【スピード】第90回日本学生氷上競技選手権大会1日目 中村がインカレで初優勝!!長距離勢もポイント獲得で上々の滑り出し
第90回日本学生氷上競技選手権大会1日目
2018年1月6日(土)
軽井沢風越公園スケートリンク
2018年に入り迎えた勝負のインカレ。今年は長野県軽井沢で行われる。今年から日程の変更で1日少ない3日間での開催となったスピード部門。その分1日のレース数が増える。その影響は法大にどのような結果をもたらすのか。注目の戦いが幕を開けた。500mでは阿部啓吾(営4)が8位に入賞。10000mでは大竹拓三(文3)、田中笑太(営2)がそれぞれ入賞し大きく得点を稼いだ。そしてエースの中村隼人(営4)が1500mで悲願のインカレ初制覇を成し遂げ、合計52得点で初日を終えた。
試合結果
種目成績
種目 | 成績 | 選手名 | 記録 |
---|---|---|---|
500m | 8位 | 阿部啓吾(営4) | 36秒18 |
1500m | 優勝 | 中村隼人(営4) | 1分50秒68 |
17位 | 安済修哉(営2) | 1分54秒90 | |
29位 | 上水隆生(営1) | 1分58秒21 | |
10000m | 4位 | 田中笑太(営2) | 14分17秒00 |
6位 | 大竹拓三(文3) | 14分19秒48 |
順位表
順位 | 大学名 | 500m | 1500m | 10000m | 合計得点 |
1位 | 日本大学 | 44 | 13 | 39 | 96 |
2位 | 法政大学 | 8 | 20 | 24 | 52 |
3位 | 専修大学 | 26 | 8 | 18 | 52 |
4位 | 高崎健康福祉大学 | 24 | 26 | 0 | 50 |
5位 | 明治大学 | 8 | 10 | 17 | 35 |
6位 | 東洋大学 | 14 | 0 | 18 | 32 |
※上位6校のみ掲載
※得点が同じ場合、上位者が多い学校を上位とする
※各距離15位までの選手が得点。1位20点、2位18点、3位16点、4位14点、5位12点、6位10点、7位9点、8位8点…15位1点となる。
戦評
ついにインカレの季節がきた。昨年までは4日間に渡っての開催であったが、今年からは3日間で行われることとなった。
最初の種目は500m。出場選手は阿部啓吾(営4)。昨年は4位と惜しくも表彰台を逃したが、今年は雪辱なるか。11組での滑走となり、号砲とともにスタートを切る。しかし100mを10秒05と物足りない出だしとなってしまう。なんとか挽回するものの、同走の選手が氷に引っかかるアクシデントもあり、タイムは36秒18と振るわず。8位入賞という結果に終わった。このレースでは高崎健康福祉大学の新濱立也が34秒86で大会記録を更新し優勝するなどハイレベルな争いとなった。そんな中、阿部もケガであまり練習できていない中、最低限の滑走をみせた。明日の1000mに期待したい。
続く種目は1500m。まず登場したのは初のインカレとなる上水隆生(営1)。得意種目での滑走となったが記録は伸びず29位と不本意な結果に。安済修哉(営2)はポイント獲得が期待されたものの、後半失速し1分54秒90で17位と悔しい結果に終わった。最後に登場したのはエースの中村隼人(営4)。300m24秒35とまずまずの滑り出しを見せるとグングンと加速する。最後も粘りの滑りで1分50秒69と好タイムを記録した。最終滑走の2人がこのタイムを抜けなかったことで、中村がインカレ初優勝。エースとして期待され続けた男が結果を残した。オリンピック選考会で自信を取り戻した中村が落ち着いてレースに臨めたことが勝因となった。それでも中村は気持ちを切り替え、明日の1000mでの二冠を目指す。
本日の最終種目は10000m。ここでは今季不振に苦しむ長距離のエース大竹拓三(文3)が登場。序盤は同走の島田隆平(東洋大)にリードを許すも、徐々にペースを上げていく。レース終盤にはラップ33秒台で追い上げ、8400mで逆転。最後までリードを奪い6位に入賞した。次に登場したのは田中笑太(営2)。今季成長著しい選手だ。勢いそのままに序盤はラップタイム32~33秒台でレースを展開。中盤にラップタイムが乱れるも、田中も8400mからタイムも戻す。終わってみれば14分17秒00で4位。惜しくも表彰台は逃したが充分な成績を収めた。
今日の結果で52点を獲得し、部門2位につけた法大。明日以降各選手がそれぞれ1点でも多く獲得することが必須となる。法大勢の戦いから目を離せない。(石川大悟)
選手コメント
中村隼人 主将
―今日の滑りを振り返って
軽井沢に入ってきてから調子もよくて、優勝狙えると自分の中で思っていたので、自分の滑りに徹したのが優勝できた要因かなと思います。
―昨年末のオリンピック選考会からはどのような調整をしましたか
1週間弱ぐらいしかなかったので、1度休んであとは練習量を減らして感覚だけという感じで調整してきました。
―オリンピック選考会ではどのような手応えがありましたか
1500メートルで初めて1分50秒を切れて、自分のなかで1500メートルの自信が戻りつつあったので、そこが1番の収穫でした。
―インカレでは初優勝です。優勝の瞬間は
最終組の1組前で滑って、最後は自分と同じくらいかちょっと速いくらいの2人だったので、ただ見守るしかなかったです。優勝できたときは嬉しかったですね。
―全日本学生では自身もチームも不調に陥ってしまいました。主将としての責任というのも感じていましたか
自分は昨年から2年間練習メニューとか考えてきて今年は主将という立場にたって、成績もあまり振るわない中、ここまで来てしまって、最後のインカレでは主将らしい滑りをして後輩に託したいと思っていたので、優勝できてひとつ仕事はできたかなと思います。
―全日本学生では「勝利への意欲」をテーマにあげていましたが、それが今日の優勝に繋がりましたか
選考会が終わって、大学生の上位3人で混戦になっていたので、自分もけっこう調子よくてこれならいけるなと感じていたので、勝ちたいという気持ちは強かったですね。
―今日のレースは終盤の粘りが勝利に繋がりました。その要因は
普段はしない手を振らないバックハンドでレースに臨んでみて、それが最初に落ち着いて入れた要因でしたし、最初に落ち着いて滑れたので、最後まで足を動かせたからだと思います。
―明日は1000メートルのレースがあります。明日の目標と意気込みをお願いします
今年1年1000メートルを基準にずっと練習頑張ってきて、今年はまだいい滑りができていないので、ここで今シーズンで一番いい滑りで最高のパフォーマンスができるように、そして主将としての仕事をできるようにしたいと思います。
―今大会のチームの目標は
今年はインカレの優勝は厳しいと思うんですけど、それに近づけるように一丸となって、4年生が下級生を引っ張っていけるようにあと2日間頑張っていきます。
阿部啓吾
―今日の滑りを振り返って
選考会辺りから股関節を痛めてしまいました。ずっと痛くてダッシュとかができない状態で、今日も痛み止めを飲んで臨みました。悪化しないように今までやってきて、そんな全然練習ができていない中だったので、このくらいのタイムが妥当だと思います。
―けがをしたのは選考会の時ですか
選考会の一週間前のトライアルの時です。選考会もけがをした状態だったのであまりいい滑りはできませんでした。今日は35秒台を狙っていたので悔しいです。
―今大会の調整は
けがの影響で全然滑れていなかったですね。
―まだ痛みはありますか
全然痛みはあるんですけど、そこはなんとかアドレナリンを出してですね。「痛い、痛い」と思いながら滑っていました。足も動きにくかったので、ベストコンディションとは言えなかったです。
―その中で8位入賞という結果はいかがですか
最低でも4位以上、表彰台を狙っていました。1年生と3年生の時も4位だったので、それよりかは上に行きたかったです。
―同走の選手が転倒しかけるアクシデントがありました
100mを通過したところのコーナーで、『抜ける』っていうんですけど、氷と歯がうまく噛めなくて滑ってしまい、氷しぶきをあげて転びそうになっていました。そこは少しロスになっていたかもしれません。通常だったら相手が前にいて、それを落ち着いて追っていける状態でした。急なアクシデントでしたね。結構近いところだったので、あまり大きく出られなかったところはありました。でも、アクシデントはつきものなので。
―最後のインカレにかける想いは
自分は来年からもスケートを続けるので、そこまで引退という感じはないです。でも他大学に、この大会が引退レースになる同期の選手がたくさんいて、小さいころから一緒に頑張ってきた人たちなので、なんというか感慨深いです。なのでお互いに全力で戦いたいと思っていました。
―高崎健大の新濱選手がリンクレコードを34秒86で大幅に更新しました
トップの新濱選手は選考会でもオリンピックの枠に絡んでくるくらいの選手なので、このリンクは今滑るので、こういうタイムは出るんじゃないんかなとは思っていました。すごいなと思いました。
―インカレ前にチームで目標をどのように話していましたか
日本大学は結構選手がそろっているので、1位で総合優勝するんじゃないかという風に言われています。そこにかなわなくても総合で2位になれるように、みんなで表彰台に上ろうと話していました。
―明日の1000mはどのように
自分は500で頑張って、みんなを勢いづけていきたいという風に思っていました。500の8位という結果は本当に最低限の、一応表彰されるくらいの結果なので、あまり勢いはつけられていないですけど、それでみんなが「俺がやってやる」という気持ちで臨んでくれると思います。明日の1000mはあまり得意ではないですが、みんなで戦える最後の個人種目です。500mで本当に悔しい思いをしたので、痛みなんて感じないくらい全力で、壊れてもいいってくらいに頑張ります。
田中笑太
―4位という結果について
今シーズンの初めに立てたインカレの目標が10000mで4位、5000mで3位だったので、その通りの結果になりました。タイムランキングとしても自分は4位だったので、まあ良しとしようって感じですね。
―自身のレースを振り返って
最初の10周は気持ちよく軽く滑れて、今までで一番リラックスしてできました。その後の10周ではだらけてしまって、ガクンと落としてしまいました。でも最後の5周でなんとか追い上げて同走の人に勝ちました。その残り5周くらいから大竹先輩が、第2コーナー辺りから「1、2、1、2」という風に掛け声をかけてくれて、それが無ければあんなに最後上げられかったと思います。
―その掛け声があることでどう滑りが改善しましたか
コーナーで足が止まるとリズムが崩れて、スピードが落ちてしまい、そのまま失速して直線に行ってしまいます。コーナーを一定のリズムで刻んでいれば、それなりに進んで加速していくので。歩数を稼げば進むので、そういった感じで大竹先輩がリズムをとるように声をかけてくれました。それで正しいリズムを作れたので、最後に気持ちよく上げれたのだと思います。
―レースのペース配分はどのように考えていましたか
本当はアップの時に14分30秒くらいでいけたらと、卓也さん(中村卓也コーチ)と話していました。でも最初のチームから29秒台が出て、結構速いんだなと。本当はラップ34秒台をキープしようと思っていたんですけど、ちょっと変えて32秒台で行けるところまでいこうと思い、最初は少しペースを上げました。それで気持ちよく上げられたので良かったです。
―タイムが速かったのは、リンクの状態や天候が関係しているのでしょうか
そうですね、風はあったんですけど結構滑れました。勝手に滑っていってくれるようなリンクだったので良かったです。
―同走の選手とは接戦でした
最初はいい勝負だったんですけど、途中で自分が居なくなっちゃって相手が独走状態になりました。でも残り3周くらいで抜かすことができました。やっぱり駆け引きができた方が、お互いにペース配分は上がります。でも相手のペースに飲み込まれて、自分のペースを崩してだめになってしまう人もいます。同じくらいのリズムで、同じくらいのスピードであれば競っていた方が、一人で滑るよりかは前を追えるのでいくらか滑りやすいです。
―今日の調子は
オリンピック選考会の時はかなり調子が悪いというか、アップの時から全く滑ってるな、という感じがしなかったです。今大会に入ってようやく調子が上がってきたのかな、という感じで、軽くラップも出るようになりました。
―調子が上がった要因は
一つ思えるのは、選考会が終わってからロック調整という歯の調整をしたことです。それをやってもらって、いざ滑ったらだいぶ良くなりました。小さいことですけどそれで一気に変わりました。
―オリンピック選考会はどのような経験になりましたか
今年は本当に狭き門で、数少ない人しか出場できませんでした。その中で滑れたというのはとてもいい経験にはなりました。結果はどうとして、楽しくできたかなと。あのオリンピックに出る、という人たちの雰囲気の中で滑れたことはとても貴重な経験でした。
―4年生とは最後の大会になりますが、
今日のレースは1500の(中村)隼人先輩が大活躍だったので、自分も頑張らないといけないなと思いました。でもそこで熱くなって集中しすぎて空回りするのはだめなので、自分の中で結構リラックスするようにして、そうできたので良かったです。阿部先輩もレース前に「お前ならいける!」みたいな感じで言ってくれました。自分は今回、そういう周りの声がいつもより落ち着いて聞くことができました。集中しつつ周りの声が聞けたのでそこが良かったです。
―インカレ独特の緊張感はあまり感じませんでしたか
去年もそうなんですけど、あまり感じなかったですね。自分のことだけしか考えていないです(笑)。今できる自分の最高の滑りで、順当な結果であれば全然いいです。周りも一応気にはしているんですけど、そうすると空回りしてしまうので。誰かがミスっても、自分がカバーするために頑張ろう、という感じにはならないですね。できたら、「あ、できた」。っていう感じです。
―明日の5000mの目標は
目標は現実味のある3位ですね。屋外ベストが7分58か59秒なので、それを軽く抜けるように、50秒を切るくらいでいきたいです。全然3位は狙えるんじゃないかって思っています。気負わず自分のパフォーマンスをしてきます。
フォトギャラリー
- けがを抱えながらもレースに臨んだ阿部
- 好走を見せた中村
- 初のインカレで苦戦した上水
- 安済は惜しくもポイント獲得できず
- 6位入賞でチームに貢献した大竹
- 田中は驚異の追い上げを見せた
- 10000mで表彰された大竹(左)と田中
- 1500mで優勝し、表彰台に上がる中村