【フェンシング】
第67回全日本選手権大会1日目(団体戦) 女子フルーレあと一歩で決勝逃すも3位入賞!男子エペは悔しい初戦敗退・・・
第67回全日本フェンシング選手権大会(団体戦)
2014年11月28日(金)~30日(日)
和歌山ビックウェーブ
全日本学生選手権大会(以下インカレ)で優勝ラッシュに沸いた法大は、全国の勇者が集う第67回全日本選手権(以下全日本)の戦いへ挑む。中学高校大学の他に、社会人チームを含めた大会でも狙うは頂点だ。4年生にとって最後の団体戦となる全日本で有終の美を飾ることはできたのか。初日に登場した男子エペと女子フルーレは、クラブチームとの試合にそれぞれ臨んでいく。
試合結果
種目 | 出場選手 | 試合詳細 | 順位 |
---|---|---|---|
女子フルーレ | 大石栞菜(法4)久良知美帆(法3)真田玲菜(キャ2) | 準決勝●43-45和歌山クラブ 3位決定戦○45-27和歌山北高 準々決勝○45-18群馬クラブ 2回戦○36-26京都クラブ 1回戦○45-3箕輪中学校 | 3位 |
男子エペ | 吉沢有紀(文4)藤倉陸(社3)村越優希(文3)中村豪(人1) | 2回戦●27-45香川クラブ | 2回戦敗退 |
戦評
女子フルーレ 準決勝で悔しい敗戦も昨年届かなかった3位へ
2週間前に行われたインカレで優勝に輝いた女子フルーレは、有終の美を飾るべく全日本の戦いに挑む。主力選手の柳岡はるかを海外遠征で欠くが大石栞菜、久良知美帆、真田玲菜の3人はこの大舞台でも躍進を見せていく。
箕輪中学校(北信越代表)との初戦で45-3と圧倒的なスコアで勝利すると、2回戦の京都クラブ戦は中盤まで接戦となるも、最終セットの大石栞が一気に攻撃をたたみ掛け36-26と快勝。順調にベスト8へ駒を進め、準々決勝は群馬クラブとの対戦となる。最初に登場した大石栞が先制点を許すと、そのプレーで手首を痛めてしまう。しかし、直後に5連続得点を奪う気迫を見せ5-1と流れを作る。次の久良知の場面で一時同点に追いつかれるが、再び勝ち越すと法大の勢いが加速。5セット目で大石栞が7連続の猛攻を見せると、久良知と真田も好調を維持し、45-18とこの試合も大差での勝利となった。
準決勝の和歌山クラブ戦は均衡した試合が展開されていくが、13-10のリードした場面で真田が流れを大きくたぐり寄せ20-11と優位に立つ。そこから点差は詰められるものの、一度もリードを許さぬまま最終セットを迎える。エースの大石栞がピストに上がり38-31と勝利は目前に見えたが、3連続得点を浴び不穏な空気が流れる。それでも激しい突き合いを制し43-38と決勝進出まであと2点と迫る。しかし、大きな声援を受けた地元の和歌山クラブがここから起死回生の攻撃で得点を積み重ねると、大石栞は悪い流れを止めることができない。気持ちを引かずに相手に向かっていくが有効面を突けず、43-43と同点に追いつかれてしまう。先にマッチポイントに乗せたかったが、和歌山クラブの猛攻は止まらず連続失点を喫しまさかの敗戦となった。大石栞は試合後タオルで顔を覆ってしまうほどだったが、直後に行われた和歌山北高との3位決定戦では45-27と準決勝での負けを引きずることなく勝利し、昨年届かなかった3位入賞を果たした。
今年、学生の大会では3つのタイトルを獲得した女子フルーレ。日本一に届く実力を持っていただけに、全日本制覇を成し遂げられなかったことは悔しい結果かもしれないが、昨年に続きこの一年も法大の強さを見せつけた。各大会で優勝の立役者となった絶対的エースの大石栞が抜ける穴は大きいものの、久良知、真田と全日本不出場の柳岡も合わせ来年も十分に優勝を狙える。大石栞が達成できなかった日本一の夢は、力強い後輩たちに託された。(宮城風子)
男子エペ 短すぎた全日本の舞台
インカレでは準優勝と好成績を残した男子エペだったが、この全日本の舞台では厳しい結果となった。
シードの法大は2回戦からの登場。初戦の相手は、昨年エペ種目で前人未到のインカレ3連覇を成し遂げた宇山賢(H26年同大卒)擁する香川クラブとなった。藤倉がその宇山に対し、第1セットで2-1と互角に3分間を戦う。続く吉沢の場面では得点が動かず、規定により1分間で次のセットに突入。ロースコアの展開はここから徐々に形相を変えていく。村越が4連続失点でリードを許すと、その後は互いに点を取り合い6-9となる。藤倉を挟み、次の村越に代えて中村を投入する。その中村は慎重な動きで相手に得点を与えず、スコアを変えないまま吉沢につなぐ。5セット目を終え10-15と逆転可能な数字だったが、エースの吉沢が振るわない。2点を取り合った直後に手痛い4連続失点を浴び、差を9点にまで広げられてしまう。次の中村は果敢に攻撃を仕掛け得点を稼ぐも、流れを掴みきることはできない。頼みの藤倉も巻き返せず23-33と苦しいスコアで最終セットを迎えてしまう。負ければこの試合が学生最後の団体戦となる吉沢がピストに上がる。この一年間、最後回りを担った男の逆襲に期待が集まったが、10点差は重くのしかかった。シングルポイントで点差を縮めたい場面だが、相手にそれをやられてしまいペースを崩されると、勢いを止められず27-45と粘りを見せることなく敗退。終始主導権を握られる苦しい展開で、上位進出とはならなかった。
リーグ戦と王座決定戦、そしてインカレと3度の準優勝に輝きながら頂点には届かなかった男子エペ。4年間試合に出続けた吉沢は抜けてしまうが、藤倉と村越の3年生コンビに加え、1年生の中村も台頭を見せたチームに来年こそ王座奪還を叶えてもらいたい。(宮城)
選手のコメント
久良知美帆
―3位入賞という結果について
正直言えば優勝したかったですけど、去年4位でメダルも取れずに終わってしまって、今年はメダルを絶対に取りたいという思いだったので3位を取れて良かったです。
―準決勝の和歌山クラブとの試合を振り返って
途中で私がマイナスを作ってしまって。でも徐々に取り直していって最後も流れがいい感じだったんですけど、最後は仕方なかったかなと思います。
―最終セットはどのような気持ちで見ていましたか
お願いします、という感じでした。チームなので(大石)栞菜先輩がプレーしていても、自分たちがやっているつもりで見守っていました。
―決勝には届きませんでしたが3位決定戦に向けて気持ちの切り替えは
メダルがあるのとないのではだいぶ違うと思うので、最後はしっかり締めようという思いで戦いました。
―ご自身のプレーについては納得いくものでしたか
インカレから少しですけど自分の試合を客観的に見られたり、冷静に試合状況の判断ができたりしたのでそこは今回も良かった面です。でも悪い面として、中々切り替えができなかった部分がありました。
―今大会で大石栞選手と団体戦を組むのが最後となりましたが特別な思いはありましたか
あまり最後という実感はなかったんですけど、3位決定戦の時は「これで終わりなんだ」と思って絶対に最後は勝って締めたいなと思いました。
―どのような先輩でしたか
時には厳しかったですけど、最終的には後輩のことを頼ってくれて、また最後まで頼もしかったのでいつも支えてもらいました。
―来年は最上級生になりますがどのような存在になりたいですか
栞菜先輩のように後輩から頼られる先輩になりたいです。今はまだ先輩にも後輩にも頼ってばかりなので、もう少し自分がチームを引っ張れるようになりたいです。
―全日本個人戦に向けて
個人戦は去年ベスト8にも入れなかったので、今年は優勝目指して頑張りたいです。
真田玲菜
―3位という結果について
今回は優勝を目指してきたので、悔しい部分もあるんですけど、表彰台に登れて良かったと思います。
―準決勝の和歌山クラブの印象は
前回の全日本大会の3位決定戦の時も負けてしまって、今回は絶対に勝ちたいと思っていたので、気を引き締めて試合に臨みました。
―試合中に仲間から頻繁に声をかけられていましたが
しっかり声が聞こえていたので、冷静に試合ができていたと思います。言われたことに気をつけながらできました。
―決勝に進んでいたら日大に勝つ自信はありましたか
そうですね、勝ちたかったです。
―インカレ後から全日本に向けて準備してきたことは
インカレは調子が良かったわけではないので、その点をしっかり修正して今日まで準備してきました。
―次の全日本個人戦に向けて
ベスト8に入れるように一試合一試合がんばりたいです。
吉沢有紀 ※取材は29日に行われました
―昨日の試合を振り返って
強い相手というのは分かっていたので挑戦者のつもりでいたんですけど・・・相手は思っていたよりも強かったですね。
―宇山選手擁する香川クラブとの対戦でしたが
試合前に練習でシミュレーションして、2回やったシミュレーションでは勝っていたので大丈夫かなと思っていたんですけど対策通りにはいかなかったです。
―学生最後の団体戦を終えた実感はありますか
あるといえばありますね。正直、すごく解放された感じがあります。
―解放されたというのは、この一年間最後回りを担って苦しかったことが多かったのでしょうか
プレッシャーがありましたし、団体戦は難しかったので終わって良かったなと思います。
―今年のエペチームはどんなチームだったと思いますか
そうですね・・・去年に比べたら攻めにいくよりも守って取りきる形だったので、ロースコアの試合が続いて、試合時間は長いと感じました。守りが強いチームだったと思います。
―後輩の選手へメッセージがあればお願いします
来年は頑張って全部優勝してください。自衛隊で練習するらしいのでその力を発揮してください。
―印象に残った団体戦はありますか
1年の時から色々あったので全部印象に残っています。
―個人戦に向けて
優勝します。
フォトギャラリー
- メダルを獲得し笑顔を見せる女子フルーレの選手たち
- チームをけん引し続けた大石栞
- 最上級となる来年も更なる活躍を誓う久良知
- 得点源として勝利に貢献した真田
- 4年間団体戦を戦い抜いた吉沢
- 男子エペには欠かせない藤倉(左)
- 今秋は調子が上がらなかった村越
- 成長を続ける期待の中村