2023年 東京六大学準硬式春季リーグ戦 慶大2回戦
2023年5月21日(日)
法大多摩キャンパスグラウンド
慶大に1敗し、後がない法大。今日勝てば優勝、負ければ3位という大きな重圧の中、両チームが異様な緊張感に包まれプレイボール。取られて、取り返して、取られて…激しい攻防戦の末、4-7の法大3点リードで迎えた7回、投手・古川端が痛恨の4失点を喫する。あと1点が遠く、最後は主将・塩唐松の空振り三振で試合が終了。8-7と惜敗し、優勝は慶大に献上。法大は、首位から転落し3位で春季リーグを終えることになった。
試合結果
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
慶 大 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0 | 8 | 13 | 2 |
法 大 | 0 | 0 | 4 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 7 | 5 | 2 |
(慶大)水田、岡見、佐藤伸哉、佐藤大志、日比谷、田中、長谷川-佐藤
(法大)村越、古川端、藤中-澤野
打撃成績
打順 | 守備 | 選手、学部、学年 | 出身校 | 打席数 | 安打 | 打点 | 四死球 |
1 | (9) | 鈴木歩夢(社4) | 明星 | 4 | 1 | 1 | 1 |
2 | (6) | 唐橋悠太(経4) | 桐光学園 | 4 | 1 | 1 | 0 |
3 | (7) | 関宮楓馬(社3) | 静岡 | 4 | 1 | 0 | 1 |
4 | (4) | 塩唐松宏将(社4) | 鳴門 | 4 | 1 | 2 | 1 |
5 | (8) | 小原捷平(社2) | 仙台育英 | 2 | 0 | 0 | 0 |
8 | 森涼太(経2) | 三重 | 0 | 0 | 1 | 1 | |
6 | (4) | 高橋凌(社4) | 花巻東 | 3 | 1 | 2 | 1 |
7 | (2) | 澤野智哉(社4) | 国士館 | 4 | 0 | 0 | 0 |
8 | (5) | 須賀椋也(現3) | 新田 | 3 | 0 | 0 | 1 |
9 | (1) | 村越仁士克(経1) | 日本文理 | 0 | 0 | 0 | 1 |
1 | 古川端晴輝(社3) | 花巻東 | 2 | 0 | 0 | 0 | |
1 | 藤中壮太(社3) | 鳴門 | 1 | 0 | 0 | 0 |
投手成績
回 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 自責点 | |
---|---|---|---|---|---|
村越 | 32/3 | 6 | 1 | 3 | 1 |
古川端 | 3 | 7 | 4 | 3 | 4 |
藤中壮 | 21/3 | 0 | 1 | 0 | 0 |
ボーク: 藤中壮太(7回)
失策: 須賀 諒也(8回) 藤中壮太(8回)
暴投: 藤中壮太(6回)
盗塁: 鈴木 歩夢(7回) 唐橋 悠太(7回)
走塁死: 小原 捷平(6回)
戦評
悲願の春季リーグ2年連続優勝を達成するためには絶対に落とせないこの一戦。昨日行われた1回戦ではエース・藤中壮太(社3)が登板するも黒星を喫し厳しい状況に追い込まれている。逆境に打ち勝ち、東京六大学の王座を掴みたい、注目の一戦である。この日、法大の先発を務めたのはルーキー・村越仁士克(経1)。大一番でのプレッシャーに打ち勝てるか。若き右腕の働きぶりに期待がかかる。
注目のゲームは初回から動く。先発・村越が制球を乱し、四死球が重なっていきなり1死満塁のピンチ。しかし二塁手の高橋凌(社4)が相手走者の過度なオーバーランを見逃さず補殺を記録。頼れる4年生の好プレーが光り1失点でこの場を抑えた。
次にゲームが動いたのは3回。4番・塩唐松宏将(社4)、6番・高橋が適時打を放ち一挙4得点。ビッグイニングを演出した。その後4回に村越が慶大打線につかまり3失点。ゲームは再び振り出しに。
しかし法大打線も負けてはいない。続く4回裏、慶大の守備のミスから好機を演出し唐橋悠太(経4)の適時打、守備から途中出場した森涼太(経2)の犠飛などで3点を獲得。7-4となり、見事勝ち越しを果たした。
ここまでの攻撃で流れは完全に法大へ。さらに法大のマウンドには4回途中から左のエース・古川端晴輝(社3)が登場しており、まさに磐石の布陣である。
だがこの希望を打ち砕いたのが絶好調の慶大打線。7回に満塁のピンチを招くと、後続の放った大飛球は無情にも中堅手・森の頭を越えフェンス際まで転がってゆく。まさかの走者一掃の逆転適時打を喫し、法大ナインはグラウンド上に立ち尽くした。
その後、エース・藤中(壮)がマウンドを継ぎ2回と3分の1を無失点に抑える好投を見せるも、打線の反撃及ばず無念の敗戦。2連敗で対慶大のカードを落とし、春季リーグ戦を3位に。優勝を目指してきたチームにとって悔しい結果となった。
来週からは六大学の新人戦トーナメントがスタートする。今後のチームを支える1、2年生らは偉大な先輩の仇を取ることができるか。秋以降の戦況を占うトーナメントの行方にも要注目だ。
3回法大逆転時、ホーム生還の喜びを分かち合う、塩唐松と小原
(記事:嘉藤大太、写真:田中さや)
選手インタビュー
本間隆洋監督
ー今リーグ戦初の2連敗となりました。慶大とのカードを振り返って
とにかく法政大学の力不足、完全に力負けです。
昨秋の最終カード早稲田大学戦同様、優勝がかかった試合での際の弱さ含め、強いチーム作りが出来なかったのは、監督である私の力不足、私の責任です。
ーリーグ戦が始まる前は、早大には勝ちたいと意気込まれていました。早大から勝ち点を奪えた点に関しては
昨秋、連敗したチームであり、やはり六大学の中では試合巧者という点で早稲田大学が安定した力を持っている事に加え、関東選手権大会でもベスト4入りする等、手強い相手からの勝ち点奪取は正直なところただの勝ち点ではなく、弾みのつく勝利だったと思います。
ー今季リーグは打順を固定せず、代打も多くだしフレキシブルに対応されていました。打順の機能は。
スターティングメンバーには器用な打者がそれなりに顔を並べており、打つ順はさほど苦労はありませんでした。
慶應の2試合は別として、勝った場合は打順を動かさず、負けた試合の次の試合は少々入れ替えをするのが大体のパターンです。
ただ打順は苦労しなかったですが、顔ぶれについては、新戦力の台頭が無かったのは残念です。
代打陣は特に力量不足が目立ち、苦しい状況でした。
ー打者がもっと爆発してほしいという話もありました。今リーグの打撃成績を振り返って
スコアリングポジションにランナーがいる時、ここという時の1本や、満塁時に畳み掛けられる打撃という点では残塁も多く、弱さが払拭出来ない打線でした。
また、球威·球速があるピッチャーに対しては、極度の弱さを露呈しました。
慶應戦は最たるもので、今日も試合中盤から慶應のエース日比谷君が登板以降、抑えの長谷川君まで無安打に封じ込まれました。
これが今の実力です。
ー村越選手や河野選手、遠藤選手など1年生の投手陣が支えてくれていたと思います。投手陣の活躍を振り返って
1年生の投手に触れる前に、今の法政大学はまず3年生の藤中·古川端の踏ん張りに尽きます。
3月の関東選手権からこの2人で乗り切って来ました。
他大学からは登板過多で驚かれる事もあるのですが、投げて当然といった姿勢で、本当に頑張ってくれました。
古川端については、今日の試合は苦しみましたが、結果的に藤中をイニングの途中から投入するのであれば、もう少し早めにこちらが判断してあげれば良かった事で、私の継投ミスで最悪の終わらせ方にしてしまい申し訳なかったです。
藤中-古川端のリレーでものにした試合も多く、チームの勝ちパターンを担っており、腐る事なく引き続き頑張って欲しいです。
新入生3人はまだまだ横一線です。
今はたまたま村越が2戦目に入っていますが、高校時代の経験値では河野も優れた投手で、遠藤も小柄ながら球威のあるストレートを持っている投手です。
誰がどうなっていくかはこれからの話です。
驕らず、謙虚な気持ちを忘れずに取組んだ投手が最後に残る事を肝に銘じ、頑張って欲しいです。
ーそれでも、通過点の全日予選の出場すら叶わなかったわけですが、チームの一番の課題は
走攻守、全て課題であり、見直しが必要です。
練習計画の甘さも目立ちます。
相応の戦力を抱えながら、絶対的な力を身に付けられなかった事を真剣に深掘りして考えます。
特別な事は不要、基本である走攻守の3つをとにかく強く鍛える、それだけです。
目先の技術や表面的なものを追いかけるのではなく、基礎·基本をあらためて見直したいです。
勝ちに近道は無しです。
また、何かをやり切る根気·メンタルはかなり弱いので、当たり前の事を丁寧にやり切る事で、根気強さを身に付けて欲しいです。
生活面含めて野球以外の部分が、最後は野球の結果に結び付く、というのが私の考えです。
最後は「人」の部分です。
ここを見直さないと何に取組んでも駄目です。
まだまだ優勝に相応しいチームではなかった、という事を真摯に受け止め、課題解決に努めます。
ー主将・塩唐松選手、副将・澤野選手、鈴木選手の活躍は
新チーム発足時に比べ、3人共に成長しています。
塩唐松は鳴門高校でも主将を務めていた事もあり、プレーはもちろんですが、声と元気でチームを引っ張っています。
3年生まではなかなかレギュラーに定着出来なかった選手ですが、主将となりプレー面でも一皮むけて、春季リーグ戦ではかなり頑張ったと思います。
ただし、関東選手権·春季リーグ戦で結果を残せなかった事を踏まえ、苦しい事や疑問に思う事に直面した時でも、部員達の代表として、痩せ我慢でもいいので飲み込み耐えて主将としての姿を見せて欲しいと思います。
自分の成長がそのままチームの成長に繋がる事の重大さを常に意識して欲しいと思います。
まだまだやれる男です。
鈴木と澤野については、どちらかといえばプレー面でチームを牽引するタイプで、試合中のプレーは当然ですが、些細な事でも気になっている事をアドバイスしている姿を見ます。
よく相手を見ていますね。
2人共、ゲーム中は勘が働くタイプで、勝負どころで感性が働き、周辺視野にも長けている選手です。
副将ではありませんが、ショートの唐橋(悠太、経4)も同じ様なタイプですね。
ーこの夏に強化していきたいことは
弱音を吐かない強い気持ちと強い身体作りです。
勝負どころの際の強さは理屈ではなく、こういった事だと思います。
夏のキャンプでは、2シーズン連続で優勝を逃し、敗戦チームである事を自覚して毎日の走り込みをしっかりやります。
選手が試合後に笑って終われる様に練習は厳しく、です。
ー秋季リーグ、選手の皆さんに期待したいことは
最多50回目の優勝を目指すのはもちろんですが、全勝での優勝を期待しています。
塩唐松はやってくれるはずです。
ー読者の方に向け、メッセージを
日頃より御支援を頂いております事、部を代表して感謝申し上げます。
春季リーグ戦は優勝を逃し、全日本選手権大会出場も逃す形となりましたが、主将の塩唐松を先頭に部員一同、秋の覇権奪還を目指し練習に励んでおります。
昨年のチーム以上に人間力を鍛え上げ、皆様に応援して頂ける野球部を作り、秋季リーグ戦に臨みます。
秋は必ず良い結果をご報告出来る様に頑張りますので、引き続き宜しくお願い致します。
塩唐松宏将選手
ー今日の試合を振り返って
主将として最後にチームを勝たせることができず、とても悔しいです。
ー今季のご自身の活躍を振り返って
チームを勝利に導く一打を打てた試合もありましたが、最終戦では最後のバッターとなってしまい、悔いの残る結果となりました。
ー今季の打線、また投手陣を振り返って
コンディションが上がらない選手や怪我を抱えながら試合に出続ける選手が多くいる中で、みんな最後まで本当によく頑張ってくれました。
ー慶大とのカードはどのような気持ちで
優勝がかかっていた試合であったため、より一層力の入る試合になりましたが最後に勝ちきることができず、とても悔しいです。
ー秋までにチームとして取り組みたい課題は
走攻守全てにおいて他大学との間に差を感じました。個人のレベルアップに加え、チームとしての総合力を高めていく必要があると感じました。
ー金曜日の関東大会3位決定戦について意気込みを
新チームを結成してからまだタイトルを獲ることができていないため、なんとしてでも3位入賞を果たせるようにチーム一丸となり頑張りたいと思います。
ー読者の皆様へ一言
春季リーグ3位という結果に終わってしまい、皆様の熱いご声援に応えることができず大変申し訳ございません。秋季リーグ優勝に向けて、チーム一丸となり精進して参りますので、今後の弊部の快進撃にご期待下さい。
主将・塩唐松は、リーグを通して声と攻守でチームを引っ張った