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【陸上競技】第99回東京箱根間往復大学駅伝競走直前インタビュー 最終回 坪田智夫駅伝監督、内田隼太駅伝主将、西沢康平駅伝主務

箱根直前インタビュー
2021年12月11日(日)

東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根)まで残すところあと2日となった。今大会の目標は、前回大会達成できなかった「総合5位以内」。1年間掲げてきた目標に挑む監督、選手たちに、公開練習日の今月11日にお話を伺った。最終回は坪田智夫駅伝監督、内田隼太駅伝主将、西沢康平駅伝主務のインタビューをお届けする。

集大成の箱根に挑む内田

インタビュー

坪田智夫 駅伝監督

-今のチーム状況は
秋のレースを終えて、主力選手たちも順調に調整できています。16人を選ぶのも良い意味で頭が痛かったです。それだけチーム状況が良いということだと思います。

-箱根メンバー入りをかけた争いも熾烈だったと思います
同じ大会で一斉に選考したわけではないですが、11月は日体大、世田谷、上尾と全てが選考レースで、しっかり全員が走れて、嬉しい悲鳴でした。

-16人のメンバー選考はどういったことを重視しましたか
直前の調子は大事ですが、同じ練習をしていて同じ力、同じタイムだったら雑談も含め話や報告ができて、食事もしっかりとれるといった陸上以外の部分がしっかりできる選手を選ぶと選手たちには伝えました。というのも、箱根直前に足が気になる、体調が良くない場合にみんな走りたいので、それを隠したい気持ちはあると思うのですが、チームのことを考えるとしっかり伝えてほしいです。それは普段からやっていないとできないことなので、そういった意味でもこの16人は信頼の置ける選手です。

-チームが好調な要因は
好調の要因は何か1つだとは思っていないです。上手くいかなかったところもありましたが、前回の箱根が終わってからの地道な取り組みが結果に出たと思います。また、練習するのは当たり前でそれ以外の睡眠や体のケア、食事を徹底していけば力はついてくるという話をしていて、それを選手たちが理解して実践した成果が今出ているのかなと思います。

-キーパーソンはどなたですか
4年生です。エースでキャプテンの内田だけでなく、走る4年生全員が4年生らしい走りをすることが大事になってきます。4年生らしい走りというのは、区間賞を取ってくれればそれは嬉しいですが、悪くても最低限に抑えて踏ん張ることだと思っています。その走りは次の区間にも、必ず気持ち的な勢いをもたらすので、そういった走りを期待したいです。また、(4年生の中で)メンバーに入らなかった選手が、当日までどういった取り組みができるかも非常に大事になります。そういった意味で4年生の走りが重要になってくると思います。

-山区間については
山に関しては細迫(海気、社3)もしくは髙橋(一颯、社2)のどちらかで、2人は同じくらいなので最後まで見極めながら決めたいです。下りに関しては武田(和馬、社2)1本で考えています。彼らには5、6区総合で1位を取ろうという話はしているので、その気持ちで5、6区に臨んでほしいと思います。

-力を伸ばしている選手は
2年生の宮岡(幸大、社2)です。学年トップで入ってきた中で1年目は苦労して、2年目も前半はなかなか結果が出なかったです。ですが、今勢いが非常にあり、秋も1本いい走りをしてくれました。千葉で選考の合宿を行った際もいい走りをしていて、勢いは間違いなくあると思います。

-今年の法大の強みは
三大駅伝の経験者が多いところです。経験があるから走れるというほど、箱根は甘い大会ではないですが、その経験値はこの3週間で他の選手にも落としこめると思います。特に16人に入った選手は10人の出走メンバーに入りたいので、これからの練習を上げがちになります。ただ、選手たちにも伝えていますが、大事なのは1月2、3日にピークを合わせることです。それを私から伝えるのと、走った選手が言うのでは意味合いが変わってきます。そういったところをしっかり落とし込めると思うので、彼らの経験値はチームの武器だと思います。

-残りの期間でどのような調整を行っていきますか
とにかく調子を維持する、少し上げていくというところだけです。余計なことはしないで、今までやってきた事を信じてしっかり調整し、いい状態でスタートラインに立つ。今あるものを出すための準備をこの3週間でやることが大事になってくると思います。

-箱根に向けての意気込みをお願いします
今回は前回取れなかった総合5位を目標にしていて、非常に厳しい戦いになると思います。しかし、チームの状態が非常に良く、練習だけでなく試合の結果も出ていることを考えると、5位を狙える立ち位置にいるのかなと思います。今年は手堅くシードを取るのではなく、最後まで5位を狙う走りをしたいと思います。それを見たみなさんに感動であったり、勇気を届けられればと思っています。


写真提供:法政大学体育会陸上競技部

坪田智夫(つぼた・ともお)
法政大学体育会陸上競技部駅伝監督
1977年6月16日生まれ
神戸甲北(兵庫県)ー法大ーコニカミノルタ
法大在学中の4年次には箱根2区で区間賞を獲得。2013年より本学駅伝監督を務める。

 

内田隼太 駅伝主将

―今のチーム状態は
秋シーズン以降の試合は、ほとんどの選手が自己ベストを更新していて、その結果も伴ってチームの雰囲気もすごく良くなっています。

―主将として、チームを引っ張って来た上で意識したことは
全日本予選で負けてからは、選手全員が総合5番に向けて練習に取り組まないといけないということと、その辺りの自覚や意識を持って練習をやってほしいということは話してきました。

―全日本予選で負けたことが大きかったのですか
そこが良いきっかけとなり、チームは変わっていったと思います。4年生が力のある代なので、そこが中心となってきましたが、4年生頼りになっている面もありました。それが、夏以降は下級生であろうと関係なく『総合5番』に向けて取り組めているなと、練習を見ていても感じていました。その結果が、秋シーズンにつながったと思います。

―今年のチームの強みは
仲が良いということです。秋に結果が出てきたのも、仲が良いからこそ、「自分も結果を残さなければいけない」という雰囲気になったかなと感じています。

―期待の選手は
僕の部屋っ子でもある2年の宮岡は高校でも結果を残している中で、去年からずっと真面目に練習に取り組んでいる選手ですし、今年は大事な試合では外すことなく走ってくれます。2年生ではありますが、期待していますし、しっかり走ってほしいと思います。

―4年生の中での期待は
扇(育、経4)です。自分たちの代で一番速い5000mのタイムを持って入学してきましたが、3年生までけがでずっと苦労していたので、最後は走って卒業してほしいと思っています。

―全日本大学駅伝に出場しなかったことによって、チームとしての調整は
上尾か世田谷ハーフのどちらかに合わせることができましたし、そういった日程の調整は上手くできたと思います。

―個人としては今季5000m、10000m、ハーフマラソンと全てで自己ベストを更新しました
昨年は与えられた練習をこなすので精一杯でした。今年は昨年の経験があった上で、余力もあり自分でプラスアルファの練習ができていました。今年1年が始まる前に、5000m、10000m、ハーフと目標を立てていたのですが、その目標くらいでは全て走ることができました。

―11月は日体大記録会と上尾ハーフに出場しました。連戦でしたが疲れなどはなかったのですか
日体大記録会でもハーフでも全力は出さないくらいで、状態の確認という意味で出場していました。ここまでタイムを出すために調整して走ったのは、出雲駅伝くらいだったので、そこまでダメージはないです。

―それでも上尾ハーフでは法大記録に迫るタイムを出しました
あのレースに合わせていれば、60分台で走れた感覚はありました。あそこで、62分フラットで走れたことは箱根駅伝にもつながると思っていたので、良いレースができました。

―エースが集う3区で区間4位だった出雲駅伝を改めて振り返ってみていかがですか
練習通りでいけば、あのくらいのタイムで走れると感じていました。ただ、どの選手もしっかりと調整してくる大きな大会で、結果を残すことができたのは箱根に向けて自信になりました。

―箱根の希望区間は前々から2区を挙げていますが、それは揺るがないですか
そうですね。2区です。「自分が2区を走らなければいけない」という気持ちは大きいです。

―目標タイムは
最低限、前回の鎌田(航生、令3年度卒=現ヤクルト)さんのタイム(1時間7分11秒)は目指したいですが、1時間6分台で走る準備はできています。

―2区は最後の3kmの上りが特徴的なコースですが、そこへの対策や意識していることは
上りに強いではなく、どれだけ余力を残せるかの勝負だと思っています。ただ余力を残しつつも、フラットな部分でどれだけタイムを詰められるかも大事なので、そこへの調整はしっかりしていきたいです。

―先輩の鎌田選手は2度、華の2区を出走しましたがコツは伝授されましたか
一緒に練習をしてたときには、「どういう意図でこの練習を行えばいいか」というように、どういった姿勢で練習に取り組んでいくかは聞いたりしていましたが、2区に関してはあまり聞いてないです(笑)。

―最後の箱根駅伝にはどのような想いが
自分は1、2年生でけがをしていて、本当にきつかった4年間だったと感じています。その分、最後は楽しく笑って走れたらと思います。

―卒業後はトヨタ自動車へ進みます
実業団の中でもトップのチームで練習をしたいという想いがあります。また、将来的にマラソンで活躍したいと思っており、トヨタ自動車の選手はマラソンで活躍する選手を多く輩出しているので、そういった点を踏まえて入りたいなと思いました。

―今大会へ向けて意気込みをお願いします
総合5番という目標を立てているので、自分がエースとして、そして主将としてチームに勢いを付けられるような走りをしたいです。

―応援してくれる方々へ向けて
たくさんの支えや応援があって、今のチームができているので、最後は恩返しをできるようにメンバー16人、走る10人だけでなく、長距離ブロックの全員で良い結果を残して終えられるように頑張りたいと思います。

内田隼太(うちだ・しゅんた)
経済学部4年
2000年9月19日生まれ
出身校:法政二(神奈川県)
自己記録:28分16秒68(10000m)、1時間02分12秒(ハーフマラソン)

西沢康平 駅伝主務

―現在のチームの雰囲気は
新チームが始動した時は、4年生が走りで引っ張ってきた学年だったこともあり、言葉で引っ張るという部分が上手くいっていませんでした。その中で6月の全日本予選で落ちてしまって、そこからチームが変わったというのは今思うとすごく感じています。それがあったからこそ、4年生が「自分たちがやらなければだめなんだ」と認識してくれて、言葉でも引っ張ってくれました。個人的には特に、中園(慎太朗、社4)副キャプテンが率先してチームを鼓舞する姿を見せてくれたと感じています。そういう面でマネージャーとして、すごく頼もしいと思う4年生になってくれました。
それが夏合宿でさらに強まって、1~3年生もそれを見て「4年生がこれだけやってくれているんだから自分たちも応えないといけない」という雰囲気になりました。そのおかげで例年以上に充実した夏を過ごすことができて、出雲駅伝でも目標の5位には入れなかったですが、6月の全日本予選以降やってきたことが間違っていなかったと実感できました。そういうチームの雰囲気を受けて、そこからの各種記録会、ハーフマラソンは収穫しかないような状態で、例年以上にチーム状況はいいと感じます。

―主務の業務内容は
タイミングによって仕事内容が違うので、何だろう…。一番大きいのは、うちの大学は選手、マネージャー、監督という3層の構造になっていて、選手と監督の間に入る存在がいないので、他の大学以上にその部分をマネージャーがやっていかなければいけないという点です。毎月のミーティングで選手の考えを吸い上げて、監督と選手の考えで何が違うのかを洗い出し、どうしたら同じ道を進んでいけるかを考えています。普段の大会のエントリーや車での送迎もありますが、他の大学以上にそこは気を使ってやっています。

―監督と選手の間に入ることの難しさはありますか
それぞれが考えたうえでの意見になるので、それを否定するわけにはいかないです。自分が監督、選手だったらどうするかを考えながらやっているのですが、自分が正解だと思う方にチームを持っていくのも違うと思います。だからこそ監督、選手とコミュニケーションを取ることを意識しています。

―3年生で主務を務めていますが、大変な部分は
4年生は仲が良くて学年の力が強いので、その良い雰囲気を崩さずに統制を取っていくことが3年生として難しいです。ただ、4年生も3年生主務としての自分を気にかけてくれていて、すごく助かっています。お互い譲り合いながらといいますか、3年生主務ということがプラスの効果になりながら今チームが進んでいて、4年生がいてくれて良かったなと思います。

―理想のマネージャー像はありますか
2個上の松本光太郎さんと阿部晴日さん(ともに令3年度卒)の存在がすごく大きいです。情熱を持って言葉で引っ張るタイプの松本さんと、知的で効率の良さを重視してそれを行動に移せる阿部さんという正反対ですが、お互いが補い合っている2人です。その2人から吸収したことを、他のマネージャーに伝えるということは重要視しています。また、2人がいたらどのような選択をしているかなということも考えています。

―期待している選手は
自分たちの学年がすごく楽しみです。昨年度まで走れていなかった松永(伶、経3)が結果を残して、2年連続でエントリーはされていますが走れていない宗像(直輝、社3)も上がってきていますし、松永と一緒に入ってきた高須賀(大勢、生命科3)もMARCH対抗戦で良い走りをしてくれました。前回(箱根を)走った稲毛(崇斗、社3)は走れないですが、前回悔しい思いをした細迫は「箱根の借りは箱根で返したい」と言っていて、僕はその言葉を信じています。この学年が箱根で結果を残し、走りでも引っ張れる学年になって、4年目を迎えてほしいというのはあります。

―選手たちにかけたい言葉は
箱根のスタートラインに立った時、これまでの後悔を思い出さないようにスタートしてほしいです。あと、大手町に帰ってきたときに結果に対しても、これまでの過程に対しても悔しいと思う人がゼロであってほしいと思っています。そのために残りの期間、後悔のない選択をして過ごしてほしいです。

―応援してくださる方々に向けてメッセージをお願いします
1年間箱根に向けて頑張る中で、全国各地の方々がサポートしてくださっているのをすごく感じていて、そういったサポートは選手、スタッフにも届いています。「応援してくださる方に恩返しをする走りをして、結果を残さないといけない」と、特に中園副キャプテンが毎月のミーティングで言ってくれていて、僕も選手もそう思っています。応援してくださる方がいることを忘れずに頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。

西沢康平(にしざわ・こうへい)
経済学部3年
法政大学体育会陸上競技部駅伝主務
出身校:三条(新潟県)

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