【リオ五輪特別インタビュー】第2弾~ウエイトリフティング男子62㌔級 中山陽介選手~
2016年7月14日(木)
法政大学市ヶ谷キャンパス
リオ五輪特別インタビュー第2弾はウエイトリフティング62㌔級に出場する中山陽介選手(平20年度経営学部卒=笛吹市役所)。今年7月に追加招集というかたちで代表に選出された中山選手に、初出場となる五輪への意気込みをうかがった。
中山陽介選手コメント
―リオ五輪出場おめでとうございます
ありがとうございます。
―初出場ですが、オリンピックに対する思いはやはり特別なものですか
そうですね。アマチュアでやる大会ではオリンピックが最高峰の大会なので、4年に1回というスポーツの祭典に出られるということは最高の目標ですね。
―ドーピング違反で枠が増えての出場となりましたが
それに関しては去年の12月からドーピングの結果は出ていたんですよ。それが反映されるまでに7月までかかってしまったんですけど、まあ出られるだろうということで。そう思って頑張ってきたんですけど、実際やっぱり辛いですよね。辛かったです。
―追加招集されるまで待っているときの気持ちは
辛かったですね。決まらないと心も体も動かなくて、練習やらなきゃって思うんだけど、ずっと体がついてこないというような状況でしたね。
―招集されたときの率直な気持ちは
やっときたか、という感じですね。
―もともと五輪出場は1枠で、日本選手権では全て成功させて2位という結果でしたが、どのような気持ちで臨んだのですか
日本には不動の1位がいるんですよ。(出場権が)1枠だったらその人が間違いなく入ります。でも12月の時点でドーピングの違反が出ているので、日本は3枠、4枠あるっていうことを前提にオリンピックを目指してやってきました。
―自己ベストは
(トータル)282㌔です。2015年の全日本選手権で(トータル)274㌔挙げて、それが僕の自己ベストだったんですけど、8㌔伸びましたね。
―リオでの目標は
(トータル)280㌔以上です。
―今はどのようなことを強化していますか
スナッチ、ジャークのフォームのコースの確認、あとは種目での重さ慣れですね。
―弱点などはありますか
弱点は力がないので…力がないです!(笑)
―克服するために何かされていますか
筋トレしていたんですけどね、なかなか皆に追いつけないですね。
―試合前のルーティーンはありますか
あるっちゃあるけど…表向きのやつで(笑)。どうしてもイメージトレーニングが主になりますね。減量とかがあるので、体を動かすとやっぱりしんどいんですよ。だから頭の中で、大会で良い結果が出ているところのシュミレーションをやっています。
―重量挙を始めたきっかけは
もともとやることがなくて、ソフトボールをやろうかなと思っていたんです。でもその時に重量挙の監督にウエイトやってくれって言われて、行ったら背筋とか色々な測定をしてすごく記録が良かったらしくて。「お前は金の卵だ」って乗せられて、じゃあやります!ってなったのがきっかけです。
―競技を続けている中で辛かったことは
大学3年のときにけがをして、手首のじん帯を2本くらい切ったんですよ。大学4年生のときは1年間棒に振って、全く試合に出てなかったんです。あの時はやっている意味が分からなかったです。辛かったですね。
―最も印象に残っている場面や試合は
今年の全日本選手権ですね。地元でやったんですよ、山梨で。だからウエイトに関係ない人、友達とかがめちゃくちゃ来てくれて、ウエイトリフティング初めて見たけど感動したって皆言ってくれて、俺の試合のときの場は完全にホームでした。だから記録も良かったですね。あれはもう最高の試合でした。
―今はお仕事を休まれて競技に専念していますが、休職を決意したときの気持ちは
ウエイトリフティングのルールが変わって、オリンピックの2年前の間に2回世界大会に出ないとオリンピックにまず出られない、というようになってしまったんですね。それでちょっと2年前に世界選手権にまず選ばれないと、そもそもオリンピックに出られないということで、ここで本気出さなきゃ間に合わないなと思って休職をしたいと思ったのがきっかけですね。あとは単純にウエイトが好きだから、もう1回ちょっとウエイトだけの人生をやりたいなと思いました。
―学生時代の思い出は何かありますか
入学したばかりのときに重量挙部の単独寮だったんで、ルールもいっぱいあるじゃないですか。まずノートを渡されてそこにびっしりルールが書かれていて、これ全部覚えろって言われて衝撃を受けましたね。お風呂は先輩と一緒じゃないとまずは入れないんです。1人で入ってもいいんですけど、先輩が入った時に絶対一緒に入らなきゃいけないっていうルールがあるから、もったいないので先輩と一緒じゃないと入れなかったです。そのお風呂も10時43分までに入らないとその日はお風呂に入っちゃいけないとかありましたね。
―細かいですね
10時55分から消灯準備っていう鍵閉めとかがあるんだけど、10時43分までに入ればそれに間に合うっていう、歴代の先輩たちの計算上で築き上げられたものです。面白いルールがいっぱいありましたね。すごい理不尽だとは思うんだけど、やっぱりそれがその中の4年間の重量挙部のルール、社会だから…そうですね、面白かったですね。
―勉強面ではどうでしたか
それがですね、良かったんですよ。1年生っていうのは門限がないから、練習場かウエイト場か学校しか1人になるスペースがないんですね。だから授業やっている間だけは1人の時間じゃないですか。めちゃくちゃ良かったですね。…勉強面じゃないね(笑)。
―単位を落としそうだったり不安などはなかったのですか
なかったですね。3年には(単位を)取り終わって、4年で8単位取らなきゃいけないものだけ残して。あとはあんまり学校行った記憶ないですね。やっぱりウエイトしに(大学に)来たから、勉強しに来たんじゃないんですよね。だから単位とれればいいかっていう考えだから、そこはちょっとカットですね(笑)。
―オリンピックを終えたらしたいことは
ちょっと北へ行きたいですね。旅行で北に。
―具体的には
森林浴、滝の流れる森林浴に行って、ネクステージをどうしようかなって黄昏たいですね。
―趣味やオフの過ごし方は
ロードバイクが好きなのと、ブラックバス釣りが好きでやっているので、チャリンコ乗りながら荒川行って釣りをする、みたいな感じです。ちょっと本気出したら相模湖行ってボートに乗って釣りをします。
―仲の良いアスリートはいますか
この30の世代、まだ30歳じゃないですけど、ほとんどいないんですよね、そもそも。だからやっぱり年下になっちゃいますね。重量挙の仲間はよくしてくれて一緒に遊んでくれたりしてます。あっ、三宅宏実さん!仲良いですよ!(笑)
―現役の法大重量挙部と交流があるようですが、練習もよく一緒にされるのですか
やっぱりかなりは行けないですね。NTCで生活していて、大体月3週は合宿していて、2週間くらいオフで、その時に今日ちょっと法政行こうかなっていう感じですね。
―最後にリオへの意気込みを
待ちに待った夢の舞台なので、隅々まで楽しんでいきたいなと思います。やっぱり楽しんだって言えるには、結果も良くなきゃだめだと思うので、今は一生懸命練習を頑張って、最後はリオデジャネイロオリンピック楽しかったと言えるような大会にしたいです。
最後の最後につかんだ大舞台へ挑む
〈取材:安藤優花、撮影:阿部暁野〉
フォトギャラリー
- 楽しかったと言える大会にしたいと語る
- 現在でも法大重量挙部と交流を持つ
- えこぴょんと一緒に撮影