2022 日本学生陸上競技個人選手権大会 兼 FISUワールドユニバーシティゲームズ(2021/成都 以下WUG)日本代表選手選考競技会
2022年4月15日(金)~17日(日)
レモンガススタジアム平塚
ワールドユニバーシティゲームズの選考会も兼ねて行われた今年の学生個人選手権。800mでは松本純弥が混戦を制すと、400mHでは黒川和樹が他の選手を寄せつけない貫禄の走りで優勝。また、110mHでは派遣標準記録を突破している横地大雅、400mでは木下祐一が2位に入った。この結果、松本純、横地、黒川は学生のオリンピックと言われるユニバーシティゲームズの代表内定が決まった。
試合結果
種目別結果
種目 | ラウンド | 組 | 選手名 | 記録 | 順位 |
---|---|---|---|---|---|
男子100m | 予選 | 2 | 田原 蓮(2) | ー | DNS |
4 | 佐賀 陽(1) | 10秒82(+2.5) | 6着 | ||
6 | 林 哉太(3) | 10秒67(+1.4) | 4着 | ||
男子200m | 予選 | 2 | 山路 康太郎(4) | 21秒40(+1.6) | 3着(q) |
2 | 田原 | ー | DNS | ||
3 | 山本 祐大(4) | 21秒49(+0.5) | 3着(q) | ||
準決勝 | 1 | 山本 | 21秒84 | 7着 | |
2 | 山路 | 21秒59 | 6着 | ||
男子400m | 予選 |
1 | 富田 大智(3) | ー | DNS |
4 | 木下 祐一(2) | 47秒71 | 2着(Q) | ||
5 | 鈴木 大翼(1) | 48秒61 | 3着 | ||
準決勝 | 1 | 木下 | 47秒32 | 2着(Q) | |
決勝 | 木下 | 46秒84 | 2位 | ||
男子800m | 予選 | 4 | 松本 純弥(4) | 1分49秒86 | 1着(Q) |
決勝 | 松本純 | 1分49秒95 | 1位 | ||
男子110mH | 予選 | 2 | 緒方 陽也(4) | 14秒60(+1.5) | 4着 |
2 | 横地 大雅(4) | 13秒79(+1.5) | 1着(Q) | ||
5 | 小池 綾(1) | 14秒51(+2.1) | 6着 | ||
5 | 松本 望(1) | 14秒44(+2.1) | 4着(q) | ||
準決勝 | 1 | 松本望 | 14秒20(+2.2) | 6着 | |
2 | 横地 | 13秒63(+1.7) | 1着(Q) | ||
決勝 | 横地 | 13秒62(+2.6) | 2位 | ||
男子400mH | 予選 |
3 | 水口 海(3) | 53秒75 | 6着 |
4 | 黒川 和樹(3) | 52秒17 | 2着(Q) | ||
6 | 児玉 悠作(4) | 52秒87 | 5着 | ||
準決勝 | 1 | 黒川 | 50秒26 | 1着(Q) | |
決勝 | 黒川 | 49秒40 | 1位 | ||
男子3000mSC | 決勝 | 中園慎太朗(4) | ー | DNS | |
男子三段跳 | 決勝 | 秋山裕樹(4) | ー | DNS | |
女子200m | 予選 | 3 | 川中 葵琳(3) | 25秒42(+0.1) | 4着 |
女子100mH |
予選 | 5 | 菊池 愛華(2) | 14秒80(+1.9) | 4着 |
400mH |
予選 | 3 | 中野 なみち(3) | ー | DNS |
戦評
男子100m
法大からは林哉太(3)、昨年のインターハイ100mと200mで入賞を果たしたルーキー・佐賀陽(1)が出場した男子100m。予選4組に出場した佐賀は序盤からスピードに乗れず組6着。大学デビュー戦となったが、ほろ苦い結果となった。6組に登場した林は良い飛び出しを見せるが後半、うまく加速することができず組4着。両選手とも準決勝に駒を進めることはできなかった。
男子200m
法大からは山路康太郎(4)、山本祐大(4)が出場。山路はコーナーをうまく走り、2番手争いを演じる。最後はあと一歩及ばず組3着。山本もコーナーを抜けたところで2番手につける。最後は井澤竜二(日体大)に交わされてしまうが3着でフィニッシュ。両選手ともタイムで拾われ準決勝進出を果たした。
準決勝はライバルたちが予選からタイムを上げてくる中、山本、山路ともに序盤からうまくスピードに乗れず。ラストで懸命に追い上げるも組7着、6着でどちらも決勝進出はならなかった。
男子400m
男子400m予選には、4組に木下祐一(2)と5組にルーキーの鈴木大翼(1)が出場した。木下は危なげないレースを展開し、同組2着で、準決勝進出を決めた。一方、昨年のインターハイ優勝者で大型新人としての呼び声が高い鈴木は、ルーキーらしい積極的なレースも同組3着。タイムは48秒61でわずかに届かず、準決勝進出とはならなかった。
男子400m準決勝。持ち味を存分に発揮したレースを見せた。1組目に登場した木下はスタート直後からぐんぐん加速し、他選手からリードを奪う。後半になってもスピードは落ちず、2着でフィニッシュ。着順で決勝進出を決めた。
翌日に行われた決勝では準決勝同様、前半から飛ばす積極的なレースを展開する。しかし中盤、「意識していた」という内側のレーンの選手たちに追いつかれ、ほぼ横一線でラストの直線へ。岩崎立来(大阪体育大)が抜け出し、リードを奪う中、熾烈を極めた2位争いは木下が、「中盤の走りが良くなかった分、終盤切り替えることができた」とラストスパートでライバルたちを突き放した。そのまま2位でゴールし、混戦の2位争いを制した。
大学デビュー戦となった鈴木
男子800m
男子800mには松本純弥(4)が出場。序盤は最後尾に位置取り、様子をうかがう。400mあたりで先頭付近まで上がってくると、残り200mで先頭に躍り出て一気に加速。「スパートが切れなかった」と語ったが、ラストの直線で後続の選手たちを突き放し、1着で決勝進出を決めた。
翌日の決勝。予選と同様に、松本の代名詞ともいえる最後尾から徐々にポジションを上げるレースを展開。「300m~400mで先頭に立つ」という当初のプラン通りにはいかなかったが、落ち着いた走りで残り200m付近で先頭へ。追いすがる後続の選手たちを振り切り、見事に優勝を果たした。昨年は全日本インカレ3連覇を逃すなど悔しいシーズンを送った松本。大学ラストイヤーの捲土重来に注目だ。
男子110mH
男子110mHには4名が出場した。予選2組に登場した横地大雅(4)は3台目以降、徐々に加速し他の選手との差をどんどん広げていく。最後は流す余裕を見せて危なげなく予選を突破した。横地と同組に登場した緒方陽也(4)は4着で準決勝進出はならなかった。予選5組には、昨年のインターハイで結果を残した小池綾(1)、松本望(1)が出場。両選手とも大学に入ってから初の110mHのレースとなったが、粘り強い走りを見せた松本がタイムで拾われ、準決勝へ駒を進めた。小池は懸命な走りを見せるも6着でフィニッシュし、予選敗退となった。
準決勝には、1組に松本、2組に横地が出場した。OBの樋口陸人(令3年度卒=現スズキ)と同組となった松本望だが、同組6着。タイムも14秒20で及ばず、ここで敗退。先輩に力の差を見せつけられる形となった。また、ユニバーシティゲームズの出場を目指す横地は序盤から圧巻の走りを見せる。同組1着で、主将らしく堂々と決勝進出を決めた。
迎えた決勝。序盤は拮抗した展開となるが、中盤で村竹ラシッド(順大)が抜け出し、横地も負けじと食らいつく。しかし追いつくことはできず、そのままゴール。万全ではない中でも、最低条件と語った「2位に入ること」をしっかりクリアし、ワールドユニバーシティーゲームズ代表内定をつかみ取った。今後の目標は「アジア大会の選考に残ること」「世界陸上の標準13秒32を突破すること」と語った。世界を見据え、戦う横地の今後が楽しみだ。
男子400mH
予選には水口海(3)、黒川和樹(3)、児玉悠作(4)が出場。水口は序盤から快調なハードリングを見せるもラストの直線での伸びを欠き6着。児玉は前半からペースが上がらず、後半粘りの走りで前を応も5着。両選手とも準決勝進出はならなかった。その中、黒川は余裕を持った走りで準決勝進出を決めた。迎えた準決勝は黒川らしい走りだった。前半から飛ばし、前を走る選手たち抜かしていく。後半になってもそのスピードは落ちず、他選手を寄せつけない走りで組1着。決勝へ駒を進めた。
翌日の決勝でも、黒川の持ち味が存分に発揮された。積極果敢な走りを貫き、2位以下に1秒以上の差を付け完勝。49秒40は、従来の記録を0秒28更新する大会新記録。まさに格の違いを見せつけるレースだった。黒川の次なるターゲットは、今夏開催される世界選手権の参加標準記録(48秒90)の突破。再び日の丸を背負うべく、さらなる高みを目指す。
女子200m
女子200mには法大女子のエース・川中葵琳が出場した。けががあり、今大会が今季初レースとなった川中は前半うまく加速し、コーナーを抜けたところで3番手につける。しかし、後半上げ切ることができず、25秒42で4着となった。
女子100mH
女子100mH予選には今大会がシーズン初戦となった菊池愛華(2)が出場。好スタートを切り、そのままスピードに乗りたいところだったが、中盤以降伸びず、組4着でフィニッシュ。準決勝進出はならなかった。ここから調子を上げ、関カレでの活躍を楽しみにしたい。
選手インタビュー
横地大雅
―2位という結果について
ラシッドは格上の相手なので、最低2位に入ることが自分の中では最低条件でそれをクリアできたのは良かったです。
―予選、準決勝の走りを振り返って
予選は楽にいけたんですけど、ハードリングにもたつきがあったのとあまりインターバルが走れていないというのがあって、準決勝でそれを修正することはできました。ただ、準決勝は3台くらいちょっとバランスを崩してしまって、それが反省点でした。
―決勝のレースについてはいかがですか
ひどかったですね。右足をけがしていて万全な状態ではなかったので、走り切って2番に入れればよかったんですけど、後で振り返るとハードルを倒してしまったり全体的にダメだったので、ここからまた練習していかないといけないと思います。
―以前から課題に挙げていたスタートに関しては
今回はあまりよくなかったです。悪くはなかったんですけど、走れるようになった分、ハードルの技術が追い付かなくなってきた部分があるので、そことの兼ね合いも難しかったです。ただ、去年よりは良いスタートが切れたと思います。
―今後の目標は
まずはこのあと織田記念があって、そこでアジア大会の選考があるので選考に残っていくというのと、世界陸上標準の13秒32を突破できるようにけがを治して自分の課題も克服していけたらいいかなと思います。
―世界陸上の標準を切るために必要になってくることは
ハードリングにばらつきがあったのとインターバルが上手くいかなかったので、そこを修正していけば0.2、0.3秒くらいタイムが縮まると思います。そんなに簡単ではないんですけど、今の課題は去年出来ていた部分でもあるので、去年と同じ動きができるようになれば走り自体は良くなってくるのでいけると思います。
松本純弥
―優勝おめでとうございます。今の率直な気持ちは
優勝を目標にしていたので、優勝できて良かったです。
―今大会に向けての調子は
けがとかがあったので、あまり良い調子では迎えられなかったんですけど、試合への調整の過程でうまく動きなどを修正できたかなと思います。
―予選の走りを振り返っていかがですか
今季初めての800mで緊張していましたが、思ったよりも走ることができて良かったです。ただ、あまり大きい動きができなかったのとスパートが切れなかったです。
―決勝のレースについては
54、5秒くらいのペースで入っての混戦かなと予想していて、本当は300m~400mのところで先頭に立って、レースをコントロール出来たらと思っていたんですけど、前に出れなくて。ですが、ラスト300mから冷静に先頭を引いて走ることができたので良かったと思います。
―後ろから選手たちが追ってくる中で、勝ち切れた要因は何ですか
ラスト300mからみんな力を使ってスパートしてたと思うんですけど、直線で位置取りだけ力使って前に出て先頭でカーブを迎えることができたので、カーブ中に余裕を持てたのでそれで貯めがつくれたと思います。
―今後はタイムも狙っていくことになると思いますが
1周目の入りがもっと早くなると思うんですけど、そこで余裕を持って走ってラスト、ロングスパートで占めることができればタイムもついてくるかなと思います。
―今後の目標は
今年度はアジア選手権や世界選手権があるので、代表に入れるように日本選手権と静岡国際を目標に頑張りたいと思います。
黒川和樹
―予選、準決勝の戦略は
予選は3着以内(で準決勝進出)だったので「軽く、あんまり力を使わずに」って感じでいって、準決勝は「決勝に向けてギア上げていけたらな」って感じで、ちょっと前半出して後半緩めるって感じでいきました。
―今日の体のコンディションは
コンディション自体は正直あんまり良くなかったんですけど、まあでも、動けば走れました(笑)。
―マークしていた選手は
マークしていた選手はいないですね。自分の世界陸上の標準記録の48秒90を切るっていうのを目標に頑張りました。
―大会記録を更新しましたが、タイムについては
48秒台を意識してたので、あんまり…。49秒40はイマイチですね。
―今日のレースに点数を付けるとすると
レース自体の流れは良かったので、まあ80点くらいですかね。
―今後のレースの目標は
やっぱり世界陸上があるので、まずはそこの標準切りを木南と静岡でしていけたらなと思います。
木下祐一
―試合に向けての調子はいかがでしたか
先週の試合で動けている感じがありましたが、可もなく不可もなくという感じでした。
―予選、準決勝の走りを振り返って
もともと予選は動けないタイプなんですけど、動けないながらも周りと比較するとぼちぼちな感じで走れました。準決勝は自分の持ち味である前半がしっかり走れていました。順位としては組2着で、1着では通過できなかったんですけど今言った点では自分の中では納得できる走りでした。
―決勝のレースを振り返って
自分の強みである前半を出せるようにと思って決勝を走りました。前半はいけていたんですけど、中盤の走りがあまり良くなくてスピードも落ちていたんですけど、その分終盤に余っていたので切り替えることができた結果、2位に入れたかなという感じです。
―レース中はどのようなことを考えて走っていましたか
400の人は結構共通だと思うんですけど、レース中は何も考えていないです。無心で走っていて、何か考えたときは遅くなるので。集中しすぎて何も考えていないくらいのほうが400mは速く走れると思います。
―決勝で意識していた選手は
内側に速い選手が多くいて、友田選手は僕の同期で速い選手ですし、あとは東洋のジョセフ選手あたりは意識していました。内側の選手は特に序盤の方は見えないので、考えすぎないようにしていました。
―タイムについてはいかがですか
数字だけ見たらそんなに早くはないんですけど、周りもそんなにタイムが出ていないという点を考えるとそんなに悪くはないのかなと思います。悲観せずにもっとこれから頑張ろうという感じです。
―どういったことが2位という結果につながりましたか
全体的にタイムが出ていなくて仕上がっていない選手が多い中で、ちゃんとまとめられたという点がこの時期の2番という結果につながったと思います。逆に言えばほかの選手はここから上がってくるので自分もそれに合わせてギアを上げていかないと今後勝てなくなってしまうと思います。
―今後に向けての意気込みをお願いします
去年、関カレと全カレであまりいい結果が出せなかったので、その2つの大学生の主要な大会で結果を残せるように頑張っていきたいなと思います。