東京六大学準硬式野球木村杯新人戦
対明大戦
2021年5月30日(日)
早大東伏見グラウンド
準決勝で前回王者に勝利し迎えた決勝。初回に鈴木の併殺打の間に唐橋が返り先制する。3回に同点に追いつかれるも4、5回と点を重ね前半で4対1とリードする。大学初先発の古川端は走者を出し7回にも失点するも7回2失点と先発の役割を果たす。しかし後半立大に畳みかけられ、8回に再び同点に追いつかれる。だがその裏2死から満塁の好機を作り、3番手の藤中が打席に立つと初球が押し出し死球となり、勝ち越しに成功。そしてそのまま試合終了で見事優勝を決めた。
試合結果
トータル試合結果
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | H | E | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
立大 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 3 | 0 | 5 | 15 | 1 |
法大 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 | 0 | 1 | 1 | ☓ | 6 | 8 | 1 |
(立大) 上岡、●川瀬-渡部
(法大) 古川端、鈴木、○藤中-澤野
二塁打:高橋(5回)
盗塁:関宮(4回)
打撃成績
打順 | 位置 | 選手名 | 出身校 | 打数 | 安打 | 打点 | 四死球 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | (6) | 唐橋悠太(経2) | 桐光学園 | 2 | 0 | 0 | 2 |
2 | (4) | 高橋凌(社2) | 花巻東 | 3 | 2 | 2 | 0 |
3 | (8)18 | 鈴木歩夢(社2) | 明星 | 3 | 0 | 0 | 0 |
4 | (7) | 関宮楓馬(社1) | 静岡 | 4 | 1 | 1 | 0 |
5 | (3) | 福本陽生(経2) | 星稜 | 4 | 1 | 0 | 0 |
6 | (9) | 和泉直人(文2) | 札幌第一 | 4 | 1 | 0 | 0 |
7 | (5) | 塩唐松宏将(社2) | 鳴門 | 3 | 1 | 0 | 1 |
8 | DH | 小池永紀(スポ2) | 法政二 | 2 | 1 | 0 | 0 |
PH8 | 松本笙(経1) | 星稜 | 0 | 0 | 0 | 1 | |
1 | 藤中壮太(社1) | 鳴門 | 0 | 0 | 0 | 1 | |
9 | (2) | 澤野智哉(社2) | 国士舘 | 3 | 1 | 1 | 0 |
P | 1 | 古川端晴輝(社1) | 花巻東 | ー | ー | ー | ー |
投手成績
回 | 被安打 | 奪三振 | 四死球 | 自責点 | |
---|---|---|---|---|---|
古川端 | 7 | 10 | 3 | 3 | 2 |
鈴木 | 1/3 | 3 | 1 | 0 | 3 |
藤中 | 1 2/3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
戦評
2桁得点で慶大との一戦に勝利し、準決勝を突破した法大。迎えた決勝戦の相手は、リーグ戦でも激闘を繰り広げた立大。今回も最後まで勝負の行方がわからない試合となった。
決勝の先発を任されたのは、リーグ戦で幾度となくチームの窮地を救う投球で注目を浴びた左腕の古川端晴輝(社1)。立ち上がりから打球が足に当たるアクシデントが起こるものの冷静に対処し、初回を無失点に抑える。
後攻の法大は初回の裏、無死一、三塁で併殺打の間に三塁走者が生還し先制に成功する。
しかし3回表、先頭打者に安打を許すとその後三塁まで進まれ、内野ゴロの間に同点に追い付かれてしまう。
4回以降は走者を出しながらも力のこもった投球で踏ん張る。中堅の鈴木歩夢(社2)による好守備にも助けられ、相手に得点を許さない。
古川端を援護したい攻撃陣は4回に1死三塁から4番・関宮楓馬(社1)の適時打で勝ち越すと、続く5回に2番・高橋凌(社2)の適時二塁打でさらに2点を追加する。
試合も終盤に差し掛かり優勝が見えてきた法大だったが、相手は一筋縄ではいかない立大。7回表に1死から5連打を浴び相手打線の猛攻に苦しみながら、何とか1失点に抑え古川端はマウンドを降りる。
裏の攻撃で法大も負けじと9番・澤野智哉(社2)の適時打で引き離すも、相手打線の勢いが止まらない。ここで先発の古川端に代わって中堅守備の鈴木が登板する。先頭打者の出塁を許し、続く打者を三振に抑えるもその直後に二塁打を放たれピンチを招く。1死二、三塁から適時三塁打を浴び、1点差に迫られたところで藤中壮太(社1)に継投する。さらに適時打によってこの回計3点を奪われ、再び同点とされる。
8回裏、先頭の二者で2死となるも続く福本陽生(経2)と和泉直人(文2)の連打、塩唐松宏将(社2)の四球で満塁とし絶好のチャンスが訪れる。迎えた打者は3番手としてマウンドに登った藤中。ここで初球に押し出しの死球を受け、貴重な勝ち越し点を得る。
最終回のマウンドを託された藤中は四球を出したものの得点は許さず、自ら得た決勝点を守り抜いた。
春季リーグ制覇に続いて新人戦の優勝までつかみ取ったチームは、まだまだ成長し続けている。次は全日予選の舞台でさらなる法大の強さを見せつけてほしい。
(記事:山中麻祐子、写真:渡辺光我)
選手インタビュー
本間隆洋監督
―新人戦を振り返って
急造チームではありますが、塩唐松中心によくこの三戦を戦い抜いたなというのが本音です。その結果がたまたま優勝だったということですが、全員全力で戦ってくれたことの方が満足しています。
―優勝の要因は
まずスタメンで出た選手が試合の前半でゲームを作ってくれたことが1番大きかったと思います。
―新人戦を通してよかった選手は
まずピッチャーの藤中、古川端を中心に、打者では2年生の和泉がよく頑張ってくれたなと思います。あと目立たないのですが澤野ですね。リーグ戦の経験もありますが、澤野がゲームを作るという意味で地味ながら打つ方も含めてチームの中心、そしてキャッチャーとして本当によくやってくれたなと思います。
―和泉選手はリーグ戦未出場だが今後出場機会が増えるのでは
そうですね。これからの全日予選もそうですし全日もDH制になりますし、本当に大きいのが打てる選手がいない中、高学年も含めたチームで和泉一人くらいしかいないのかなと思うので楽しみな選手ではあります。
―新人戦を通しての反省点は
やっぱり打線にまだまだムラがあるという点です。守備面では今日もスローイングに関するミスやちょっとしたことではありますが簡単なことが出来ていないです。あとは今日注意しましたが全力疾走、ベースランニングを抜きがちになるところです。このようなことを徹底していけるチームになること。また準決勝の後半で出場した控え部員とスタメンの選手の差を今後どのように練習で差を縮めていくかということが課題だと思います。
―1、2年生に今後期待したいことは
まずリーグ戦に出ている下級生が多いので、そのことを考えて一人一人練習に取り組んでほしいです。考えようによっては全学年のチームで今回新人戦に出たメンバーが中心を担う可能性が高いと思うので先を見据えた練習をしてくれれば自分たちが最上級生になったときにプラスに返ってくる、そんな風に思います。
高橋凌
ー優勝が決まった今の気持ちは
去年は新人戦ができなかったので、こうやって今年は新人戦で優勝することができて嬉しかったです。
ー新人戦全体を通して自身のプレーを振り返って
バントで送ることが多かったんですけど、バントをしっかりと決めることができてよかったです。
ー2本の適時打の感触は
感触は気持ちよかったです。
ー1、2年生のチームの雰囲気は
フレッシュな感じと言いますか、新鮮な感じで臨むことができたと思います。
ー今後の目標は
来週は全日がかかった大事な試合があるので、来週の試合に向けてしっかり練習していきたいと思います。
藤中壮太
ー優勝した今の心境について
新人戦始まる時から、優勝だけを目標に頑張ってきたので、最後優勝で終われてとても嬉しいです。
ー優勝の懸かった大事な一戦に向けて試合前意識していたことはあるか
昨日いい状態でピッチングができ、今日も投げるかもしれないと言われていたので、低めにいい制球(特にストレート)ができるように心がけていました。
ー本日は8回ピンチの中での登板となりましたか、その時の心境について
(登板が)回ってくるなとは予感はしてたんですけど、その中で1点取られたことは悔しかったです。
ー胴上げ投手となりましたが、普段のマウンドとは気持ちなど違ったか
最後、胴上げ投手という形で終わったのはとても嬉しかったですし、いつもとは違う新鮮さがありました。
ー新人戦を通して個人として何か成長できた点
ストレートのコントロールがまとまって、変化球もコースに決まるようになったので、それは自分の成長点かなと思います。
ー新人戦を通して課題点は見つかったか
まだまだ球速もないですし、全然ヒットも打たれるので、もっとストレートと変化球の精度を上げて、コースにビシビシ決めていけるようなピッチングをしたいなと思います。
ー新人戦の中で、チーム内に変化などあったか?
2年生にとても支えられて野球ができましたし、若いチームなので緊張感ありましたけど、楽しかったです。
ー全日本選手権予選、今後に向けての抱負
全日本の出場は必ず掴み取りたいとチーム内でも話し合っているので、来週にある予選で1勝をして絶対に全日本に出れるように頑張りたいです。
古川端晴輝
―優勝おめでとうございます。今日の試合を振り返って
序盤は守備でいいリズムを作れたかなと思うんですけど、もう少しいい形で攻撃につなげられるピッチングができたらいいなと思いました。
―初めての先発登板となりました
高校以来の先発だったんですけど、いつも通りテンポよく投げることを意識していました。
―立大打線の印象は
しっかりバットを振ってくるので、初回の先頭バッターの人にいい当たりにされた時(1番・吉野剛史が放った投手強襲の打球)から、どのバッターもしっかり捉えてくるのもあって、嫌な印象を持ちながら投げていました。
―投球の際に意識したことは
遅いボールをうまく使っていこうと思っていて、実際にうまく緩急を使いながらピッチングができたのでよかったです。
―7回には相手打線に連打を浴びた後に空振り三振を奪った場面があったが、どのような心境で臨んでいたか
まだ点差があったので、とにかく逆転されないように、長打を打たれないように意識して、キャッチャーの澤野さんもリードしてくださったので、思い切って投げられました。
―初回に先頭打者の打球が直撃した足の状態は
大丈夫です。
―新人戦を振り返って、個人として成長した点は
入学してすぐの頃はだいぶ勢いに任せて投げる感じだったんですけど、今は落ち着いて投げられるようになってきているので、そこは成長している部分だと思います。
―新人戦を振り返って、個人として見つけた課題は
もう少し安定して、コントロールよく試合を作れるようにしたいなと思っています。
―新人戦チームの雰囲気は
2年生も1年生もみんな意識をもってプレーしていたので、すごくいい雰囲気の中で3試合を通して戦えたと思っています。
―全日本選手権予選に向けて意気込みをお願いします
全日本選手権の予選ではまた別の役割になると思うので、そこでしっかりと自分の役割を果たして、いい形で4年生に全日本選手権に行っていただけるように頑張りたいと思います。