東京六大学野球2025秋季リーグ戦 対早大
2024年10月4日(土)、10月5日(日)
神宮球場
立大にぎりぎりで競り負け、勝ち点を献上し暗雲立ち込める法大の次戦は10月4日(土)第1試合の早大戦だ。この記事では早大の戦力分析と、法大の注目選手を4人紹介する。

順位表(第3週終了時点)
早大戦展望
展望
立大とのカードを落とし、完全優勝の夢は潰えた法大。それでも勝ち点4で並んだ場合の勝率差による優勝の可能性は残されており、諦めている者はいない。悲願に燃えるナインの次なる相手は、現在リーグ3連覇中の早大。2023年春以来、勝ち点を奪えていない“宿敵”との大一番を展望する。
春ノーノー達成エース右腕の伊藤樹、新鋭・高橋煌稀の”仙台育英先発コンビ”を打破せよ(早大投手陣戦力紹介)
第1戦の先発が予想されるのは、今春の早明戦でノーヒットノーランを達成したエース右腕・伊藤樹(4年=仙台育英)。開幕節の東大戦では初回に被弾したものの、ここまで3試合で2勝1敗、防御率1.88と「六大学のエース」の名にふさわしい数字を残す。法大は今春、伊藤相手に12イニングでわずか2得点。投手陣の防御率4.71を考えれば、初戦で伊藤擁する早大リレーから5点以上を奪えるかが最大の焦点となる。

名実ともに六大学最強投手の伊藤樹
第2戦の先発には、2年生右腕・高橋煌稀(2年=仙台育英)が有力だ。これまで第2戦を任されてきた宮城誇南(3年=浦和学院)が立大戦で2回2失点と崩れたため、台頭の気配を見せる。高橋は今季11イニングで自責2、防御率1.64と伊藤樹を上回る数字を誇り、オープン戦ではノーヒットノーランも達成した逸材。攻略の糸口を見出し、こちらも5点以上を奪って打ち勝ちたい。
中継ぎ・抑え陣も強力だ。左腕の香西一希(3年=九州国際大付)は安定感が光り、安田虎汰郎(2年=日大三)は魔球チェンジアップを武器とする。そして最後は抑えのエース・田和廉(4年=早稲田実)が控え、盤石の布陣を誇っている。
タイプの異なる5割打者が2人控える早大打線。実績十分の選手たちも並び、今季は先発投手の自援護も(早大打線戦力紹介)
早大は打線も強力だ。中でも注目は、ここまで打率5割超をマークしている石郷岡大成(4年=早稲田実)と前田健伸(4年=大阪桐蔭)の両主軸だ。石郷岡は俊足と高いコンタクト能力が武器で、20打席で三振はわずか1つ。今春最多盗塁数を誇り、暫定首位打者にも立っている。前田健は一発のある中距離打者で、開幕戦で本塁打を放ち、こちらも20打席で三振1つと好調を維持している。さらに、リーグ戦通算96安打を誇るリードオフマン・尾瀬雄大(4年=帝京)、今春ブレークして4番に定着した寺尾拳聖(3年=佐久長聖)ら実績十分の打者が続き、隙のない布陣を形成。加えて、投手陣による自援護も多く、伊藤樹がここまで3安打2打点、高橋煌稀も立大戦で適時打を放つなど、攻撃の厚みは群を抜いている。
王者・早大打倒の鍵は、4年生の左右エースコンビの奮闘と、1年生、4番の”2大大砲”(法大の注目選手)
そんな早大を打倒するためのキーマンは、投手2人・野手2人の計4人だ。投手は野崎慎裕(営4=県岐阜商)、丸山陽太(スポ4=成東)の左右の4年生コンビ。野手は現時点で2本の本塁打を放っている井上和輝(法1=駿台甲府)、そして不動の4番・松下歩叶(営4=桐蔭学園)である。
まず投手陣。野崎は今季、第1先発としての期待を背負いながらも調子が上がらず、開幕は中継ぎスタート。しかし立大3回戦で今季初先発を任されると、5回無失点の好投で存在感を示した。このまま先発に定着し、春のリベンジと行きたいところだ。

復調の兆しを見せたエース・野崎
丸山は慶大4回戦でリーグ戦初先発・初勝利を挙げ、立大2回戦でも5回無失点と安定感を発揮。直近の中継ぎ登板では2ラン被弾もあったが、防御率2.03と好調を維持している。早大から23年春以来の勝ち点奪取には、この4年生先発陣の奮起が欠かせない。

悔しさをバネにさらなる飛躍を!
一方の野手陣。まず注目すべきは井上和だ。ここまで2本逆方向に本塁打を放っており、別格の長打力を見せつけている。今春のフレッシュトーナメント慶大戦では右中間にも放り込んでおり、広角に本塁打を打つことができる打者だ。王者・早大投手陣からも本塁打を放つか、井上和のバットに注目だ。

井上和は今、法大で1番一発が怖い打者といえる
そしてラストピースはチームの大黒柱・松下だ。打率.269と数字自体は悪くないものの、立大戦では打点ゼロに終わり、4番としてはやや寂しい内容となった。実は春のリーグ戦でも開幕3連敗中は松下も無打点に終わっており、チームの浮沈と松下の状態は密接にリンクしている。逆を言えば、主将が背負い込みすぎて孤立しないよう、ナイン全員で打線を盛り立てることができれば、待望の一発が生まれ、勝利をもぎ取ることができるはずだ。打線は境と松下を中心に、一丸となることで早大投手陣を打ち崩すだけの破壊力を発揮する。法大打線の奮起に期待しよう。

主将の一打が勝利に直結する
(中山達喜)