東京六大学野球2025春季リーグ戦 対明大
2024年5月24日(土)、5月25日(日)
神宮球場
連日熱戦が繰り広げられている東京六大学春季リーグ。法大の最後の戦いは5月24日(土)より始まる明大戦である。この記事では明大の戦力分析、法大の注目選手と最終カードまで繋いできた僅かな優勝の可能性について紹介していく。

今季リーグ戦日程、順位表(第5週終了時点)

明大戦展望
明大は先週の早大戦まで、3カードで敗北はわずか1つと圧倒的な強さを見せつけ、首位を独走していた。しかし、早大・伊藤樹にノーヒットノーランを許すなど勢いに陰りが見え、勝ち点を落とす結果に。現在は7勝3敗1分で勝ち点3。今節、法大戦で2連勝を決めれば優勝が確定するだけに、明大としては全力で臨んでくるだろう。
一方の法大は、昨日の慶大との4回戦までもつれ込んだ激戦を制して勝ち点を獲得。今、最も勢いに乗っているチームと言っても過言ではない。打率3割超の打者が5人並び、チーム打率はリーグ2位。反面、チーム防御率は5点台と投手陣には課題を抱えるが、まさに“ノーガードの殴り合い”で慶大を下した「チーム松下」が、明大戦でもその勢いを保てるか注目される。
ここで、法大の優勝の可能性についても整理しておきたい。法大が優勝するには、以下の3条件すべてが必要となる。
• 「血の法明戦」で明大に2連勝し、勝ち点を奪う
• 立東戦にて、立大が東大に1敗以上する
• 早慶戦にて、慶大が早大に2連勝し、勝ち点を獲得(この場合は法、明、慶で優勝決定戦へ)もしくは、1勝1敗1分で勝ち点を奪う(この場合は明大との優勝決定戦へ)
いずれにせよ、優勝への第一条件は明大に2連勝すること。慶大との死闘を制して掴んだ勢いをそのままに、「チーム松下」が一気に頂点まで駆け上がれるか、大一番が幕を開ける。
ここまで防御率リーグ1位の左腕エース・毛利を打ち砕け
明大の投手陣を紹介する。まず注目すべきは、防御率1.63でリーグトップに立つ左腕エース・毛利海大(4年=福岡大大濠)だ。今季は7試合に先発し、3失点以上を喫したのは立大との第3戦のみ。特に土曜日の登板では4試合中3試合で勝ち星を挙げており、その安定感と勝負強さは群を抜いている。明大から勝ち点を奪うには、この「土曜日の毛利」をどう攻略するかが最大のカギとなる。

毛利はここまで防御率リーグトップ
第2戦の先発はこれまで高須大雅(4年=静岡)が序盤3カードに登板してきたが、防御率は7.16と安定感に欠ける。早大戦では三浦心空(3年=東邦)が先発を務めており、2回戦の先発予想は現時点では不透明と言わざるを得ない。
中継ぎ・リリーフには、MAX150km/hを超える速球を持つ大川慈英(4年=常総学院)、菱川一輝(4年=花巻東)、松本直(3年=鎌倉学園)らが控える。さらに大室亮満(2年=高松商)など新戦力の台頭もあり、投手層の厚さはリーグ随一。チーム防御率も3.00とリーグトップを誇る。
このように、名実ともにリーグ最強クラスの投手陣を擁する明大から大量得点を奪うことができるか、それが法大の優勝戦線を左右する大きな鍵となる。
明大の誇る強力1、2番コンビに、暫定首位打者の宮田らを要する強力打線を食い止めろ
明大の野手陣を紹介する。今季の明大打線を象徴するのは、1、2番を担う田上夏衣(2年=広陵)と榊原七斗(3年=報徳学園)の2人だ。開幕2カード目の慶大戦では、初戦で田上がサヨナラ適時打を放ち、2回戦では8回に榊原の三塁打と田上の適時打で勝ち越しに成功。さらに延長でも田上が犠飛を放つなど、窮地に陥っても2人で戦況を変えてきた。榊原はここまでリーグトップの4本塁打を記録しており、長打力も兼ね備える。田上と榊原、2人だけで得点を奪える点は、明大打線最大の強みと言える。逆に言えば、この2人を完全に封じ込めることができれば、試合を優位に進める可能性は高まる。
さらに注目すべきは、暫定首位打者の宮田知弥(4年=横浜)だ。ここまで10試合中8試合で安打を記録しており、そのうち6試合は複数安打と圧倒的な打撃内容を誇る。早大戦では3番に座った宮田が前述した1、2番コンビの後ろを打つ形となるだけに、彼の前に走者を出さないことが、法大にとっての守備の大前提となるだろう
対する法大の開幕カード注目選手
まず注目したいのは、4年生の赤間梢吾だ。これまでリーグ戦での登板機会には恵まれずにいたが、4カード目の慶大戦でついにリーグ戦初登板を果たすと、そこから怒涛の3試合連続登板で一気に存在感を示した。3回戦では8回から登板し、2回無失点の快投で、接戦を見事に締め、リーグ戦初勝利を手にした。さらに4回戦でも8回途中からマウンドに上がり、2失点を喫しながらも最後まで投げ抜いて逃げ切り勝ちに貢献。長く出番を待ち続けてきた苦労人が、ラストイヤーにしてつかんだ舞台で力を発揮し、最終カードでのさらなる活躍にも期待がかかる。

リーグ戦初登板、初勝利を成し遂げた赤間
打線で今勢いに乗っているのは、3年生の片山悠真だ。東大戦からスタメンに名を連ね始めると、慶大3回戦では5打数4安打と大暴れ。規定打席には届いていないながらも、打率は.364と高い数字を残している。187センチと恵まれた体格を生かした打撃は迫力十分で、伝統の一戦・“血の法明戦”でもそのバットが火を噴けば、試合の流れを大きく左右する存在となるはずだ。

打率.364と勢いに乗る片山
3人目は2年生の中村騎士だ。開幕から4カード連続でスタメンに名を連ね、チームの下位打線を支えている。慶大1回戦ではリーグ戦初本塁打となる3ランを放ち、感情を爆発させてチームを盛り上げた。打撃面だけでなく、守備も安定感抜群で、守備範囲が広く安心して見ていられる存在だ。的確なチャンスメイクに加え、攻守にわたりチームに欠かせない役割を果たしている。チームの未来を担うフレッシュな戦力として、絶対に負けられない最終カードでの飛躍に期待がかかる。

リーグ戦初本塁打となる3ランを放った中村騎
まとめ
10季ぶりとなる大逆転優勝のためにはもう1敗も許されない法大。リーグ戦中盤以降から徐々にチームとして成長を見せているだけに、勢いそのまま19年秋以来の明大戦の勝ち点を死力を尽くして、執念でもぎ取っていきたい。(中山達喜、古川千遥)