【硬式野球】真木将樹投手コーチ就任インタビュー

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【硬式野球】真木将樹投手コーチ就任インタビュー

2016年3月23日(
法政大学川崎総合グラウンド

 

今年度312日付で、真木将樹投手コーチの就任が発表された。
自身の大学、そしてプロ野球選手として培った経験を伝えていく。
昨季チームはリーグ五位の防御率と穴となっただけに、投手陣の再建は急務だ。

 

 

IMG 7516 R今季新たに加わった真木将樹投手コーチ
 

 

 

 

真木コーチインタビュー

―投手コーチに就任した経緯は
青木監督が4年生の時に僕が1年生で、1年間だけ一緒に野球をしたということで縁がありました。青木監督から年末に「今現場を見ることができるのが一人なので、投手出身の交流のある人を探している」という話をいただいて。それがきっかけですね。

―同年代の高橋由伸選手(慶大・現読売巨人軍監督)や、川上憲伸投手(明大・元中日ドラゴンズなど)としのぎを削った大学時代の印象は
今の法政の投手陣に似てる環境で、たまたま自分も入学した1年生の春からリーグ戦で投げさせてもらいました。入学当時は上級生の投手が充実していなくて、リーグ戦経験がたくさんある人もいなかった。なので、当時の山中監督が1年生2年生という投手を起用して、その中に自分もいました。進級するにつれ投手もそろったので、リーグ戦の優勝も多くできましたね。でも自分自身でいうと、思うように結果を出せなかったです。1年生の時は1番勝ち星も挙げられてよかったんですけど、最後は右肩下がりな大学生活だったかなという感想ですね。

―現在の法大投手陣にどのようなコーチングをしているのでしょうか
とりあえず選手の特徴や性格を見て、いかにそれぞれの力を引き出すのか、自分の持っている投球の技量をいかに試合で発揮するか。気持ち的な部分や考え方の部分、今のところはそれがメインです。会話をしているところですね。

―技術的な部分よりも、メンタルの部分に重点を置いている
そうですね。リーグ戦も直前なので、今は投球フォームがどうとかいう時期ではないと思っています。とにかく実戦に向けて選手それぞれの実戦感を養いながら、試合のなかでそれを発揮するかというところです。

―自身がこれまでコーチとしてチームに携わった経験は
ないですね。小学生や中学生に教えたことはありますが、高校生以上となるとないです。

—選手にコーチングするときの基礎となっているものは
特にプロに入ってからは、選手側の立場として多くの投手コーチと接しました。そのなかで、いいコーチ、いやなコーチなどの感想は自分なりに持っています。あとはコーチということは今のところあまり深く考えてないですが、立ち位置を勘違いしないようにということに気を使っています。

—プロ野球選手からカナダの独立リーグの選手といった経歴を振り返って、どのような印象をお持ちですか
プロに入ってもだんだん右肩下がりになりました。球団も変わって、5年目までには自分の投球が出来なくなっていきました。実は、4年目や5年目の時は、気がまいっていて、野球をやることがつらく感じたこともあります。体は元気で、投げ込みも人一倍していた。でも自分が手探りでいろいろ試しながら練習しても球は戻らないしで、気持ちが腐っていく時期もありました。最後ジャイアンツでクビになる年は、逆に言えばもうボールを握らなくていいというような、野球をやめれてすっきりするという気持ちもあって。でも、あとは戦力外の通告を待つのみという時に本当に野球ができなくなるという実感が少しずつわいて、すごく「寂しい」というか、今後どうしていけばいのかなという気持ちに変わって。そこからですかね。気持ちは腐っていたんですけど、一から野球に取り組んでみようかなという思いに変わり、海外に行ってでもやってみようとカナダに行きました。

—カナダを選んだ理由は
最初はアメリカのマイナーリーグや独立リーグを目指してテストをいくつか受けていったんですが、たまたまカナダに独立リーグが新しくできるという話をもらって。アメリカとカナダの国は違えどあまり差がないので「じゃあ、行きます」と。

—野球選手として引退した後は、企業人としてセカンドキャリアを歩みました
野球をやめてから事業をするまでは、結構間が空いています。最初は全然そういう仕事ではなく、野球とは関係のない仕事をしていました。プロ野球時代の先輩が野球部の指導者をしている方がいて、その方から、「ユニフォームをグラウンドで汚れて洗うのが大変だから、そのための洗剤を作れないか」と依頼があって。うちが洗剤を作るということも他の仕事でやってたので「じゃあやってみましょうか」となったことがきっかけです。今はもう販売しています。

—自身が立ち上げた会社から法大投手コーチへ転身することに不安はなかったのでしょうか
仕事もそうですけど、それよりも家族のことで迷いました。自宅は大阪にあるので、家族とも話して、そう簡単なことではないよねと。引っ越しとかその辺のことを含めて家族と少し相談をした時期もありました。でも嫁さんも理解をしてくれている部分で、誰にでもできるものでもないし、学生時代一緒にプレーした監督からじかに話をしてもらえたので。母校の力になりたいとか、声を掛けてもらった監督の手助けができたらやりがいがあるだろうなということで家族も理解してくれました。

—コーチ経験のなかでいいコーチ、悪いコーチがあるとおっしゃっていましたが、自身の考えるいいコーチの条件は
教えないというのが一つだなと思います。特に年齢が上であれば上であるほど、教える必要はないと思っています。中学生ぐらいの子供であればまだまだ基本的なことを教えなければいけない年齢ですが、大学やプロのレベルでいえば、それまでのプロセスは各選手それぞれ全く違うものを持っています。それを尊重して、1から100まで教え込むスタイルは違うんじゃないかなと思います。

—気になる部分や確実に悪い部分だけを教えていく
そうですね。野球のセオリーとかはあるので、そういうのを教えていければいいです。それぞれの体や投球フォームにしても、100人いれば100通りあると思っているので、それをいかに100通りの中でさらに効率を上げる、引き出してあげるという考え方で。外から見た意見を伝えて、それを聞き入れるか聞き入れないかも選手次第だし、それを聞き入れないからお前はもうだめだというとつもりもないです。やるのは選手なので。コーチがああだこうだ言う世界じゃないと思いますね。

 (取材:井手一樹)

プロフィール

真木将樹 (まき・まさき)
1976年2月13日生まれ
福岡県出身・東筑紫学園高→法政大学→近鉄バファローズ→巨人→カルガリー・アウトローズ (カナダ独立リーグ)
アルク有限会社を経て、16年3月から投手コーチに就任。

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