです。

ーファンの皆さまへ
今回の出雲駅伝は9位という結果だったのですが、箱根で目標に掲げている総合5位という順位は、僕たちが達成できる順位だと思っているので、引き続き応援よろしくお願いします。

(インタビュー・芦川有)

 

関連記事一覧