関東学生アメリカンフットボールリーグ 第6戦 対明大
2024年10月27日(日)
アミノバイタルフィールド
この試合直前に行われた早大対立大で早大が勝利したため、勝利すれば2連覇が決まるという条件で臨んだこの試合。前半から互いに点の取り合いとなるものの、後半は粘り強くディフェンスし38-26で勝利。2年連続21回目の関東王者に輝いた。次戦のリーグ最終戦は、横浜スタジアムにて立大を相手に7戦全勝の完全優勝を目指しキックオフ‼
試合結果
トータル試合結果
法政大学ORANGE |
7 | 1Q | 6 |
明治大学GRIFFINS |
---|---|---|---|---|
24 | 2Q | 13 | ||
0 | 3Q | 0 | ||
7 | 4Q | 7 | ||
法政大学ORANGE | 38 | Total | 26 | 明治大学GRIFFINS |
試合得点
Q | ポジション | 選手 | 得点方法 | トライフォーポイント(以降:TFP) |
---|---|---|---|---|
1 | RB | 中川達也(法3=明治学院) | タッチダウン(以降:TD) | ○ |
2 | QB | 齊藤空大(法3=駒場学園) | TD | ○ |
2 | RB | 小松桜河(文3=日大三) | TD | ○ |
2 | TE | 矢作一颯(法2=足立学園) | TD | ○ |
2 | K | 高城颯真(経3=法政二) | フィールドゴール(以降:FG) | ー |
4 | RB | 廣瀬太洋(経4=駒場学園) | TD | ○ |
戦評
直前の第1試合で早大が立大に勝利したため、法大は勝てば関東学生リーグ2連覇が決まるこの試合。春のオープン戦で破れた明大を相手に迎えた一戦は、点の取り合いとなった。
法大のレシーブで試合開始。RB・小松桜河(文3=日大三)がレシーブするとそこからおよそ15ヤードのリターン。法大陣26ヤード地点から法大の最初の攻撃が始まる。1st&10の攻撃はQB・谷口雄仁(営4=法政二)から中央へ走り込んだWR・須加泰成(営3=足立学園)へパスが通り、RAC(ランアフターキャッチ:パスを受けてからランでゲインを伸ばすこと)も含め20ヤードを超えるゲインに。センターラインからの1st&10でショットガンを試みた谷口がスナップされたボールをファンブルしてしまうが、ここはすかさずWR・高津佐隼世(キャ3=佼成学園)がカバー。それでも12ヤードのロスになり、その後迎えた3rd&17。谷口がボールを受けてからしばらく後方でターゲットを探すと、フィールド中央へと走り込んできた高津佐へ目掛けてパスを投じる。放たれたボールは高津佐が相手陣5ヤード付近でキャッチし約60ヤードのビッグゲインに。明大陣3ヤードからの1st&goalはRB・中川達也(法3=明治学院)がハンドオフされたボールをエンドゾーンへと運びTD‼TFPも決まって開始3分で7-0と先制に成功する。
しかし明大もすかさず反撃にでる。K・高城颯真(経3=法政二)のキックしたボールをレシーブすると、一気に法大陣36ヤード付近までビッグリターン。ハンドオフからのRBランで前進すると、法大陣15ヤード地点まで持ち込み迎えた1st&10。相手QBがRB外側へのランで8ヤードゲインし、エンドゾーンまでは残り6ヤードに。2nd&2から、、7-6と6点を返される。その後、明大はTFPでトリックプレーをみせる。1ポイントコンバージョンの布陣を組み、スナップを受け取った直後、そのままホルダーがパスを選択し2ポイントコンバージョンを狙うもここは不発に終わる。第1Q残りおよそ5分半とし、7-6の法大1点リードとなる。その後の攻撃は相手ディフェンス陣によるQBサックもあり得点ならず。最終的にはDL・中村季音(営3=駒場学園)のパントで、明大陣17ヤード地点まで陣地を回復し攻撃権は明大へ。しかしやられたらやり返すのが今年の法大ディフェンス陣。2nd&7で相手オフェンスに反則があり、再び迎えた2nd&17ではスクランブルにでた相手QBをディフェンスリーダー・須藤晟也(経4=法政二)がサック成功。さらに相手オフェンスを7ヤードロスさせ、得点を与えない。第1Q終了間際には、高津佐の代名詞である相手ディフェンスを飛び越えるランによるゲインも成功し、明大陣21ヤード地点まで攻め込み試合は第2Qへ。
明大陣21ヤード地点からの法大攻撃で始まった第2Q。1st&10の攻撃ではRB・廣瀬太洋(経4=駒場学園)のランで9ヤードゲイン。ここで法大はQBをQB・齊藤空大(法3=駒場学園)にスイッチ。2nd&1から選択したのはハンドオフフェイクからのQBドロー。齊藤のお家芸ともいえるこのプレーでそのままエンドゾーンへと駆け抜けTD!!高城もTFPをしっかりと決め、第2Q早々に14-6とリードを広げる。
アウトオブバンズもあり明大陣36ヤード地点から始まった明大の攻撃。徐々にラインを上げていき迎えた、法大陣40ヤード地点からの2nd&2。右サイドからエンドゾーン中央へと走り込んできたWRへのTDパスが通り、14-12とすぐさま明大も反撃。TFPはここも2ポイントコンバージョンを選択。QBはロールからパスを選択するもここも不成功。得点そのままで、第2Qは残り約7分半。ここから試合は一気に明大ペースに。直後の法大陣24ヤード地点から始まった法大の攻撃。3rd&9まで明大ディフェンス陣が法大を追い込むと、谷口からWR・宮崎航也(文4=千葉日大一)を狙ったおよそ50ヤードのパスをインターセプト。そのまま法大陣36ヤード地点までリターンを許す。攻撃権移って迎えた明大の1st&10。ハンドオフで相手RBにボールが渡ると、そのまま中央突破を許し逆転のTD。TFPも決まり、前半残り6分で14-19とこの試合初めてリードされる展開に。しかし、嫌なムードが漂い始めた直後のプレーでこの試合1番のビッグプレーが法大に生まれる。キックオフのボールをレシーブした小松が魅せた。法大陣中央8ヤード付近でレシーブすると、そのまま右サイドへするすると抜け出すと、次は中央に。相手にタックルする隙も与えずそのまま今度は左サイドへ、縦横無尽にフィールドを92ヤード駆け抜けるとそのままTD‼見事にワンプレーで相手に傾いた流れを引き戻した。
その後の明大の攻撃は中村、DL・山田晋義(営4=日大鶴ケ丘)の激しいタックルもあり得点を与えない。続く法大陣10ヤード地点から法大の攻撃は、谷口から高津佐のホットラインによる80ヤードのビッグゲインパスや、廣瀬の力強いRACもあり明大陣1ヤード地点まで前進。1st&goalからTE・矢作一颯(法2=足立学園)へのTDパスが決まり更にリードを広げる。リードのまま前半を終えたい法大は、続く明大の攻撃を須藤のインターセプトによって早々に止め、追加点を狙う体勢に。TDには繋がらなかったが、谷口から阿部賢利(営2=法政二)への30ヤードを越えるパスによるビッグゲインなどでラインを押し上げ、前半終了間際に22ヤードのFGを高城が成功させた。そのまま31-19とし前半を終える。
第3Qは明大のレシーブで後半開始。しかしこの第3Qは前半とうって変わって試合は膠着状態に。お互いにフィールド中央周辺での攻防が続き、ゲームは動かない。それでも法大陣27ヤード地点から始まった法大の攻撃では、中川、廣瀬のランで確実にゲインし、明大陣14ヤード地点まで前進に成功。1st&10からの攻撃で、谷口は右サイドへのTDパスを狙うもここは相手ディフェンスがエンドゾーン内でインターセプト。タッチバックとなり、明大陣20ヤード地点から明大の攻撃へと攻守が入れ替わる形に。ビッグプレーで潰されてしまったチャンスだったが、それを助けたのは今季ブレイク中のLB・林凌平(営3=法政二)。第3Q残り時間およそ1分半からの明大の3rd&13の攻撃で、スクランブルを敢行した相手QBにサック成功。試合の流れを渡さず31-19のまま試合は最終第4Qへ。
明大の攻撃で始まった第4Q。時計は試合時間残り10分を切ったところで、相手スタンドが今日1番湧いたスペシャルプレーが。法大陣29ヤード地点からの1st&10明大の攻撃。スナップを受け取った相手QBから2度のリバースを挟みQBへと戻ってきたボールは、翻弄された法大ディフェンス陣によって右サイドでフリーになっていたTEと渡り、TDパスを決められる。TFPは1ポイントコンバージョンを決められ31-26と詰め寄られる。試合終盤で大きく相手に傾いた流れ。このままの勢いで逆転を狙う明大と、追加点を奪い突き放したい法大。なんとしてでも次のTDが欲しい両チームの攻撃はここから更に積極性を増す。試合時間残りおよそ6分半。明大陣33ヤード地点からの法大の攻撃は、4th&4となり苦しい状況に。ただオフェンス陣はここでパントではなく、4th&Gambleを選択し残り4ヤードのゲインを中川のランに委ねた。しかし、ここは相手ディフェンス陣にファーストダウン更新目前で止められ攻撃権は明大に。明大陣29ヤード地点からの明大の攻撃。2回の攻撃で5ヤードゲインされ迎えた3rd&5。ここで魅せたのはのDB・速水紀成(理3=鎌倉学園)だった。相手QBが左サイドへと展開したレシーバーへのスクリーンに対して猛タックル。ファーストダウン更新確実かと思われたが、彼の執念のディフェンスによりゲインを与えなかった。このプレーで流れは一気に法大へ。逆転へ向けて時間がない明大もギャンブルプレーを選択。4th&5から右サイドのターゲットを狙ったパスは、中村のパスブロックの手に当たりパスカット。この試合最大のディフェンスポイントを3年ディフェンス陣の活躍で乗り越えた。この後は廣瀬のランTD、高城のTFPが決まり決定打に。最後の明大の攻撃もDB・岡村裕(キャ2=佼成学園)のインターセプトによりここまで。最終スコア38-26で勝利となった。
逆転へ向けて時間がない明大もギャンブルプレーを選択。4th&5から右サイドのターゲットを狙ったパスは、中村のパスブロックの手に当たりパスカット。この試合最大のディフェンスポイントを3年ディフェンス陣の活躍で乗り越えた。この後は廣瀬のランTD、高城のTFPが決まり決定打に。最後の明大の攻撃もDB・岡村裕(キャ2=佼成学園)のインターセプトによりここまで。最終スコア38-26で勝利となった。
これでリーグ戦は無傷の6戦全勝とし、2年連続21回目のリーグ優勝を決めた。試合後のインタビューでは喜びもほどほどに、選手たちは全勝でのリーグ制覇、そしてその先のプレーオフに向けてすでに気持ちを切り替えていた。最終戦は2週間後、11月10日横浜スタジアムで立大を相手に14時キックオフだ。(記事:野田堅真)
選手インタビュー
DL/主将・山田晋義(営4=日大鶴ケ丘)
ーー優勝おめでとうございます。今のお気持ちを
率直に嬉しいですね。嬉しいんですけど、昨年と同様に1試合残して優勝が決まって中でもう一戦あるので、そこは気を緩めずに最高まで戦い抜きたいです。
ーー7戦全勝でのリーグ制覇目標に
もちろんそうですね。去年を越えられるようにあと1試合勝つだけです。
ーー(結果的に今季1番失点を許す試合となったが)今日のディフェンス陣のプレーをどう振り返るか
単純に明治のオフェンスが強かったのはありますね。ただ早稲田が1番強いといわれてる中で少し気の緩んでいた、浮ついていた部分が僕たちにもあったのかもしれません。そこは次戦以降突き詰めていかないととは思います。
ーー相手オフェンスをのスペシャルプレーに対しての対策は
してなかった訳ではないんですけど、もう少し試合の中で対応したかったですね。
ーー試合後のハドル(ミーティング)ではどのような話が
まだまだODK(オフェンス、ディフェンス、キッキング)のレベルを上げていけるという話はでました。関西だけを意識するのもよくないのかもしれませんが、関西相手だと付け入れられてしまうプレーもありました。反省点というよりかは、今自分たちの穴がしっかり見つかったと前向きに考えています。
ーー立大戦に向けて残り2週間。どのような調整を
勝敗関係なく優勝が決まっている状況で、リーグ最終戦をプレーできることが、かなり貴重なことじゃないですか。自分たちに、立教にしっかりとフォーカスを当てて準備できる重要な2週間になると思います。多分今後のプレーオフに向けても、リーグ戦期間で1番大事な期間になると思うのでしっかり準備したいです。全員でやるだけです。頑張ります。
(取材・野田堅真)
QB/オフェンスリーダー・谷口雄仁(営4=法政二)
ーー優勝です。今の率直なお気持ちは
そうですね、嬉しいは嬉しいんですけど、今年のチームは関東制覇は通過点でその先を見据えているので、手放しには喜べないです。あくまでも通過点なので気を引き締めてって感じですね。
ーー相手の明大は春負けた相手。試合前にはどのような話が
絶対に油断できない、春の雪辱を果たさないといけないという話は再三出ていました。春と似たような展開にはなってしまったんですけど、勝ちきれたことは良かったと思っています。
ーー今日の試合で見えてきた課題は
個人的にはQBとしてボールを渡してはいけない、奪われてはいけないというのを大事にしているんですけどそのあたりがまだまだでした。今日のパスが最善だったのかも含めてしっかりとミーティングをして、次につなげていけたらと思っています。
ーー次戦まで2週間空くが、どういったように過ごしていきたいか
やはり関東チャンピオンになったからには負けられないので、最高の準備をして臨みたいです。王者として相応しいプレーをお見せできるようにやっていきます。
(取材・野田)
LB/ディフェンスリーダー・須藤晟也(経4=法政二)
ーー今日の試合を振り返って
結構苦戦して、ディフェンスとしてもやられてしまいました。課題が残る試合だったかなと思います。
ーー関東2連覇が決まったが
純粋にうれしいというのと、これから関西(相手)の準備もできるのでこの期間を大事にしたいなと思います。
ーーインターセプトもあったが、ご自身のプレーを振り返って
インターセプトしたいという気持ちもあったので、試合で出来て良かったです。
ーー明治は春のオープン戦で負けた相手だが、試合前のチームの雰囲気は
春負けてる相手なので、みんな気持ちは入ってたと思うけど、似たようなやられ方しちゃったのでもっとやらなきゃなという感じです。
ーー次戦に向けて
やることは変わらないと思うので、いつも通り準備して、いつも通りやりたいなと思います。
(取材・白戸大貴)
RB・小松桜河(文3=日大三)
ーー関東2連覇が決まったが
春から目指してやっているので良かったです。
ーーリターンTDを振り返って
(ボールを)持った瞬間いけるなっていうのがあったので、仲間信じてそこを走りました。
ーー最初から狙っているのか
狙ってますね。
ーー今日のオフェンス陣の出来は
最初はあまり良くなかったんですけど、結構スペシャルでチーム持っていけて良かったです。
ーー明治は春に負けていたが試合前のチーム内の声かけは
「春負けてるからみんな本気でやりましょう」みたいな感じでした。
ーー今日の試合で感じた課題は
雰囲気悪い時にオフェンスも全部落ちちゃうので、そこで良いプレーしっかり上げて、誰か1人がチームを勇気づけるプレーをしたら(気持ちが)上がるのでそういうのをやりたいなと思います。
ーー「横浜クライマックス」となる立教戦に向けて
最後Bチームとかが出ることが多いと思うんですけど、それでも最後全勝で甲子園ボウル行きたいので、しっかり準備していきたいと思います。
(取材:白戸)
DB・速水紀成(理3=鎌倉学園)
ーー優勝した感想は
素直に嬉しい気持ちです。これからプレーオフもあるので、そこに向けて取り組んでいきたいです。
ーー今日の試合を振り返って
前半点を取り合うシーソーゲームになっていて、得点を取られてしまう場面もありましたが、流れを変えるプレーが多かったのは良かったと思います。
ーーディフェンスで意識したことは
とにかくビッグプレーをすることをディフェンス全体で意識していました。
ーー明治戦に向けてディフェンス陣でどのような対策をしたか
今までの試合と同じようにビデオを見て、スカウティングすることを繰り返しました。
ーーこれからの意気込み
もっと試合で活躍してMVP取れるように頑張ります。
(取材・松野要)
DL・中村季音(営3=駒場学園)
ーー今日を振り返って
今日は全員の最初の入りが良かったわけではないですが、試合の中でプレーが改善されたことが勝利につながったと思います。
ーー今日の個人としてのプレーは何点か
50点ですね。
ーーその理由は?
相手と1対1のプレーの時に止めきれなかったり、前に倒すタックルができない場面があったからです。
ーー今日の試合に向けてどのような準備をしたか
明大戦まで2週間あったので、相手選手の傾向や得意なプレーをハドルで確認し合って、リードの練習に活かしました。
ーー最後まで接戦だったが、勝敗を分けた明治との差は
僕たちは1つ1つのプレーに集中して、点数より目の前のプレーを意識していました。だから、プレーの改善もできたと思います。
ーー次戦以降に向けて
立教戦もその次も大切ですが、今の自分に足りない部分や今日の反省や課題を次につなげていきたいです。
(取材・常盤誠太郎)