【硬式野球】東京六大学野球春季リーグ戦 対東大展望
東京六大学野球春季リーグ戦 対東大
2015年5月23日(土)~
神宮球場
※取材日
2015年3月13日(金)
東大球場
春季リーグ戦もついに最終カードを迎える。早大戦ではまさかの連敗で勝ち点逸で窮地に追い込まれた法大。優勝へのわずかな望みをつなぐためには連勝が不可欠だ。対するは連敗ストップに意気込む東大。それぞれに負けられない激戦になることは間違いない。
展望
負けられない最終カード。対戦相手はここまでリーグ戦94連敗中の東大だが、立大1回戦では勝利まであと一歩のところまで迫った。眠れる獅子はいつ、その牙をむくか分からない。油断大敵な試合になる。
法大の先発は今季その座を担ってきた熊谷拓也(キャ2)、森田駿哉(営1)か。今季頭角を現し始めた宮本幸治(営2)や早大戦で神宮デビューを果たした菅野秀哉(キャ1)らの抜てきの可能性もあるか。救援陣にはいまだ無失点の川名健太郎(営4)やチーム最多の7試合に登板している玉熊将一(法3)などが控える。
野手陣は今季リードオフマンとして活躍を見せている田中彪(法4)、共に副将として二遊間を固める佐藤竜一郎(法4)、若林晃弘(営4)らのセンターラインに、打率.394と首位打者を狙う蔵桝孝宏(営4)の4年生カルテットがチームを鼓舞する。法大の躍進を支える4年生に、1年生捕手の中村浩人(営1)や鎌倉航(法1)、スタメンデビューを果たした川口凌(人1)ら新進気鋭な力が加われば鬼に金棒だ。
対する東大は「守備のチーム」を掲げ、今季はここまでわずか3失策とリーグ最少の数字を誇っている。主将・飯田裕太を中心に少ないチャンスをものにするスタイルだ。着実に実力を付けている速球派の山本俊を中心に、しなやかな腕の振りからキレのある球を投げる宮台康平やアンダースローの三木豪らが後に続く。
打撃面でも対立大1回戦では長打力が持ち味の山本克志、今季から4番に座る楠田創の活躍で立大エース澤田圭佑から10安打4得点を挙げ、その脅威を見せつけた。チーム打率こそ.139とひ弱さが目につくが、決して油断のできる打線ではないだろう。
連敗のショックからの立ち直りを見せたい今カード。東大が作り出す独特の雰囲気に飲まれて足元をすくわれないようにしなければならない。今季最後のカードは連勝で締めくくり、わずかに残された優勝への希望を託したいところだ。(原口大輝)
東大寮取材
春季リーグ戦最終カードに臨む東大。悲願の勝利、連敗ストップへ向け並々ならぬ闘志を燃やしている。今回は浜口一志監督、飯田裕太主将、山本克志内野手、宮台康平投手にお話を伺った。
浜口一志 監督
―昨季を振り返って
連敗を止められずに悔しい思いをしました。
―その中でも打力の向上が目につきました
長打が出るようになって点が入るようにはなりました。それでもまだ1試合平均2点ですから。勝つためにはやはり3点は必要になってくると思います。課題は投手力ですね。今年は投手だけで沖縄合宿を組んだりして、投手中心の練習メニューを組んできました。
―沖縄キャンプでの手ごたえは
各投手とも制球力が上がって、エース候補の枚数が増えたかなと思います。先発では辰亥(由崇)、宮台、吉川(慶太郎)、三木という4人が中心で、抑えに山本俊、柴田(叡宙)、中継ぎには関(正嗣)かな。
―辰亥投手は下級生から経験を積んでこられた投手ですが
あいつがエースだといい続けてきましたが、まだエースらしい投球ができていないので、いったん白紙に戻します。オープン戦できっちり投げたやつがエースだということでやっています。
―今季のチームの特徴は
守備のチームという形になると思います。これまでのような大量失点をなくして2-1、3-2といった1点差で競り勝つ展開に持っていきたいと思います。オープン戦で勝った試合も1点差ですし、失策がすごく減りましたね。ボール回しを毎日徹底してやるというところから頑張っています。
―現在の攻撃面での課題は
もう少し長打がないと得点に結びつかないので、クリーンアップには長打を打てる選手を育成中という状況ですね。楠田はオープン戦でもずっと4番で使っていますし、おそらく彼が4番ですね。その前後で投手からコンバートした白砂(謙介)、捕手の喜入(友浩)、一塁の山本克あたりがクリーンアップですね。
―白砂選手は今季から外野手転向となりました
チームとして勝つために足し算引き算をしたときに、白砂には打つ方で頑張ってもらいたいということですね。ほかの投手が出てきたということも一つの理由です。
―ここまでの実戦で目についた選手は
三塁の水島(拓郎)と田口(耕蔵)です。水島は守備、田口は打で期待しています。外野なんかも誰がレギュラーだか分からないですし、三塁争いも激しいですね。現時点でレギュラーとして考えているのは飯田です。主将は試合に出て引っ張ってもらいたいと考えています。
―その飯田選手はどのような主将でしょうか
彼はプレーで引っ張るタイプですね。畔上くんのような強力なものはないですけどね。ただ彼が一番練習していますね。
―攻守のキーマンは
攻撃はやっぱり飯田ですね。投のキーマンは宮台です。宮台には「エースになれ」という期待を懸けています。
―宮台投手がエースになるための課題は
体力ですね。去年は球数制限をつけて投げさせていましたけど今年はそうも言っていられないですね。
―指導の上でのご自身のこだわり、信念は
常に全力でプレーしなさいということですね。練習のための練習ではなく、試合を見据えてプレーしろということを言っています。
―ご自身が現役時代にプレーした中で今に生きているものは
まず現役時代に感じたのは、素晴らしい舞台でやる上で「俺がやってやるぞ」というプラス思考で今の選手もやっていってほしいなと思いますね。
―法大の印象は
これまでは5位に甘んじていましたよね。でも畔上くんが主将になって「今年の法政は強くなるな」と思いましたね。どんな相手でも油断せずに集中力を切らさない選手ですから、彼が中心となったまとまってくるということは非常に脅威に感じています。
―具体的な戦略などは
法政さんは投手がどんな感じになっているのかまだ分からないのでね。誰が出てきても力のある投手なのは間違いないですけどね。ただ神宮で経験の少ない投手が出てくるだろうということで、そこに付け入る隙があれば食らいつきたいなと思います。
―春季リーグ戦に向けての意気込みを
ぜひ連敗をストップして勝ち点を狙いたいと思っています。頑張ります。
(取材:遠藤礼也)
飯田裕太 主将
―昨年を振り返って
去春は本当に点が取れなくて惜しい試合もありませんでした。シーズン通して7点しか取れていないので、それでは勝てないだろうという試合が続きました。そこから秋までにかけてどうやったら点が取れるかという攻撃面について取り組んできました。秋は点が取れるようになってきたんですけど、結局勝負どころで自分たちの力は発揮されず、そこで力を出してくるのは他大であったという感じがしました。競った試合は数試合あったものの、その中で勝負どころをものにしていったのは相手だったという印象です。
―飯田選手は守備でチームをけん引しているイメージでしたが、昨秋は三振の激減が見受けられ、打撃面にもしぶとさが見られるようになった要因は
三振が減ったことに関しては自分で実感はあまりなかったのですが、慣れてきたというか見逃しの三振も結構あったんですけど、振ったら当たるなというのが分かってきて、ボールが見えるようになったこととスイングスピードの上昇によりボールを引き付けられるようになったことが要因だと思います。
―現在のチームの雰囲気はいかがですか
リーグ戦で勝つことだけを意識して練習してきているので、すごく厳しい雰囲気になってきました。去年までのチームだと練習と試合の雰囲気は差があって、練習でできていることが試合だとできないということがあったんですけど、練習自体の厳しさが出てきて試合との差は埋まりつつあると思います。でも、厳しくしている中でも少し活気がないかなと思いますし、厳しい中で全員がいかに自分の力を発揮していくかというのを分かってほしいのですが、まだ今はその感じが欠けているかなと思います。
―主将になったことで野球への取り組み方が変わったことは
最上級生になって、やっぱり自分のことよりチームのことを考えなければいけないです。僕だけでなく最上級生みんながそう考えていると思いますけど、個人のことはどうでもよくて、チームが勝つために個々がどのような役割を担って、どんな選手が必要で、どんな場面で、どんなことをするのかが必要になります。それを考えて身に付けていくことが必要になるので、自分の結果を気にせずチームのことを考えるようになったことかなと思います。
―オフはどのようなことに取り組みましたか
個人的には強い打球を打つことを意識してきたのですが、成果としてはまだまだ得られていないのでリーグ戦までになんとかしていきたいです。また、チームとしては練習と試合の差を埋めることに取り組みました。リーグ戦で勝ったことがないので勝ちを意識することは難しいですが、リーグ戦で勝つための練習をしていくこと、勝つためにはやはり甘さは出してはいけないと思うので、そういった勝てるチームの雰囲気づくりです。
―チームとしての課題は
勝負どころで自分たちの力が出しきれない、他大はここぞという場面でチャンスをものにしていますが、東大はここぞという場面でミスが出てしまう精神面を含めた勝負どころでの自分の力をいかに出せるかにあると思います。
―浜田監督は守備のチームを目指しているとおっしゃっていましたが
東大はそんなに大量点の取れるチームではないことは初めから分かっているので、守備で防げる点は防ぎ、ロースコアの試合で勝ちにいく試合をしたいと思います。
―今季の法大の印象は
法大はあまり戦力が落ちていないイメージです。そんなに抜けているメンバーがいなくて、経験も積んできていて今年も去年同様のチームでくると思います。
―最後に今季の目標を
連敗をまず止めて、勝ち点を取りに行きたいと思います。
(取材:原口大輝)
山本克志 内野手
―昨年を振り返って
4年生が中心となって秋には結構良いチームに仕上がっていたと思うんですけど、その先輩方の気持ちに応えられなかったことが悔しいです。
―オフに取り組んだことは
一番取り組んだことは体を鍛えることです。まずは体からと思ったので、具体的には太もも、背中などをしっかり鍛えることに取り組みました。
―昨秋は14年振りのチーム4本塁打に貢献されましたね
チームとしてしっかり振っていこうと思ってやってきたことと、有井さんのチーム初本塁打が出たことで俺たちも打てるという気持ちになりました。有井さんの1本がチームの可能性というか、本塁打の可能性を開いたことが要因です。
―一塁手に転向されましたが失策も減りました
送球の不安があったんですが、一塁手だと精神的に楽な面がありました。
―今後のオープン戦で試してみたいことは
凡退の打席でも、その凡退がチームにとって意味のある一打になるようにしたいです。
―法大の印象は
法政は毎年層が厚い印象です。相性もあまり良くないと思うところがあって、まずはロースコアの勝負に持ち込むことかなと思います。
―六大学で意識している選手は
同期生の左打者ということで、立大の佐藤拓也選手、法大だと金子凌也選手です。特に金子選手はポジションも重なるところがあるので、力の差はあるにしても同じリーグのライバルとして意識しています。
―今季の意気込みをお願いします
なんとしても1勝して、1勝すればチームが変わると思うので、1試合1試合、目の前の1勝を取りにいきたいと思います。
(取材:原口大輝)
宮台康平 投手
―初登板を果たした昨秋を振り返って、ご自身ではどのような印象をお持ちですか
1年生で投げさせてもらいましたが結果として勝つことができなかったので、チームの力になれたかというとそれほど貢献できなかったと思います。登板は全部中継ぎで長く投げる力がなかったので、そこが反省点です。今シーズンはスタミナをつけて、先発でもなんでも長い回をしっかり抑えるということをチームの責任としてやっていきたいと考えて、ここまで練習してきました。
―沖縄や福岡のキャンプでも課題のスタミナを念頭に練習してきたのでしょうか
そうですね、ずっと一番の課題なので。
―その他にキャンプで取り組んだことは
沖縄は暖かかったので、投げ込む回数を増やしながらできるだけ実戦を想定して、自分の通用するボールを磨いていく作業でした。福岡では実戦も入って来たので、打者を立たせて自分の投球を実戦で使える形にしていくという作業でした。
―昨秋のリーグ戦では1年生ながら神宮のマウンドを経験しました
相手が慶大で上位打線からだったので緊張もありましたし、圧倒されました。もちろん(マウンドに)立つことはあくまで通過点です。神宮で東大を勝たせたいという思いで入部したので、そこで満足してはいけないなというか、そんなところにとどまらずに次は勝つという強い気持ちで投げたいと思います。
―ご自身の持ち味は
僕の持ち味は真っすぐの力と変化球でしっかりカウントを取り、テンポ良く試合を進めらられるような投球ができることだと思います。東大というと四球を多く出してしまいますが、そうではない東大の投手を見てもらいたいと思います。
―昨秋も対戦がありましたが、法大の印象は
東大戦までは非力だと言われていましたが、実際の試合では捕まってしまいましたし、地力では圧倒的に上だなと。戦うまでは五分五分ではないかと思っていましたが、全然そんなことはないと思いましたし、相手の力の方が上と考えて戦わないといけないなと思いました。でももちろん勝つつもりではいます。
―理想の投球は
スコアにゼロを並べることです。三振とか結果にはあまりこだわらずに、ゼロを並べることが僕の責任なので、それができれば良いと思います。
―今季は投手陣の柱として期待が懸けられています
責任を持って僕が勝たせるというか、みんなでチーム一丸となって勝利して、そこに僕は関わらなければ行けないと思いますし、関われたら良いなと思います。
―この取材の中で、東大を勝たせたいという強い思いが感じられます
僕は東大の野球部で勝ちたいと思って入部しているので、それだけですね。チーム全員がどうやったら勝てるかということを毎日考えて練習しているので、86連敗(※取材時点)という数字はありますが、絶対に連敗を止めるためにやっているので実現したいと思います。そのための練習はしてきました。
―今季の意気込みをお願いします
マウンドを任せてもらえるような、信頼できる投手になることです。
(取材:井手一樹)
東大予想オーダー
打順 | 位置 | 選手(学年=出身校) | 率 | 本 | 点 |
1 | (5) | 長藤(4=山形東) | .172 | 0 | 0 |
2 | (4) | 飯田(4=刈谷) | .133 | 0 | 2 |
3 | (3) | 山本克(3=聖光学院) | .185 | 0 | 1 |
4 | (7) | 楠田(2=桐朋) | .233 | 0 | 4 |
5 | (2) | 喜入(3=修猷館) | .037 | 0 | 0 |
6 | (8) | 田中(3=熊本) | .238 | 0 | 0 |
7 | (6) | 山田(2=桐朋) | .042 | 0 | 0 |
8 | (1) | 山本俊(3=西春) | .167 | 0 | 0 |
9 | (9) | 阿加多(4=学芸大附) | .222 | 0 | 0 |
東大 主な投手陣
選手(学年=出身校) | 試 | 勝 | 負 | 回 | 振 | 防 |
山本俊(3=西春) | 7 | 0 | 3 | 25 | 15 | 6.48 |
関(4=半田) | 3 | 0 | 1 | 4 1/3 | 2 | 10.38 |
辰亥(4=高松) | 2 | 0 | 2 | 8 | 4 | 11.25 |
三木(3=県多摩) | 4 | 0 | 1 | 10 2/3 | 6 | 4.22 |
柴田(2=洛星) | 8 | 0 | 1 | 14 | 1 | 6.43 |
宮台(2=湘南) | 3 | 0 | 0 | 6 | 3 | 0.00 |
(※記録はいずれも5/18現在の成績です)
フォトギャラリー
- ”勝ち点奪取” 飯田裕太
- 堅守を支える飯田
- ”勝利打点” 山本克志
- 鋭いスイングで打線をけん引する山本克
- ”勝利投手になる” 宮台康平
- イニングこそ少ないものの今季いまだ無失点の宮台
- 1戦目の先発が予想される山本俊
- 全試合で4番を務める楠田