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【サッカー】「アミノバイタル®」カップ 総括記事 全国大会までの軌跡を振り返る

大会レポート

今大会は5戦3勝2敗で6位と、掲げていた優勝とは離れたが、最低条件ではあった総理大臣杯への切符はしっかりと掴み取った。
この大会の最大の特徴は過密日程。開幕した6月23日から、閉会した7月2日までの期間はわずか9日。その間に5試合が行われ、開幕前から”総力戦”が求められていた。登録メンバーは33選手、それをどう活かすかがこの大会の最大の注目ポイントだった。結果として、30選手がスタメンに名を連ね、下級生の1年生は6選手、2年生は5選手が出場した。その半数はAチームのデビュー戦ということもあり、大会を通じてのチームの底上げはかなり評価されるべきポイントである。

6月23日 3回戦 神奈川大学戦

○1-0
揖斐俊斗(松村晃助)

結果としてみれば1-0での勝利を飾ったが、均衡を破ったのは85分だった。そこまでは一進一退の攻防で、どちらが勝利してもおかしくない試合展開だった。それでも交代メンバー結果を出し、勝ち切るという結果にこだわる姿が見られた。また、Aチームデビューを飾った川崎淳(社2=浦和レッズユース)や、CB起用となった林航輝(現4=清水エスパルスユース)が期待に応え、今季初のクリーンシート。島田春人(社1=横浜F・マリノスユース)と髙橋馨希(社4=常葉大橘)が本職ではない左サイドバックでの出場。新たな選択肢をもたらす試合となり、収穫の大きい試合となった。

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6月25日 4回戦 立教大学戦

○4-0
小湊絆(小池直矢)
小湊絆(吉尾虹樹)
青木俊輔(渡邉綾平)
石井稜真

中1日で挑んだ今節、試合を終始コントロールし4-0での圧勝を飾った。新星・小湊絆(スポ1=青森山田)が今季初の2ゴールに加え、今季初スタメンの青木俊輔(社3=東福岡)と、石井稜真(経3=アビスパ福岡U-18)の2人もゴールを記録。Aチーム初出場の小池直矢(現1=前橋育英)はアシストを記録し、誰が出ても得点が取れる法大を体現した。
しかし前半に揖斐俊斗(経3=柏レイソルU-18)と小池が負傷交代。次節以降の組み合わせに影響を及ぼす、痛いアクシデントが起こってしまった。それでも、締めては無失点。竹内豊(現3=新潟明訓)と松岡迅(経4=前橋育英)が相手の攻撃をしっかり跳ね返し、2試合連続のクリーンシート達成。大きな突破となった。

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6月27日 準々決勝 早稲田大学戦

●2-5
小湊絆
中川敦瑛

またしても中1日で挑んだ今節は、まさにショッキングな敗戦だった。開始早々11秒、ロングシュートを突き刺されると、13分にもゴラッソを叩き込まれる苦しい展開に。小湊のゴールで追い上げを図るも、セットプレーから失点。またロングシュートを叩き込まれ、前半で4失点を喫する。中川敦瑛(経3=横浜FCユース)の今大会初ゴールで、同点・逆転への兆しを見せるも、5失点目を喫し敗戦。アンラッキーな形での失点が多く、まさに勝利の女神が向こうに微笑んだ展開だった。
試合後ミーティングでは、井上平監督が選手に対して、普段より強い語気でミーティングを行った。そして何より、公式戦5試合で6ゴールを記録していた小湊が腕を骨折するアクシデントも起こる。次勝てば全国、という状況に暗雲が漂う展開だった。

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6月30日 5-8位決定戦 東京国際大学戦

○2-1
久保征一郎(日高華杜)
松村晃助(中川敦瑛)

中2日で挑んだ今節。井上平監督が言うように、まさに「良くやった」という試合だった。揖斐、小池、小湊に加え、吉尾虹樹(現4=横浜F・マリノスユース)、島田も負傷で欠いたこの一戦。これまで以上に全員の力が求められる試合だった。
前半、今大会まだゴールのなかった久保征一郎(経4=FC東京U-18)が、得意のヘディングシュートを叩き込み、先制に成功する。守っては竹内、松岡のCBコンビが弾き返す。それでも後半、一瞬の隙をつかれ失点を喫し、ゲームは振り出しに戻される。それでもこの日の法大は違かった。80分にカウンターを発動。中川敦が中央を突破すると、スーパールーキー・松村晃助(経1=横浜F・マリノスユース)が逆足でニアハイを撃ち抜く値千金の勝ち越しゴールを決める。これが決勝点となり、全国出場権を見事獲得した。
試合後は青島拓馬コーチや井上平監督にも笑顔が見られ、まさにチームの雰囲気の良さが全面に出た1日だった。

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7月2日 5位決定戦 中央大学戦

●1-2
大畑凛生

中1日で挑んだ最終節。八王子ダービーと称されるこの対戦は、中大に軍配が上がった。法大はスタメンを大きく変更、うち3選手がAチームデビューを飾った。先制点は4分、CKからこの日デビューの大畑凜生(現2=矢板中央)が決め、試合を優位に進めるも、その後はチャンスを決められない展開が続く。すると、耐え忍んだ中大が反撃。法大のミスを逃さず、同点にすると、その勢いで逆転。その後は、法大が攻撃的なメンバーを投入するも、ゴールが遠く逆転負け。
形式的な試合であり、まさに消化試合という表現が近しかった一戦。多くのメンバーを試すという点では成功した90分だったが、結果を残すことはできなかった。シーズンを長い目で見た時に、重要だった1試合になって欲しいところだ。

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出場記録

背番号 選手名 ポジション 3回戦 4回戦 準々決勝  5-8位決定戦 5位決定戦 出場時間 得点 アシスト
1 中川真 GK Sub Sub 90 90 0 0
2 竹内豊 DF Sub 90 90 9△ 189 0 0
3 木村恵風 DF 90 90 Sub 180 0 0
4 細谷航平 MF 14△ Sub 90 90 194 0 0
5 渡邉光陽 DF 90 90 180 0 0
6 松岡迅 DF 90 90 180 0 0
7 今野息吹 DF 90 90 Sub 180 0 0
8 渡邉綾平 MF 90 76 90 89 345 0 1
9 久保征一郎 FW 65 21△ 69 28△ 183 1 0
10 髙橋馨希 MF・DF 22△ Sub 15△ 26△ 90 153 0 0
11 中川敦瑛 MF 90 69 83 242 1 1
12 鈴木涼太郎 GK Sub Sub Sub 0 0 0
13 林航輝 MF・DF 90 15△ 1△ Sub 106 0 0
14 吉尾虹樹 MF 72 58△ 75 205 0 1
15 揖斐俊斗 MF 15△ 32 47 1 0
16 島田春人 MF・DF 68 Sub Sub 76 144 0 0
17 モヨマルコム強志 DF 90 90 Sub 180 0 0
18 日高華杜 DF Sub 90 90 14△ 194 0 1
19 石井稜真 FW 25△ 28△ 21△ 62 136 1 0
20 相澤デイビッド FW
21 橘川凱 GK
22 溝口駿 MF 89 46△ 65 200 0 0
23 松村晃助 MF 28△ 70 29△ 81 208 1 1
24 小池直矢 MF 44 Sub 72 116 0 1
25 中村翼 MF 62 20△ 61 9△ Sub 152 0 0
26 大迫蒼人 DF 90 90 180 0 0
27 小湊絆 FW 62 75 137 3 0
28 浅野直希 MF 64 18△ 82 0 0
29 青木俊輔 MF 1△ 90 25△ 7△ 5△ 128 0 0
30 川崎淳 GK 90 90 90 90 360 0 0
31 大畑凜生 MF Sub 85 85 1 0
32 梅津龍之介 DF Sub 81 81 0 0
33 根津元輝 MF Sub 90 90 0 0

△は途中出場

ピックアッププレイヤー・スタッフ

井上平監督


「選手を信じて起用」という方針が、総力戦になったときに活きた。川崎、渡邉綾、中川敦以外の選手は出場時間が総合450分の半分である225分を切るというデータ。誰かに負担が行くのではなく、だれが出てもクオリティの高い法大というのを、数字で体現した。また林のCB、髙橋のLB、島田のLB・RBといった、一時的なコンバート策もしっかり的中させた。スコアこそ苦しい試合が多かったが、チャンスの数自体は多く、まさに決めていれば楽な試合というのが散見。監督目線でいうと、攻撃の狙いは感じられた。守備でも、今季初含む2試合でクリーンシートを達成。自信になる大会であっただろう。
しかしながら掲げた優勝という目標は達成できなかった。いかなる相手でも、誰が出場しても、勝利できる法大というクオリティには、まだたどり着いていなかった。全国大会までおよそ一か月半。東国大戦後に「全国大会では圧倒できるように」と意気込んだ井上監督。リーグ戦、Iリーグ、新人戦と公式戦の機会は、全選手にある。いつ、誰を、いかに起用するかは監督含むスタッフ陣に委ねられる。この一か月が楽しみだ。

8 渡邉綾平(経4=前橋育英・サガン鳥栖内定)


4試合にスタメン出場と、目覚ましい活躍だった。ピッチ内外、ボール保持、非保持問わず、攻守にわたって彼が中心だった。ボールを持てば正確なキックでビルドアップや距離を変えるパスで、攻撃にスイッチを入れる。守備でも広大”すぎる”守備範囲を見せ、しっかりボールサイドに寄せる。ポジティブな声はスタンドやカメラ席にまで届き、チームを鼓舞し続け、吉尾不在時はキャプテンマークを巻き、チームを引っ張る。試合後も入念に選手とのコミュニケーションを行い、気を引き締める。最終戦はマネージャーとしてチームに貢献し、チームのために、というのを体現し続けた選手だった。

24 小池直矢(現1=前橋育英)


2試合目の立大戦でAチームデビューを飾った新入生。日本高校選抜やU-19日本代表にも選ばれていた実力者で、今大会注目選手の一人は、衝撃のデビューを飾った。左サイドで出場した小池は、得意のドリブルとカットインから先制点のアシストを記録。その後も積極的な前線からのプレスで警告を受けたり、頭部の出血を負ってしまうなど、波の激しいデビューだったが、アグレッシブさにあふれたプレーを見せた。最終戦で復帰を果たし、その際も得意の仕掛けを見せた。熾烈(しれつ)な2列目争いに加わる期待感を抱かせた。

全国大会まで

8月半ばに開幕される総理大臣杯。そこまでに開催されるリーグ戦は5試合と試す機会も限られている。井上監督が少しばかり危惧しているボランチの層は気になるところだ。渡邉綾平、吉尾が盤石の体制を敷いていたが、細谷、林、揖斐、浅野、島田、根津などが得意とするポジションだ。誰が一番最初に抜け出すか、この5試合はボランチが一番ホットなポジションだろう。
またサイドバックも激しい競争が起こるだろう。4年生のモヨ、今野が君臨していたが、日高や大迫、島田がレベルの高いプレーを見せた。また2列目との兼ね合いも生じるポジションであり、パターンは多ければ多いほど良いだろう。2列目との組み合わせにも注目だ。
全ポジションにおいてレギュラーが確約されている選手はいないように感じた今大会。正当な競争の下で、正しい成長曲線を描いているように感じられる。全国までのラスト5、スターティングメンバー11枠を争う法大サッカー部が、この夏をさらにアツくさせる。

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