2021年3月15日(月)
オンライン
4月10日の開幕戦で慶大と対戦する法大野球部。着々と準備が進む中、弊会は対戦相手である慶大野球部にオンラインでインタビューを敢行した。今回は、指揮官である堀井哲也監督、主将を務める福井章吾選手に話を伺った。
監督・選手インタビュー
堀井哲也 監督
ー昨年を振り返って
春も秋も優勝を逃したということで非常に悔しい年でした。
ー就任1年目でコロナ禍を迎えて苦労された点は
コロナ禍でたしかにフェーストゥーフェースのコミュニケーションというのは難しかったのですが、逆にオンラインを使って全体ミーティングですとか、あるいはSNSを使って選手と動画のやり取りをしたりとか、結果として普段とは違う形でコミュニケーションを取れたかなと思います。その中で非常に良い点もありました。例えば、オンラインで技術的な会話をするのでその理解が深められました。あるいはオンラインで全体ミーティングをすることで、全体で集まることが貴重な中、選手の集中力も非常に感じられました。非常に難しい点もありましたけど、かえって良いこともあったと思います。
ー昨季の早慶戦は優勝のかかる試合となりました。早大に対しての意識などは
私は就任して「とにかく五大学で対抗戦だ」という意識を持って戦うことは選手たちに伝えています。その上でやっぱり早慶戦というのが、順位関係なく最後にカードとして組み込まれているというのはありがたいとも思います。これは歴史を積み重ねてきた先輩方のおかげでこれはこれで非常にありがたいという気持ちです。結果として最後に組み込まれている分、優勝争いに関係してきますし、そこで二校の対戦意識というのがより鮮明になる。そういう仕掛けだと思いますね。ですから、そういうありがたさ、重みは十分に感じた上で、対抗戦として五つの大学との試合がそれぞれ大切なんだということは選手たちに伝えています。
ーコロナ禍のリーグ戦は試合以外の面でも緊張がありましたでしょうか
まだ遠い存在だったものがだんだん月日が経つにつれて感染者が出たり、コロナ対応をしているという者が近くに出てきていて、そういったことから感染に対して非常にプレッシャーがかかったことは事実ですね。
ーここまでのチームの雰囲気はいかがですか
今年になって緊急事態宣言がすぐ発せられましたが、コロナに対してどういったものを注意していったらいいのかということをだいぶ勉強してきての宣言なので、去年の宣言に比べたらこれは大丈夫、これは注意しなくてはいけない、というのを理解しながらここまで練習が出来てきたと思います。ですから、そういう意味では宣言が明けてからのアプローチを含めて1か月前としてはまずまずの準備が出来ていると思います。
ー慶大といえば『エンジョイベースボール』という代名詞。堀井監督の考える『エンジョイベースボール』とは
『エンジョイ』の意味、捉え方ですよね。例えば、単純に物事に集中している状態、苦労して苦労して取り組む状態も『エンジョイ』とも言えますでしょうし、苦しんで苦しんで成長するということを楽しみにやるという意味もあると思います。私はその中でも何か成果を得る、例えば天皇杯を得るためにはやっぱり苦しみもなければいけない、苦しまなければそこに到達できない、その中に個人個人が楽しみを見つける。そういったような個人の人生観じゃないかなと思っています。私はとにかく楽をしていては勝てない、その中で自分と向き合っている姿が『エンジョイ』なのだと思います。
ー慶應義塾高出身の選手が多い中で結束力というのは強いものがある
そうですね。接する機会が多いのでその人の考え方、人柄というのを理解していると思います。なので、理解力がありますよね。プレーの面でも呼吸が合う場面が多いので、お互いを理解している選手が多数派でいるという理解でいいと思っています。
ー法大の印象は
私はもう法政大学さんというのは選手個々の力というのは六大学、大学球界の中でもナンバーワンだと思っていますね。やっぱり能力、素質のある選手が4年間でさらに高みを目指していく、そういう大学だと思っています。とにかく能力が高い集団だなと私が現役の時から、そして今も思っているチームです。
ー法大の投手、野手で警戒している選手は
投手でいえば、去年から投げている三浦(銀二、キャ4=福岡大大濠)くん、山下(輝、営4=木更津総合)くん。去年はあまり投げていませんけど能力でいえば古屋敷(匠眞、営4=八戸工大一)くんと平元(銀次郎、営4=広陵)くん。ピッチャー陣がそろっていますよね。そしてそれを受ける大柿(廉太郎、法3=健大高崎)くんも非常に力のあるキャッチャーなので、まずバッテリーがすごくしっかりしている印象があります。
野手の方は昨年の4年生が抜けましたが、そうはいっても岡田(悠希、人4=龍谷大平安)くんとか何人も去年から残っている選手がいます。なので、去年とは遜色のない力を持っているのだろうと思っています。
ー今季から法大は加藤重雄監督と大島公一助監督が就任。お二方に対する印象などは
加藤監督は日本生命で非常に長く野球も仕事もされていたという社会人を代表する方だと思っているので、そういうところで野球もそうですし、加藤監督の社会人の経験が反映されるしっかりとしたチームになるんじゃないかと思っています。
大島助監督はプロの経験も長いですし、現役の時から非常に素晴らしいプレイヤーだと思っています。プロの活躍も含めて野球を知っているので、そのエキスを選手に注入するのに非常に最適な人物じゃないかなと思っています。加藤監督、大島助監督というコンビは新しい法政大学を作っていく上で非常に強力なタッグだなと思います。
ー法大ファンの方に向けてメッセージをお願いします
優勝回数という意味でも早稲田と並んで最多の大学で、六大学の雄だと思っています。我々もぜひこの2チームに割って入っていけるようなチームにしたいと思っていますから、お手柔らかに見守ってください。
(取材:五嶋健)
堀井 哲也(ほりい・てつや)
韮山→慶應義塾大学→三菱自動車川崎→三菱自動車岡崎→JR東日本
『慶大野球部在籍時は外野手としてプレー。三菱自動車川崎では4年間プレーし、1994年に三菱自動車岡崎に転籍。コーチを経て97年に監督に就任した。2005年からはJR東日本で監督を務め、11年には都市対抗野球大会でチームを初優勝に導いた。19年12月1日付で慶大野球部監督に就任。』
福井章吾 主将
―昨年を振り返って
春も秋も2位という結果に終わってしまって、あと一つ勝ちきれない悔しさが残ったシーズンでした。
―優勝のかかった試合で得たこと
勝負所では、いかに今までやってきたことが出せるかが求められるので、常日頃から緊張感を持って練習することで、そういった場面に巡り合っても普段通りプレーできるのではないかと感じました。
―戦力充実といわれる中での戦い
力があるないは正直関係ないと思っています。勝負所で力を発揮できるチームが本当に強いチームだと思っています。去年はそういったところで力を発揮することができなかったので、慢心することなく自分たちが一番へたくそだという気持ちで練習しています。
―法大との戦い
ピッチャーが良く、簡単に点が取れない印象です。今年もプロ注目の選手がぞろぞろといるので、それを打ち砕かないと法政からの勝利はないと感じています。
―意識する選手
ピッチャーでは三浦銀二です。僕たちの学年を代表するピッチャーですので、プロ注目のピッチャーだからこそ攻略できれば勝利は見えてくると思います。
バッターは最近オープン戦でも4番を打っている岡田(悠希)です。去年対戦して手強かった印象もあるので要注意だと思っています。
―昨年正捕手に定着し感じたこと
正直六大学の力は拮抗しているので、最後は技術以外が勝敗にかかわるなと感じました。
―投手陣とのコミュニケーション
コミュニケーションは常に意識しています。どういう思いで投げるかや、キャッチャーがどういう要求をしたかが一致しないと、打たれた悔しさが倍増するので、気持ちを合わせるという意味で大切にしています。
―同じく捕手の郡司裕也(現中日)元主将から学んだこと
試合全体を読む力を学びました。
―投手陣について
春のオープン戦で力をつけていると思うので、不安要素はないです。先発ピッチャーが試合を作れば、ある程度戦えると思います。
―打撃陣について
メンバーはあまり変わらないので、一人一人が精度を上げようと取り組んでいます。
どこのチームも4番の正木(智也)を警戒してくるので、その後ろを打つバッターとして、いろいろなことできるように準備しています。
―主将になった経緯
学年で話して決めました。入学当初から主将として最後の学年は貢献したいと思っていたのでそれが重なった形です。
―主将の重み
責任とか重荷は特別感じてないです。去年までと変わらず、ありのままを心がけてやっています。高校と違うのは部員が何倍もいるので、全員を同じ方向に向けるというのが大変です。学生スタッフや副将とともにチームをまとめようと思っています。
―大阪桐蔭高出身の選手が注目されることについて
先輩たちが築いた伝統あってのものなので感謝しています。六大学という伝統ある舞台で高校時代に切磋琢磨した仲間と(試合を)できる幸せを感じます。不思議な気持ちもありますが、楽しめたらと思います。
―早慶戦について
早稲田への思いは強いです。主軸としているのが元チームメイトなので、今までとちょっと違う気持ちはあります、ただあまりとらわれず勝利に貢献したいと思います。
―冬の練習
去年勝てなかったので、一球への執念や、一勝への気持ちを強く持とうと取り組みました。
―チーム状況
最近は試合が続く日々ですが、課題を出しながら改善して一歩ずつ進んでいる状況です。完成には程遠いですけど、悪い状態ではないと思います。
―冬の練習の質や量
限られた環境をある意味プラスに捉えて、自分らで濃い時間にできるようにやっています。
―個人的に取り組んだこと
打撃強化です。長打が打てなかったことが課題なので、今年は長打を打てるようにスイングに力を入れています。
―今年のチーム
打線では正木を筆頭に色々なタイプ、投手陣も森田(晃介)、増居(翔太)両投手などを筆頭にバランスの取れたチームになっていると思います。いろいろな選手がいる中で、それぞれの良さ出せるのが特徴です。優勝への思いは強いので、ここ一番での集中力や一体感には注目してほしいです。
―堀井監督について
野球に対する思いが強い監督です。勝つ術を知っていて実績もあるので、監督の言うこと聞いていれば天皇杯が近づいていくと思います。日々勉強させていただいています。
―リーグ開幕迫る中での過ごし方
実感はないですが、開幕が近くなると焦りも出てくるので、プラスに変えられるように時間を無駄にせず生活していけたらと思います。
―新戦力で期待する選手
萩尾(匡也)です。去年も出ていましたけど、チャンスを掴み切れなかった中で、今はスタメンで結果を出しています。長打が打てる選手なので、慶應にとって足りないところを補える存在として期待しています。
―開幕戦について
1戦目はリーグの大事なゲームになるので、そこにベスト持ってくる準備をしようと話しています。先発は六大学で1番良いピッチャーの三浦だと思うので、どういうアプローチをするかというのを考えていきたいです。
―どのような試合展開になるか
簡単には点とれないと思うので、守備からリズムを作って、粘って1点でも多くとれたらと思います。
―各校の対策
アナリストがデータは時間をかけて万全の準備をしているので、質にこだわって対策をしています。
―六大学ファンにひとこと
新型コロナウイルスの影響で思うような日々を送れていませんが、六校で盛り上げるという気持ちで準備したいと思っています。
―法大ファンにひとこと
法政とは開幕戦で戦いますが、お互いがベストな状態で迎えられたらと思っています。力は変わらないと思うので、いい試合をお見せ出来たらと思っています。
(取材:山田陸斗)
福井 章吾(ふくい・しょうご)
環境情報学部4年 1999年4月23日生まれ
大阪桐蔭高
168cm74kg・右投左打
『昨春正捕手に定着すると、2季連続でベストナインを獲得。広い視野で投手陣をまとめ上げる。広角に打ち分ける打撃も魅力。主将として3季ぶりの優勝を狙う』