【硬式野球】東京六大学野球春季リーグ戦 東大戦展望

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【硬式野球】東京六大学野球春季リーグ戦 東大戦展望

東京六大学野球春季リーグ戦 対東大戦
2014年5月24日(土)~
神宮球場

 
※取材日
2014年3月12日(水)
東大野球部グラウンド

勝ち点1で5位の法大は、最終カードで6位の東大と対戦する。不名誉な連敗記録を更新中だが決して侮れる相手ではない。油断することなく勝利を収め、今季を締めくくりたいところだ。

201405231
東大・浜田監督

展望

 法大は前回の慶大戦で勝ち点を落とし、ここまで9試合を通して 勝ち点1、勝率は.333と5位に転落。優勝の可能性は完全に消滅した。今週迎えるラストカードの相手は東大だ。法大としては、最後のこの試合で2連勝し最後の勝ち点をもぎ取りたいところ。東大は前回の立大戦で2連敗し、連敗記録を74に伸ばし不名誉な記録を更新した。どん底の現状から抜け出すために法大との最終カードに全力で挑んでくるだろう。両者の意地をかけた試合が繰り広げられようとしている。

 東大は昨年に引き続き安定感が持ち味の辰亥由嵩、白砂謙介の二枚看板が今年も健在。また、140キロ右腕の山本俊、今季2試合で先発を担った石上翔太らが台頭を見せ、投手陣が厚みを増した。昨秋に1年生ながら神宮デビューを果たした右腕の出田興史にも注目したい。特別コーチの桑田真澄氏の指導のもとで成長した投手陣が、失点をいかに少なくできるかが重要になるだろう。

 ここまで東大は8試合を通じ合計83失点、4得点と失点の多さも気になるが、明らかな得点力不足が目につく。例年通り課題残す打撃面でキーマンとなるのは、現在打撃好調の飯田裕太や初馬眞人、笠原琢志だろう。投手から外野手へコンバートした初馬は貧打で苦しむ東大打線の中で早速持ち前の打撃センスで活躍を見せており、注意したい打者の一人だ。投手陣、打撃陣、どちらも例年以上にレベルアップを遂げており気を抜くことは許されない。

 法大は石田健大(営4)、玉熊将一(法2)の先発が濃厚。石田は明大一回戦での勝利で現役最多勝利投手の座に立つも、今週月曜日の早大対明大三回戦で早大・有原の勝利により、簡単にその座を奪われた。この東大戦で勝利を収め、再び現役最多勝利投手の座に返り咲きたいところ。あっさりとその座を明け渡すわけにはいかない。また、慶大二回戦で初先発を務めた浅野文哉(法3)にも再び先発のチャンスはあるだろう。前回は3回0/3を投げ3失点で降板という悔しい結果に終わっただけに、再び先発を担いリーグ戦初勝利を狙いたい。今春早くも神宮デビューを果たした藤森祐太郎(法1)、熊谷拓也(キャ1)のルーキーのたちにも注目したい。ほろ苦いデビューとなった前回の登板のリベンジを果たすことができるか。

 法大打撃陣は、今季は二死からの得点が多く、少ないチャンスを生かす粘り強い攻撃を見せている。チーム打率トップの佐藤竜一郎(法3)、四番の座を確実なものとしつつある畔上翔(キャ3)、慶大戦ではノーヒットに終わったが法大の切り込み隊長・田中彪(法3)の活躍に期待がかかる。また、伊藤諒介(キャ4)はクリーンナップの一角を担うが、自身がこだわりを持っていた四番からの降格が続いている。その悔しさをぶつけるような活躍を見せてほしい。ここ数試合でスタメン出場が続いている伊藤晃(社3)は指揮官の期待に応える活躍を見せることができるか。ここまで悔しい結果が続いているだけに最終戦に向け法大ナインも闘志を燃やしている。

ついに六大学リーグも終盤。このラストカードに勝利し勝ち点を刻み込みたい法大。その気持ちは東大ナインにも変わりはないだろう。両者の意地と意地がぶつかり合う熱い試合が今、始まる。(望月千草)

東大寮取材

浜田一志監督

―監督に就任して1年が経ちましたが、昨年はどのようなシーズンでしたか
散々でしたね。完全試合もありましたので。

―目標であった1勝をすることが出来なかった要因は
打力です。やはり得点力が原因ですね。

―今年の東大のチームはどのようなチームですか
今年のチームは積極的に打ちにいくチームで、去年よりは一回り力強くなっていると思います。

―元プロ野球選手の方がコーチをされていますが、具体的にどのような指導をされていますか
基礎的なことですね。バッティングなら力強く振る。ピッチングなら制球力を付ける。守備なら(ゴロを処理する時は)前に出て捕り、しっかり投げるなど基本を徹底させています。

―選手に期待することは
メンタルの強さです。チーム全体で負け癖がついていると思うので。

―今年の法政のチームの印象は
投手は石田くんですかね。打撃だと安慶名くんや皆川くんなどは確実な打撃で、本当に(法政は)怖いチームです。

―警戒や注目している選手はいらっしゃいますか
まず投手の石田くん。あとは新主将の安慶名くん、皆川くんですね。

―今季のチームの目標は
1勝です。

―最後に、ファンの方へ意気込みをお願いします
去年より力強く選手は成長しましたので、ご声援宜しくお願いします。

(取材:川添岳)

有井祐人主将 外野手

―昨年を振り返って
根拠のない自身を持ったままリーグ戦に入ってしまって、完全試合やノーヒットノーランを達成されたりしてしまって、打力が課題だということが浮き彫りになりました。いろいろなことが後手後手に回ってしまったなという1年でした。

―現在のチームの雰囲気は
非常にいい雰囲気だと思います。今までは相手投手がどんな実力であっても点を取りきれないというところが課題だったんですけど、何人か打力が上がってきた選手がいるので、その選手を中心にしっかり点を取りきれるチームが出来ていると思います。昨年まで全然勝てなかった相手にも勝ちきれるようになったり、負けていても1人が塁に出れば点につながるんじゃないかという雰囲気がチーム全体にあります。

―最上級生となっての心境の変化は
今までも結果に対して悔しい気持ちはあったんですけど、そこまで強いこだわりが足りなかったと思います。最上級生で主将でもあるので、普段の練習から結果にこだわって、結果を残して背中で引っ張っていきたいということは感じているところなので、それを意識してやっていきたいということと、常に前向きな態度が大事だと思います。今でもちょっとしたミスで下を向いてしまう選手が上級生にもいるんですけど、そこで前を向いてチームを盛り立てる気概があるかどうかは、チームの雰囲気に影響するので、辛い気持ちはわかるんですけど、心を鬼にしてやっていきたいと思っています。

―オフシーズンはどのようなことに取り組んできましたか
去年のオフシーズンは体力作りの為の練習に特化し過ぎたということが反省としてあるので、出来るだけ前から来るボールを打つということを中心に、スイング力を鍛える為に数を振ることと、イメージ通りのスイングを出来るようにすることに取り組んできました。

―下級生で注目している選手は
守備の要の飯田(裕太・二塁手)は、今まで全然打てなかったんですけど、今シーズンはすごくいい感じできていると思います。あと山本克志は打撃に磨きが掛かって、長打も打てるようになって幅が広がったので、得点に絡んでくるんじゃないかと思っています。

―オープン戦をこなしてのチームの調子は
ここ1、2試合はあまりよくないです。僕自身も毎試合ヒットは出しているんですけど、思ったようなアクションが出来ていなくて、結果としてヒットになっているような感じなので。オープン戦は残り10試合弱あるので、自分の打撃の状態を上げるのもそうですけど、しっかりつながる打線ということを意識して、自分に出来る仕事をしっかりこなせるようにやっていきたいです。

―法大の印象
今年は去年までの主力が抜けたのであまりわからないんですけど、スタープレーヤーというか上手い選手が揃っていて、特にバッティングに関しては、すごく振ってくる印象のある法大は外野を守っていても怖さを感じる存在でした。

―春季リーグのチームとしての目標
とにかく1勝ですね。とにかくそこにこだわって勝ちをとりにいくということと、その1勝をしっかり勝つべくして勝つということを目指してやっていきたいです。今までは大量失点してポンポン負けてしまっていたところをしっかり粘って、接戦に持ち込んで勝ちきるというところでの1勝がまずは目標です。

―リーグ戦への意気込み
去年との比較になってしまうんですけど、打撃力はすごく向上していて、ここ最近では1番防御率の低い成績を残した投手陣が残っているので、そこを今年はしっかり噛み合わせたいです。自分がどうにかするという気持ちも必要ですけどしっかりチームを信じて、全員が同じ気持ちで戦って1勝を確実に取りにいきます。

(取材:遠藤礼也)

笠原琢志副将 捕手

―昨季を振り返って
去年はずっと連敗していて、辛いことは一杯あったんですが、その中で自分が成長できたと思います。

―1勝することができなかった要因は
個人個人の実力の無さというのもありましたし、無いながらもチームでまとまって団結して勝つというのも無かったので、その2点が駄目だったと思います。

―浜田監督が就任してからチームが変わったということは
監督は結構(チームに対し)言う人なので、チームに元気が出ていると思います。

―オフの期間に重点的に取り組んだことは
体作りとかを出来るだけ他大の選手に追い付けるようにやるということと、野球の基本的な動きをもう一度1から考え直すということです。

―春季オープン戦を振り返って
課題が沢山見つかって、基本的なプレーは出来るようになっているんですけど、課題をつぶしていく感じだと思います。

―課題とは
主に守備で、連係プレーとかです。

―ご自身の武器は
肩が強いかなと思っています。あとはピッチャーはコントロールが良いので、それをどう上手くリードできるかが僕にかかっているかなと思います。

―法政の今季の印象は
去年は4年生が多くて、(今季は)下級生が出てくるチームかなと思っていて、ピッチャーは石田くんがいますし、良いピッチャーはいるという感じがします。

―特に警戒している選手や注目している選手はいらっしゃいますか
石田とは(昨年8月の六大学)オールスターで相部屋だったんですけど、彼すごく良い人で、頑張ってほしいなという気持ちはあります。

―東大の新チームの雰囲気は
下級生も声が出ていて、上下関係が厳しいというわけではなくて、みんな元気があるかなという感じがします。

―今季の意気込みをお願いします
1勝を出来るだけ早い段階で取りたいです。自分としてはその1勝に貢献できたら個人成績はどうでもいいかなという感じです。

(取材:川添岳)

白砂謙介投手

―昨年を振り返って
バッティングでは少し手応えを感じました。個人として、チームにもっと貢献できるんじゃないかなと思った1年でした。

―ご自身の成績について
秋は春よりも防御率が下がったことはよかったんですけど、内容的には常にランナーを背負うようなピッチングだったので、3人で抑えるイニングを増やして、攻撃にリズムを作っていけるようにしていきたいと思います。

―チームの雰囲気は
昨年のチームよりもオープン戦ではしっかり振れているなという感じはあるので、攻撃面は少し期待が持てるんですけど、自分のピッチングはまだまだなので、これからのオープン戦で少しでも手応えをつかんでリーグ戦に臨みたいと思います。

―オフシーズンにはどのようなことに取り組まれましたか
とにかくシャドーピッチングに取り組んできました。

―東大投手陣の課題は
個々で違うんですけど、ピンチを抑える勝負強さが大事かなと思います。

―ご自身の持ち味は
打ちづらい投球フォームとまっすぐのキレです。

―法大の印象は
とにかく打線がすごくて、自分の調子が良くても簡単に打たれてしまうような印象があります。

―法大で警戒する打者は
安慶名さんには打たれた印象があるので、しっかり抑えたいなと思います。

―個人的な目標は
勝ち投手になることと、打率を3割に乗せることです。

―チームとしての目標は
まず1勝することです。

―春季リーグ戦の意気込み
この春は絶対に全敗ではいけないので、なんとしても勝ちます。

(取材:遠藤礼也)

関正嗣 投手

―昨年はどのような1年間でしたか
個人的にもチームとしても結果が出せずに、すごく悔しい1年間でした。

―1勝できなかった要因は
接戦に持ち込める試合は何試合か出来たんですけど、そのような展開になって、勝負所で一本がなかなか出ないだとか勝負所でミスが出てしまうところです。そのようなメンタルの弱さだと思います。

―オフの期間に重点的に取り組んだことは
僕自身は下半身がまだ硬くて弱いので、どうしても(身体の軸が)ブレてしまってコントロールが良くなかったので、下半身の強化と柔軟性をテーマに取り組んでいました。

―現在も今久留主コーチや桑田コーチからご指導されていると思いますが、どんな指導を受けていますか
僕の場合は先ほども言ったのですが、股関節周りが硬かったりしてあまり動けていないので、そこを柔らかくするためのストレッチやトレーニングを教えていただいてやっています。

―浜田監督が就任されてから1年が経ちましたが、チームが変わったと思うところは
今年のチームは主将が有井さんになって「挨拶とかからしっかりやっていこう」という風にして、それで挨拶とかは前よりも良くなったと思います。

―ご自身のアピールポイントは
僕は球速がないので、その分しっかり低めを突いて、ゴロを打たせるところだと思います。

―今年の法政のチームの印象は
去年のチームは4年生が主力で、かなり去年のチームと変わると思うんですけど、やはり法政は身体能力とか高い選手ばかりだと思うので、メンバーが代わってもすごく強いんだろうなと思います。

―警戒している選手等は
ピッチャーでいえば石田投手。前からリーグ戦で活躍していて、やはり石田投手は凄いなと思います。

―バッターではいかがでしょうか
蔵枡選手が去年からすごく打ったりしていて、対戦してみたいなと思いますが、結構気を付けなければいけないと思います。

―今シーズンの目標は
チームとしては1勝ということなんですけど、個人的にはその1勝に関われるというか、勝ち試合で投げたいというのはすごくあるので、しっかり0で抑えて勝ち試合に貢献したいなと思います。

(取材:川添岳)

東大予想オーダー

打順 打席 位置 選手(学年=出身校)
1   (4) 飯田(3=刈谷) .233 0 0 1
2   (6) 中杉(4=筑波大駒場) .000 0 0 1
3 (3) 白砂(3=修道) .100 0 0 0
4 (8) 初馬(4=桐朋) .222 0 2 2
5 (5) 山本克(2=聖光学院) .133 0 0 0
6   (9) 有井(4=新田青雲) .000 0 0 0
7 (2) 笠原(4=甲陽学院) .136 0 0 1
8   (7) 阿加多(3=学芸大附) .000 0 0 0
9   (1) 辰亥(3=高松) .000 0 0 0

東大の主な投手陣

選手(学年=出身校)
  石上(4=栄光学園) 5 0 1 7 1/3 2 7.36
  毛利(4=横浜翠嵐) 5 0 0 8 2/3 3 8.31
白砂(3=修道) 4 0 1 10 1/3 5 12.19
  関(3=半田) 7 0 1 13 1/3 7 5.40
  辰亥(3=高松) 4 0 4 23 1/3 9 6.94
  山本俊(2=西春) 4 0 1 3 2 36.00

 

フォトギャラリー

  • 201405231東大・浜田監督
  • 201405232不動の正捕手・笠原
  • 201405233投打の中心選手・白砂
  • 201405234中継ぎとして今季これまでに7試合に登板・関
 

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