【フィギュア】全日本直前インタビュー~いざ勝負の大舞台~
2018年12月7日(金)
法政大学市ヶ谷キャンパス
全日本選手権を二週間前に控えた12月7日、東日本選手権を勝ち抜き出場を決めた「W小林」、小林建斗(文2)と小林諒真(営2)にお忙しい中、貴重な時間をいただき、約1時間のインタビューを行った。
選手インタビュー
小林建斗(文2)×小林諒真(営2)
―全日本まであと2週間今季ここまでの大会や成績を振り返ってください
建斗:ルールが変わって失敗のない演技がどれほど大切かがとても良く分かったシーズンでした。
諒真:けんちゃんと一緒なんですけど、ルール変更は僕にとってはちょっと不利なのかなと思っていて。なかなかシーズン序盤は点数が出なくて色々悩んだりしました。でも練習を続けてきたから東日本では良い結果が出たんだと思います。
―ルール変更の話が出ましたが、出来栄え点の変更もありました。演技の綺麗さを求められています
建斗:回転不足が今シーズンから厳しく見られていると思うので、今まで以上にクリーンなジャンプやスピンの回転数が求められていると思います。
諒真:加点されるジャンプやスピンはいろんな工夫がされているので、自分が出来る範囲で取り入れていけるかが重要かなと思います。
―今シーズンこれまでの会心の演技は
建斗:だろうなと思われるかもしれないですけど東日本選手権のフリーですね。100%の出来ではないですけど、大きいミスなく演技を終えたのは数年ぶりだったので達成感がありました。
諒真:僕も東日本です。ジャンプは一つ失敗したんですけど、それでも自分の中でいい感じで体も動いて完成が見えてきたかなという試合でした。
―ふたりとも東日本をベストに挙げましたが、良かった要因は何だと思っていますか
建斗:1日目のショートで大きなミスがあって 崖っぷちだと思ったんですけど、コーチと話してあまり考えすぎずに自分ができることを一個一個やれば大丈夫だと切り替えたら、緊張もせずリラックスして臨めたことが良かったんだと思います。
諒真:サマートロフィーと東京ブロックがすごく悪くて点数が出なかったので、どうやったら点数が出るのかとかを試したり研究したりして、その後ウィンタートロフィーで優勝できて点数も出たのでそれが自信になったのかと思います。
―東日本学生選手権から4週間経ちましたが今の状態は
建斗:全日本の週に入ったら完全に調整の時間なんですけど、今は回数を多くこなして、呼吸が上がっても成功できるようにという追い込んだ練習をしている状態です。
諒真:全日本の後もインカレ、国体とあるので、トリプルアクセルの練習を開始しました。曲をかける練習ではジャンプがミスできないので、疲れてもジャンプだけはしめるという気持ちで練習しています 。
―今力を入れて練習していることは
建斗:今は本当に動いて動いてという練習ですね。ハードです(笑)。
諒真:先生からは注意やアドバイスはなくて、ひたすら曲をかけて体に慣れさせていくことしか言われていないので、それをがむしゃらにやっているという感じです。
―今シーズンのプロトコルを見返すと、二人の演技は共通してフリップとルッツが鍵を握ると感じました
建斗:フリップは昔から得意なので加点をもらえたりしているんですけど、ルッツは得意意識がなくて。エッジのエラーとかはとられなくなってきたんですけど加点はあまりもらえていませんね。
諒真:けんちゃんと真逆なんですけど僕はルッツが得意で、フリップはそこまでの自信が持てないんですけど。飛んだら加点がつくジャンプだと思うので、フリップはアテンションがつくことが多いので我慢して直していくしかないかなと思います。
―今後点数を上げるためにはトリプルアクセルがどうしても不可欠になると思います
建斗:今はまずできることをやろうと思っているんですけど、でも今後は絶対に必要になってくる要素だと思うので、シーズンが終わったら考え直していきたいと思います。
諒真:今シーズン一回どこかでできたらなと思います。
笑顔も時折見せながら、真剣に今シーズンを振り返ってもらった
―二人は初めて会った時のことを覚えていますか
建斗:昔のことすぎて覚えてない(笑)。
諒真:小5とか小6の頃かな。
―いつスケートを始めましたか
建斗:小学2年生ですね。
諒真:3年生です。
―他の大学で仲いい人は
建斗:明治の梶田健登くんですね。くだらないボケをしているので鋭いツッコミを入れています(笑)。
諒真:みんなとわちゃわちゃしているので、特定の誰というのはないですね。
―先日のアンケートでもお聞きしましたが、趣味について詳しく教えてください
建斗:ONE PIECEは毎週見ています。お姉ちゃんの影響を受けてアニメが好きになりました。おそ松さんも好きですね。 あとは、幼稚園ぐらいから絵を描くのがとても好きで、自分の好きなキャラクターとかをよく書いています。
諒真:西武ファンなので応援しているんですがクライマックスシリーズでボコボコにされたので(泣)。今年は浅村が楽天に入っちゃったので、セカンドが空くんですけど、外崎が・・・ 。
建斗:本業どっち(笑) 諒真:あとは深夜ラジオをタイムフリーで聞いています。オールナイトニッポンとジャンクはよく聞いています。
―座右の銘は誰の言葉からとったのでしょうか
建斗:「自分を信じない奴なんかに努力する価値はない」という言葉は、ナルト疾風伝のガイ先生のセリフからとりました。自分を信じるところから始めないと何も前に進まないなとすごく感じたので。好きなキャラクターは波風ミナトなんですけど(笑)。
諒真:「偶然ではなく、必然である」という言葉は、漫画のマギから取ったんですけど、奇跡のようなことでもそのために努力をしているわけだから、ただの奇跡じゃなくて努力のおかげでその結果が待っていたと思うようになりたいなと思ったので、その言葉を心に刻んでいます。
―試合前のアップで音楽を聴く選手もいるかと思いますが、お二人はどうですか
建斗:アニソンをよく聞いています
諒真:サントラをよく聞きます。歌詞がなくて頭がごちゃごちゃしなくて済むので。
―気分転換ですることはありますか
建斗:夏は秩父に行ったり、去年は高尾山に行ったりしました。最近は一人でお酒飲み行ったりしますね。
諒真:スケートからなるべく離して、アニメ見たりドラマ見たりですね。
―今日(インタビュー日12月7日)はグランプリファイナルですが、フィギュアのテレビ中継は見たりしますか
建斗:僕は正直テレビがついていれば見るけど、自分からは見ないですね。
諒真:練習と被っている時が多いんですけど、見れるときは見ます。
―現役の選手ですごいなという選手は
建斗:ジェイソンブラウン選手ですね。4回転を飛ばずにショートで90点以上を叩き出していたのですごいなと。表現の仕方が綺麗だし、スケートはジャンプだけじゃないんだなと改めて感じました。
諒真:ミハイルコリヤダ選手です。今はプログラムとしてまとまっていない感じがするんですけど、今後もっともっとすごくなるなと思っています。
―衣装はどのようにして作っていますか
建斗:コーチと作ってくださる方と相談してという感じですね。ショートはジャズだからラフな感じ、フリーは重い曲なのでふわふわしたような感じで。白の衣装はあまり着たことなかったですけど切なさとかを表現できたらなと思って作りました。
諒真:ショートは黒の下に赤を重ねたことで自分的に満足できる衣装ができたと思います。フリーは和のイメージだったので、着物っぽい感じにして欲しくて。衣装だけ目立っちゃうと滑りに目がいかなくなるような気がしているのでワンポイントだけ派手な色を入れようと伝えたら、納得できる衣装ができました。
―衣装のこだわりは
建斗:特にフリーは自分の手の動きに癖があるので、ふわふわしたものをつけて目立たないようにしました。
諒真:できるだけ左右対称にして欲しいと伝えました。それとひらひらがあまり好きではないのでなくしてほしいとお願いしました。
―曲はどのくらいの頻度で変更していますか
建斗:自分は2年で変えるようにしています。YouTubeとかで他の人の演技を見たり、映画を見たりして気になるものがあったら調べたりしています。
諒真:ショートもフリーも一年に一回変えるようにしています。僕も他の人のを参考にしていますね。
―どういう曲調が好きですか
建斗:パイレーツオブカリビアンなど映画のサントラが多いですね。自分は映画の曲がいいんじゃないかなと思っています。宮田大地くんが今季使っているグラディエーターは自分もいいなと思って使おうと思っていました。
諒真:本当に気に入ったやつを先生に相談しているので、自分でもあまり分かっていないですけど、 先生にはこういう曲がいいんじゃないかという考えがあるんだと思います。歌詞に左右されそうでボーカルあまり好きじゃないので今までのような音楽を使いたいです。
普段は聞くことができないプライベートな話題も
―全日本ではフリーに進むのがまず最初の目標だと思います。鍵を握る要素は何だと思いますか
建斗:失敗しないというだけじゃなくて質で勝負していかないといけないと思っています。技術的部分と精神的な部分両方ともしっかり持って臨まないといけないなと思っています。
諒真:ジャンプが一つ飛べなかったら落ちると思っているので決めるのはもちろんなんですけど、会場の雰囲気に飲まれないように目線を上げるとか表現もしっかりやったらフリーに届くと思っています。
―全日本選手権に出場する選手で注目している選手は
建斗:同期の本田太一くん(関西大)は昔から仲良くさせてもらっていて、海外に拠点を変えて今までとは違う表現力を身につけたと聞いているので、注目したいなと思っています。
諒真:この人というのは特にないんですけど、去年と比べてどれほどレベルが上がっているのかがとても気になっています。
―大阪のリンクは二人とも初めてということですが、初めてのリンクの対応はどのようにしていますか
建斗:去年の会場よりずっと大きいと聞いているので、去年以上に想定していかないと雰囲気に飲まれてしまうと思っているのでその辺もしっかり考えて練習していきたいです。
諒真:自分がその環境にどれだけ適用できるかが大事だと思うので。自分のルーティンとかは変えたくないですけど、本番まで調整の時間があると思うのでその間でしっかり調整したいです。
―大会の前日練習で意識していることは
建斗:氷の状態によってどれぐらい我慢しなきゃいけないのかとかを考えながら練習しています。
諒真:全部エレメンツをやってみて、どこまで踏ん張ったりしたらいいのか、どうやったら一番回りやすいかなどを確かめています。
―演技で注目して欲しいところは
建斗:ショートフリーで曲調が180度違うので、こういう表現も出来るんだということと、高さだけじゃなくて流れが止まらないジャンプが武器だと思っているので、そういうところを見てもらいたいなと思います。
諒真:僕も曲調が反対なんですけど、それでも一番印象に残りやすいのはジャンプだと思っているので、ミスしないようになおかつ点数が出るように努力したいです。
―最後に意気込みお願いします
建斗:去年やっぱり悔しい思いをしているので自分へのリベンジと、来年のためにも枠をしっかり取って帰ってきたいです。100%の演技で自分の今の力がどれほど通用するのかを確かめたいし、一つ一つ考えすぎずに演技したいなと思います。
諒真:ショートフリー通して、自分がこれまでやってきたことしっかり出し切って、全日本でガッツポーズ出来るような演技がしたいと思います。
(取材:湯浅駿)
全日本本番に向けモチベーションも徐々に高まっているようだ
フォトギャラリー
- 「W小林」の大舞台での飛躍に期待だ
- 初の全日本出場となる小林諒真
- 昨年はショート落ちを経験、リベンジを誓う小林建斗
- 貴重な衣装をお持ちいただいた
- 学校でも一緒にいる時間が多いという2人