【硬式野球】他大学インタビュー 立教大学野球部①~溝口智成監督、松崎健造選手、飯迫恵士選手~
2018年4月3日(火)
立教大学野球部寮『智徳寮』
4月21日に立大との初戦を迎えるに当たり、立大野球部にインタビューを行った。第1回の今日は、チームの指揮を執る溝口智成監督、主将の松崎健造選手、また通算打撃成績1位の飯迫恵士選手に話を伺った。
溝口監督インタビュー
ー昨年は春の優勝もありましたが、振り返って
優勝できたんですけど秋はまた4位になったので、春の優勝と秋のBクラスになったっていうその両方を糧にしなきゃいけないなと思っています。喜びと、その喜びが大きかった分秋の4位の悔しさが大きかったので、秋の4位の方が印象に残っているそんな1年でしたね。
ー春に優勝したものの秋4位と沈んだ要因はどう考えられますか
春もぎりぎりの試合を何試合も戦ったんですけど、1戦目負けても2戦目と3戦目に勝ってという試合が多かった中でぎりぎりのところでも勝ってきたので、秋も前半4連勝した後に1回負けたときにそれも結構ぎりぎりの試合だったので、秋の初めての負けから危機感というか「次なんとしても」というよりは春のようにきっといくんじゃないかと、無意識にそういう慢心があったんじゃないかなという風に思います。
ーその要因を踏まえ取り組んだことはありますか
チームも違うし同じチームで戦うわけじゃないし、他のチームも全部違うのでそれを踏まえたというわけではないんですけど。今年新たなチームで新たな相手と戦って優勝しなければいけないので。ただ、秋負けた要因の中で何個か言うとしたら、ムードが悪くなったり流れが悪くなったりしたときにそれを跳ね返す力がやはり立教って弱いなと思っているので、そこについては今年はそういう劣勢には負けない、ムードや悪い流れを跳ね返すためのチーム作りや雰囲気づくりみたいなことは僕もやってきました。選手の中でもそういう気持ちを持ってきてるかなとは思いますね。
ーオープン戦を経て、新チームの今の状態はどう見ていますか
前半はだいぶ勝っていて、点数も取れていたんですけど終盤になって打つことには打つんですど、打線につながりがなくて得点に結びついていないので、すごく良い状態ではないというのが実感です。あとはそれを10日間くらいでどう仕上げていくかということですね。リーグ戦に入ってしまえばオープン戦の結果などはあまり関係なく、目の前の相手に全力でぶつかっていくだけだと思っているので、つまりオープン戦というのはある意味チームとしてどこまでやれるか、オープン戦というのをどこまで戦えるかで経験を積んでいくことだと思っています。勝っていたらそのまま勝ち続けるものでもないですし、負けていてもそれが必ずリーグ戦で負けにつながるわけではないので、一喜一憂せず課題をちゃんと見て、少しでもリーグ戦までに課題が潰せるように準備をしているつもりです。
ー投手陣は田中誠也選手、手塚周選手、中川颯選手など多く残っている印象です
みなさんそのようにおっしゃるんですけど、実はそんなことも無くて。(田中選手らにも)絶対的な力があるわけではないので、春に活躍してくれてそれは良い経験としてあるでしょうけど、その経験からどれだけ上積みできているか、そこからどれだけ成長できているかが問題で、名前があり実績があるっていうことは監督としてはあまりプラスにはならないというか。名前があれば研究もされるしマークもきつくなるし、それ以上の成長をしなければならないと思います。ただ、どれだけ成長できたかというのはやってみなきゃ分からないから、それが楽しみでもあり不安な部分でもあります。
ーオープン戦はオープン戦として戦っていくとおっしゃられてはいましたが、その中で投手陣の成長というのは感じていますか
ありますよ。少なくとも秋よりは計算できそうなのが何人かプラスになりました。秋の状態よりは良いとは思うんだけど、なにぶん相手との相対評価との中でどうかという話なので、うちも頑張っているし投手陣も頑張ってはいるけれども、その頑張り具合と頑張った成果というのが、他のチームとどれだけ(差があるのかによる)。他のチームがそれ以上に頑張っていたらそっちが勝つし、他のチームがその試合で成果を出せば相手が勝つので、やれていないことはないし準備不足であったりすることはそんなにないんですけど、だからと言ってもう大丈夫とはそんなに言えないですね。
ー野手は熊谷敬宥選手(現阪神タイガース)、山根佑太選手など攻守の軸が抜けた印象です
去年の今頃も「入れ替わりですね」と言われた中で山根も活躍したわけですし、ですから、あんまり野手が変わったということに関してはあまり気にならないですね。毎年人が入れ替わることは新チーム作ったときから分かっている話ですし、経験で戦うわけではないので、新たな戦力が(他チームの)新たな戦力とどのように戦うのか、どうやったら力を発揮できるかということばかりを考えてきました。経験不足というのはあるんですけど、それが逆に思いきりの良さになったりもしますので、やはり入れ替わりは気にしていません。
ーそのような状況の中で、投打のキーマンを挙げるとしたら
投手はやはり田中かな。田中誠也が軸となって毎試合、試合を作ってもらわないと計算がくるってしまいますので、田中誠也はやはりちゃんと働いてもらいたいなという気持ちが大きいです。打者はどうかな。新しい力という意味も含めて言うと三井という外野手がいるんですけど、中軸を打たせようと思っている2年生で、初めてリーグ戦に出るくらいの選手なので不安はありますが、若い力でフレッシュに生き生きとプレーをして結果が出ればすごく良い力になるなと思っているので、野手はみんなキーマンなんですけど、あえて挙げるとなると三井あたりがキーマンになるかなと思いますね。
ーキーマンを中心に戦っていく上で何が重要になると考えるか
やはり打ちたいんですけど、バッティングに頼ってしまうとどんなにバッターが良くても(打率は)3割ですから、やはり投手を中心にして失点を小さくとどめてその中で毎試合、3,4点のとこで勝負をしていくという、そんな感じかなと思います。
ー法大とは2週目との対戦となりますがどのような印象をお持ちですか
他にも取材してて、みんな「強敵だ」って言うでしょ?「一番の優勝候補だ」って。そうだと思います。いよいよ。毎年強いとは思いますけど、下級生時代から活躍してきた選手たちが多く最上級生になっていますし、ピッチャーもリーグで一番勝ち星を挙げているのが菅野(秀哉、キャ4)で、それがエースとしているし。かなり手強いと思います。
ー菅野選手の名前が出ましたが、特に警戒している選手などは
特に誰々というわけではないんですけど、本当に挙げていったらたくさんいます。向山(基生、営4)もそうだし満平(小林、法4)もそうだし、中山(翔太、人4)もそうだし、ショートの相馬(優人、営3)とかも足が速いし、今出てるか分からないけど舩曳(海、キャ3)とか。その辺が力があるのは十分分かっているので、いくらでも挙げられます(笑)。
ー特に法大に勝つために重要になってくることや対策などは考えていますか
本当にそうは言ってもどこも新しいチームで対戦するので、対策というのはこれからですね。もちろん法政大学だったら菅野をどう打つかとかピッチャーにあいつが出て来たら…とイメージすることはできます。ですが、チームとして全体としてどんな雰囲気かというのはうちのチームも含め神宮で戦ってみないと分からないので、春は特にその場で感じたことをすぐ対策に生かしていく、そういう風になると思います。今何か具体的にどこをこうして…というのはどこの大学に対してもないですね。
ーこれから取り組みたいことはありますか
色々テーマを持って新チームを4,5か月やってきたと思うんですけど、『優勝する』、『他校に勝つ』ということのために全ての練習をやってきているので、そのために必要な練習と思ってやってきているはずですから、直前になっても優勝するため、勝つための練習だということを信じ切って。練習したことをどれだけ神宮の場で出せるかということをイメージしながら、これまでと違うことを突然始めたりするんじゃなくて、この4,5か月同じテーマを持ってやってきていますから、それを信じてやることかなと思います。
ー今年1年の目標をお願いします
1年というよりはもう春です!春リーグ戦優勝!日本一連覇とか言われちゃうんですけど、リーグ戦を優勝しないとその先はないので。とにかくリーグで勝つことがまず大変なので、東京六大学春季リーグ戦で優勝。これが現時点での唯一の目標です。
ー最後に意気込みをお願いします
春のリーグ戦で優勝、何としても優勝です。そのために、うちは1週目の早稲田から始まるんですけど、最初の前半の2カードを何としてでも勝ちたいということをまずは目指してまずはやっていきます。
(取材:中西陽香)
溝口 智成(みぞぐち・ともなり)
1967年11月23日生まれ
神奈川県出身・湘南高校→立教大学→リクルート
『立教大学野球部では、一塁を守り2度のベストナイン、主将も経験。卒業後はリクルートに入社し社会人野球の舞台で6年間プレーし’97年に引退。’14年に立教大学野球部の監督に就任し、4年目の昨年はチームを日本一に導いた』
☆取材の小話~色紙の意味☆
取材終了後にお願いした色紙。どの大学の監督も選手も『日本一』や『優勝』といった内容が多いのだが、溝口監督が数分悩んだ後記したのは『進化と真価』という言葉。どのような意味を込めたのだろうか。聞こうとしたとき、その雰囲気を察してくださったのか、監督自ら語ってくれた。
「去年の春は優勝したけど、立教はご存知の通りたまにしか優勝しなくて。最近優勝争いが多いとは言え、いざこの前優勝して「じゃあ次はいつなんだ」と。やはりまた18年空けてはダメだと思うし、(そういう状況の中で)今年の戦い方に今後の立教大学野球部の進む方向の真価が問われていると僕は思っている。すごく大事なシーズンだと思っている。だから進化して、問われている真価を示していきたいなと」
『進化と真価』という短いフレーズに込められていたチームや優勝に対する深く熱い思い。約15分のインタビューの全てがこの言葉に凝縮されている。取材の最後に『立教大学野球部』の姿を心に感じた。
選手インタビュー
松崎 健造 主将
ー昨年を振り返って
昨年は春にリーグ戦優勝日本一になったんですけど、秋は4位でそっちの悔しさというかそっちの方がでかくて、そこから新チームでどうやって行くかというのを考えてやっていたので秋の4位というのは、しっかり受け止めていました。
ー個人としてはどのようなシーズン
バッティング期待されていた中いまいち結果出せていないので、あんまり貢献できなかったなというのはあります。
ーこのオフに取り組んだことは
チーム全体としては、スローガンに『Go all out!Be aggressive』というのを掲げていつでもチームの流れが悪い時も変わらず全てを出し切るとか、前向きな集団を作っていこうと言うのが、チーム全体としてはやって練習量とかも増やしたり。そういう点で技術アップを図るとともに、スローガンを身体で体現してそれをチーム力の基盤としてずっとやってきました。個人は打撃に力を入れて、秋から冬にかけてはやっていて。今も打撃の結果にはこだわってやっています。
ー今の調子はどうですか
チームは成果が出ている部分もあるけど、あと1週間ちょっとの間で突き詰めるところもあると思うのでそこをやっていきたいです。でも去年よりはバッティングやピッチャーの決め球とか武器になるものも増えているので、そこは自分も含めてみんな変わっているなというのはあります。
ー変わっている中での課題はありますか
課題は、選手一人一人に役割というのがあって、例えばみんながホームランを打つわけではないと言う中で、その役割のためにどうするかという具体的な目標を持たずに漠然として野球やったりして、準備不足でミスしたりとかもっと準備の段階で突き詰められることがあると思います。また、チームプレーでもまだ守備の連係とかまだまだできると思うので、個人の技量が上がっている分そういうチームプレーについて突き詰めていかないとなと思います。
ーチームプレーを突き詰めていく上で具体的にどこに注意している
ずっとこの新チーム始まってバッティングばかりしてたんで、守備の連係というのをキャンプでは結構やりこんで。学校が始まったらチームの練習時間がバラバラになってしまい、ピッチャーと内野の連係とか外野と内野の連係とかカットプレーとかそういうのがあんまりできなくなるので、今もまだ量は積まないけどしっかり質を求めてやったりとかしています。
ー法大とは2週目での対決となりますが、どのような印象を持たれていますか
強いですよ。法政はみんなポテンシャルが高いので、選手層も厚いし誰が出てきても強く結果出すというイメージなので、山場というか。全部きついですけど、ミスできないなとプレッシャーのかかる相手です。
ー特に警戒する選手は
菅野がずっと結果を残していて、良いので。バッターは本当にみんな良いので。去年外野やっていて恐怖じゃないけど、でかいフライ来そうだなとか、後ろに強い打球が来そうだなという雰囲気が全打者から醸し出されているので。特に中山とか、あと長打を打つバッターを勢いに乗らせたくないので、向山、中山、満平、川口(凌、人4)とか下級生の時から出てきている人たちを抑えてリズムに乗っていきたいです。
ー打者としては菅野選手に対し対策は考えていますか
去年、春と秋に対戦してヒットを打った時を振り返ったら、まっすぐが速い速いとなってバカみたいに振っていたので、そういうのをやめてしっかり身体を開かずにとらえるというのをやってきました。変化球も一級品だししっかり狙い球を絞って振っていきたいです。
ー高校時代にチームメイトだった川口選手も主力として出てくると思いますが意識するところは
ありますよ!川口は性格もいいし、プライベートでもご飯行ったりするし。バッティングも良いので、大学来るにあたっても、自分はずっと内野やってて背も小さくて足も遅くて左バッターで長打ぼこぼこ打つ感じの選手でもなく、川口に似たタイプの選手なので、負けたくないというのは一応あるけど、彼のことは尊敬しています!
ーどのような主将として1年間を過ごしたいですか
スローガンの体現者の一番でありたいし、自分がまず結果を出すというのもそうですけど、ただ、ありのままの自分で(いきたい)。やはりストレスとかあったら、いいプレーができないので。また、今のチームはリーダーシップを発揮してくれる人が多いので、その分自分は本当に周りを見渡して、結果が出なくてモチベーション下がったりして、みんなが向上を目指す中でちょっと足踏みしている人とかをチームの輪に戻すような役割をしたいです。そして、さっきも言ったスローガンを全うすることで、背中で引っ張るとかにもつながると思うので、行動と言葉の力で人を動かしていきたいです。
ー今年の目標をお願いします
目標は、新チーム結成から『春リーグ優勝』を目指してやってきたので、全日本選手権連覇とか、春に関しては2連覇とかあるけど、一切考えずに。とにかく春の試合の1勝1勝をもぎ取っていくことを意識して、結果的に優勝。絶対に優勝を目指して頑張ります。
ー最後に改めて意気込みをお願いします
応援してくれている人の声援を力に変えて、どんなに強い相手でもAll Out してAggressiveな野球で勝利をつかみたいです!
(取材:中西陽香)
松崎 健造(まつざき・けんぞう)
文学部4年 1996年6月3日生まれ
福岡県出身・横浜
170㎝68㎏ 右投左打
『昨春は規定打席に到達。5打点を挙げるなどリーグ戦優勝に大きく貢献した。今年は、主将として試合中も選手一人一人をしっかりサポートする姿も見られる松崎。リーグ優勝に向けてチームスローガンの体現者となる』
飯迫 恵士 内野手
ー昨年を振り返って
チームとしては優勝、日本一を経験し、個人としては春に1番良い打率を残せたので良い年だったなと思います。
ー昨春、打率.339を記録した要因は
普通の内野ゴロが抜けてくれたり、打ち損じた当たりが間に落ちてくれたりしたので、そういうところかなと思いますね。
ー優勝の瞬間というのは
そんなに実感は湧かなかったですね。その後にパレードをしてやっと優勝したんやという実感が湧きました。
ー日本一になったときは
自分的にはリーグ戦の優勝の方が嬉しかったです。日本選手権も強い相手はいたのですが、六大学の方が手強いと感じました。
ー昨季打率が落ちてしまった要因としては
打てなくなってから抜け出すまでの時間が長かったので、そのせいかなと思います。
ー現在取り組んでいることは
ウエイトトレーニングで力を付けようとやっていますね。
ー昨季は本来の一塁手から、左翼手を守ることが多かったと思いますが
実際、外野経験はなくて2ヶ月ぐらいで仕上げろと言われました(笑)。すごい大変でしたね。エラーもしましたし。今もできればファーストの方が良いなとは思いましたね。
ー春秋とも打点7と勝負所に強い印象です
自分でもそう感じますね。チャンスで回ってきた方が打席で楽しめるというタイプなので、余裕を持って出来るんだと思います。
ー緊張はしないですか
しないですね。緊張というより、自分がやったろいう気持ちの方が強いです。
ーご自身の持ち味は
勝負強さと粘り強さですかね。2ストライクに追い込まれてからのヒットの方が多いと思います。
ー今年の立大の雰囲気は
雰囲気的にはめちゃくちゃ良いと思います。去年と比べてもバッティングがみんなよくて、オープン戦を見ていても打ち勝つという印象ですね。
ー法大の印象は
法政は同期が結構出ていて、そこがラストイヤーにもなるので強いんじゃないかなと思いますね。
ー今季の目標
個人としては、今季は春取り損ねたベストナインを取りにいきます。チームとしては春優勝しているので、連覇を目標に掲げています。
ー最後に意気込みを
ラストイヤーということもあるので、自分の実力を出し切ってチームに貢献したいです。その上で、ベストナインだったりタイトルを取れたらいいなと思います。頑張ります!
(取材:大平佳奈)
飯迫恵士(いいさこ・けいと)
社会学部4年 1996年10月1日生まれ
兵庫県出身・神戸国際大附
170㎝72㎏ 左投左打
『通算53安打と打撃成績ランキングでは、現役首位記録を保持。昨春は打率.339の活躍でチームをリーグ優勝、日本一に導いた。今季も、持ち味である勝負強い打撃を武器に、最上級生としてチームをけん引する』