【バドミントン】第68回全日本学生選手権 団体戦 男子 届かなかった悲願…涙のベスト8
第68回全日本学生選手権大会
2017年10月21日(土)
一宮市総合体育館
昨年は悔しい団体戦ベスト4でコートを去った全日本学生選手権(インカレ)。1回戦・2回戦と勢いよく勝利し、難敵日体大に挑んだものの、勢いに乗る相手の猛攻を止めることができず、3-1で敗戦。無念のベスト8に終わり、悔し涙を飲む結果となった。
試合結果
詳細結果
試合 | 対戦校 | 試合詳細(後者が対戦相手) |
---|---|---|
1回戦 | 新潟大 | S1荒木淳2-0本間雄大(21-12,21-23,21-11),S2藤原圭祐2-1尾田悠十(21-6,21-12),D1西智寛・小森園隆平2-1本間・後藤竜也(21-10,22-20) |
2回戦 | 筑波大 | S1桐田和樹2-0馬場湧生(21-15,10-21,22-20),S2野田悠斗2-0牧野桂大(21-17,21-17),D1西川裕次郎・山澤直貴2-1下川大樹・西野勝志(21-10,21-13) |
準々決勝 | 日体大 | S1桐田2-0山下恭平(20-22,14-21),S2野田2-0森田慎司(21-11,24-22),D1西・小森園0-2市川和洋・馬屋原大樹(9-21,14-21),D2西川・野村0-2玉手勝輝・山下(19-21,15-21) |
戦評
昨年のインカレをベスト4で終え涙を飲んだ法大。今年こそ雪辱を果たすべく、愛知の地に乗り込んだ。
1回戦の新潟大学を3-0のストレートで下し、2回戦の相手は筑波大。今季1部リーグに昇格した筑波大だが、秋季リーグ戦で法大は1-4で敗戦しており、是が非でも勝利を奪いたい相手だ。トップシングルスとして出場したのは桐田和樹(経3)。筑波大もポイントゲッターである馬場を投入し、エース対決となった。第1ゲームは得意とする早い展開から着実にスマッシュを決め21-15で幸先の良いスタートを切る。第2ゲームはネットプレーのミスが増え、10-21で敗戦したものの第3ゲームはリードする展開に。終盤に追いつかれデュースに持ち込まれるものの落ち着いたプレーで相手のミスを誘いこのセットは22-20で勝利した。
第2シングルスには野田悠斗(経2)が出場。打点の高いスマッシュで難なく第1ゲームを先取すると、第2ゲームも勢いそのままに勝利を奪取。21-17、21-17でチームの勝利に王手をかけた。
第1ダブルスには4.1年生ペアである西川裕次郎(社4)・山澤直貴(経1)ペアが出場。第1ゲームから両選手の強烈なスマッシュがおもしろいように決まり21-10でこのゲームを奪い、第2ゲームも21-13と圧倒。結果3-0のストレートで筑波大にリベンジを果たした。
エース対決を制した桐田
準々決勝の相手は秋季リーグで優勝している日体大。法大は東日本インカレでは勝利を収めているものの、春季・秋季リーグではいずれも敗戦している難敵だ。第1シングルスには第2試合と同じく桐田が出場。日体大は1年生ながらエース級の活躍を続ける山下恭平を送り込む。第1ゲーム、強打もしっかりと拾い上げ隙を見てスマッシュを打ち込んでいく。試合は一進一退の攻防が続くも20-20のデュースの場面から相手に連続得点を許しこのゲームを落とす。第2ゲームは第1ゲーム終盤で流れに乗った勢いをなかなか止めることができない。相手を前後に揺さぶり空いたスペースにショットを落とし込むが「(相手の)レシーブが堅く、焦れてミスが増えてしまった」と思うような展開に持ち込めず、ズルズルと点差は開き結果14-21でこのゲームを落とし、秋季リーグに引き続き、山下から勝利を挙げることはできなかった。
並行して行われた第2シングルスには、第2試合と同じく野田が登場。秋季リーグで「もう自分は負けられない」と口にしてから団体戦での成績は負けなしの状態が続いており、次世代エースの登場を予感させる。今回の相手はその秋季リーグでも勝利を収めた森田だが、その勢いは健在。相手に反撃の隙も与えないまま、第1ゲームを21-11で圧倒する。しかし第2ゲームは終始一進一退の攻防に。それでも終盤驚異的な集中力を見せた野田が一歩リードし、このゲームを24-22で競り勝ち、試合をイーブンに戻した。
第1ダブルスには西智寛(経4)・小森園隆平(社3)が出場。対する市川・馬屋原ペアはリーグ戦や関東学生選手権で対峙しているものの、今年勝利を挙げたことはない。苦手としているペアである上に、インカレという独特の雰囲気が相まったのか、西・小森園ペアに動きの硬さが見られ、インターバルまでわずか2-11に押さえ込まれる。反撃の糸口を見つけられずそのまま9-21で第1ゲームを落とすと、「相手の勢いに向かっていくことができなかった」(小森園)と防戦一方の展開を強いられ、14-21でこのセットを落とし、法大の勝利に向けてあとがなくなった。
第2ダブルスにはエースダブルスである西川・野村拓海(社2)ペアが送り込まれる。序盤は数歩のリードを保つものの、ゲーム終盤にかけて相手の勢いが加速し、次第に法大のミスも増え逆転を許す。最後まで差を縮めることは出来ず、21-19と僅差で第1ゲームを落とした。第1ゲームの接戦を制したことで第2ゲームでも流れは日体大に。強烈なスマッシュから生まれた点差を最後まで詰めることは出来ず。15-21と為すすべなくストレートで敗れた。
最後のミーティングで悔しさをこらえられない4年生の5人
試合後、選手達は涙で顔を上げることができなかった。秋季リーグ最終戦から合宿を経て、いい流れのままインカレに臨んだはずだった。しかし本来ある力を出しきれないまま宿敵の前に散り、升佑二郎監督も「言葉がない」と唇を噛み、普段は冷静な西川も涙で表情を歪めながら最後のミーティングを行った。それでも同じく4年生である西は「この悔しさを来年にぶつけてほしい」と後輩へエールを送り、来年より主将を務める桐田も「情けない気持ちでいっぱい」と声を震わせたが「来年、今の4年生に自分たちが優勝したと報告したい」と決意を新たにした。
この涙は決して今日だけのためのものではない。来年の今頃「あの悔しさがあったから」と笑って言えるその日まで。一歩ずつ、それでも着実に彼らは歩みを進めていく。(本間美来)
監督・選手インタビュー
升佑二郎 監督
ー率直な今のお気持ちは
言葉がないかな。やはりシングルス2本とって、ダブルスの西川野村が勝って、最後西川シングルスで、っていって負けたらまたちょっと違うのかなと思いますが、自分たちがそこまで持って行けなかったというのが一番物足りなかったところですかね。
ー大差で敗れる事となりましたが
ダブルスはちょっと小手先かなあと。4年生は特に気持ち的に幼かった部分があるんですね。やはり自分のやりたいことをやると。それでうまくいかなかったらそのまま崩れるといったように、安定性がなかったので、それが今日はうまくいかなかったからボコボコにやられました。うまくいけばそれで乗れていくんだけれども、そこの安定性がどうしてもなかったかなと思います。基本的には自分たちのミスで負けるような試合ですから、なかなか試合にはなってなかったと思います。
ーリーグ戦の最終戦で5-0で勝利し、合宿を経ていい形でインカレには臨めていたように思います
筑波戦はそれが生かされたと思うんですよね。でも日体大戦は相手が強かったのも正直あると思いますし、やはりそういった中でも特に西川野村に関しては隙が出てしまったと思います。注意していたのは隙があると法政はダメだということです。集中してやるときはとにかく強いので、とにかく集中してやろうと話はしていたんですが、西川野村に関しては自分たちが強いぞというプレーをしてしまっていました。なかなか向かっていくようなプレーではなかったのでミスも多かったです。あそこがもうひと押しちゃんと言えて、形をしっかりさせておけばなあというのが悔いが残る点ですね。桐田は頑張っていましたけど相手も強かったですね。なかなか難しかったかなと。野田は勝ちましたが、団体戦でいうと、あとは西川野村が勝って、最後の西川のシングルスで勝負してっていうのが法政の戦い方というか、勝つための方法だったんだけれども最後までうまく回らなかったですね。
ーこのベスト8という結果については
やはり申し訳ないなと思います。法政大学の伝統というものを考えた時に、おそらく10年くらいベスト8にはなっていないと思うんですよね。ずっとベスト4以上は常に保ち続けていたと。そういう中でベスト8という結果を出してしまったのはやはり監督の責任だなと思います。特に一番思うのはなかなか当たっていなかった野村を1回戦で打たせておけば、とかそういったオーダー上のことです。やってみないとわからないことですが、後悔はありますね。
ー学生最後の団体戦を終えた4年生へ
監督が変わって、1年間だけ私とやるということは彼らにとってもかなり苦しかったというか、難しさがあったんじゃないかなと思います。今までの須賀さんのやり方と私のやり方は違いますしね。特に私のやり方の中では規律を求められてきますが、今までどちらかというとのびのび自由にやれてきたものが急に規律を求められるというのはやはりそれなりの負担が彼らにもあって、かなりキツかったんじゃないかなと思います。でもどうしても今やらないと来年もできるようにならないので、そういう意味で私も申し訳ないけど規律を重んじるよという形でした。その葛藤のなかでよくなんとかやってくれたという感謝の気持ちですかね。3年生以下にとっては逆に私が監督っていうのは来年以降当たり前というか、どういうことを求められているのかっていうのもわかるから、1.2.3年生は心配ないんですけど、4年生には本当に感謝ですね。
ー新体制となる1.2.3年生に向けては
ひとつは層が薄すぎることです。だれか一人強い人がいて、その人に頼るというチームではやはり勝ち上がれません。どこかで一回頑張ったらもう終わってしまうわけですよね。特にダブルスは3つくらいインカレ個人戦でベスト8を狙えるようなダブルスがなきゃいけないし、シングルスも4つくらいはなきゃいけないし。そういう意味ではシングルスは4つあるんですよね。でもダブルスは正直言って1.2個しかない。そして桐田山澤が今回使えなかったんですね。桐田は単複やってないのと、山澤が遠征が多くてなかなか調整できなかったので実質1個しかありません。それじゃあ勝てないよね、ということです。その層の薄さを補っていくのが大事ということが改めてわかりましたね。
ー団体戦を終えて今後に向けて
やはりものはみんないいんですよね。実績はみんないいんです。ただそれをいかに伸ばしていけるかですね。もっともっと上を目指して、インカレで勝つのも大事ですが、海外で日本代表になってとか、そういう意識の高さは各々に足りないんです。でも1年生は持てていると思うんですよね。同年代に日本代表がいるので。そういったところをどんどん引き継いで、一人一人の意識がもっと高くなれば層は厚くなってくると思うので、とにかくもっと上を目指して頑張らせたいなと思います。
西智寛・小森園隆平ペア
ー試合を振り返って
西:最後の日体大戦であんまりいい試合できなかったので心残りというか、自分の力を出しきれずに負けたのでそれは悔しいですね。
小森園:自分らが勝たないといけなかったので、流れ的にもシングルスが1-1という状況で、自分たちが勝たないと第2ダブルスもプレッシャーになると思っていたんですけど、なかなか相手の勢いに自分たちから向かうことができなくてズルズルいってしまいましたね。
ー相手ペアとは何度か対戦されていると思いますが、改めてこのインカレという舞台で戦ってみて
西:得意じゃない相手ですね。やりづらいっちゃやりづらいです。
ー法政に足りなかった部分は
西:日体大のほうががっつきというか向かってきていたのでそういう面が足りなかったかなと。声出したりとかプレーでも自分たちからガンガン攻めていけていたらまた違う展開になっていたのかなと思います。
小森園:プレーもそうですが、日体大のほうが応援だって勢いがあってそれに法政が受け身に回っちゃって最後押し切られたのかなと思います。
ーベスト8という結果について
西:ここ最近で最悪な結果なんですけど、今までが出来すぎてた部分もあると思います。これが実力なのでしょうがないです。受け止めて下級生に頑張ってもらうしかないです。
ーお2人でプレーされるのもラストだと思います
西:自分はもう引退なんですけど、そんなに実感とか寂しい気持ちとかはあんまりなくて。4年間やりきって良かったな、法政でやって良かったなと思います。
小森園:組むのが最後になっちゃったんですけど、なかなか自分が西さんと組ませてもらわないと団体も出させてもらってなかったので、その分色々ダブルスのことも教えてもらったので、お世話になりました、という感じです。お世話になりました。
ーミーティングではどういったことを話させていましたか
西:一緒にみんなでやってきて、このチームでよかったっていう感謝の気持ちとか、今回の悔しさを来年にぶつけてほしいとか。そんな感じです。
ー4年生に向けてのメッセージを
小森園:自分が一番お世話になったと思います。私生活からバドミントンから全てにおいて。一番先輩のなかでは今の4年生が長い付き合いですし、3年間という長い付き合いだったので、正直寂しい気持ちが大きいです。自分も副キャプテンという立場に任命されましたが、この4年生たちは実力があって、実力で引っ張っていっていました。西川、西、荒木、早川、前田、全員強かったんですよね。でも自分たちの代は実力的にはなかなかそういうわけにはいかないので、下に引っ張ってもらうことになるんですけど、その分違う部分で引っ張っていきたいと思います。バドミントンに取り組む姿勢であったり、あるべき姿っていうのを示していきたいと思います!
桐田和樹
ー今の正直なお気持ちを
自分がトップシングルスで勝たなかったことが敗因かなと思っているので、すごく悔しいですし、情けない気持ちでいっぱいです。
ー日体大の山下選手には秋リーグでも敗れました
すごくやりづらいですね。自分が打つ球に対しての返しが上手くて、レシーブも硬いし、自分が焦れちゃってミスっちゃうっていうのが多かったのでそういうところで勝てないのかなと思います。
ーチームとして足りなかった点は
仲が良すぎたのかなと思います。厳しく言わなきゃいけないところも許しちゃったりとか、そういう部分がちょこちょこあったので、そういうところで甘さが出ちゃったのかなと思います。自分もそうなんですけど。もうちょっと勝負にこだわる姿勢をつけたほうがよかったのかなと思います。
ー合宿などを経ていい形でインカレには臨めていたのではないでしょうか
筑波大戦はよかったんですが、日体大はあまり実力は変わらないと思うんですけど、向こうのほうが優勝したいっていう気持ちが強かったと思います。流れは良かったんですけど、それは日体大がそれを上回ったというところで自分たちが負けただけだと思いますね。
ーベスト8という結果については
本当に悔しいですね。今までほとんどそんな結果はないと思います。そういう面ではすごく申し訳ないと思っています。
ー4年生に伝えたいことは
1.2年生のときからずっと一緒に上がっていって、どの上の人よりも一番長く接してお世話にもなったので、この悔しい気持ちを4年生の分も来年のインカレに繋げて自分たちが優勝したという報告が出来たらいいと思うので頑張りたいと思います。
ー来年からキャプテンを務めるとのことですが、新体制のチームをどういったものにしていきたいですか
やっぱり厳しくしないといけないなと今回思ったので、しっかり厳しくするところは厳しくして、仲良すぎるのもいいんですけど、そういうところの上下関係をしっかりしていくことで試合で勝てるチームになると思うので、自分に厳しく人に厳しくっていうのをしっかりやっていきたいと思います。
ー個人戦に向けて
シングルスは全日本総合を目標に頑張っていきたいと思います。ダブルスも目標はそうなんですけど、もちろん優勝を目指してやっていきたいと思います。
野田悠斗
ー今日の試合を振り返って
新潟大の時は気が抜けているかなというのはあったのですが、筑波大の時はみんないい形で試合に臨めているかなと思いました。自分の試合が良かったとかいうことよりもチームが負けたということが一番悔しいですね。
ー率直に今の感想は
負けて思ったのですが、正直優勝したかったです。
ー4年生にとっては最後の団体戦となりました
色々な意味で寂しいですし、もっと一緒に戦いたかったです。
ー3年生になるにあたって、チームの中でどんな役割を果たしていきたいですか
今年までと違って自分より年下が増えるので、そういう意味では自分がもっと手本となってみんながついてきてくれるような人になりたいです。
ー野田選手はシングルスとして大きな戦力になってきていると思います
正直自分も足が疲れてきていて、もし2ゲーム目に負けていたら、ファイナルは相手の方が有利だったと思います。自分が競った場面や、2ゲーム目を落としても確実に取ってきてくれるとみんなに安心してもらえるようになりたいです。
ー来年のチームについて
西川さん、西さんとレギュラーでダブルスに出ていた2人が抜けてしまうので、自分はダブルスはそんなに強くないのですが、自分もダブルスで使ってもらえるように両方頑張っていきたいです。
ー個人戦に向けての意気込みを
法政でも荒木さんや前田さんとか個人戦に出たかったと思うのですが、出られなかった人もいるのでそういう人の思いもあって。自分がその人たちの分までやっつけたいです。
ー団体戦の総括をお願いします
高校時代も団体戦で負けて悔しかったのですが、今年は一番悔しいと感じました。自分は3年生になるので、試合に出ていない人でも出ていないから応援しなくていいやではなくて、全力で応援できるような、チームが勝ってほしいと思う人が増えるようになって欲しいです。
フォトギャラリー
- 敗戦後、悔し涙を止められない3年生と涙をこらえながら声をかける4年生
- トップシングルスとして、またエースとして悔しさの残る結果となった桐田
- 今年1年間でひとまわりもふたまわりも成長を見せた野田
- 勝負の決する場面だっただけに悔しい敗戦となった(西川・野村)
- 本来の力を出しきれないまま宿敵の前に敗れた西・小森園ペア
- 荒木は安定したプレーでチームに貢献
- 升監督も期待を寄せるルーキー藤原
- 終始楽し気にプレーする西川・山澤ペア。単複で、また、キャプテンとしてチームをけん引し続けた西川の功績は計り知れない