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【硬式野球】2021春季リーグ戦を振り返って ~加藤重雄監督、大島公一助監督~

2021年5月29日(土)
法政大学野球部合宿所

加藤重雄監督の下、春連覇を目指し戦うも、4位に終わった春季リーグ戦。弊会は最終戦から約1週間が経った5月29日にインタビューを敢行。監督、助監督を含め数名の選手に春季リーグ戦の振り返り、そして今後の展望についてのお話を伺った。今回は加藤重雄監督、大島公一助監督のインタビューをお届けする。

今季から指揮を執った加藤監督

監督、助監督インタビュー

加藤重雄 監督

ー今季を振り返って
みなさんのご期待に添えずに残念な結果に終わって、大変申し訳なく思っています。

ー最終戦は東大に敗戦しました
負けてはならない相手はどこも一緒なんですけど、特に負けてはならない相手でしたので、今も秋に向けて14名の幹部を集めてミーティングをやっていました。以前の東大さんよりも強くなっていると思いますけど、強くなっていようと何であろうと負けてはならないと思っていますので、同じ轍を踏まないように反省会兼秋に向けての対策を今練っていたところです。

ー14名の幹部とは
キャプテン、副キャプテン、外野手責任者や学生コーチ、第一寮長、第二寮長などの各責任者ですね。

ー敗戦後のミーティングなどで選手に話したことは
4位で終わったということと、打撃不振。その中身はただ打てないばかりではなく、得点力の不足。そして東大に負けたことですね。何であろうと負けてはならない相手、他の大学にも負けて良い試合なんかないですけど、東大さんに負けているようではまだまだ努力不足だという話をしました。

ー得点力不足についてどういう対策を今後していくか
練習しかないですし、その練習の中身をより実践的な練習に(します)。コロナ禍ではあるんですけど、それはうちだけではないですし、より時間を取って実践練習に取り組む。生きた球をより中身を濃くして打っていくことに尽きると思います。もう一つは今まで真剣にやっていなかったわけではないんですけど、より緊張感を持って、神宮を想定して、みんなが意識を高めて一人一人が練習していこうという確認をしました。野球の練習をそんなに大幅に変えることはできないですが、ただその中身をやる方が、一人一人が、より真剣に気持ちを高めていくことが本番に生きるプレーにつながってくるだろう、ということを確認しあいました。

ーシーズン全体のベンチの雰囲気は監督から見ていかがでしたか
決してベンチの雰囲気は悪くないんですけど、凡打した後で沈みがちなところはありました。ただ、東大に限らず負けはしましたけど、勝ってる試合でも負けている試合でもそんなにみんなが沈んでいるということはなかったと思います。

ー主将の三浦銀二(キャ4=福岡大大濠)選手以外でベンチ内で声を出して盛り上げていた選手は
副キャプテンの岡田(悠希、人4=龍谷大平安)はもとより、野手では野尻(幸輝、営3=木更津総合)などの3年生が声を出していました。それほどムードが悪いという感じはしなかったと思います。

ー開幕戦は三浦選手の無安打完投勝利(ノーヒット・ワンラン)でした。あらためてあの試合を振り返って
私の初陣でもあったわけですけど、ノーヒット・ワンランというノーヒット・ノーランよりも極めて難しいもので、幸先良いなと思っていました。ただ2試合目を転んでしまって、とにかく打線が振るわなかったというのが敗因だと思います。

ー今季活躍の目立った選手を投打で1人ずつ挙げていただくと
やはり投手では三浦。山下(輝、営4=木更津総合)もそうではあるんですけど、キャプテンでもあるし、各大学の対戦のスタートには三浦を据えてましたので三浦。バッターでは齊藤(大輝、人3=横浜)ですかね。3番を打たせていましたし。

ーその三浦選手は開幕から3試合連続で完投しました
大黒柱ですし、三浦がマウンドを降りるということは負け試合ということになります。大量点を取られたら降板ということも考えたんですけど、多少の失点では追いつけるだろうという覚悟、それだけ信頼感を置いているということですから、その結果が8回だったり完投という形になりました。

ーエースであり、キャプテンでもある三浦選手だからこそ最後までというふうに考えている
あのピッチャーに代わるリリーフはまあ、あり得ないだろうと。よく新聞記者の取材などにも代打を出さないことなどを聞かれますけど、代打を出して点数を広げられる後悔よりも、三浦を最後まで投げさせて点を取られて負けてしまう後悔の方が、私自身少ないと思ったのでそういう結果になりました。

ー投手陣全体を振り返って
投手はみんな頑張ってくれたと思いますね。そんなに失点もしなかったですし、もちろん0点に抑えてくれるのが一番ですけど、そうもいかない中で実力を発揮してくれたと思います。

ーその中でも先発の三浦選手、山下輝選手の活躍が光りました
後に控えているピッチャーの出番は少なくはなってしまいました。ただ、ピッチャーがころころ代わるというのは現代野球ではよくあるんですけど、私はあまりそれが好きではない。任されたら最後まで投げるのが、それを目指すのが投手だと思っています。そしてそれがチームから信頼を受けるピッチャーになると思っています。先発、リリーフ、クローザーと分けるのはあまり好きではない。古屋敷(匠眞、営4=八戸工大一)とかのクローザーは投入しましたけど、先発2人はよく頑張ってくれたと思います。

ー野手陣を振り返って
みんな一生懸命やっているでしょうけど、初めて神宮を経験する野手が4年生を含めて多かったので、良い経験になったんですけど、苦い思い出にもなったということだと思います。

ー失策や記録に残らないミスから失点することもありました
去年も法政大学は一番失策が多いという結果でした。新チームになっていますから、あらためてスタートを切っている中で「だからこそ失策を少なくしよう。守りの中から最小得点でも勝てるだけの投手力があるから、そこを意識しよう」と常日頃練習では言っていました。ただ結果として浮き足だったりとか、俗に言うダブルエラーですね。一回エラーして慌てて次もエラーするという、それは絶対に防がなければならないんですけど、いかんせんそこで経験不足が表に出てしまったというところですね。

ーそこは夏に詰めていく
そうですね。どのチームも同じだと思うんですけど、エラーと見逃し三振は絶対にやってはならないことだと思いますので、取り組んでいきます。

ー開幕前に期待をかけていた岡田悠選手は今季苦しみました
個人名を出しては悪いと思いますけど、それだけの選手なので。岡田悠と小池(智也、営4=八戸学院光星)がもう少し頑張って打ってくれたら、違う結果になっていただろうと思います。

ーそれだけ期待されている証でもある
ここで名前を挙げさせてもらったのも、それだけ期待できる選手なのであえて。本人たちは苦しかったとは思います。ある程度の結果は残してくれましたけど、この程度で終わる打者ではないので、秋に猛奮起してくれたらと思っております。

ー捕手について、三浦選手が先発の時は舟生大地(文4=日大山形)選手、山下輝選手が先発の時は大柿廉太郎(法3=健大高崎)選手がマスクを被りました
本来1人でやるのがチームの安定感につながるんですけど、今まで4年間過ごしてきているので。三浦が本来はいろいろなキャッチャーが(練習から)取るべきだとは思うんですけど、舟生がずっと取っていたので、そこは三浦の意見ですし、2戦目は大柿という形にしました。学生の選手たちの相性を優先したということですね。ただ、昔から扇の要と言われているキャッチャーを使い分けるというのは非常に難しいので、今後の課題でもあると思います。

ー先ほど今季の活躍が光った選手として名前を挙げられた齊藤大選手について
よくやってくれたと思います。不動の3番というか、期待に応えてくれました。最後の東大戦でも打ってくれればあんなに悔しい思いはしないで済んだかもしれませんが。東大さんも勝たんがために毎日努力されている中ではありますが、ただ絶対に二度としたくない経験ですので、齊藤のみならずみんなで今度は挽回していくという取り組みを今から秋に向けてスタートしています。

ーあの悔しい一敗から選手たちも今まで以上に目の色を変えて練習に取り組んでいる
私自身もそうですし、みんなそう思っていると思います。

ー夏にチームとして詰めていくことは
それを一昨日や1時間半ほど前にミーティングして、キャプテン、主務、仁科(亮哉、文4=法政二)学生コーチ、私と大島(公一助監督)の5人で下準備というか、ミーティングをして今日を迎えています。「絶対に打撃を上げていこう」と。かといって打撃は水物とも言われていますから難しいんですけど、難しいからこそ、今と同じスタイルでやっていったらもっと後悔が残るから何かを変えるんだ、と。フリートーキングの形式を取って、こっちからこうやりたいという感じではなく、どうやれば秋にいい気持ちで終えられるか、賜杯を取ることができるのかということを話し合いました。話し合うだけでなくて、グラウンドでそれをどうやったらいいのかということを検討しました。とにかく打撃、実践練習を繰り返して、より神宮でリラックスできるように(しようと)。かといって本当にリラックスなんかはできないんですけど、ただそういう意識を働かせて練習に取り組んで、シーズンに臨むことで成績が残せるということを信じて、みんなで取り組もうということで最後に話を締めました。

ー実践練習というのは練習試合やシートバッティングなど
そうですね。それに加えてオープン戦とか。より今までよりか緊張度を高める練習を取り入れると。ただただ数を打つとか、クオリティーを高めるとかも言いますけど、より実践的なものですね。緊張を高めるということを取り入れていくと。本番に生かせるような練習をより取り入れたいと思っております。

ー最後にファンの方に向けてのメッセージをお願いします
まずはお詫び申し上げたいと思います。大変期待をしていただいた中で残念な結果に終わってしまいました。これはどこの大学もそうだと思うんですけど、「絶対にうちが優勝する」と優勝を狙ってやっている中で、その思いを強く持って負けないように一戦一戦戦うだけだと思います。優勝というご報告ができるように暑い夏を乗り越えて、秋のシーズンを迎えたいと思っております。

(取材・五嶋健)


加藤 重雄(かとう・しげお)
1956年4月20日生まれ
鳥取県出身・鳥取西高→法政大学→日本生命

大島公一 助監督

―助監督になられて初のリーグ戦。振り返って
法政大学、法政大学野球部、そして応援してくれている人、OB,OGそのあたりの期待に応えられなかったなというのが率直な気持ちです。

―印象に残っている試合は
今振り返ると、やはり東大に負けた試合が印象深くなりますし、中々まだ頭の整理がつかないというのが現状です。

―東大に敗戦してしまった要因は
まだ振り返りがちゃんとできていない状態なので分からないという現状ですが、東大もピッチャーが度胸もあるし、コントロールもよかった。また、作戦も大胆不敵だった、守備も堅実な守りをしていた、そういう意味で立派なチームだと、強いチームだなと思いました。

―助監督から見たチームの雰囲気は
やはり、いろいろな意味でいい経験をしているなと感じました。すごく一生懸命にやっていましたし、必死にプレーをしていたと思いました。当然、いいプレーができたとき、できなかったとき、いい成績が残せたとき、残せなかったときがあったと思いますが、選手は精一杯やってくれたなと思います。

―いいプレーをしていたと感じた選手は
やはり、キャプテンの三浦がノーヒット・ワンラン、歴史上、なかなかない記録を残しましたし、あの1点も私が前進守備をしなかったことによって起きたことだと、前進守備にしていれば、ノーヒット・ノーランが完全に完成した可能性もあったので、その点は申し訳なかったという気持ちもありますし、よくやってくれたという気持ちもあります。

―守備位置の采配は助監督が
そうですね。主に、私が担当させていただきましたし、内野の前進守備や外野のポジショニングというのは指示をさせていただきました。適切な指示ができたときもあれば、後悔している場面もたくさんあります。

―野手陣の守備についてどのように感じたか
全体的にしっかりと守れたと思います。東大との2戦目では少しバタついてしまったところもありましたが、自分たちの力を発揮してくれましたし、守備固めに行く選手もいい働きをしてくれたなと感じています。

―以前の取材で助監督としての立場はまだ模索中とおっしゃられたが、リーグ戦を通し得たものは
やはり、まだ模索中ですし、どういう立場にいるべきなのかよくわからないのが現状です。選手と一緒に学びながら今進んでいる状態です。今は、秋に向けてチームがいい方向に向かうよう、日々努力している最中です。

―チーム全体の課題は
数字的に言うと、打撃面で、得点力がなかったという形になりますが、全体的にいい経験をしたので、この経験をどう生かしていくかが大切なことだと思います。経験が少なかった選手が多かったので、この経験が必ず生きるような練習、生活をしていきたいなと思っています。

―経験が少ない選手が多かったが、リーグ戦を通して成長したと感じた選手は
去年までに経験があった選手ではあるのですが、セカンドの齊藤大輝ですね。齊藤は自分の持ち味を走攻守で出していたと思いますし、非常に成長した選手だと思いました。

―夏に重点的に指導していきたいことは
現状を踏まえて、チームがどう変わっていくか、チームとして組織をしっかりとしていくかというのが重要だと思いますので、そういう意味では、選手と、4年生と話し合いながらいい方向に進んでいけたらと思っています。まだ、具体的にどのようなことをやっていくかは、今ミーティングをしている途中です。そういう意味ではまだ漠然としているところで、はっきりしたものはありません。

―新入生が合流して約2か月経ったが、様子は
コロナウイルスの影響もあり、(推薦入学者の)合流が3月20日だったと思います。そして、その他の選手も4月の3日か4日だったと思います。例年より1か月ほど遅い合流になったのですが、今は少し慣れてきた様子で、自分の実力を発揮してきている選手が多くなってきました。今週の火曜日からフレッシュリーグがあるのですが、そこにも数多くの1年生が出る予定です。

―フレッシュトーナメントで1・2年生に期待していることは
思い切ってプレーをしてほしいですし、このような公式戦というのは久しぶりだと思います。2年生もリーグ戦のメンバーに入っている人は何人かいましたが、それほど出場機会は多くなかったので、いい緊張感の中でやれると思いますし、経験したことを練習に還元していくことの繰り返しだと思いますので、精一杯自分の実力を発揮してほしいと思います。

―リーグ戦では2年生の尾﨑完太(キャ2=滋賀学園)選手、武冨陸(営2=日大藤沢)選手の活躍が見られたが、フレッシュトーナメントでは
リーグ戦では長いイニングを投げていなかったのですが、フレッシュでは長いイニングを投げる予定なので、そういう意味で期待しています。

―ファンのみなさんへ一言
沢山の声援をいただきありがとうございます。期待に応えられなかったこと、これを糧に秋は爆発したいと思いますし、これからも変わらず暖かい応援をしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

(取材・東夏紀)


大島 公一(おおしま・こういち)
1967年6月17日生まれ
東京都出身・法政二高→法政大学→日本生命→近鉄→オリックス→東北楽天

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