2022年8月23日(水)
ついに明日法大が初戦を迎える東京六大学野球秋季リーグ戦。秋季リーグ戦開幕直前特集最終回となる今回は法大首脳陣の加藤重雄監督、大島公一助監督のインタビューをお届けする。(全8回)
監督・助監督インタビュー
加藤重雄 監督
―春を振り返って
結果は2位ということだったんですけれども、もちろん最終目標は優勝ですので、超えられなかったと思って反省しています。
―実際にどういったところで明大との差を感じた
やはり得点力。それともう1つは先発ピッチャーが頑張ったんですけど、やはり逆転されるとか。(そこは)作戦云々とかあるんですけど、それは両チーム同じことですから、リリーフ陣というところも大きな反省点だなと。投手力をもっと強化しないとというところで秋は目標に向かって頑張っています。
―篠木投手は最優秀防御率を獲得されました
昨年は彼本人の実力が出せていなかったと思うんですけど、春それを跳ね返す如く最優秀防御率を始め、勝ち星を挙げてくれました。ピッチングも安定していましたし、基本点を取られなければ負けないというところで、中心になってしっかりと投げ切ってくれました。頼れるピッチャーになったと思っています。
―尾﨑投手も4勝を挙げ、開幕前に軸として期待していた2投手が結果を出しました
これは昨シーズンを終えた中でやはり先発ピッチャーが試合を作れないと優勝も狙えないし、勝てないということで、「ピッチャーが大黒柱的な存在になるように頑張れ」と叱咤激励してきましたけど、2人を中心によく投げ切ってくれたと思っています。
―この2投手が今季も軸になる
そうですね。基本的にはその2人。後は六大学ですので、常に抑えきることが目標ですけど、そうもいかないと思いますので、リリーフピッチャーの塙(雄裕、法4=常総学院)、武冨(陸、営4=日大藤沢)、吉鶴(翔瑛、営3=木更津総合)の3人が多くはフル回転で頑張ってくれたら春以上の成績は狙えると思います。
―夏に伸びてきたような投手は
まだ大きな成長とはいいがたいのですが、3年生の山城(航太郎、キャ3=福岡大大濠)、1年生の古川(翼、キャ1=仙台育英)、2年生の宇山(翼、人2=日大三)と左ピッチャーに2人期待できるピッチャーが出てきていると思っています。
―昨季、野手では藤森康淳(営1=天理)選手が1年生ながら躍動しました
1年生にもいい選手はいるんですけど、まだキャリア不足ということ、もっと早く練習に参加させてあげたいんですけど、いろいろな規制がありまして、練習参加の時期が遅れました。いい選手ですから、焦って怪我させない、故障させない、それに増して上級生にいい選手がいますので、十分準備をさせようと。それに間に合ってきたのが藤森康淳だったということで使いました。
―8月上旬には北海道キャンプがありました
元々試合は3試合で練習に打ち込んでこようと1週間行きましたけど、予定通りにできました。実りのある、有意義なキャンプでした。
―どういった収穫が
1つは大きく気分転換というんですか、(今の学生は)コロナ世代の学生ですから、川崎の木月のグラウンドを離れていないわけで。今年は鴨川キャンプからおいどんカップ、さらに暑さをしのぐために北海道キャンプに行ったんですけど、思いのほかここと変わらないほど暑かったんですけど、その中でも朝から早朝バッティング、夜間まで特打と野手に関して十分なバッティングができたと思います。
―来年以降も行う予定は
向こうの(野球部)OBの方々、また卒業生の校友会の方々に非常によろこんでいただいて、「来年と言わず毎年来てほしい」とお誘いを受けていますので、来年は行く企画はやりつつあります。
―ここまでのオープン戦を振り返って
春の2位というのは優勝を目指した上での2位なんですけど、頑張っても4位、5位だったというのを打ち破って、優勝はできなかったんですけど、2位というのが自信になって、学生にいいものを与えてくれました。
その関係で攻撃力が分厚くなって、安定的な力を発揮できる、単なる自信ではなくて、1つずつの動きが強くなってきていると私は見ています。
その結果が社会人野球さんと試合をしても負けないチーム力になっているんじゃないかと思っています。
―今季の野手陣は
1番の武川(廉、人3=滋賀学園)は怪我なく順調に調整してくれています。あとは長打を打てる人間がコンスタントにその力を発揮できると長打単打兼ね備える打撃力を発揮できるようなチームに作り上げて、(リーグ戦)最初(の試合まで)まだ3週間くらいありますので、調整していきたいと思っています。
―以前「いつも投手中心の守りの野球を目指す」とおっしゃっていたが、今季もそこを目指す
もちろんピッチャーが抑えなければ守るというのは不可能ですから、ピッチャーがコントロールよく、フォアボールで自滅することなく、ピッチャーを中心とした守る野球で最終的に相手より1点でも多く勝つ野球を信条としてやり続けていきたいと思っています。
―今季のキーマンは
25人全員です。1人じゃ勝てないスポーツですので、そこが頑張らないと。団体スポーツですので、1人だけ輝いても勝てないと本当に思うので、全員がヒーローになれるように頑張ってほしいです。
―ファンの方へメッセージ
春は残念ながら優勝できなかったんですけど、本当にやるしかないと思ってますので、必ず優勝して天皇杯を獲得できるようにチーム一丸となって全員で頑張っていきたいと思います。ご期待ください。
(取材・皆川真輝)
加藤 重雄(かとう・しげお)
1956年4月20日生まれ
鳥取県出身・鳥取西高→法政大学→日本生命
『現役時代は投手としてプレーし、4年次には春秋合わせて9勝を挙げる活躍。卒業後は日本生命でプレー。2021年から法大を率いる指揮官。昨季は就任以来最高の順位を記録したが、それでも優勝にはあと勝ち点1届かず。今季こそはチーム一丸となって優勝に導く。』
大島公一 助監督
ー開幕まであと少しですが心情は
気持ちも高揚しつつありますけど、まだまだ日々最善を尽くすっていうことに徹しているっていう状況でしょうか。開幕も近いんですけども、今やるべきことを、毎日こなしています。精一杯全力を尽くしている気持ちです。
ー昨シーズンは久しぶりのAクラスだったが
やはりですね、優勝を目指してますので残念で仕方ないですし、何か足りないものがあるんだなっていうことを感じています。
ー投手、野手それぞれ活躍があったが
ある程度試合をやってきて、こうしたら勝てるんじゃないか、こうしたらやっぱ負ける方向にいくんじゃないかなっていうのが、少しずつみんなが分かってきたような感じがします。 チームとして、意外と安定した力を出せるようにはなってきたのかなと。あとは、この安定から爆発力っていうことが大事になってくるのかなとは思います。
ーここまでのオープン戦を振り返って
当然、大きな課題はあるんでしょうけども、1つ1つ、勝ちを重ねてる印象がありますし、 勝負強さも少しずつ出てきたのかなというようには感じています。
ーこの夏で何を1番に取り組んだか
チームとしては、やはりこの春に得た経験を生かそうということが大きかったんじゃないでしょうか。個々のレベルアップ、 チームとしてやるべきことの徹底と、いつも変わらずやり続けることかなと思いますし、夏休み期間にもそういうことがテーマになってると思います。
ー今季注目選手や新たに活躍しそうな選手は
いや、もう、みんなに活躍してもらいたいので。注目というよりは、本当に試合に出れる人、 出た人は、自分の力を存分に発揮してもらいたいなと思います。
ースタメンは固まっているか
どうなんでしょうかね。監督の考えがある程度固まってきてるのかなってのは感じますけども、なかなか全員の名前を出すってことは、難しいかなと思います。
ー日本一に向けてどう取り組んでいることは
日本一の道はやっぱり険しいと思います。状態がいい時も悪い時もありますけども、 心をあまり揺さぶらないように、いい時ほど心を緩めないように、悪い時ほどより粘り強く頑張って、前を向くことが大きく重要になってくるかなと思ってます。
ー今季の目標は
当然リーグ優勝を目標にしてますし、その先の日本一っていうのを目標にしています。やはり4年生にいい気持ちで卒業してもらいたい、これは大きな目標だと思います。
ー助監督から選手たちへの期待
今の4年生は2年生から、3年生に限り1年生から、ある程度見てきて、どういうことをやるべきかって見ながら、練習や試合に取り組んでもらえるようにしていますし、そういうのを大きく期待しています。
ーファンの方々に一言
勝つ試合をたくさん見せることを目標にやってますから、なかなか実現しませんが、ぜひぜひ優勝してみんなで喜び合いたいと思います。引き続き応援のほどよろしくお願いいたします。
(取材・高橋芽唯)
大島 公一(おおしま・こういち)
1967年6月17日生まれ
東京都出身・法政二高→法政大学→日本生命→近鉄→オリックス→東北楽天
『大学時代は東京六大学のベストナインを3度受賞。プロ野球ではつなぎの打撃と好守で3球団にわたって活躍し、ブルーウェーブ時代の1996年にはイチローや田口壮らのスターとともに日本一に貢献した。ゴールデングラブ賞を3度受賞した卓越した守備力を選手たちに還元し、守りの野球を支える。この秋への思いを人一倍強くもち、選手たちを率いて悲願の優勝へ。』