開幕2連敗、更に2試合連続で無得点に終わった法大。初勝利を目指し、昨季総理大臣杯の決勝でも対戦した東洋大との一戦に臨んだ。中三日で迎えた今節もスタメンを大幅に変更。1年生ながら開幕スタメンを勝ち取った日高華杜(経1=大津)や髙橋馨希(社3=常葉大学附属橘)が先発に復帰。ワントップには石井稜真(経2=アビスパ福岡U18)が起用された。
試合は開始早々動く。前半6分、日高が交わされ相手に右サイドを崩されるとクロスをあげられる。このボールが落合毅人(経4=新潟明訓・清水エスパルス内定)の足に当たりオウンゴールとなり先制を許す。同点に追いつきたい法大はセンターバックの白井陽貴(スポ4=矢板中央・Vファーレン長崎内定)を中心に前線へロングボールを送り相手の裏を狙う。しかし、堅い相手DF陣を崩すことが出来ずなかなかシュートを打つことが出来ない。すると前半29分再び右サイドを崩されピンチを迎える。しかし、ここはキャプテンマークを巻いた近藤壱成(経4=ジュビロ磐田U18)のファインセーブもあり追加点は許さない。前半はシュートチャンスも作ることが出来ず1点ビハインドで試合を折り返す。
後半ファーストシュートは法大。パスを受けた石井が前線でボールキープ、廣渡優太(現3=浜松開誠館)がドリブルで持ち運ぶとサイドを駆け上がった日高にパス。日高がペナルティエリアに侵入しシュートを放つも惜しくも枠外。徐々に攻撃の形を見出した法大は久保征一郎(経3=FC東京U18)や吉尾虹樹(現3=横浜Fマリノスユース)を投入し攻撃陣の活性化を図る。すると後半33分左サイドを駆け上がった若林龍(現4=桐蔭学園)が中央の髙橋にパス。「ワンタッチシュートを意識していた」と試合後語ったように左足でダイレクトに合わせたボールは1度ポストに当たるもゴールに吸い込まれ、同点に追いつく。これで勢いづいた攻撃陣は4分後コーナーキックのチャンスを得る。キッカー佐野陸人(現4=清水エスパルスユース)が蹴ったボールを久保がフリック。フリックしたボールに途中出場の主将・萩野滉大(経4=名古屋グランパスU18)が頭で合わせる。萩野のシュートはバーに阻まれるも、こぼれ球を白井陽貴(スポ4=矢板中央・Vファーレン長崎内定)が押し込み逆転に成功する。その後は相手に攻められるも集中したディフェンスで得点を与えず2-1で試合終了。逆転勝ちで待望の今季初勝利を手にした。
二度の活動停止など苦しい期間を乗り越えついに手にした今季初勝利。試合後選手たちからは満面の笑みがこぼれた。長いシーズンはまだまだこれから。重責から解放された法大イレブンの逆襲はここから始まる。
選手コメント
井上平監督
-今季初勝利を挙げましたが、今の気持ちは
こんなに勝つのって難しいんだっていうのが率直な意見で、今週の取り組みのところで色々選手達が改善、自分たちに足りないのはなんだと取り組み続けて少しずつ変わってきた中でのやっとこれなので、もっと変わり続けないといけないんだと理解した1週間と今日の試合の勝利でした。
-前線へロングボールを供給し相手の裏を狙うプレーが多かったと思いますが、今日の試合の狙いとメンバー選考について
狙いは相手のサイドハーフがうちの3枚の外に来るからそのスペースをシンプルに外から入れながら下で繋いでいこうねって言ってました。ただ、なかなか後ろの選手が見えてはいたと思うんだけど、入れ込めなくて、結局自分たちで蹴らされるような状況になっちゃって、(前線へのロングボールは)全然意図はしていなかったです。メンバー選考でも連戦なので、上手く疲労感を考えながら、ユニットのところでは(石井)稜真がいて、ランニングできる髙橋がいて、間で受けられる廣渡がいて、と今週準備しながらやっていて、もう少しそこにいいボールを後ろから供給できる状態をつくれるかなって思ったんだけど、そう言った意味でいうと後ろの3枚のところが上手く効かなかったよね。そこは改善点ではあります。
-前半右サイドを崩されるシーンが何度かありましたが
(日高)華杜は一年生だけどね、これをいい経験にしてがんばれ、お前には出来るって言って、彼なりには一生懸命やってくれていました。もっと抑えられるかなと思ったんだけどね。彼らが今後自分たちが今日できなかったところを努力してやって行くにはすごくいい経験だったと思います。でもあそこは相手の方がうまかったんじゃないかなと思います。
-前半はなかなかシュートが打てませんでした。HT選手達にはどのような指示を送りましたか
シュートは打てなくて、0かな?振れるチャンスは何度かあったからそういうチャンスは振っていこうねってところと自分たちは粘り強く戦うぞと、後半どこかで1点取れれば流れはくるし、あとは我慢して我慢して我慢して自分たちの流れが来るようにやっていこうと。前半シュートが打てなくても想定内だし、最後まで粘り強くやる事が大事だよって、後はそれぞれ自分が勝たせる、スタートの人もサブの子たちもみんなが当事者意識を持ってやろうと話しました。今日のアップの時からすごいそういう雰囲気が出てて、前半あんな形だったけど、何とかなるなって思ってて、だからまずは後半の入りから一つずつ積み重ねていこうねって話をしました。
-後半日高選手のファーストシュートから攻撃のリズムが出てきて、1点を取り逆転と全く別のチームのようになりました
1点取ると流れがやっぱりうちに来て、畳み掛けることが出来たので、非常に良かったです。ただ、これをもう少し自分たちが意図的に主導権を握れるようにならないとこれから夏場も結構しんどくなっちゃうし、このフォーメーションに変えてやってる中で、ずっと相手に持たれて回復できないとなると難しいので。華杜のシュートがきっかけで積極性が生まれて、全体的に行けるぞってなったので、やっぱり積極性は大事だよね。
-前回試合後のインタビューで前線の選手の要求が少ないとおっしゃっていましたが、今日の結果はその点が改善されたというのもありますか
昨日も一昨日もそういうことを選手に問いかけながらやっていて、一昨日の国士舘戦出ていない子達のトレーニングの中でも(髙橋)馨希や石井もちょっと要求し始めて、いつも口酸っぱく言ってるからさ。それで馨希が点取ってくれたから、良かったなって思います。量もタイミングも全然またまだだし、今日点取れなかった石井なんかもそのタイミングじゃねえだろっていうのはたくさんあったけど、まずは要求の量を出していかないといけないってことを考えると前回よりは少し成長したかなと思います。
-この勝利を今後どう活かしていきたいですか
これだけの努力をしてやっとこういう結果だったので、やっぱりたくさん努力しないといけないんだと理解してくれればいいかな。勝って良かったで終わりにしないで、それをきっかけにして俺らはもっとやらなきゃいけないんだ、もちろんサッカーの練習の中でも、練習時間外でも、ピッチ外でもときっかけにできる1試合にしてくれればいいかなと。それはこっちからも高いレベルを知ってる分、要求していかないと選手には気づきを与えられないかもしれないし、そういう1試合にしていければいいかなと思います。
萩野滉大
-初勝利となりました。今の気持ちは
ずっと勝てなくて、練習試合でもうまくいかない事が多かったりして、ものすごく苦しい状況だったので、ほんとこの勝利はただの一勝じゃないなってくらい格別な思いです。キャプテンとしても初勝利ですし、みんなの魂こもった気持ちが勝利に繋がったと思うので、本当に嬉しいです。
-この苦しい日々を4年生として、主将として何を考えて行動していましたか
勝てないのは4年生、キャプテンの責任だと思うので、そこは強い気持ちを持って何としても勝たせるということをみんなに促したり、個人的にも絶対に勝たせたいという思いがありました。それが今日この勝利につながった事が本当に嬉しいです。
-途中出場となりましたが、監督からどんな声をかけられてピッチに入りましたか
繋ぎのビルドアップのところでの少し改善点と僕が入って2点取って勝とうって伝えてもらいました。本当に2点取って勝てると思ったので、ピッチに入ってみんなに伝えて、それが勝利につながったと思います。
-逆転のシーン、萩野選手のプレーが得点に繋がりました
(久保)征一郎がすらして、僕がヘディングしてバーに当たって(白井)陽貴が詰めたんですけど、もちろん僕が決めてれば良かったんですけど、みんなが強い気持ちを持ってこのセットプレーで自分が取るっていう思いをもってたと思うので、それが陽貴の前にも自分の前にも(ボールが)転がってきたのかと思います。やっぱりサッカーは技術だけでは勝てないですし、こういう気持ちだったりが自分の前にボールが転がってくると思うので、良かったです。
-この試合を今後どのように繋げていきたいか
今年の目標はリーグ優勝ですし、勝って一喜一憂してたらダメだと思います。この勝利を次に繋げて連勝、3連勝、4連勝していけるように、また来週から今週よりも激しい練習をして、次の東京国際大戦に持って行ければなと思います。
髙橋馨希
-今日の試合を振り返って
開幕が遅れたり、開幕から2回とも勝ってない状況が続いていて、チームの雰囲気もあまり良くありませんでした。誰がこれを変えられるということを試合前ミーティングで言われて、勝たせる選手というのをみんな意識して試合に臨んでいたと思います。
-開幕から2試合完封負け、攻撃陣として責任は感じていましたか
チームとしても今年からフォーメーションが変わったというのも少なからずあって、シュートの本数も少なくて、前線が点を取れてないというのはすごいチーム内でも責任を感じていました。同じポジションだったり、FWの人だったり今日は絶対決めようと思って試合に入りました。
-今季チーム初ゴールとなったあのシーンを振り返って
前回、国士舘戦の時も同じような形でボールが来たんですけど、その時はトラップしてシュートチャンスを逃してしまいました。自分の中でもっとシュートを打たないといけないなと思っていて、今日はワンタッチシュートというのを意識していて、それが試合に出せてゴールにつながったので良かったです。
-今後に向けて
新チーム始まって勝ちっていうのをチーム全体で味わってなかったので、勝ちっていうのがこんな気持ちのいいものだっていうのを今日みんな知ったと思います。この快感を得るために次もその次も勝てるようにチームとしていい準備をしていきたいと思います。